ネクロフィリアの未熟児   作:紅絹の木

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【6】(番外編)バケモノなモモンガ×人間味マシマシなゴーナイト

 

 

 

 さて、ガゼフたちである。

 シモベたちが俺の方針を守ったのか、アルベドが気を利かせてくれたのか、ガゼフ部隊は死んでいなかった。

 まあ、両手足が折れていたり、縄で巻かれて地面に転がされていたりする。命があるだけマシだよね?

 

 馬たちは、地面に転がっていた。

 俺は思わず声に出してしまった。

 

「え、馬たちって死んでいるの?」

 

 その問いにアルベドが答えてくれる。

 

「いえ、暴れたので魔法で寝かせております」

「そっか!ありがとう!」

 

 良かった〜!死んでたらショック受けていたよ。

 前世の影響か、動物が無闇に死んじゃう事に、抵抗があるんだよな。

 

 俺は機嫌良く頷き、アインズさんに向き直る。

 

「あれらから、情報を得ても?」

「どうぞ」

「ありがとうございます」

 

 俺は戦士たちに近づいた。後ろにはエードラムが付き従う。まあ、いいか。困らないし。

 側に寄ると、戦士たちからすっごい睨まれた。

 やばい、すごい怒られてる。まずは謝ろうか。

 

「あー……手荒な真似をしてすまない。この中で一番偉い者は?リーダーは誰だ?少し話がしたい」

「――私だ」

 

 アニメで聞いた事がある。ガゼフだ。

 戦士長殿は俺から左奥にいた。エードラムに指示を出す。

 

「彼だけ治してやれ」

「はっ」

 

 エードラムは〈飛行〉を唱えて、ガゼフの真上に行き、低級の回復呪文を唱えた!

 ガゼフの傷はふさがった!

 

「拘束をといてやれ」

「はい」

 

 続いて拘束もとく。

 ガゼフは立ち上がり、俺を睨みつけた。すっげー警戒されている。まあ、魔物の親玉だものね。人間からすれば怖いか……。

 

「何の真似だ?」

「今から話すのに、ケガを負わせたままってのは、良くないでしょ?」

「……」

「こっちにどうぞ。少しお喋りしましょ」

 

 ガゼフは静かに、俺の前までやってきた。

 背筋を伸ばし、まっすぐ俺を睨みつける。

 全然怖くない。

 

 うん、素直だね。まあ、部下の命がかかっているとか、思われているのかも。

 俺は取る気ないけれど、アインズさんたちが欲しがったら止められる気ないや……許せ。

 

「さて、お名前は?俺はゴーナイトだよ」

「……ガゼフ・ストロノーフだ」

「ガゼフさんって呼んでも?」

「構わない」

「ありがとう。ガゼフさんは、この村を助けに来たの?」

「そうだ。お前たち魔物から、村を救いに来た」

「俺たちは村を襲っていないよ?襲ったのは、あなた方と同じ人間、武装が統一されたどっかの戦士たち。証拠もある……出そうか?」

 

 その言葉にガゼフは詰まる。

 そして信じられないように、言葉を紡ぐ。

 

「村を襲った連中を、お前たちが倒したのか?つまり……結果的に、この村を助けた?」

「いや助けるのが目的で来たんだ。襲われている事を知って、すぐに動いた」

「……」

「他に聞きたい事は?」

「なぜ、助けた?」

「?……困ってたから」

 

 ガゼフはポカンと口を開けた。

 

「それだけ……か?」

「ああ、そうだよ」

 

 俺たちの間を、風が流れていく。

 あまりにもガゼフが何も言わないので、俺は首を傾げた。

 声をかけようとして、それよりもガゼフが早かった。

 頭を下げられたのだ。

 

「――ありがとう!」

 

 ガゼフの後ろで、彼の部下たちが騒めく。ざわざわと「戦士長!?」「どうして?!」と口々に言った。

 ガゼフは頭を下げたまま、言った。

 

「あなた方のおかげで、無辜の民の多くが助けられた!彼らを守るはずだった者として、心から感謝を!ありがとう!ありがとう!」

「信じるの?」

「ああ。嘘をついている様子はない。そしてこちらの様子を窺う村人たちにも、おかしな様子は見受けられない。他の者たちはどうかわからんが、あなたは……ゴーナイト殿は信じよう」

「……ガゼフさんって人が良過ぎるって言われるでしょ?」

「フッ……時々な」

 

 俺は思わず吹き出した。

 ガゼフも笑みを見せる。

 この場だけは、和やかだった。

 

 と、そんな時間も束の間。

 俺の敵感知に引っかかったヤツがいる。

 

「ガゼフさん、敵だ」

「――何だと?」

「俺たちが対処します。いいですよね?だって、あなた方はこの村を守れなかった。それに、俺たちに捕まっている。“この国の問題だから……”なんて言葉は、通じない」

 

 ガゼフは何か言いかけて、俺は背を向けた。

 

