やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。(大改訂版)   作:シェイド

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面倒になってもう飛ばすことにしました。
一応改訂前には色々と小話挟んでいたんですが、今見返すとちょっと面白くない話もあり……アストレア・レコードの興奮が途切れる前に書きたい気持ちが先行してってのが一番ですけども。


物語は変化を見せる
成長と新人


 俺とコマチが【ロキ・ファミリア】に入団して、早いことに約6年の月日が流れた。

 

「ハチマン!道を切り開けっ!」

 

「わかってるっ!」

 

「コマチは支援を!他の者は一気に突破する!」

 

「了解です!」

 

『はい!』

 

 現在位置はダンジョン37階層。

 場所は白宮殿(ホワイトパレス)の広大なルームだ。

 普通ならばここで、『迷宮の弧王(モンスターレックス)』である『ウダイオス』が出現するのだが、約一ヵ月前に俺が倒したことにより、今俺たちの目の前では『深層』出現モンスターがうじゃうじゃと湧いている。

 【ロキ・ファミリア】の遠征の帰り。

 今回は遊撃を一手に引き受けていた俺だったが、ここで殿の役目を担っていた。

 理由は単純に戦力で考えられている。

 全体を指揮するフィン、先頭を切り開くガレス、全体の魔導士を総括するリヴェリア、それぞれ要所要所でサポートしてくれるノアール達。

 空いている戦力が俺しかいないのである。

 

「きゃああっ!?」

 

「しまっ!?」

 

 目の前の『スパルトイ』の群れに気を取られすぎたせいで、新たに生まれてきた『オブシディアン・ソルジャー』三体を通してしまった。後衛の仲間が攻撃を受けてしまい、最悪の事態にもなりかねない。

 すぐさまフォローに向かおうとするが、『リザードマン・エリート』達が進路を塞ぎ、どんどんモンスターで間が遮られていく。

 一撃で仕留めていったとしても間に合わないかもしれない……なら。

 

「【我は庇いたい、彼の者の苦痛は我に与えられん】」

 

 目の前の『スパルトイ』を一撃で屠りながら詠唱を開始する。

 唱えるのはLv.2の時に発現した魔法。冒険者になりたいと言ってダンジョンに潜り、俺の目の前で死にかけたコマチを見てしまったことがトリガーだと思われる魔法。

 

「【我は庇いたい、愚かだろうと、滑稽だろうと、彼らの苦痛を防ぎたい】」

 

 その特有の利便性と、絡繰り、性能故に他派閥に知られないよう、緊急事態以外では使うことを禁止している魔法……【自己犠牲(サクリファイス)】。

 

「【我は想う、我は誓う、必ずや守り抜くと】!」

 

 奥から突撃してくる『バーバリアン』の天然武器(ネイチャーウェポン)での横なぎを躱し、すれ違いざまに斬り刻む。

 

「【我の願いを顕現せよ―――――自己犠牲(サクリファイス)】」

 

「ぁ――――――え?」

 

「大丈夫か?早くルームを通り過ぎろ」

 

「あ、はい!」

 

 『オブシディアン・ソルジャー』に襲われていた数名の団員を淡い青色が包み込み、攻撃を防いだ。

 瞬間、俺の頭に衝撃が走るが、これくらいの攻撃なら問題はない。目を見開いている団員たちをルームから退出させる。

 

「魔法が効きにくいかもしれんが……【フレイム・ボルト】」

 

 『オブシディアン・ソルジャー』は黒曜石の体を持ち、魔法攻撃に対する耐性が極めて高い。俺の速攻魔法程度では全てを倒すことは出来ないが、足止めにはなる。

 

「お兄ちゃん無茶しすぎだよっ、【リストーロ】!」

 

 声のした方を振り向けば、コマチが【ライトニング】で『リザードマン・エリート』を退けつつ、俺に向かって回復魔法をかけてくれた。

 黄色の光と共に俺の身体から痛みやだるさが消え、心なしか元気が湧いてくる。

 【ライト二ング】は、コマチが俺が作成した魔導書(グリモア)から発現させ、【リスト―ロ】はコマチ自身の素質により発言した魔法だ。

 【ライトニング】は俺の【フレイム・ボルト】と同じ速攻魔法。詠唱なしで撃てる魔法で、魔力さえ高めれば其処らの魔導士の存在を否定してしまうほどの希少魔法である。

 【リスト―ロ】は回復魔法だ。コマチが最初に発現させた魔法で、対象者の傷を癒す。加え、精神的な疲れを取り、活力を与える効果も持つ。ヒューマンが使う魔法としてはかなり強力な魔法である。

 

「はっ!」

 

 群がっていた『スパルトイ』を全滅させ、『オブシディアン・ソルジャー』も倒しきった。コマチの方も『リザードマン・エリート』を倒したようで、さっさと魔石やドロップアイテムを拾えるだけ拾っている。

