怪獣物語   作:一芽

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この小説の世界観は昭和ゴジラシリーズで、昭和ゴジラシリーズの時系列的に最後と言われる怪獣総進撃後の話です。
私なりの勝手な解釈やラストでまさかの怪獣が出たりします。
怪獣好きの皆さんにとって不快になられたらすいませんm(_ _)m
怪獣達を普通に喋らせるのは、そもそも人間が出てこない(後編では出すつもり)のでそうしました。


怪獣達の思い

『ゴジラ』それは水爆により誕生した大怪獣、伝説上の生き物など様々な説があった。

初代ゴジラと呼称されるゴジラは、大戸島に出現し、後に東京への二度の来襲で甚大な被害を出した。

ゴジラの出した被害を見た芹沢博士は被災者達の姿、平和の祈りにある決意を秘め、芹沢博士自身が世に出すのを禁じていた「オキシジェン・デストロイヤー」を一度限りの使用という事を告げて使用を決意し、東京湾の海中にてオキシジェン・デストロイヤーを使用し、ゴジラを葬ると同時にオキシジェン・デストロイヤーの研究を葬るために自らの命を絶った。

 

だが、古生物学者の山根博士は言った。

 

「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかに現れてくるかもしれない」

 

…と。

 

山根博士の言う通りゴジラは再び現れた。

そのゴジラを二代目ゴジラと呼称しよう。

二代目ゴジラは初代ゴジラと違い、動物性が高かった。

そして、そのゴジラとは別に出現した暴竜「アンギラス」と戦いを繰り広げた。

この個体は、前述通り動物性が高く、町の破壊よりも目の前の敵を倒すことしか頭にないような感じにも取られた。

そして、大阪にてアンギラスを倒したゴジラは、その後千島列島の神子島にて発見され、後に雪山へと埋められる作戦が決行されて作戦通り雪山に埋めることに成功した。

だが、それでもゴジラは何度も復活し、日本に襲来し、様々な怪獣と戦いを繰り広げたが、宇宙大怪獣「キングギドラ」との戦いの後、ゴジラは悪い怪獣を倒すヒーローのような存在へと変質していった。

人々もゴジラを破壊の悪魔としてではなく、かつてのゴジラのように破壊の限りを尽くしたりする怪獣と戦うヒーローとして観るようになったのはなんとも皮肉めいた事である。

気が付くとゴジラには息子がいたり、ゴジラ自身も率先して怪獣と戦うようになっていた。

いつしか、ゴジラの側には仲間と呼べるような怪獣がいたのもこの頃からかもしれない。

そして1994年、多くの怪獣達は怪獣ランドと呼ばれる島で平和に暮らしていたが、キラアク星人によってゴジラ達は操られ世界各国の都市を襲ってしまう。

後にキラアク星人の手から解き放たれて、富士にて仲間の怪獣と共にキングギドラを倒し、キラアク星人の本拠地を破壊しゴジラと怪獣達は怪獣ランドへと帰り、平和な生活を取り戻したのだった。

 

 

だが、怪獣達は薄々と気づいてることがあったのだ…。

 

 

「…やっぱり俺は、これからも人間の作り出したこの島で暮らすのは無理だと思う…」

 

海岸に集結したミニラ以外の怪獣達の中で最初に口を開いたのはラドンだった。

 

「我々は本来は人類とは相容れないはずの存在、そんな我々が彼らと関わるのは彼らの為にもならない。だから私もラドン殿と同様この島で暮らすのは駄目な事だと思う…モスラ、あなたはどんなお考えで?」

 

クモンガが自分の主張を言った後、モスラ(幼虫)に怪獣としての意見を問う。

 

「確かにそうですね。私達は操られていたとはいえ世界各国に甚大なる被害を出しました。私達の力は人々の近くにあるには危険過ぎるものなんですし、私はお二方の意見に賛成です」

 

モスラは守護神と呼ばれる者でありながら、キラアク星人に操られていたとは人間達の都市を破壊した。

その時の記憶が未だにモスラを苦しめてるのだ。

そして、あらためて自分達の力の恐ろしさを知ったのである。

 

「俺らはかつて殺し合った仲、または殺し合った者の同族だからな、俺ら自体も、場合によればお互いの為に距離を置く必要があると考えてる、お前が特に解ってるはずだろゴジラ?」

 

