【完結】ハリー・ポッターとワシ使いの傭兵   作:丹寺 錯視屋

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2人目の犠牲者

 ハリーは悲しそうな、それでいて怒ったような顔をして図書室の出口まで歩く。司書のピンスが睨んできたが、構うものか。ハリーはがむしゃらに歩く。自分がホグワーツのどこにいるかもわからないくらい、歩き続ける。ついに開けた場所にたどり着く。遠目に大きな人影と完全武装の人影が見えた。ハリーは思わず駆け寄った。

 

「ハグリッド! カサンドラ!」

「おお、ハリー。授業はどうしたんだ?」

「ハグリッド、授業は休講になったんだ」

「休講か。……まあいい」

 

 カサンドラは全てを知っている。サボりたくなる気持ちもわかる。彼女は何も言う気はなかった。日に日にハリーが継承者だと信じる者が増えていく。カサンドラに『依頼』が持ちかけられることも増えてきた。さすがに殺してくれまではいかないが、警備員ならハリーをしっかり監視してくれと、そう言われることも増えた。正直、手のひらを返したようなホグワーツ生に思うところがないわけではない。だが、代わりに真の継承者を提示しろと言われてもできないのもまた事実なのだ。カサンドラは歯がゆい日々を送っていた。

 

「そ、それで二人は何をしてるの?」

「鶏がな、今朝――」

「――飯にするところだったんだ」

 

 カサンドラがハグリッドの言葉をさえぎって言った。

 

「そ、そうなの?」

「ああ。おそらく夕食には出るはずだ。楽しみにしておけ」

「……うん」

 

 うなだれるハリーを横目に、カサンドラはハグリッドを睨む。鶏は絞めたのではく、今朝見てみると殺されていたのだ。悪意ある誰かが鶏を殺害した。それも、猫の石化事件があった日の朝もそうだったらしい。――だがそれを生徒に伝える必要がどこにあるのか。ハグリッドの口の軽さは、去年から全く変わっていなかった。

 

「なあハリー、お前さんなんかあったんか?」

「……ううん、なんにもない」

 

 ハリーはカサンドラにも、ハグリッドにもさっきあった事を言う気はなかった。理解されないと思っているわけではない、説明するのも、嫌だったのだ。とっとと記憶の奥底に埋没させたい、そんなやり取りだったのだ。まるで、ヴォルデモートを前にしたかのような怯えた顔。悪に立ち向かうかのような決意に満ちた表情。何もかもが最悪だった。

 

「ハリー、今日一日休講なのか?」

 

 カサンドラが優しい声色で聞く。きっとここで頷いても、カサンドラは何も言わないし、誰かに報告するということもないだろう。今はその優しさが何よりも、ハリーの心に沁みた。

 

「ううん。次の変身術はあるよ。僕、もう行くね」

「そうなのか? 私は時間割なんて少しも知らないからな。どの授業が休講で、そうじゃないかも知らない」

 

 ハリーはほほ笑んだ。本当に、カサンドラはフラットだ。間違っていたら怒るし、そうじゃないなら味方になってくれる。真実を確認するまで思い込みで行動したりしない。きっと大人ってこういうことなんだろうな、とハリーは思う。

 

「うん。次の僕の授業は変身術なんだ。マクゴナガル先生が担当なんだ」

「……そうか。頑張れよ。マクゴナガルは厳しいが、生徒を愛してる」

「うん、わかってる」

 

 ハリーは頷くと、踵を返してホグワーツの校舎に戻った。そう、マクゴナガル先生だってそうだ。ハリーを一度だって継承者だって疑ったことはない。

 ――次の授業まで結構時間がある。それまで適当にぶらぶらしていよう。遅刻しないように、変身術の教室の前くらいで。ハリーは廊下を歩き、階段をいくつも登る。グリフィンドールの談話室に続く廊下を曲がったところで、半透明のゴースト、ほとんど首無しニックが浮いているのが見えた。

 

「ニック、こんにちは」

 

 返事がない。

 

「……ニック?」

 