 俺も出来るかぎり拾いつつ、『バーバリアン』も斬りつけて倒しきる。

 それと同時に壁を削り、モンスターの誕生を遅らせる。

 魔石やドロップアイテムをコマチと共に回収していると、コマチが口を尖らせながら注意してきた。

 

「もうっ、いくら団員が危険な目にあってるからってむやみに【自己犠牲(サクリファイス)】使わないでよ!最悪お兄ちゃん死ぬんだよ!!」

 

「……悪い。でもさっきのは範囲も絞れたし、結果的に成功したんだから許してくれって」

 

「……そんなこと言って、前にファミリア全員に魔法かけて死にかけたのは誰なの?」

 

「すみませんでした」

 

 コマチとのやり取りからも分かるだろうが、俺は【自己犠牲(サクリファイス)】を完全に使いこなせていない。

 対象者の範囲をミスることもあれば、効力までミスることがある。効果が破格な分、取り扱いが難しいことも禁止とされている理由の一つだ。

 

「さ、拾えるだけ拾ったし魔石も隠したよ!早くみんなのところに行こ!」

 

「おう」

 

 今回の遠征結果。

 【ロキ・ファミリア】、未到達であった43階層に到達。

 

 

***

 

 

「ハチマンの奴、また無茶をしておったな」

 

「いや、ハチマンに殿を任せ、【自己犠牲(サクリファイス)】を使わせてしまった我々に落ち度はある」

 

「そうだね。でも、ハチマンのおかげで今回も死者はなしだ」

 

「ほんま頼れる男に育ってくれたもんやな~」

 

「ああ、心強いよ」

 

 遠征から帰ったその日の夜、【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)、黄昏の館執務室。

 フィン、ガレス、リヴェリア、ロキは四人で報告会を行っていた。

 到達した階層のことから始まり、遠征の後始末の役割分担を振り分けた後、話はハチマンのことへと移り変わっていった。

 

「スキルのこともあるとはいえ、約6年でLv.5到達。いや、積み上げてきた【ステイタス】を考えればレベル一つ分は高く見積もっていいかもしれない」

 

「ま、本人はまだまだ強くなるつもりやろうし、ランクアップも自主的にしていない。それで……これが今の【ステイタス】や」

 

 ロキはハチマンから許可を取り、フィン、ガレス、リヴェリアには【ステイタス】を公開するようにしている。疑問点があれば話し合い、危険なものは禁止させる。第二の親代わりとも言っていい三人だからこその信頼である。

 

ハチマン・ヒキガヤ

Lv.4

 力:S991→SS1004

耐久:G280→F337

器用:SS1032→SS1046

敏捷:SS1164→SS1185

魔力:B747→B768

孤独:C

耐異常:G

神秘:B

 

《魔法》

【悪夢】

・付与魔法(エンチャント)

・闇属性

・詠唱式【ナイトメア】

 

自己犠牲(サクリファイス)

・任意の対象の損傷を肩代わりする

・対象の人数が増えるごとに効果減

・魔力量により過去の損傷の肩代わりも可

・詠唱式【我は庇いたい、彼の者の苦痛は我に与えられん。我は庇いたい、愚かだろうと、滑稽だろうと、彼らの苦痛を防ぎたい。我は想う、我は誓う、必ずや守り抜くと。我の願いを顕現せよ―――――自己犠牲(サクリファイス)

 

【フレイム・ボルト】

・速攻魔法

・自由自在

 

《スキル》

闇の加護(ダークブレス)

・闇属性に対する超高補正

・戦闘時における力アビリティの高補正

・戦闘時における魔力アビリティの高補正

 

強者願望(シュタルクノゥト)

・早熟する

・思いが続く限り効果持続

・思いの丈により効果上昇

 

【捻くれし者】

・魅了の完全無効化

・理性が壊れない限り効果持続

・----------(ロキには解読不能)

 

戦剣(ヒルド・フロック)

・剣装備時、発展アビリティ『剣士』の一時発現

・補正効果はLv.に依存

・戦闘時における全アビリティの高補正

 

魔法使い(ブリコラージュ)

・戦闘時を除く、発展アビリティ『魔道』の一時発現

・補正効果はLv.に依存

 

「……相変わらず凄まじい【ステイタス】だな」

 

「本人が作った魔導書だと魔法が顕現せんからと、わざわざ魔法大国(アルカナ)まで出向いて、ランクの高い魔導書(グリモア)と交換してきおった結果がこれだからな。ヒューマンで魔法を三つも使う奴など、それこそゼウスやヘラの化け物共ぐらいしか覚えがないわい」

 

「魔法三つにスキル五つ……それでランクアップ可能ときている」

 