「ああ…」

 

アンギラスは、かつて同族であるアンギラス(以後、初代アンギラスと表示)をゴジラにより殺されている。

そしてアンギラスはゾルゲル島にて最初にゴジラと遭遇した時は、同族の仇としてゴジラの命を奪おうとしゴジラと戦ったが、ゴジラの攻撃は相手を殺す攻撃ではなく相手を追い払うようなものであり違和感を感じていた。

その時、ゴジラの後ろの岩陰からミニラが出てきたときに悟った。

(そうか、ゴジラはあの時と違って同族の仲間がいる…今ここでゴジラを殺したとしたらあのチビが俺のように同族を失うのか…ゴジラ自身も同族を失った俺を殺すに殺せないのか…この甘ちゃんが…)

そして、いつの間にかアンギラスの目から復讐の色が消えていた。

今のアンギラスにとってゴジラは、同族を殺した悪魔ではなく、仲間の大切さを知った怪獣に見えたのだった。

そして、いつの日か二匹は怪獣界でも有名なタッグになっていた。

ちなみにX星にゴジラとラドンが連れて行かれたときに、何故自分ではなくラドンなのかと悔しがるほどの仲になっていた。

 

「それに今さらかもしれんが、何故お前は人間達の味方になるようになったんだ?」

 

アンギラスは、昔からこの事が疑問であった。

人間達の水爆によって怪獣となったゴジラ達、その事に対する憎しみは初代ゴジラ・二代目ゴジラ共々、他の怪獣と比べものにならないほどだったはずだった。

 

「さあな…気が付いてたらこんな風になっていた。もしかしたら、寂しさを紛らわせたかっただけかもしれんな…」

 

ゴジラはいつもの迫力はどこにやら、暗い声で答える。

 

「…………ッハ……ギャーハハハハ!!寂しさって怪獣王と呼ばれる奴の言うことかよ!…って、ちょ!?タンマ!?ゴジラさん待っーーー」

 

爆笑するバラゴンはゴジラにより海に投げられて犬○家のスケ○ヨ状態になっていた。

 

「…とりあえず、俺はあの頃は何も見えなかった。明確に人類に復讐をしようとし、制裁を下そうとした兄さんとは…」

 

ちなみに兄さんとは初代ゴジラの事で、怪獣になる前までは初代ゴジラに生き方を教えてもらい、厳しくとも時には優しかった初代ゴジラの事を兄のように慕い、尊敬していたため兄さんと呼んでいた。

初代ゴジラが暴れん坊の二代目ゴジラを抑えてる感じであったため、初代ゴジラの死後は、兄のように慕っていた同族を殺された怒りで理性をうまくコントロールできずに、その怒りを初代アンギラスにぶつけて殺めてしまった。

ちなみに余談だが、その事の償いとして相棒であるアンギラスを息子のミニラと同じくらいに大事にし、アンギラスが偽ゴジラ(メカゴジラ)の戦いで重傷を負った際には、彼だけは死なせまいとモスラに助けを求めたほどだった。

メカゴジラ戦の時はかつてのアンギラス戦のようにならないようにちゃんと理性を保って戦ったが。

 

「そしていつの日か、俺は俺達と人間達の共存を夢見ていた。もしかしたら、俺だけのせいで関係のない連中が迫害されるのを恐れていたのかもしれない。だけど、俺もかつてのヘドラの出現から薄々思っていたが、今回の一件で決心したことがある、それに今の人間達と俺達が共存するのは危険過ぎる、だから俺がある奴と決めたことを話すために今回この場に皆に集まってもらったんだ」

 

ゴジラは集まった怪獣達の様子を見る(ちなみにバラゴンは、ラドンによって引きずられながらも海岸に連れてこられた)

 

「だがのう、お主等はどうするつもりなんじゃ?キラアクなる連中の攻撃で島からの脱出は簡単になっとるが、行き場も目的も無いのでは話にならんぞ?」

 

「「「「………………」」」」

 

年寄り臭い口調のバランの言うことは正しかった。

今怪獣ランドを出たところで、行くアテなどない。

 

「いや、目的なら確かにある、モスラ」

 

「はい」

 

ゴジラはモスラに静かな声で言う。

 

「?……おいおいモスラ如きになにができるって……すいませんモスラさん、糸を吐かないでください…」

 