 嫌な予感がする。床を見る。お願い、違うと言って。

 

「……そんな」

 

 ハリーは呆然と呟いた。

 

 ほとんど首無しニックのそばには、石となったジャスティンが横たわっていた。二人の顔は恐怖の表情で固まっており、微動だにしない。

 

 

 ――状況は絶望的だった。

 

――1992年12月 ホグワーツ グリフィンドール寮前

 

 ハリーは動かない二人を見て、平静を一気に失った。どく、どくと心臓が早鐘を打つ。恐怖、困惑。ぼんやりと思ったのは、『このままだとやばい』ということだけだった。

 ハリーは人影のない周囲を見回す。狂ったように、何か手掛かりがないか、『ハリー・ポッターが二人を石にした』の()()()()と証明できるだけの何か、なんでもいい、何か落ちてないか、何かないかと探し回る。髪の毛一本でも見つければ、ロックハート並みのその場しのぎだろうと、言い訳ができるのに。だが、事実は無常だった。窓から蜘蛛が一列になって逃げだしている最中であるということ以外、何も見つからない。どれだけそうしていただろう。授業の終わりを知らせる鐘が鳴り響いたのが、ずいぶん前だったように思う。

 

「――だからな」

 

 カサンドラと生徒が話す声が聞こえる。もうだめだ。ハリーは半ばあきらめたようすで、呆然と立ち尽くす。

 授業が終わり、ぞろぞろと生徒達がやってくる。いろんな寮の生徒達が廊下を通り……そして、ジャスティン達三人がいるところでピタリと足を止める。

 

「……か、カサンドラ」

「ハリーはそんなことができるやつじゃ――何?」

 

 カサンドラは隣を歩いていた男子生徒が指を指す方向を見た。そして、絶句する。

 

「……ハリー」

「現行犯だ!」

 

 隣を歩いていた生徒、ハッフルパフのアーニーがヒステリックに叫ぶ。

 

「やめろマクミラン!」

 

 カサンドラが静止するがもう遅い。廊下は凄まじい騒ぎになった。ハリーを恐れ、叫び声を上げながら回れ右をして走りだす者、杖を取り出して有事に備える上級生。自分は純血だからと物珍しそうに野次馬をする者、恐怖のあまりカサンドラに縋り付く者。

 阿鼻叫喚になった廊下にピーブスまでやってきて歌を歌い始めた。

 

「ハリー・ポッター嫌なやつ! ハリーは生徒を皆殺し! マグル生まれは今年死ぬ!」

「ピーブズ、お前は黙ってろ!」

 

 カサンドラは腰から古めかしい拳銃を取り出した。シングルアクションアーミーというかなり旧式のリボルバー銃である。

 

「ひえっ、カサンドラ!」

 

 縋り付いていたマグル生まれの生徒が思わず悲鳴を上げる。

 

「失せるか死ぬかだ、ピーブズ!」

「ただいま失せますカサンドラ様ぁ!」

 

 ぴゅーっと音がしそうなほどの勢いでピーブズは逃げていった。カサンドラはため息をつくと、拳銃を腰にしまう。銃が規制される前から所持しているものだが、弾には限りがある。できれば使いたくはなかったので、消えてくれてよかった。ただの弾がポルターガイストに効くとも思わないが。

 

「カサンドラ、それってピーブスに効くの?」

「さあな。ハッタリだ」

 

 カサンドラはハリーに近づく。怯えたようにハリーは後ずさる。

 

「カサンドラ、僕じゃない! 僕じゃないんだ、僕は何もしてない。信じて!」

「わかってる。落ち着け。調べるだけだ」

 

 カサンドラは周囲を見渡す。いくつか手がかりがあった前回と違い、痕跡らしきものは何もなかった。ジャスティンの頬に触れるとほんのり暖かい。死んでいるようには見えない。ただ、その肌はまるで石のように固い。硬直した視線は真っ直ぐ前に向いている。腕に触れ、体が曲がらないか軽く力を入れてみるが、全く動かない。

 

