やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。(大改訂版)   作:シェイド

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ども、シェイドです。
最近ちょくちょく更新できている『続・やはり俺たちのオラリオ生活はまちがってる。』を書いていて、思うところが多々あり、夏休みだしなんとかなるさ!という精神で改稿していこうと思い、書きました。

内容にところどころ変化はありますが許していただきたいです。


物語は始動する
その日、運命は動き出した


 とある一つの村があった。

 小さな村ではあったものの、住んでいる人々は皆優しく、農業をして生計を立てていた。

 

「お兄ちゃん!」

 

「コマチ、走ったら転ぶぞ」

 

「大丈夫大丈夫!……フベっ!?」

 

「言わんこっちゃない……」

 

「うわわわ~ん!!おにいちゃ~ん!!」

 

「泣くなっての」

 

 その村には唯一二人の子どもがいた。

 元冒険者の子どもであるハチマン、コマチの二人は家の手伝いをしつつ、他の家の手伝いもすることからみんなの子どものような立ち位置におり、元気いっぱいに過ごしていた。

 

 それが、この村の日常だったのだ……。

 

 

***

 

 

 ある日。

 ハチマンが12歳、コマチが9歳になっていた年。

 突如としてモンスターが集団で村を襲った。

 

「ハチマン!コマチを連れて逃げなさいっ!!」

 

「で、でも」

 

「でもじゃない!逃げろ!!」

 

「親父と母さんは!?」

 

「私たちは元冒険者よ」

 

「なぁに、すぐにモンスターを倒して追っかけるから先に行っててくれ!」

 

「……絶対だぞ!」

 

 ハチマンは眠っていたコマチを背中に背負い、村から一目散に逃げだした。

 わき目もふらず、ただ遠くへと、遠くへと。

 しばらくするとゴブリンなどの低級の魔物が飛び出したりするが、紙一重で避けるか身を隠してやり過ごし、西へと西へと走り続けた。

 

「うおっ……ハァ、ハァ、ハァ……」

 

 12歳の子どもの体力限界が訪れ、コマチを綺麗な原っぱの上に横にしたのち、自身の息を整える。

 

「親父、母さん……」

 

 ハチマンの脳裏に浮かんだのは、一体の黒い竜に立ち向かう両親の姿だった。

 

 

***

 

 

 この日、運命は動き出した。

 もし、竜のモンスターが村を襲わなければ、ハチマンとコマチは一生をその村で終えていたのかもしれない。

 もし、モンスターに殺されていれば、何も影響は起きなかっただろう。

 ……けれど、環境は急変してしまったのだ。

 そして、イレギュラーな存在である彼らは両親の遺言の元、自分たちの足で迷宮都市オラリオを目指すことにしたのだ。

 

 

***

 

 

「コマチ、これ食べられるか?」

 

「……うん」

 

 二人がオラリオを目指し始めて数日。

 コマチの消耗が激しかった。

 9歳の女の子が、ある日突如として両親を失ったのだ。精神的ダメージは計り知れず、食事もあまりとれていない状態だった。

 

「……なんとかしないと」

 

 野宿を続けていくのにも限界があった。

 モンスターとの戦闘は今のところはどうにかなっている。父にたびたび身を守るための稽古として鍛えられていたことが身を結んでいた。

 神の恩恵を受けていないごく一般の少年が、いくら業物のナイフと言えどもモンスターと戦闘をし、勝利することははっきりと言えば異常なのであるが……。

 

「ん?ああ、本か……」

 

 コマチに膝枕をしつつ、夜の警戒のためとはいえ暇すぎたためか、崩壊した家から持ってきた不思議な本を読むことにした。

 それが、魔道書だとも知らずに。

 

「はっ、タイトルがゴブリンでも理解できる魔法……ゴブリンが魔法を使うなんて聞いたことないけどな」

 

 暇つぶしにはちょうどいいとばかりに、頁をめくっていくハチマン。

 思っていたよりも内容がしっかりとしており、これならばゴブリンも……とまでは言わないが、魔法を知らない人間でも理解できるような内容であった。

 夢中になって読んでいたハチマンは、気づけば真っ白な空間に一人で佇んでいた。

 

「……ここは?」

 

『……では始めようか』

 

「誰だっ!?」

 

『そなたにとって魔法とは如何なるものか?』

 

 辺りを警戒するが、全くと言っていいほどに気配がしないため、諦めて謎の声と向き合うことにしたハチマン。

 

「……力だ」

 

『力か?』

 

「ああ。俺の両親を奪ったモンスター共を倒すための力。魔法があれば、それが叶うかもしれない」

 