バラゴンの身体にモスラの吐いた糸かかった。

 

「…えー…おっほん、皆さん忘れてなければいいですが私がまだ幼虫ということを知っておられますね?」

 

「確かにそうであったな、そういえば今度成虫になるとか言っていたが、もしやそれに関することなのかな?」

 

クモンガがモスラに問う。

二匹は怪獣ランドの中でもかなりの常識者なので気があったりするからモスラの事はある程度クモンガはわかっているのだ。

 

「そうです、どうやら私は他のモスラと違い成虫になると星の聖なる力に干渉する力を得るらしいのです」

 

「星の聖なる力?何すかそれ?」

 

怪獣ランドでバラゴン、マンダの次に頭の悪いと言われるゴロザウルスがモスラの言った星の聖なる力について聞く。

 

「星の聖なる力とは地球のどこにでもあり、そして人間の眼には決して見えないはずの力で、その力に干渉すれば地球規模の環境を変えたりすることも可能なんです」

 

「マジっすか…」

 

ゴロザウルスは本当はあまり理解してない。

 

「そして私が成虫になると、その力に干渉できるようになるんですが、私だけでは力が足りないので皆さんの力を分けてもらうことになります」

 

モスラの話し方が重くなるように他の怪獣達は感じていた。

 

「おい、俺達の力が必要になるほどの事って何だよ?」

 

アンギラスがモスラを睨むように見て言う。 

 

「もしかしたら、私がやろうとしてることは一部の方がお怒りになるかもしれませんが私とゴジラさんで決めた事なんです。だから皆さんに集まってもらいました。そして、私がやろうとしてるのはーーー」

 

「「「「やろうとしてるのは?」」」」

 

怪獣達が息をのんで聞く。

 

 

 

「ーーー人類が持つ我々に関する記憶を抹消する事です…」

 

 

 

 

 

 

翌日の昼、ミニラがバラゴンやゴロザウルスに遊び相手になってもらっているのを確認したゴジラは、ミニラ達とモスラを除く怪獣達を再び海岸へと集めた。

モスラが集まらないのは、成長になるために森の奥の洞窟に籠もっているからである。

 

「お前ら、落ち着いたか…?」

 

怪獣達の身体は傷だらけであった。

それは、殺し合いのものではなく、昨日のモスラの発言で頭に血が上って暴れ出したアンギラス・ラドンを他の怪獣が抑えようとしたときについた傷だ。

 

「まあな…人間と共存するのが難しいのは解っているはずなのに、どこかで俺達の存在を忘れてほしくないという思いがあったからな」

 

かつて同族のいたラドンは、人間達の攻撃でその同族を失っている。

人間達の記憶から、その記憶を消すのは彼の同族への愛ゆえにあの悲劇を人間達に忘れてほしくなかったのだ。

ゴジラもだが、いつの間にかヒーロー扱いされていたラドンも一時期は人間に復讐をしようとしたことがあるが、復讐は結局また新たなる復讐を生むだけと気づき、人間達に自分の存在を認めさせることで死んだ同族へのせめてもの手向けにしようとした。

アンギラスも復讐ではないが自らの存在を人間達に認めさせようとしていたのは同じ事である。

二匹とも、人間が好きだから宇宙からの敵と戦ったわけではないのだ。

むしろ、本当は人間を根絶やしにしたいと心の底で思っている。

しかし、世界のどこかにいるという同族の平穏な暮らしのためにそれを我慢してきた。

だからこそ、人類達の自分達怪獣に関する記憶などの抹消は、それらを全て無意味とすることなのだ。

 

「だけど、俺もラドンも周りが見えてなかった。それに関しては謝らないといけない、すまなかった…」

 

アンギラスとラドンは他の怪獣に頭を下げて、暴れまわり傷つけたのを謝罪した。

 

「いや、お主等の気持ちはこの島におる者達皆が解っておる、だからこそ止めたのじゃ」

 

バランは二匹に優しさのある声で言う。

 

「それにしてもゴジラ、人類から記憶を抹消したところで記録や我々がいた証のような物は残るのでは?」

 

クモンガの言うことは他の怪獣達も疑問に思っていたことだ。

記憶が消えても、自分達がいたという物的証拠があれば意味がないはずなのだ。

 

