新たな契約
――1993年7月 ロンドン カサンドラ探偵事務所
カサンドラはソファに座って、依頼人の話を聞いていた。依頼人は妙齢の女性で、髪の毛をストレートに伸ばしたブロンドが輝いている。品のいいベージュのスーツは、彼女が企業の最前線で働く女性であることを示している。対するカサンドラもスーツを着て、しっかりとマグル然とした格好で依頼を聞いていた。テーブルの上に広げられた新聞の一面を、依頼人は指さした。
「お願いします。どうか彼を捕まえてください」
「シリウス・ブラックか。脱獄したというが……。残念だが私は今長期に及ぶ依頼を受けることができなくてな」
「な、なぜですか!」
「一年単位で定期契約の仕事が入ってる。すまないが先五年はこの時期、一か月以内に終わる仕事しか受け入れていない」
「で、では、ついででいいんです、どうか、お願いします。私は弟を殺した彼を殺したいわけでも、追い詰めたいわけでもないのです」
カサンドラは悩む。
「……わかった。何か情報が入り次第、そちらに送る。ただ、期待はしないでくれ」
依頼人は悩んだ様子だったが、最終的にはそれで納得した様子だった。
「お願いします。料金のほうは……」
「ついでで、金を取るような職業じゃないんでね」
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
女性はそう言って事務所から出て行った。無料なら責任も発生しない。気が進まないが、長期の依頼は引き受けられないのが実情なのだ。カサンドラは机の上に置かれた新聞紙を手に取る。
『凶悪犯シリウス・ブラック脱獄!』
13人もの人間を爆発物で殺害せしめた凶悪な殺人鬼。逮捕されたとき、彼は楽し気に笑っていたという。気狂いの類だろうか、とカサンドラは考えて、新聞紙を放り投げた。
「……」
さて、紅茶でも淹れるか、と立ち上がった瞬間、先ほどまで依頼人が立っていたところでバシン、と大きな音がした。そしてその音が終わるころには、一人の老人が座っていた。カサンドラはもう驚きもしない。
「紅茶はいるか、ダンブルドア」
「おお、すまぬな、カサンドラ」
あごひげを物凄く伸ばしたローブの老人、彼こそが英雄にしてカサンドラのボス、定期依頼の依頼人、アルバス・ダンブルドアだった。
「それで、今日は顔合わせか?」
ダンブルドアは出された紅茶をお礼を言いつつ一口飲んだ。
「おお、実に美味じゃ。お茶菓子を持参したのじゃが、いかがかな?」
「悪いな」
ダンブルドアが指を振ると、ポンと音を立ててイチゴのショートケーキが机の上に現れた。
「ありがたい」
「紅茶のお礼のようなものじゃよ。今日は顔合わせというのはそうなのじゃが、それ以前に少し、2件ほど別件があっての」
「聞かせてもらおう」
うむ、とダンブルドアは頷いた。
「まず最初は新任の先生についてだ」
「闇の魔術に対する防衛術の教授か? 今年は忘却術のプロじゃなきゃいいな」
「今度は大丈夫じゃよ。ちゃんと実力のある者から応募があったのでな。ただのう」
カサンドラはずっこけそうになった。
「また問題があるのか?」
「いや、これは対処可能な問題なのじゃ。そして、本人に責任はない……つまり、持病のようなものじゃ」
「なるほどな。魔法界特有の遺伝病か何かか?」
「うむ、近いの。魔法界特有ではあるが、遺伝はしない。人狼病と言っての。満月の日にその、狼男になってしまうのじゃよ」
カサンドラは首を傾げた。
「狼男だと? それは……生徒に危険はないのか?」
ダンブルドアは首を振った。
「残念ながら、可能性は高い。そこでじゃ。本人の同意を得て、満月の日は休暇を取ってもらうことにした」
「なるほどな。つまり、私に人狼を探して始末するなと、そう言いたいわけだな。生徒に危害が及ばぬ限り、そうしようじゃないか」
「うむ。それについても本人に同意を得ておる。もし万が一生徒に危険を及ぼしそうになったら、どんな手段を使ってでも止めてやっておくれ。もちろん、生死は問わぬよ」
珍しくダンブルドアが断言するところをみるに、人狼とは相当危険なんだな、とカサンドラは判断した。
「わかった。それで、もう一件は?」
「いや、まだ終わってはおらんのじゃ。さて……ここで、月に一度、どうしても授業に穴が開いてしまうのう」
