やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。(大改訂版)   作:シェイド

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さてさて、どうやって強者願望を発現させたものか……オリキャラ使おうかなぁ。


ダンジョンと声

 ノアールの訓練にリヴェリアに勉強を教えてもらう中、ダンジョンにも潜るようになった。

 今のところ3階層までと言われている。【ステイタス】と【悪夢】があれば7階層まではいいらしいのだが、魔法に頼りきりにならないようにと魔法は禁止されている。

 そのため3階層までと言うわけだ。

 

「ゴブリンにゴボルド、ダンジョンリザード……上層でもたくさんの種類がいるんだよな」

 

 先人たちがダンジョンを攻略していく中で付けた名称。

 数多くの多種多様なモンスターがダンジョンの中では生まれるため、それらに対応していく力を身に着ける必要がある。

 練習と実践は別。俺は意識を切り替えながらモンスターたちと相対する。

 このダンジョンの構造は潜るほどにモンスターが強くなっていくようになっている。ある程度の認識として1~12階層を上層、13~23階層を中層、24~36階層を下層、37~階層が深層といったようにだ。

 【ロキ・ファミリア】の最高到達階層は38階層。【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】が三大クエスト最後の一つ、黒龍の討伐に失敗してから【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】へと都市最強は移り変わった。

 フィンたち曰く、【ロキ・ファミリア】はまだまだ過去の【ゼウス・ファミリア】や【ヘラ・ファミリア】に遠く及ばないらしい。【フレイヤ・ファミリア】の団員達とは互いにライバル視し合う関係にあるが、実力はさほど変わらないんだとか。

 それにしても……どれだけ強かったんだよ、ゼウスとヘラのファミリアって……そしてそこに親父と母さんが属していたとは……。

 

「しっ!」

 

『ギャアア!?』

 

 まあ、ファミリアの事情やら派閥争いなどは俺にはよくわからない。

 俺に出来ること、俺がやるべきことは目の前のモンスターを倒し続けるだけだ。

 ノアールとの訓練に、リヴェリアによるダンジョン講座でだいぶ楽に倒せるようになっている。この調子なら次のステイタス更新も期待できそうだ。

 

 

***

 

 

 新しい日々が始まりオラリオでの生活も慣れてきたころ。

 いつものようにノアールから課される特訓に励んでいた俺であったが、ふとこんなことを聞かれた。

 

「ところでハチマン、お前がダンジョンに潜り始めて二週間になるが……防具は付けないのか?」

 

「……あ」

 

 俺の今の恰好は動きやすい服にノアールからもらった剣、そして両親の形見である二振りの短剣のみだ。

 今では5階層まで降りているのだが、モンスターたちの動きにしっかりと対応できていたからか攻撃を一撃も受けていなかった。

 ちなみに、服に着いた血は全て返り血である。

 そのせいで防具を身に着けると言ったことを考えもしなかったな……。

 

「ヴァリスも少しは溜まった頃だろう。今日は訓練をここまでにして、防具を探してきてはどうだ?」

 

「でも師匠、俺は6万ヴァリスしか持っていません。これくらいで買えるものなんですか?」

 

 武器といい防具といい、冒険者としては必須の道具であることに違いはないが、基本的に高そうなイメージがある。

 街を歩いていてたまたま聞いてしまった話だが、とある冒険者二人組が20万の兜だの修理費が10万だのと言い合っていたのだ。6万程度で買えるような気がしない。

 

「ああ、買えるぞ」

 

 それでもノアールは買えるという。

 場所はバベル内にある【ヘファイストス・ファミリア】の一つの売り場。

 ヘファイストスブランドの武具は全て高価なものであるらしいが、ブランドに認定されていない、Lv.1の新米鍛冶師たちが作った武器や防具であれば、格安で手に入るという。

 もちろん、必ずしもいい品に出会えるわけではないらしいが。

 

「じゃあ行ってみます」

 

「おうよ、買ってきたら見せてくれよ」

 

 ノアールにそう声をかけられつつ、俺はバベルへと一人向かった。

 

 

***

 

 

「……誰だ?」

 

 俺はバベルへと通じる大通りを歩いているのだが……なんというか、視線を感じる。

 この都市に来た時もそうだ。同じ視線を感じたことがあった。

 前は人が多いから誰かが見てるんだろうとしか考えていなかったのだが……違うっぽいな。

 

「でも何か実害があるってわけじゃないし、気にしすぎもよくないな。自意識過剰な気もするし……フヒッ」

 

 生まれてこの方視線を浴び続けたという記憶がない。ちょっと勘違いしてたのかもな……やめておこう、またコマチにゴミみたいな目で見られてしまう。

 バベルに入り、【ヘファイストス・ファミリア】が店を構えているところに向かう。

 武器や防具が置かれている階を発見し、最近習っている共通語でヘファイストスと書かれた文字を発見。

 

「ここだな……」

 

 階層全体が売り場となっているのか、ショーケースの中に大量の武器や防具が置かれている。

 

「……1000万ヴァリス、660万、730万……2450万……た、高いな」

 

 今の俺の稼ぎでは到底手が届かない品々に圧倒される。

 武器や防具にも階級がある。

 第一等武装と呼ばれる最高品質のものから第二等、第三等と順に分類される。もちろん俺は等級外のものを買いに来た。

 6万で何が買えるだろうか。

 

『ねえねえ君!』

 

「…うん?」

 

 声を掛けられた気がしたので辺りを見渡したのだが、誰一人として俺を見てはいない。

 ……げ、幻聴か?