「……三人とも、抜かされんようにせんとあかんで?」

 

 ロキの言葉に、三人は沈黙する。

 戦って勝てるかといえば、確実に首を縦には振ることが出来ない。レベルの差があれど、恐らく得意分野に持ち込んだ者が勝つ極めて難しい戦いになることは明らか。

 フィンならば、自身の【ステイタス】に魔法をかけ合わせることで現都市最強である【フレイヤ・ファミリア】所属のLv.6、オッタルと引けを取らないほどの強さに至れるため、抜かされるといったことはないだろうが……

 

「……これからは闇派閥(イヴィルス)の対処をハチマンに任せる機会を増やそう。僕たちも強くならないといけないからね」

 

「……異論ない」

 

「正直、時間の問題だと思うが……」

 

 それほどまでに、ハチマンはこの6年で成長したのだ。

 鍛錬を欠かさずに積み上げてきたものが、今、明確に力となって表れている。

 Lv.4でありながら都市最強候補とまで呼ばれている【闇王子(ダークプリンス)】は、これからも強さを求めるのだろう。

 

 

***

 

 

「……説明してくれ、フィン」

 

「……」

 

「説明と言っても、さっき言ったことが全てなんだけどね」

 

 遠征帰還からしばらく経ったある冬の日のこと。

 魔石工場を襲撃してきた闇派閥の対処を終えた俺は、フィンに報告しようとしたのだが……

 

「君に、この子に剣を教えてあげて欲しいんだ」

 

「……なんで?」

 

 それはさっきも聞いた。目の前でジッとこちらを見つめてくる金髪の女の子に剣を教えてやってくれと。

 だが俺である理由がない。闇派閥の鎮圧や都市の治安維持のための巡回と地味に仕事を回され続けている俺より、俺に剣を教えてくれ、今でも鍛錬を見てくれるノアールやダイン、バーラさんと俺よりも経験のあるベテラン冒険者が【ロキ・ファミリア】にはいるのだ。

 

「それがね……」

 

「目が危険なおじ……お兄さんの剣が、凄かったから」

 

 ねぇ、今おじさんって言おうとしなかった?俺まだ18だよ?若いんだぞっ!それと目が危険とか……はいつものことだな。

 特に最近は立て続けに強制任務(ミッション)に駆り出され、都市内をあっちへこっちへとしつつ、リクの鍛冶場の隣で買った研究用の家での『神秘』を活用した魔道具(マジックアイテム)の製作で碌に寝れていないからな……よく、大通りですれ違う女性に悲鳴を上げられるし反論できねぇ。

 

「リヴェリアとの勉強後に、たまたま君とガレスの模擬戦を見せてしまってね。それからはずっとこんな調子なんだよ」

 

「剣を教えて。強くなるためにも、お兄さんの剣を学びたい」

 

「断る」

 

「教えて」

 

「断る」

 

「教えて」

 

「……話は終わりか?なら俺は今から西地区に行ってくる。強制任務(ミッション)がまだ終わって無くてな」

 

「教えてくださいー!!」

 

 めんどくさいことに変わりはないので執務室を後にしようと扉の方に向かおうとしたが、足に金髪の女の子がしがみついてきた。

 

「こらっ、離せっての」

 

「いやっ!教えてくれるまで離さないっ!」

 

「おい、いい加減に……」

 

「ん?フィン以外に誰かおるの……どういう状況?」

 

 女の子を引き離そうとしていたが、思っていたよりも頑なで離れない。だからといってこんな小さな子を無理矢理引き剥がすことも出来ないためどうしようかと思っていると、扉が開かれロキがやってきた。

 ポカンとした表情のロキは、フィンに説明を求め、それにフィンが答え……

 

「そか、そういうことならハチマン!主神命令や!アイズに剣を教えてやってや!」

 

「僕からも団長命令とさせてもらおうかな。闇派閥の対処や強制任務(ミッション)との兼ね合いは大変だろうけど、この子は特殊でね。どうしても君に頼みたい」

 

「特殊……?」

 

 フィンの言葉に疑問を持っていると、アイズ?がいきなり俺を指さしてこう言ったのだ。

 

「……お兄さん、もしかして精霊……?」

 




ここで一旦区切っていくスタイル。
文字数が5000近かったんでやめました。そんだけ書くなら毎日更新は無理ですし、沼にハマりそうな気もしたので。
魔法【悪夢】の詠唱を【ナイトメア】とし、他のところも少々変更しました。

また、発展アビリティの『神秘』に関してですが、Lv.4到達以降、ダンジョンに潜りつつも研究し、試行錯誤を繰り返して魔道具作りをしていた結果、『強者願望』の早熟効果も相まって異常に評価が上がったってことでどうにか理解を(ご都合主義)。
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