「エードラム、彼らを守ってやれ。この場から動かすな。必要な物があれば、みんなから借りなさい」

「はっ!かしこまりました」

「待ってくれ!ゴーナイト殿!」

「……それから、多少の無礼は許すように」

「――はっ」

 

 俺は戦士たちから離れて、アインズさんに近寄る。

 そして隣に立った。

 

「お待たせしました。じゃあ、パーティ会場へ行きましょうか?」

「それは……どんな催し物があるのかな?」

「ナザリックへの、お土産を持って帰れますよ」

 

 

 

 

 場所は変わって草原。準備を整えて挑む。

 ニグンたちと相対するのは、俺、アインズさん、そして護衛のアルベドだ。

 ニグンたちは、アインズさんを見て酷く驚いた。

 何度も「スルシャーナ様!お戻りください!」と叫んでいた。

 アインズさんは呆れたように言った。

 

「私こそ、アインズ・ウール・ゴウン。この世を支配する者だ」

 

 え?

 いつから支配者になったの??

 こういう時、顔が無くて良かったと思う。

 部下たちの前で、情けない表情を見せなくてすむから。

 

 ニグンたちの表情は絶望に染まる。

 顔色は悪く、表情が無くなり、へたりと座っていた。

 

「そこに横たわれ。苦なく殺してやろう」

「――総員、天使を召喚せよ!スルシャーナ様を弱らせて、正気に戻す!立て!!!」

 

 天使たちが次々に召喚される。

 

「目標!あの男戦士だ!殺せ!」

「え、俺?俺が首魁なの?」

「そうみたいだな」

「的外れもいいところだよ……」

 

 そうこうしていると、ニグンは、懐から手の平に余るぐらいの大きな水晶を出した。

 それを使い、大きな天使を召喚する。ニグンの部下たちが召喚した天使たちとは大きさも、清浄さも段違いだ。

 でもそいつ、俺たちからすれば、弱いんだよねー!

 

 その時、空が割れた。

 ああ……法国の皆さんが覗いたか。今回は、アインズさんが原作よりも凶悪な魔法をかけたから、法国がめちゃくちゃになっても不思議じゃないぞ。

 やっべ。チャイナおばーちゃんの相手どうしよう!考えてなかった。

 

 天使たちが迫る。

 剣を抜こうとして、アインズさんに止められた。

 どうしたの?

 

「ゴーナイト、アルベド。下がれ」

「かしこまりました」

「わかりました」

 

 俺たちは十メートルほど離れる。

 そして、アインズさんは辺りに“死”を撒き散らす。

 

「おお、死のオーラだ」

 

 相手に即死の効果をもたらすんだよね。

 オーラをまとったアインズさんは歩んで進み、ニグンたちも天使たちも飲み込んで、永遠に眠らせた。

 

 戦いは終わる。

 

 オーラが消えたところで、俺たちはアインズさんに近寄った。

 

「さすがアインズさん!お見事です!」

「ああ……」

「あれ、元気ないですか?どうしました?」

「――あなたを悪く言われて、気分が良いわけがない」

「あ〜……えへへ。ありがとうございます」

「何がだ?」

「大切にしてくれて。嬉しいから、ありがとうございます」

「そうか」

 

 もうすぐ夜だ。

 俺はアインズさんの隣に立った。

 

「後片付けしたら、帰りましょう」

「面倒だな」

「俺がやっておきましょうか?」

「いや、最後まで一緒だ」

「――はい!」

 

 ニグンたちを回収、ガゼフたちは傷を治して、縄を解いてやった。

 馬たちは朝に目覚めるだろう。

 俺はガゼフに言った。

 

「王国がイヤになったら、部下たちと一緒に、俺たちの所へおいでよ。コキュートスの部下にしてあげる。いい奴なんだ」

「……お気遣い感謝する。だが、この剣は我が王に捧げている。だから、あなた方に仕える事はできない」

「そっか……それもいいな。じゃ、戦場で会わない事を祈るよ」

「ああ、世話になった。また、いつか」

「そのうちね」

 

 俺たちはナザリックに引き上げる。

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

 

 戦後処理して褒賞あげて、報告書読んで指示飛ばせば、俺たちの仕事は終わりかな??

 多分。

 だって、俺、今アインズさんと二人っきりだし。

 

 ――なんなら俺の部屋の寝室で、ベッドに押し倒されてる。

 俺が、アインズさんに!

 どうしてこうなった!?

 

 俺は弱々しく言った。

 

「こ、こういうのは、半年経ってからでは……??」

「思ったんだが」

「はい……」

「いい大人が、ノロノロとステップを踏む理由が、あるのか?」

「ない……です」

 

 あー!!!腹をくくる時ですかね!??

 俺は怖くて、恥ずかしくて、照れてしまって、顔を背けた。

 アインズさんは動揺する。

 

「俺が怖いんですか?」

「いえ、いや……ちょっとだけ。でも、それ以上に恥ずかしくて……!」

 

 いやいやと首をふると、アインズさんの顔が迫って。

 こつん。

 頬にキスされた!