 

『もしかして僕の声聞こえてるの!?』

 

「…ど、どちら様ですかね?」

 

『すごいすごーい!』

 

 女の子っぽい声がずっと頭に響いてくる…響いてくる?

 ……もしかして。

 

「あの、すみません」

 

「お?なんだ坊主」

 

「何か声って聞こえますか?こう、女の子の声なんですけど……」

 

「はあ?何言ってやがる。何も聞こえやしないぞ?……その年で女を求めすぎてるんじゃないか?」

 

 武器や防具の会計をしてくれるであろう【ヘファイストス・ファミリア】の団員と思わしき男の人にそう尋ねるも、全く相手にされていなかった。むしろ馬鹿にされたまである。

 でもこれではっきりとした。

 この声は多分、俺にしか聞こえていない。

 それも脳内に直接……なんか不安になってきたぞ。

 

『君にだけ話しかけてるんだから他の人に聞こえるわけないよ~?』

 

「なんでだよ…そしてお前誰だよ」

 

 傍から見れば俺は一人でぶつぶつと会話している痛い奴なんだろう。【ロキ・ファミリア】の名前を傷つけたりしないだろうな……。

 とりあえずこの変な声は放置して目的を果たそう。

 しきりにねえねえと言ってくる脳内に響く声を無視し、俺は階の端っこの方へと行く。

 そこには先程の武器や防具には見劣りするのは当然と言えども、俺でも手が届くような値段で売られていた商品の数々が。

 

「このガントレットは軽くて硬いのか……9800ヴァリス。左右合わせてこの値段ってだいぶ安くないか?」

 

 Lv.1の団員が作ったと言えども鍛冶師の渾身の一作なのだ。それを手ごろな値段で買えるというのはどうだろうかと思うが、俺的にはかなりありがたい。

 名前は『崩壁のガントレット』で、製作者は……リク・シュトラウスというらしい。

 何故崩壁なのかはよく分からないが、もしかしたらこのガントレットで壁を殴ったら崩れるとかそういう感じだろうか。いや、さすがに安直すぎるだろ。

 

『おおー、なかなかいい防具を見つけたね!』

 

「だろ?」

 

『うわー、ドヤ顔してるやこの目の腐った男の子……』

 

 脳に聞こえてくる声にすら貶されてしまったが、この声主からしてもいい商品なら買いだろう。良く自分でもわかっていないのだが、この声は信用していいと心のどこかで感じているんだと思う。

 まだまだヴァリスはあるので他にも見ていくが、あまり良いと思うものがなかった。

 

『腐り目君』

 

「そう呼んじゃうの?」

 

『リク・シュトラウスの作品で探してみたら?作り手が同じならガントレットと同じくらい良いものが見つかるんじゃない?』

 

「…なるほどな」

 

 しれっと呼び方に関しては無視されたが、確かに言う通りだろう。良いと思ったこのガントレットを作った製作者を辿れば確かにいいものが見つかりそうだ。

 所持金的には大丈夫な筈。欲しいのは心臓を守る胸当てと足に取り付けるグリーブ……首を守る防具とかないだろうか。

 しばらく色々と手に取ってみていくと、リク・シュトラウス作の胸当てを発見した。値段は2万ヴァリス。よし、買おう。

 残念ながら首と足につける防具はなかったが、有意義な買い物になったと思う。

 先程小馬鹿にしてきた店員に防具二つを2万9800ヴァリス支払って購入。早速装備してみる。

 

『わぁ、さっきより冒険者って感じがするね!!』

 

「……ところどころ毒混ぜてくるのやめてね?」

 

 ……本当に、この声何なんだろうな。

 

 

***

 

 

「あら、この剣が光ってるなんて……また誰かに話しかけているのかしら?」

 

 【ヘファイストス・ファミリア】の主神であるヘファイストスは、自身の執務室に飾っている一振りの剣を見つめながらそう呟く。

 

「それにしても……長いわね。いつもなら一分しないうちに光らなくなるのに……まさか!?」

 

 ある考えに至ったヘファイストスは急いで店の表に出る。

 店番をしていた団員に、どこからか声が聞こえると言ってきた人間がいないかを尋ねたところ、本当にいたらしい。

 特徴は目の腐った少年で、あのリクの防具を買っていったというではないか。

 

「ふふっ、そう。二つもいいことがあるなんて……今度その少年が来たら少しお話してみるかしら」

 

 ヘファイストスはまだ見ぬ少年の姿を想像しながら、次の来店を待ち望むのであった。

 




文章構成がへたくそなのはいつものことですね。
もっとこう、うまく分けれるようになりたいです。
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