やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。(大改訂版) 作:シェイド
単純なようで案外厄介だなぁ……。もっと面白く書きたいものです。
そのためにも書いて書いて書きまくって頑張ります。
オラリオに着いた彼らはまず、所属するファミリア探しを始めた。
神の恩恵に差はないものの、派閥の差ならばある。団員が一人しかいないファミリアもあれば大勢でダンジョン攻略に挑むものも存在している。
ハチマンとしては、コマチが良いと思える場所ならどこでもよかったのだが。
「ふぁ~!すごいねお兄ちゃん。こんなにもお店があるなんてさ」
「そうだなぁ、大きな街すぎて全部回りきれるとは到底思えないな」
「なんだか楽しい場所だね!」
「だな」
世界の中心と呼ばれるこの場所は、多くの人々の活気に満ちていた。
神々も普通に出歩いており、こんなにも神がいたらありがたさも減ってしまうのではとも思ったが、オラリオにきたという実感を少しずつ感じていた。
そんな二人は街をぶらぶらと歩いていたのだが、突然、声を掛けられた。
「おおっ、可愛い子発見や!」
「きゃっ」
「君、名前は?」
「コマチ、です」
「兄のハチマンです」
「うおっ、いたんかいなお兄さん?」
「見えてなかったのかよ……」
つり目をした男性……いや、女性に話しかけられたコマチとハチマン。
……相手はハチマンを視界には入れていなかったようだが。
女性はコマチを撫でながらハチマンとコマチの顔を何度も見て、一言。
「こんな可愛い女の子の兄なのに似てないんやな!」
「コマチは可愛いですけど、お兄ちゃんは呪われたような目をしていて……」
「待て待て、これ生まれつきだから。好きでやってるわけじゃないから」
ハチマンの目は、まるで仕事に疲れた三十代のギルド職員のような目であった。
父親であるゴロウや母親である小夜、コマチの目はいたって普通である。突然変異だと、親父にはよく笑われていたものだ。
「二人とも暇か?」
「ええ、まぁ……」
「ならウチと一緒に散策でもしよか!」
「はーい!」
「……うっす」
女性の提案にコマチは笑顔で返事をしたものの、ハチマンは警戒しつつ女性を観察していた。
オラリオには知り合いなどいないし、ましてこんな街に来たことすら初めてなのだ。信用できるかどうかがまだ不明な相手に、ハチマンは警戒を強めていた。
「あ、ウチはロキ。こんなやけど一応神様や」
「……神様だったんすね」
神というロキのチャラチャラした態度に『神ってこんな奴ばっかりだったりするの?』と頭を悩ませながらも、神であるならと少しだけ警戒を緩める。
最悪、自身の影にいるであろうシェイニーがなんとかしてくれるだろうと思いもあり、ハチマンとコマチはロキと行動を共にすることにした。
屋台で売られていたお菓子を買ってもらって食べたり、町の至る所を教えてもらいながら過ごす二人。
途中、お菓子を食べながらロキが尋ねてきた。
「ところでやけど、二人ともどっかのファミリアの子どもやったりするん?」
「【ゼウス・ファミリア】の……」
「よりにもよってゼウスかい…」
「えっとね、コマチのお父さんとお母さんが、そのファミリアに属していた人で……今はもう、死んじゃったの……う、うぅ……うわわーん!」
「コマチ、落ち着けって……すみませんロキさん。俺たちは【ゼウス・ファミリア】に属していたゴロウと小夜の子どもです。一か月前に村が黒龍に襲われて、最近両親が亡くなりました。それで生きていくために、強くなるためにここにきました」
「……そか」
泣き続けるコマチを抱きしめながら頭を撫でるハチマン。
ロキはそれ以降その話題は出さず、コマチのためにぬいぐるみを買ってくれたりと気遣いをしてくれていた。
***
陽が沈む時間が近づいてきた。
ハチマンとコマチは、ロキが最後に寄りたいと言った場所までついて行っていた。
「ここやで」
「大きな建物……」
ロキが案内したのは、都市北部に存在する長大な館。
高層の塔がいくつも重なって出来ている邸宅は槍衾のようであり、赤胴色の外観もあって燃え上がる炎にも見える。塔の中でも最も高い中央塔には道化師の旗が立ち、今は茜色に染め上げられていた。
「ロキ様、その子供たちは……」
「ん、ウチの客や」
「はっ」
門の前に立っていた男と少し話をしたロキは、ハチマンとコマチを連れて敷地内へと入っていく。
そうして案内された場所は、とある一室。
「フィーン、ウチや。入るで?」
「いいよ」
ロキを先頭にその部屋に入ると、金髪の
壁には道化師のエンブレムが飾られている。
「ロキさん、俺たちをこんなところに連れてきて何だってんだ?」
「君たちは……」
「フィン、この二人な……【ゼウス・ファミリア】のゴロウと小夜の子どもらしいんや」
「……【創者】と【花舞】の子ども、か。それで、二人をファミリアに入団させたいってことかい?」
「そういうことや」
「ファミリアに入団?」
ハチマンは、いつの間にか自分たちのこれからが勝手に決められているような気がして鋭い目をロキとフィンに向ける。