「視線は真っ直ぐ宙を向いている……。マクミラン、来てくれ」

「え、ぼ、僕?」

 

 ああ、とカサンドラが呼ぶと、アーニー・マクミランがカサンドラのそばに立つ。

 

「ハリーを見てくれ」

「え、ええ?」

「いいから」

 

 見るだけだよ? と言って、アーニーは僅かに視線を下ろしてハリーを見た。

 

「十分だ」

「何がわかったのさ?」

「犯人はハリーじゃない」

 

 ざわり、と周囲がざわめく。

 

「なんでそんなことがわかるの?」

「ジャスティンは真っ直ぐ前を向いている。恐怖に顔を歪めているということは、自らを害する何かを目にしたということだ。そして、さっきマクミランがやったように、小柄なハリーを見るには視線か頭を下げる必要がある。ジャスティンはどっちでもない。すくなくとも、注目するに値する何かはジャスティンと同じくらいの場所にあった」

「あ……それも、そうか」

 

 アーニーは一瞬納得しそうになった。だが、すぐに思い直した。

 

「いいや、カサンドラ。継承者は秘密の部屋の怪物を操るんだ。怪物ならジャスティンと同じサイズでもおかしくない!」

「なら、ハリーがやったとは言い切れないな。別の人間がやった可能性は残る。疑わしきは罰せず。校長先生の口癖だ」

「……」

 

 そのとき、生徒の山をかき分けて緑色のローブを着た老婆がカサンドラの前まで出てきた。

 

「マクゴナガル先生」

「カサンドラ……。また犠牲者が出たのですね。そして、ハリーがまた出くわしたと」

「ああ。ほら、ハリー、もう行け」

「いいの?」

 

 もちろんだ。カサンドラが言うと、ハリーはマクゴナガルを見る。彼女もどうぞと返しただけだった。ハリーは嬉しそうにお礼を言うと、駆け出して寮に戻っていった。カサンドラはカチカチになったジャスティンを材木を運ぶときのように肩に担いだ。

 

「さ、医務室か」

「ええ」

 

 2人が歩きだすと、人混みが割れる。

 

「継承者の発見は急務かもな……。ハリーが疑われすぎだ。どうなってるんだ? つい先月まで英雄だとチヤホヤしてたじゃないか」

「疑惑ひとつで名声が落ちると言うことなのでしょうか……」

 

 カサンドラはバタバタと次の教室へと走り出した生徒たちの足音を聞きながら、ため息をつく。本当ならもう少しハリーに聞きたいことはあった。だが、わざわざ別室に連行しようものならいよいよハリー=継承者説が真実味を帯びることになる。下手に事情を聞くこともできない状況に、教員二人は歯噛みする思いだった。

 

「こういうことを見ると思うんだが……。よくギルデロイは人気を保ってるもんだ」

「それは、才能なのでしょう。学生時代も成績に反比例して人気でしたからね」

「なるほどな。奴が継承者ということはないのか?」

 

 マクゴナガルは押し黙った。確かに、去年と似ている点はある。能力が低いと思われる教員。闇の魔術に対する防衛術の教授。そして新任。怪しいと言えばハリーなんかよりよっぽど怪しい。だが……。マクゴナガルはロックハートを疑うことはできなかった。

 

「学生時代から演技を続けていたのなら、ありえるでしょう。しかし、学生の時から演技を続けるなど。そんなことをするなんて……考えられません」

「そういうもんか」

「ええ」

 

 カサンドラは嘆息した。また1人、生徒が石になった。止められなかった。

 

――1992年12月 三階女子トイレ

 

「奇跡だったわ」

 