カサンドラは嫌な予感がした。
「いいか、ダンブルドア、私は警備員だ。それが教師の真似事なんて、生徒の為にならない」
「去年2年間の授業を聞いて、本当にそう思うかの?」
カサンドラは息を詰まらせる。去年2年間での授業の評判を聞けば誰だって『自分でもできる』と思うだろう。特に去年は『カサンドラが授業やってよ』と言われていた。だからと言って……。
「だがなぁ、ダンブルドア」
「無論、ただの警備員ではなくなった今、去年と同じ給料というわけにもいかんじゃろう。今年の給料、前年と比べて1.3倍でどうじゃ」
カサンドラはふむ、と思案する様な顔をした。
「実際、授業のレベルはどの程度が求められるんだ?」
「魔法省が示す指導要領に従うと、著しく低い。しかしワシは月に一度と言え、カサンドラには期待しておるよ」
「……わかった。1.3倍だな。それで手を打とうじゃないか。月に一度なら、好きにやらせてもらっていいと解釈してもいいんだな?」
「もちろん。カサンドラなりの防衛術を生徒たちに授けてやってくれればそれでよろしい」
カサンドラは頷いた。
「だが……その、他の教師にやっかまれないか? 確か……そう、スネイプがずっと席を狙っているはずだ」
「それは事実じゃ。しかしセブルスは……防衛術の教師にするにはちと、性質が違うのじゃよ。実力がないとも、知識がないとも言わぬよ。じゃが、私はカサンドラに穴埋めをしてほしいと思っておる」
「……そこまで言うなら。それが用件か。もう一つは?」
「うむ。ハーマイオニーについてじゃ」
カサンドラは顔を険しくする。
「何かあったのか」
「悪い話ではないよ」
ダンブルドアの言葉に安堵したカサンドラは、息をついて、紅茶を飲んだ。
「それで、彼女について何があったんだ」
「何、物凄く奇妙な指示をしなければならんと思っての」
「は?」
ダンブルドアはもったいぶって言った。
「今年1年、彼女を同時に二人以上見かけても、決して声をかけてはならん」
「……は? そんなことあり得るのか?」
何かのなぞかけか、冗談か。それとも何かほかに重大な秘密があるのか。そう考え始めたカサンドラだったが、ダンブルドアがすぐに答えを言った。
「事実じゃ。謎かけでもなんでもない。今年、ハーマイオニーは同時刻に何人も存在することになるのじゃ」
「そうなのか? 去年は分裂なんかしなかったが」
ダンブルドアは頷いた。
「そうじゃ。去年の成績が非常に良好だったので、彼女には特別措置が認められることになった。つまりの、逆転時計……タイム・ターナーの使用を認められたのじゃ」
「逆転時計だと? あまりいい響きの言葉じゃないな」
カサンドラの言葉に、ダンブルドアは同意するように頷き、紅茶をすすり、ケーキを一口食べた。
「うむ、美味じゃ。……その通り。本来ならばそれは許されるべきではない。過去に行けるということは、現在を改変することすらできるということなのじゃからな」
「……じゃあなんでそれを許すんだ?」
「ふむ……いくつか、理由はある。話せる理由も、話せぬ理由も。ハーマイオニー自身の理由を言うならば、様々な授業を受けるため、じゃ」
「なるほどな……彼女らしい。だが、問題はないのか? 毎日2時間戻したしても、周囲との時間のずれは大きくならないか」
1日目はほかの人と比べて2時間しかずれていないとしても、2日目になると4時間だ。それが一年間積みあがれば、周囲との時間のずれが著しくなるのではないだろうか。
「そうじゃの。ワシも同じ気持ちじゃ。しかし、彼女はそれを覚悟の上じゃよ」
「……止めてやるべきじゃ……。いや、わかった。だが、危険だと判断したら医務室に放り込むからな」
「ぜひ、そうしてやっておくれ。重要なことは、じゃ。逆転時計を使うときの鉄則があっての。『過去の人間に干渉してはならない』というものがあってのう」
「つまり、話しかけたり、話しかけられたり、か」
ダンブルドアは頷いた。
「その通りじゃ。そしておそらくカサンドラは最も早く、そして確実に違和感に気づくじゃろう。彼女の時間割をワシも見せてもらったが……最悪の状況だと彼女は同時に4人存在することになる」
「大丈夫なのかそれ? ものすごく不安なんだが」