すると、横から腕を引っ張られる。
「コマチ?」
「お兄ちゃん、コマチはロキ様のところがいいと思う」
「……そっか」
二人は道中、両親が残した日記とオラリオに来る途中でよった町々で得た情報で、神の恩恵を受けるにはその神のファミリアに入らなければいけないことを知っていた。
ハチマンはコマチに危険が及ばないようなファミリアにすると決めていて、今日情報収集に励もうと思っていたのだが……コマチがいいならそれでいいのだ。
「ハチマン、コマチ。僕たちのファミリアに入ってくれるかい?」
「……一つだけいいですか」
「なにかな?」
「コマチを、危険な目に合わせないようにしてもらえるなら、入ります」
ハチマンとフィンの視線をが交錯する。
そんな真剣な空気を打ち破らんとばかりに、ロキがコマチに抱きつきながらハチマンを見つめる。
「こーんな可愛い子に危険なことなんてさせられん!ウチの名に誓って必ずや!」
「む、うむうぅぅ!(く、くるしいぃぃ!)」
「そ、そうか……」
ロキの過剰な愛情を前に、少しばかり気圧されるハチマン。
コマチは苦しそうに抱きしめられていたものの、人のぬくもりを感じられているのか少しだけ安堵したような表情を浮かべていた。
「……じゃあ、俺とコマチは、【ロキ・ファミリア】に入団します」
「ああ、歓迎するよ。僕は団長のフィン・ディムナ。よろしくねハチマン、コマチ」
「よろしくお願いします」
「ほもひむです!(よろしくです!)」
「コマチが苦しんでるんでやめてくれませんかね……」
「すまんな~。コマチが可愛すぎて可愛すぎて」
「えへへ~コマチは可愛いですからね!」
「ぐふふ……幼女可愛すぎる……」
言っていることが完全に変質者のそれになりつつあったロキだったが、やらなければいけないことを思い出しハチマンとコマチに向き直る。
「二人とも入団したことやし、早速背中に【ステイタス】を刻むことにするで」
「『
「そやそや。コマチは賢い子やな~」
「にへへ~」
遠い昔に刺激を求めて下界に降臨した神々は、万能の力である『
そんな中、唯一神が人に与えることが出来るのが『
神様たちが扱う【
フィンのいた部屋を出て隣のベットが置いてある部屋に促された俺たちは、上半身を脱いで仰向けに寝っ転がる。
「早速刻んでいくから、じっとしといてなー」
「はーい」
「うっす」
まずコマチの背中の傍に立ったロキは、自身の指から血を出してコマチの背中に【ステイタス】を刻んでいく。
ロキ曰く、【
当然、目には見えないもので下界の者たちには利用できる代物ではないらしいが、神にはそれが見えているんだとか。
そういった下界の者の【
「よし、コマチはこんな感じや」
「えー、なんか0ばっかり……」
「なーに、最初は皆そこからスタートなんや。多分ハチマンもそうやと思うで?」
「ならいっか!」
コマチの分が完了したらしく、次は俺の背中の傍にくるロキ。
同じように血をたらし、指を動かして刻んでいく。
「うおっ!?」
「え、な、なに?」
刻んでいた最中、いきなりロキが声を上げたことにびっくりするハチマン。
ロキは「これは……フィンたちと相談すべきやな」と呟いた後、コマチと同じように羊皮紙に【ステイタス】を書き写してハチマンに手渡した。
「こんな感じなんだな」
ハチマン・ヒキガヤ
Lv.1
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
《魔法》
【】
《スキル》
【】
羊皮紙に映し出された文字を見ながら、ハチマンは感想を口にする。
「0って、どんな感じで上がるんだ?」
「そうやな~ハチマンがモンスターを倒し続けていれば自然と上がっていくやろ。生活の中でも走ったり筋肉を作ったりしても上がったりするで」
「へえ~」
「お兄ちゃん!ロキ様にお部屋もらったんだよ!お兄ちゃんと一緒の部屋!」
「そっかそっか、ありがとうなロキ」
「気にせんでええ。もう同じファミリアの仲間なんやからな」
「……おう」
「早くお部屋見に行こうー!」
「ちょ、引っ張るなって!」
コマチに引っ張られながら部屋から出ていくハチマン。
そんな二人の姿を見つつ、ロキは先程ハチマンには見せなかった方の羊皮紙を再度見つめた。
「……こりゃあ、えらい子供を勧誘してしまったなぁ」
ハチマン・ヒキガヤ
Lv.1
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
《魔法》
【悪夢】
・付与魔法(エンチャント)
・闇属性
・詠唱式【ナイトメア】
《スキル》
【闇の加護(ダークブレス)】
・闇属性に対する超高耐性
・戦闘時における力アビリティの高補正
・戦闘時における魔力アビリティの高補正
「……もしかして精霊の力でも引いとるんか?いやでもコマチは何もなかったし……あーもう、フィン、話を聞いてくれやー!!」
ハチマンの【ステイタス】を見てどう対処していいのか悩むロキは、頼れる団長の元へと走っていくのだった。
毎日朝6時で固定出来れば……!