やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。(大改訂版) 作:シェイド
やっぱね、そろそろ接触させないと、ね?
「お兄ちゃん早く行くよ!」
「そんな急がなくてもいいだろ……」
「何言ってんのさ!この馬鹿、ボケナス、ハチマン!」
「ハチマンは悪口じゃねえだろ……」
俺とコマチは朝食を食べた後、私服で黄昏の館を出た。
コマチの機嫌直しのためのデートである。
……ま、周囲の人たちからは仲良し兄妹としか見られないだろうが。いや待て、俺の目を考えると俺がコマチを誘拐しているように見られるのか…?
「ほら、行くよ!ヴァリスは持ってきた!?」
「あるから、ちゃんと持ってきてあるから」
「ならよし!」
財布として見られている気がしないでもないが、コマチが可愛いので許せる。
妹が喜んでくれるのなら兄としてこれ以上の幸せはないのだ。
***
今日はお出かけ(デート)ということで最初にやってきたのは服屋である。
コマチコーディネートによって俺の服を見繕うらしい。
確かにコマチは何故か9歳にしてそういった服のセンスが良く、前にバーラさんが着ていた私服はコマチが進めたものらしいが、ファミリア内で一時噂になったほど。
それもあってファミリア内の美少女美女から引っ張りだこのコマチだが、今日は俺の服らしい。
まぁ、俺は最初に来ていた服と戦闘用に汚れてもいい黒のシャツばかり着ているからお洒落とは言い難い。
「だからコマチが選んだげるってわけ!」
「……で、俺はどれを着ればいいんだ?」
「うーん、コマチ的にお兄ちゃんの目をカバーできるレベルの服装は……ないけど、普段着としてお勧めはこれだね」
「最初のくだりいならないよね?コマチちゃんをそんな悪い子に育てた覚えはないんだけど?」
「いいから試着試着!」
「へいへい……」
しばらくの間コマチの着せ替え人形にされるのであった。
***
服を買った後はオラリオならではといえる、他の種族の服装なんかも覗いてみた。
……9歳の少女のアマゾネス衣装は確実に通報ものだと思いました。
個人的にはエルフの服装の控え目なものがいいと思ったが、持っていても着る機会がまずないので覗くだけで済ませた。
昼食は少しお高めの食事処で取り、コマチの好きなものを優先した。
午後はまだ行ったことのない地区を散策しに行ったり、ダイダロス通りを少しだけ見て回ったりした。
……確実に迷ってリヴェリアに怒られるのは確実だろうとのことで、深入りはしなかった。
ついでにジルの孤児院により、少し話をしたりもした。
コマチはコマチでジルの妹と仲良くなっていて、楽しそうに笑っていたのでよかったと思う。
ジルが「コマチちゃん可愛いな」とか言い出しやがったので、手を出したら殺すと釘は刺しておいたのだが。
「さてお兄ちゃん、ここで言わなければならないことがあります!」
「なんだ?」
ジルたちの孤児院を離れて大通りへと戻ってきた俺たちだが、コマチが急に敬礼ポーズを取り始めた。
「今からファミリアの子たちと買い物だから、ここでデートは終わりね?」
「……お、おう」
「それからそれから……コマチ、お小遣いが欲しいなぁって」
「5000ヴァリスでいいか?」
「うんうん!さっすがお兄ちゃん!」
5000ヴァリスを受け取ったコマチは「じゃあねー!」と街の喧騒の中に消えていった。
最近何かと治安が悪いオラリオで、コマチを一人にするのはどうかとも思ったのだが、ファミリアの女性団員に囲まれているコマチの姿が視界に入ってきたため一先ず安心する。
さて、どこへ行こうか――――――
「―――――ちょっといいかしら?」
「……はい?」
いきなりフードを被った人に手を取られ、人気のない路地裏に連れ込まれる。
声音からして女性だと思うが、俺にはそんな知り合いはいない。
「ごめんなさいね、突然こんなことをしてしまって」
「え、えーっと……貴女は?」
「私は神フレイヤ。ふふっ、貴方に会いたかった」
そうしてフードを取った女性は。
銀髪の長髪に、見たこともない美しい相貌。
【ロキ・ファミリア】は主神のロキが自身の趣味もあり、可愛い子ばかり勧誘するおかげで女性陣のレベルが異様に高い。どれくらい高いって、既に将来美人になるであろうコマチが目立たないレベルだ。
中でもエルフの王族であるハイエルフのリヴェリアの美しさは群を抜いている。生まれてから一番だと言えるものだったが、目の前の女性……女神はそれよりも上だった。
「あ、会いたかったってにゃんでですか?」
……緊張のあまり噛んでしまった。
いや、でも仕方なくない?こんな可愛い人初めて見たんだよ?美人すぎる、ずっと見てられる……この人のファミリアの人達が幸せそうである。
目の前の女神は何故か愕然とした表情を浮かべているが、そんなに俺が噛んだの衝撃的だったわけ?酷くない?用があったのそっちなんですよね?
「ど、どうして……」
「?」
「私の『魅了』が効かないなんて……そんなことっ」
何やら俺に催眠系の魔法でも使っていたらしい。
あれ?神ってただの一般人と同じだってロキは言ってたが……まぁ、例外もあるのだろうか。
……っていうか、
「これ以上どう魅了するって言うんですか?この世で一番美しいのにわざわざそんなことする必要ないんじゃないんですかね?」
正直、内心は今でもドキドキしてるんだから早く話を終えたい。
女神フレイヤ?はしばらく俯いてブツブツと何かを言っていたが、突然パッ!と顔を上げると、
「また会いましょう」
「は、はぁ」
一目散に路地裏の奥の方へ走り去っていった。
……え?何?俺催眠されそうになっただけってことか?
***
「ふふ、ふふふ、ふふふふふ……まさか私の『魅了』が効かない人間がいるなんてね。なおさら欲しくなったわ」
フレイヤは自室に駆け込んだ後、大通りを歩くハチマンを見つめながら顔に手を添える。
「世界で一番美しい……当然のことよ、私は美の女神なのだから」
だが、あんなことを面と向かって言われたのは初めてであった。
魅了が効かず、されど美しいと言ってくる少年。
「次はどうやって会ってみようかしら?」
***
「なんやて!?」
黄昏の館に着いた後、神フレイヤのことをロキに報告すると物凄く驚かれた挙句、改めて派閥間の争いについて説明を受けた。
【フレイヤ・ファミリア】は【ロキ・ファミリア】と並ぶ現都市最大派閥。そしてその主神である女神フレイヤに目をつけられた者は、どんな者であろうと『魅了』には敵わず、神でさえも骨抜きにされてしまうのだとか。
前にリヴェリアに少し言われていたが……完全に忘れてたわ。
「まさかあのアホがハチマンに目をつけるとは……結果的には何もなしで良かったけど、今度からは即逃げることや!」
「了解」
今度からは気を付けるとのことでその話は終わった。
しかし、俺はこの時知らなかった。
今回の一件で俺にとあるスキルが発動したことを。そして神フレイヤとは長い付き合いになるということを。
相変わらず文章へたくそかっての……。
ヒロイン難しいよなぁ……やっぱダンまちに関してはハーレムがいいんだろうけど…。