 ハーマイオニーはそう言って、ドロドロの粘液を掬った。灰のような色をした、おぞましき悪臭を放つ泥のようなもの。それをハーマイオニーは嬉しそうに鍋の中でかき混ぜ、時々掬って出来を確認する。こんなにもひどい臭いがする泥でごっこ遊びをするなんてハーマイオニーは子供だなあ、なんてハリーは現実逃避気味に考えた。ハーマイオニーは鼻がバカになっているから気づかないのかもしれないが、トイレに今充満している臭いはトロールなんかよりはるかに酷い。ハリーはカサンドラが乗り込んでこないかな、なんてぼんやりと思う。なにせ今ハーマイオニーが弄んでいる泥もどきはポリジュース薬の完成品で、つまり、ハリーとロンは今からあの泥の腐ったような、絶命日パーティの食前酒として出てきてもおかしくないような液体にクラッブ、ゴイルのエキスを追加した上で飲まねばならないのだ。それも、コップ一杯という結構な量を。

 今からでもやめられないだろうか。

 

「あー、奇跡って?」

「今に至るまでカサンドラにここがバレなかった――あるいは見逃してもらったことと、クラッブ、ゴイル、マルフォイの三人が冬休みでもホグワーツに残ってることよ。どういう確率なのかしらね」

「確かにあの三人が冬休みにホグワーツ残留は珍しいね。どうしたんだろう」

 

 ハリーが聞くと、ロンはニヤニヤ笑いをした。スリザリンは基本的に冬休みには実家に帰るものなのだ。だがロンはスリザリンの何名かがホグワーツにいる理由を知っているようだ。

 

「パパだよ。パパが抜き打ち検査をやるもんだから、マルフォイのやつ、ここに避難してるんだ」

 

 そしてクラッブとゴイルの2人は立派に腰巾着をしている、と。

 

「問題はミリセントだけど……まぁ、マルフォイと同じ理由で戻ってきたことにするわ」

「ここに来て行き当たりばったりだね」

「仕方ないじゃない。でも、これは変装じゃないからカサンドラにもバレないはずよ」

 

 ハーマイオニーは三つのコップを用意し、ポリジュース薬を注いでいく。とくとく、ではなくボトボトという擬音がピッタリな流れ方に、ハリーとロンはげんなりとする。しかも完全な液状じゃなく、ところどころは固形化している。もしかしてこれ、噛まないといけないのか? ハリーは絶望する。あからさまに嫌そうな顔をし始めた二人に、ハーマイオニーはコップを押し付けた。ハーマイオニーだって嫌だ。絶対に味は良くないし、体にも悪いだろう。それに、なんだか口に匂いが残りそうだし。ハーマイオニーはコップを手に取ると、毛を一本、薬に入れた。ミリセントと取っ組み合いをしたときにローブについた毛を一本拝借したのだ。――されたことを思えばローブからと言わず頭から直で鷲掴んでもよかったかもしれない。

 

「はい、2人とも」

「うげー……。ゴイルのエキスだ……」

 

 ロンは受け取ったコップにゴイルの髪の毛を入れて嫌な顔をする。ハーマイオニーは何度でも思うが、この薬にはそんなの全く気にならなくなるくらいえげつなくて気持ちの悪い物質がしこたま入っているのだが、なぜそこまでゴイルのエキスを嫌うのだろう。

 

「……これで、調査が進むね」

 

 ハリーが意を決したように言う。一月前とは事情が大きく変わっている。遊び半分だった秘密の部屋探しも、ハリーにとってはやらなくてはならないことに変化している。マルフォイが継承者だと証明しなければ、ハリーは終わりだ。その使命感がなければ、ハーマイオニーの一か月を放り投げることになってもこの薬を飲もうとは思わなかっただろう。

 

「そうね。じゃあ、乾杯」

「ああ、乾杯」

 

 ハリーとロン、ハーマイオニーは鼻を摘んで一気にポリジュース薬を飲んだ。

 ハリーはこの先の人生で、たとえ塩と砂糖がそっくりそのまま入れ替わった料理を食べたとしても、『まずい』と評することはないだろう。焼きすぎてゴムのようなステーキを食べても、世界一臭いというニシンの缶詰を食べても、遥か遠い日本の納豆やクサヤを食べたとしても、『まずい』と思うことはないだろう。ドリアンですら笑顔で食べることができるだろう。

 なぜならハリーは今日、『まずい』という味がどういうものなのか、魂に刻み込んだのだから。

 

