やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。(大改訂版)   作:シェイド

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うん、無理やり感は改訂前より上がってるよね。


スキルと……

「……もう昼か」

 

 ベットで泣き続け、もっと強くなりたいと思い続けた次の日。

 起きた時には太陽が空高くに存在し、部屋にコマチはいなかった。

 

「……ロキに顔見せに行くか」

 

 ダンジョンに行きたい。何もできない自分を脱却するために。

 ステイタス更新をしてもらいたい。

 ロキの部屋に向かうと、ロキは待ち構えていたかのように部屋に入れてくれた。

 

「ハチマン、何があったかは聞かん。けどな、コマチを蔑ろにしたらあかん」

 

「!」

 

「昨日、コマチがウチに泣きついてきた。お兄ちゃんが相手してくれんとな。……ハチマンがオラリオに来た理由はコマチのためやなかったんか?そこだけは忘れたらあかん」

 

 一度の見たことのない真面目なロキの言葉に、俺は息を詰まらせた。

 ……ジルだって妹第一で考えていて、それで死んだ。

 だからこそ、俺は妹を大事にしないといけない。感情的になりすぎていた昨日とは違って、今日は泣きはらした分だいぶ落ち着いた。

 ……ロキっていい神だなぁ。

 

「ま、ウチとしては幼女の身体をたっぷりと堪能できたから満足やけどな!」

 

「……台無しだっての」

 

 なんだ、いつものロキじゃねえか。感動した数秒前の俺に謝れ。

 

「とりあえずステイタス更新するやろ?」

 

「おう」

 

 今日は【ロキ・ファミリア】の遠征帰還日である。

 俺たちLv.1のお留守番も今日まで、明日からはまたノアールとリヴェリアとの訓練と勉強だ。

 ……コマチと話したらすぐにダンジョンに行かないと。

 

「今回はベットに腰かけるだけでええで」

 

 そう言われるので、色んなものがごったがえしになっているベッドの端に座り、服を脱ぐ。

 ロキが血によってステイタスを更新する。

 

「これは……!」

 

 ロキが驚いた声を上げているが、そんなことよりも早くして欲しい。

 コマチと話さないといけないし、ダンジョンにも早く行かないければ。

 

「ロキ、ステイタス更新は終わったか?」

 

「……終わったで」

 

「ありがとな、結果は帰ってから見るから」

 

「は?ちょ、ハチ……」

 

 ロキの呼び止める声を無視し、コマチのところへと走る。

 コマチは食堂で食事を作る手伝いをしているところだった。

 

「コマチ」

 

「あ、お兄ちゃん…」

 

「その、なんだ、昨日悪かった」

 

「ふんっ、コマチはお兄ちゃんなんて嫌いだから!」

 

「そ、そんな……」

 

 コマチに嫌われたら…俺はどう生きていけばいいんだ…?

 

「そ、そこまで落ち込まれるとコマチ的にポイント高いけど、許さないから!」

 

「ど、どうしたら許してくれるか?」

 

「……次の完全休息日にコマチと街中デートすること!それで許したげる」

 

「分かった!全部俺が奢るから!」

 

「あったりまえじゃん!」

 

 ふと周りを見ると、他の団員たちが和やかな目で見つめてきていた。それに気付いた俺は、腰に手を当ててドヤ顔しているコマチをみつつ、恥ずかしい気持ちになったのだった。

 

 

***

 

 

「ダンジョンを舐めていたんだろうな……」

 

 3階層を歩きながらそう思う。

 俺の力でモンスターを倒せていたわけではなかったのに、自分が強いと錯覚していた。

 全部ノアールに教えられて、身体に動き方を叩きこまれた。

 全部リヴェリアに教えられて、頭に知識を詰め込まれた。

 俺がなにかをしたわけじゃない。ただ確立された方法を出来るようになった、覚えただけ。

 俺の力じゃない。

 

「くそっ、今更気づいたって遅いんだよ……」

 

 ジルと二人で無理をする必要はなかった。

 俺が持っていたヴァリスを合わせれば6階層で引き返せてた。思い出しさえすれば、帰還できた。

 他の冒険者の死ぬところを見ることにならなかったし……ジルを失わずに済んだ。

 

「くそ、くそ、くそ、くそがっ!!」

 

 弱い自分が嫌になる。

 せめて、もっと強くなって、俺は……

 

「らああああ!!」

 

 

***

 

 

「うーん、こんなスキル見たことないし発現例もない……レアスキルやろなぁ」

 

 ロキは自室で一つの羊皮紙を見つめながら呟く。

 それは先程ステイタスを更新したハチマンのものだ。

 

「明らかに伸びが異常になっとる……はぁ、またフィンに相談せんとな……」

 

ハチマン・ヒキガヤ

Lv.1

 力:H101→H142

耐久:I36→I43

器用:I94→H115

敏捷:H106→H138

魔力:I50→I99

《魔法》

【悪夢】

・付与魔法(エンチャント)

・闇属性

・詠唱式【ナイトメア】

 

《スキル》

【闇の加護(ダークブレス)】

・闇属性に対する超高補正

・戦闘時における力アビリティの高補正

・戦闘時における魔力アビリティの高補正

 