「モスラが言っていただろ?皆さんの力を分けてもらうことになるって、要するに記憶消すだけなら俺だけが力を貸すだけでどうにかなるんだが、物的証拠を消し去るには言い方悪いかもしれんが洗脳、柔らかく言えば催眠術を地球規模で全人類にかけて人間達自らの手でその証拠を消させる。だが、ここまでの事をするには俺だけではなくおまえ等の力が必要ということだ」

 

「なるほど、そういうことだったのか…」

 

「クモンガ…今のゴジラの話を理解したのかよ…」

 

ゴジラの話をちゃんと理解できたのはラドン・クモンガ・バランで、一言も話さないマンダとアンギラスはほとんど理解できてない。

 

「島の周りの見えない壁も弱まっているのは確かだ。

それ以前にモスラが聖なる力を使えば、例え壁の力が強くなっても島からの脱出は楽らしいがな」

 

ゴジラの言葉を聞き、あらためて星の聖なる力の凄さを知る怪獣達であった。

 

「俺は、人間達の記憶や記録から俺達に関することが消えたら、どこかの山脈の奥地にでも住処を探そうと思う…ミニラがいるからな…」

 

「ゴジラ…」

 

アンギラスはゴジラが今まで人間達を守ってきたぶん、人間達に絶望していることを知っていた。

ヘドラの件での人間達に向けた怒りの籠もった目がその証拠だった。

 

「まあ、俺達はおまえについて行くよ。なんたって怪獣王だからな」

 

アンギラス・ラドン、そして他の怪獣達も怪獣の王としてゴジラを見ている。

それは、皆が決めたことなのだ。

 

「………あっ、そういえばミニラで思い出したんだが三日前の夜に、山の洞窟の方に入るのを見たのだがゴジラ、お前は知っているのか?」

 

ラドンはゴジラにその事を問うが、ゴジラは不思議そうに頭を傾けた。

 

「俺はそんな事知らないが……いや……まさかあいつ!?」

 

ゴジラは、もの凄い速さで洞窟の方へと走っていった。

 

「おいゴジラ!待てって!何がどうしたんんだよ!」

 

他の怪獣達もゴジラを追った。

 

 

 

そして、場所は変わり山の洞窟の中。

ミニラ・バラゴン・ゴロザウルスの三匹はそれぞれ鯨・大量の魚を持ってきていた。

 

「おいチビ!ご飯を持ってきたよ!」

 

ミニラが洞窟の奥を向いて大きく声を上げると、小さな怪獣らしきものが飛んできた。

 

「キュルル!キュロロアン!」

 

金色の体を持つ小さなドラゴンの子どものような生物は、自分よりも大きいミニラの胸に飛び込み顔を擦り付ける。

 

「あははは!くすぐったいよチビ~!」

 

ミニラは生物を抱きかかえて下ろす。

 

「それにしても親父さん、ゴジラに黙っていてもいいのか?」

 

ゴジラに若干トラウマのあるバラゴンはソワソワしながらミニラに問う。

 

「大丈夫だよ、たとえこのこの子とを父さんが認めてくれなくても僕が責任を取って育てるんだ」

 

「キュル~?」

 

「大丈夫だよチビ~、僕が一緒だからね」

 

ミニラは、生物の頭をなでる。

だが、お互いに楽しそうにする二匹の空気を壊すような存在が洞窟に来たことを二匹は気づけなかった。

 

「……ゲッ!…噂をすれば!」

 

「ゴジラさん!?」

 

ゴロザウルス・バラゴンは洞窟中に響くほどの声(人から聞くと鳴き声)を上げる。

 

「…え!?父さん!?」

 

ミニラが後ろに振り返る。

そこにいたのは…、

 

「おいミニラ…やはりそういうことだったのか…!……」

 

恐ろしい形相の父、ゴジラの姿であった。

 

「と、父さん!?これは!そ、その!」

 

ミニラは少しパニクり生物を後ろに隠す。

 

「……ある程度予想付いていたけどな…お前の隠したそのチビ!……そいつはーー」

 

「違うんだ父さん!」

 

 

 

 

「ーー俺達が倒したキングギドラの子どもだろ!!どうしてその子どもがここにいる!?」

 

「キュル?」

 

ミニラはキングギドラの子どもを父のゴジラバレないように育てていた!?

しかし、ついにゴジラにバレてしまった!

いったいキングギドラの子どもはどうなってしまうのだろうか!?




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