「――ごめんなさい、トイレ!」

「僕も!」

 

 ハーマイオニーとロンは叫ぶと、個室へと駆け込んだ。ハリーだってそうしたかった。

 

「はぁ、はぁ、クソッ……」

 

 ハリーは自分の掌を見る。ボコボコと気持ち悪いくらいに肌が脈動し、少しずつその嵩を増していく。全体的に丸っこくなり、視界も少しだけ高くなった。傷も消えて、本当にスリザリンのあのクラッブへと完全に変身を遂げていた。

 

「……僕、クラッブになってる……」

 

 声帯もクラッブのものに変化しているが、いかんせん声帯を使うのはハリーだ。クラッブがハリーの物真似をしているみたいな声が自然と出て、不自然極まりない。

 

「――ロン、ハーマイオニー!」

 

 ハリーはクラッブの物真似をするつもりで叫ぶ。――そういえばクラッブってどんなふうに喋ってたっけ?

 

「ああ、ハリー、じゃない、クラッブ」

 

 ロン……が変身したゴイルが個室から出てきた。お互い顔を見合わせて、ニンマリと笑う。

 

「完璧だね」

「口調と喋り方も変えないと……。ハーマイオニー?」

「私、行けない! ごめん、2人で行って!」

 

 急にハーマイオニーはそんなことを言い出した。

 

「でもハーマイオニー」

「やっぱり、家に帰ってるミリセントがホグワーツにいるのは不自然よ。カサンドラならそれで不審に思うかも。それに気づいただけ! だから、行って! 1時間しか効果がないのよ!」

 

 そこまで言われたら、ハーマイオニーを置いていくしかない。ハリーとロンはお互い顔を見合わせると、スリザリンの寮に向かって歩き出した。

 

――1992年12月 スリザリン寮前廊下

 

 スリザリン寮の前に来たロンとハリーだったが、肝心要の合言葉が分からず、寮の前で立ち尽くすことになってしまった。

 

「合言葉、合言葉……なんだろう? 間違ったらやっぱり変だよね」

「スリザリン生が1時間経つまでにくると思うか?」

 

 手詰まりに近かった。それっぽい言葉はいくつか思いつく。だがそれが合言葉じゃなかったら、そのときどうなるのか、さっぱりわからない。

 

「君たち、そこで何をしている」

「あ、パーシー」

 

 その時、グリフィンドールの監督生、パーシー・ウィーズリーが2人に声をかけた。

 

「パーシー? ウィーズリー、もしくはパーシー・ウィーズリーと呼ぶべきじゃないのか? 僕と君らはそこまで仲が良くないだろう」

「ごめん、ウィーズリー」

「それで、スリザリン生が寮の前で何をしてる。今は時期が時期だ。怪しまれるような行為は慎むべきだ」

「それは」

 

 パーシーの後ろから、声がかかった。

 

「お前の弟に言ってやったらどうだ、パーシー・ウィーズリー」

「マルフォイ」

 

 ドラコ・マルフォイがツカツカと歩いてくる。パーシーとロン、ハリーの間に立つと、堂々と胸を張って上級生のパーシーと相対する。

 

「どうせ合言葉を忘れたんだろうさ。珍しくもない。グリフィドールにもノロマが1人いるだろう?」

「……誰に対しても、俺はそんな言葉を使う気はない」

「気取ってるつもりか、ウィーズリー? なぜ2人がここにいるかはわかったろう? こんなところで油売ってないで、可愛いロニー坊やが校則違反してないか探しに行ったらどうだ?」

 

 ゴイルの姿をしたロンが息を飲む。何せ今絶賛校則違反中なのだ。

 

「――言われなくとも、そうさせてもらうさ!」

 

 パーシーはこめかみに青筋を浮かべながら、踵を返して去っていく。ドラコは振り向くと、2人の顔を見ずに言う。

 

「迷惑をかけさせるな。『純血』」

 

 スリザリン寮の入り口が開いた。

 




ポリジュース薬はやっぱり死ぬほど不味そう
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