【強者願望(シュタルクノゥト)】

・早熟する

・思いが続く限り効果持続

・思いの丈により効果上昇

 

「早熟するスキル……ハチマンはそこまで強くなりたいと願っとる……昨日何があったんやろなぁ」

 

 

***

 

 

「……今日は21000ヴァリスか」

 

 ギルドで換金を行った俺はホームに戻ってきていた。

 遠征に出かけていた【ロキ・ファミリア】の先輩方を出迎えるためである。

 食事はロキがいきつけの店があるためそこに行くと決まっており、そのため暇つぶしに手持ちの金を確認していた。

 今日稼いだのが21000ヴァリス。手持ちと合わせておよそ5万ヴァリスある。

 ……いつか、ジルの墓を作ってやる…いや、花を手向けるためにも孤児院に改めて謝罪しに行くためにも、まだまだ稼がないと……

 

「開門!」

 

 下を向いていて気づかなかったが、どうやら帰ってきたらしい。

 コマチが一目散にとててててー!と走り出している。

 

「皆さんお帰りなさい!」

 

「ああ、コマチ。ただいま」

 

「バーラさん!!」

 

 コマチは一番懐いているバーラさんの胸に飛び込んだ。

 

「……おかえりなさい」

 

 俺も出迎える……え?

 

「よ、よう」

 

「……は?」

 

「ハチマン、彼と一緒に7階層まで潜ったらしいな?」

 

「いや、あの、それは……つか、え?なんで、お前……死んだって」

 

 

 帰ってきた【ロキ・ファミリア】の面々の中に、死んだと言われていたジルの姿があった。

 ……え?

 

 

***

 

 

「僕が解毒剤を買いに行くために先行して上層に向かっていた時に、彼がオークに襲われていてね。まさかハチマンと別れてからずっと逃げていたとは驚かされたよ……」

 

「がっはっは、若いもんは当然のように無茶をしおる。ジルも中々だが……」

 

「ハチマン!お前はいいつけを何故守らなかった!」

 

「ぐああ!?」

 

 俺は執務室でフィン、ガレス、リヴェリア、ロキ、ジルと共にいた。

 ……俺だけ正座をしていて、今さっきリヴェリアの拳骨を食らったところである。

 

「死ぬ気だったのか!?なぜ危険なことをしようとした!」

 

「まあまあリヴェリア、ジルの置かれていた状況とハチマンのまだまだ足りていない部分を考えると仕方ないことだと思うよ。もちろん、今後このようなことはやめて欲しいけどね」

 

「なるほどなぁ、ハチマンが昨日泣いていた理由はそれやったか」

 

「ハチマン泣いてたのか?マジか、僕のことそんなにも……」

 

「いや、泣いてない泣いてない。お前のことなんてこれっぽっちも気にしてない」

 

「平気な顔で嘘をつくな。それくらい分かるわい」

 

「あだっ」

 

 今度はガレスにチョップされて涙目になる。

 痛い、Lv.4強すぎだろ……。

 

「とにかくにも僕は生きてる。ハチマンが借金を返してくれた上にアイツらを追い払ってくれたなら、僕たちもまた安心して生活できるよ」

 

「……そうか」

 

「うん。【ロキ・ファミリア】の皆さん、本当にありがとうございました」

 

 そう言って、ジルは念のためとしてノアールとダインさんに送られる形で孤児院に帰っていった。

 ……今度何か持って行ってやるかな。金なくて満足に飯食えないらしいし。

 俺も執務室から出て、コマチの元に向かった。

 ……なんかロキが三人に話があるらしいが……。

 

 

***

 

 

「……さてと、や。三人に来てもらったのは他でもない。ハチマンのステイタスについてや」

 

「……また何か変化が?」

 

 団長であるフィンに、一番の付き合いになるガレスとリヴェリア。

 【ロキ・ファミリア】の中枢である三人とロキで多くのことを話し合うが、ハチマンには毎回驚かされてきた。

 精霊との繋がりもそうだが、並々ならぬ吸収力とその努力する姿勢は、ハチマンは知らないことだがファミリア全体にいい影響を与えていた。

 そんなハチマンがジルとの一件で何かしら……あり得ない話じゃない。

 

「これや」

 

「どれ…っ!?」

 

「なんじゃこのスキルは……」

 

「……凄まじいね」

 

 早熟するスキル。

 それはこれまでにあり得なかったスキルであり、凄まじい効力を発揮していた。

 現にステイタスの伸びが尋常じゃないのだ。

 

「彼はどこか、他の人とは違うんだろうね」

 

「違う、か」

 

「ああ、僕の勘だ」

 

 フィンの勘はよく当たるからな、と笑い合っていた四人であったが……さすがに誰も分からないかったのだ。

 ……彼が()()()()だと言うことには。

 




当初の設定を少しずつ出していく今回のお話でした。
ジルに関してはこれ以降ほぼ出てこないです。リクの方が主体ですし、やっぱダンまちのキャラと絡ませたいので。
話の流れとやらなきゃならないことは決まってるんですが……如何せんこの作品は文の面白さと作りのレベルの低さが露呈してるからなぁ……まあ更新していくんですけどね。
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