 あの日、俺たちがいつまでも追ってこない両親を探して村に戻れば、二人は息絶えた状態では地面に倒れていた。

 近くには良くしてくれていたおじさんたちも息絶えた状態で倒れていて、思いっきりコマチ泣いた。声を出して、数日間は泣いていた。

 その後、潰れた家を捜索し、使えるものや親父の残した日記などを手掛かりに、オラリオを目指すことに決めたのだが……まず、コマチを守り切る。そのためにも今すぐ使えるような力が欲しい。

 

『例えばどのような力だ?』

 

「……闇だ。全てを破壊してしまうような闇の力」

 

『ほう?』

 

 昔、よく母親に読んでもらった英雄冒険譚に登場した闇の力を使う戦士の話。

 俺はすごく、物凄くかっこいいと思っていた。

 味方に批難されようと、凄まじい敵に襲われても、自身の持つ目的のために全てを蹴散らす闇の戦士。

 ダークヒーロー。俺はそれに憧れたんだ。

 

『……面白い、この力を使いこなして見せよ』

 

 

***

 

 

「………はっ!」

 

 一瞬のうちに意識を覚醒させた俺は周囲を窺い、膝にコマチを抱えていたことを思い出し、立とうとした自分の行動をすぐさま止める。

 

「おにい、ちゃん?」

 

「コマチ……お前は、必ず守るからな」

 

「えへへ……今のお兄ちゃん、コマチ的にポイント高いよ」

 

「うっせ」

 

 俺はコマチの頭を撫でつつ、先程の光景を思い浮かべてはなんだったのだろうと考える。

 考えたところで答えは出ない。まずはオラリオに着くことを第一に考えて行動しよう。

 

 

***

 

 

 次の日。

 近くに湖があったので水を確保するついでによってみると女の子がモンスターに襲われていた。

 咄嗟に助け出し、なんとか守ることに成功すると、彼女はこう言ってきたのだった。

 

「私はシェイニー。闇を司る精霊だよ!」

 

「「せ、精霊?」」

 

「うん!助けてくれてありがとう!」

 

「ど、どういたしまして」

 

 精霊という言葉に動揺する俺とコマチの周りをふわふわとただよう少女(精霊らしい)。

 ……精霊ってなんだろうね?

 少しの間俺たちを観察していたのか、ふわふわとただよっていたが精霊だったが、何かに気が付いたのか俺に近づいてきた。

 

「な、なんですか?」

 

「君、闇の魔法の適性がすごいね!これまでで最高かも!……ちょっと待っててね~」

 

「お兄ちゃんに何するんですか!?」

 

「大丈夫、危険なことじゃないから……ほい、終わり」

 

「え……?」

 

 これといって何かをされた感じはしないが、どことなく力を感じる……。

 

「君の名前は?」

 

「……ハチマン」

 

「ハチマン、【悪夢(ナイトメア)】と唱えてみてよ」

 

「…【悪夢(ナイトメア)】!」

 

 俺がそう口にした途端、全身を黒いオーラのようなものが包み込んだ。

 

「これ…!」

 

「そう、君の中にあった魔法の力を私の権限を使って顕現させたの。効果としてはとてつもない破壊力を得る魔法だね。一応、全体的に能力が上がるけれど、攻撃が一番の武器だ。ちゃんと妹を守ること、いいね?」

 

「お前もモンスターに襲われていたくせに」

 

「い、いや~、お腹が減って減って……」

 

「……シェイニーちゃん、だよね?これどうぞ」

 

「わー果実だ!いいの?」

 

「うん」

 

「ありがとう!コマチちゃん大好き!」

 

「きゃっ!」

 

 ……その後、ある程度俺の存在を追ってきたというシェイニーと行動を共にしつつ、闇の魔法に慣れていった。

 本格的に能力を上げていくには神の恩恵を授かるのが一番らしいから、オラリオを目的とするのは正しいって言ってくれた。

 

 

***

 

 

 シェイニーは俺の影に住むらしく、普段は俺の影にいるようになった。コマチの精神状態も、シェイニーや途中で会い、とある冒険を共にしたアスフィなど見た目が近かったり年が近かったりする子と触れ合うことでだいぶ回復していたように思える。

 兄として、笑顔を浮かべる妹が見られただけで安心できるものなのだ。

 俺としては夜の寝ずの番をシェイニーがしてくれたりすることが一番助かっていた。碌に眠れていなかったため睡眠がありがたかった。

 

 道中で様々な人と出会い、【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】の世界最強派閥ともかかわりを持ちながら、約一ヵ月間の長旅を続けて……。

 

 ハチマンとコマチは、迷宮都市オラリオに到着したのだった。

 




眠い。この時間に書くと眠い。
出来れば毎週更新できるようにストックを貯めておきたいですねぇ……(白目)
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