 

「ほわ!」

「キス一つで騒がないでくれ。可愛いな」

「可愛い!?ありがとうございます!あの、その、アインズさんはかっこよくてえ……今日も素敵でえ……」

 

 あうあうと、息も絶え絶えにそう言った。

 息なんてしていないが、もう、ないはずの胸が苦しいよう!

 上から長いため息が聞こえてきた。

 

「はあー……先に進めようかと思ったが、延期するか……」

「へ?」

「無理に進めて、トラウマになってもダメだからな。もういい、ノロノロでも何でも、あなたと進めるなら、それが一番速い」

 

 アインズさんは俺の上から退いて、隣に寝転がった。

 俺は解放された。

 ちょっと考える。

 そして、アインズさんの方に寄って、ピッタリと彼の手にくっつく。

 

「何をしている?」

「アインズさんの邪魔にならないように、くっついてます」

「もっと近寄れば良いだろう?」

「ローブ姿と鎧姿じゃ、近寄ると、互いに動きにくくなりますよ」

「脱ごう」

「……脱いだ俺に我慢できますー?」

 

 ふざけて言った。

 アインズさんは黙った。

 俺は察した。

 

「あ、ごめんなさい」

「ふざけてもいいが、抱かれると思ってくれ」

「はい」

 

 それからはしばしの沈黙。

 俺は今日の事を振り返っていて、わがままばっかり言っちゃったかなあ、と思った。

 だから――。

 

「ねえ、アインズさん」

「なんだ?」

「プレゼント交換の話ですけど」

「ああ」

「何が欲しいですか?その、体はまだあげられないけれど、できる事なら、何でも……」

「……では、あなたの秘密を」

「――は?」

 

 俺は頭を上げて、アインズさんを見た。

 アインズさんも頭を上げて、俺を見ていた。

 

「転移直後から、あなたは普通過ぎた。転移前と何も変わらない。優しく、穏やかで、争いを好まず、助けられるものは助ける。あなたのままだ、ゴーナイトさん」

 

 アインズさんは起き上がり、ベッドの上で胡座をかいた。

 俺も起き上がる。ちなみに正座だ。

 

「私は違う。鈴木悟の残滓が極めてない。だから、人間共に優しくしようなんて思わない」

「あ……アインズさん……」

「どうしてこうも違う?なぜ?私たちに何があった?」

 

 ――俺の考えでは。

 おそらく俺も、アインズさんと同じ人間の頃の残滓は、消えているだと思う。

 でも、俺にはもう一つ、人間の頃の残滓があった。

 それは前世の記憶。それは消えてない。だから、人間の頃の感覚が、今になっても残っているんだ。

 

 答えなくちゃ。ちゃんと、好きな人に、嘘をつかず。

 ――例え、嫌われても。

 俺は立ち上がり、言った。

 

「お持ちします」

 

 俺は寝室の本棚を動かし、隠し扉を開けた。

 隠し扉の中には、小さな部屋がある。

 まるで隠れ家だ。書斎と言える。

 その部屋には、机とイスのセット、本棚がある。

 本棚から十冊のファイルを持って、アインズさんの前に出した。

 

「これは?」

「俺たちの差の答えです。俺ね、前世の記憶があるんですよ」

「――は?」

「そのせいか、未来を見たんです。これは見えた未来を、書き留めた物です」

 

 アインズさんはポカンと、俺を見る。

 俺は第一巻と書かれたファイルをすすめた。

 アインズさんはそれを受け取り、読み始めた。

 

 一時間後。

 

 アインズさんはパタンとファイルを閉じて、ガパリと口を開いた。

 

「素晴らしい」

「へ?そうですか?」

「ええ、世界征服が早まる」

「……するんですか?世界征服」

「しますよ。あなたの安全の為に」

 

 なくなった胸がギューン!と、音を立てた!

 俺の為にするとか!トキメキが止まらないよう!

 

 アインズさんが俺を見つめた。

 俺も視線を交わす。

 

「一緒に頑張ろう」

「はい」

 

 せめて、良い国作りをしよう。

 俺は、受け入れられた安堵から、アインズさんとハグした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《番外編・おしまい》

 

 バケモノなモモンガさん!

 

 容赦ない姿が好き!

 身内に甘い、優しい攻めはもっと好き!

 

 この後、しばしイチャイチャを楽しむ。

 内外共に、ゴーナイトとの関係を周知させたい。

 そして世界征服へ動き出す。

 

 ゴーナイトさんと、ナザリックの皆と、末永く幸せに暮らした。

 

 

 

 ――――――

 

 

 人間味マシマシなゴーナイトさん!

 

 に普通な中身が好き!

 ちょいちょい人間っぽくないところが、イイ味だしてる!

 

 アインズさんと、もっとイチャイチャしたくなった。

 でも、深読みしたデミウルゴスとアルベドから、「おめでとうございます!」とか言われて、恥ずかしくて部屋にこもる。

 頑張って世界征服をしていく。

 

 アインズさんと、ナザリックの皆と、末永く幸せに暮らした。

 

 

 

 

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