「気持ちはわかる。じゃが、ホグワーツの規律で決まっていることなのじゃよ。学習の為に逆転時計を貸し出すというのは、何も今回だけというわけではないのじゃ」
「それなら、いいんだが。もし彼女に用件があったらいつ話しかければいいんだ?」
「昼休み、放課後ならば彼女は逆転時計を使わぬじゃろう。その時ならば問題はない」
「わかった。……学生が過去に行けるのか。マグルだと大仰な装置に他人の遺伝子、その他もろもろ準備に凄まじく金と設備がいるんだがな」
カサンドラの言葉に、ダンブルドアは険しい顔をした。
「マグルが、過去に行けるじゃと? それは本気で言っておるのか? 魔法を使わずに?」
「ああ。ただ……実際に過去に行くわけじゃない。アニムスっていう機械を使って過去の記憶を追体験するんだ」
「実際に過去に行くわけじゃないんじゃな?」
「ああ。ただ、行ける過去には制限はない。おそらく……確証はないが、私がかつて生きていた古代ギリシャにも行けるはずだ」
ざっと数えて2400年近い過去を追体験できると聞いて、ダンブルドアは驚いたような顔をした。
「それはなんとも、すさまじい話じゃのう」
「まあ、その話はいいだろう。授業の件と、ハーマイオニーの件、この2つか。それで、顔合わせは今からか?」
「うむ。では、付き添い姿現しをするのでな、裾をつかむとよい」
ああ。立ち上がって、カサンドラはダンブルドアの裾をつかむ。
バシンと音がして、カサンドラ探偵事務所には誰もいなくなった。
――1993年7月 ホグワーツ職員室
バシン、と姿現しが終わると、職員室は去年と同じように顔合わせように模様替えされていた。カサンドラは空いているソファに腰掛けると、隣のマクゴナガルに話しかける。
「マクゴナガル、校長から聞いたぞ。ハーマイオニーがお手軽過去旅行を楽しむそうじゃないか」
「規則通りです。彼女は厳しい基準を満たしました。しかし……注意すべきことに違いはありません」
マクゴナガルは疲れたような表情をしている。さすがに自分の寮の生徒が時間改変をできる可能性があるというのはひどく心配なのだろう。
「さて、そろったようなので話を始めるとしようかの。では、まずは人事の報告じゃ。今年で『魔法生物飼育学』のケトルバーン先生が退職なさる。ケトルバーン先生、今までよく働いてくれた」
ケトルバーンが立ち上がって、ぺこりと礼をした。カサンドラも周囲に合わせて拍手をする。
「さて、今年は新任の先生を二名、新しく迎えることになる。まずは後任の『魔法生物飼育学』の先生の紹介からじゃ」
そう言ってダンブルドアが言うと、職員室の扉が開いて、大男が半ば屈みながら入ってきた。
「皆もご存じの通り、ルビウス・ハグリッド先生じゃ」
「あー、その、なんだ。今年から俺が、その、夢にも思わなんだ。1年頑張るから、その、いろいろ教えてくれ」
ぱちぱちと拍手が起こるが、何人かは不満げだ。去年アズカバンにぶち込まれかけた人材というのは実に、去年のロックハートを思い出す。
「……大丈夫でしょうか」
隣のマクゴナガルが不安そうに言った。
「不安なのか」
「ええ。学生時代はハグリッドは先輩でしたが……。その、私が稼いだ点を全て消し飛ばす勢いで、その」
「多分大丈夫だろう」
カサンドラはそう言ってやることしかできなかった。マクゴナガルとしても、先生の先輩としてできるだけ導いてやろうと心に決めた。
ハグリッドはケトルバーンが座っていた席に案内されると、ケトルバーンは立ち上がって握手した。
「これからは君が教授だ。頑張ってな」
「は、はい、ケトルバーン先生」
「いや、ただのケトルバーンだ。先生は君だ。そうだろう?」
ハグリッドをソファに座らせると、ケトルバーンはダンブルドアに一礼し、職員室から出て行った。
「……うむ。では、もう一人、先生を紹介しようかの。『闇の魔術に対する防衛術』の教授、リーマス・ルーピン先生じゃ」
ハグリッドと同じように職員室に入ってきたのは、ずいぶんとボロボロになったローブを着た先生だった。
「……どうも、紹介にあずかったリーマス・ルーピンです。多少、事情があって月に一度休暇を取りますが、穴埋めの人員は確保していただいているので、ご心配なく」
不安げに、ルーピンは言った。
「『事情があって』などと誤魔化さずに、事実を言ったらどうかね」
その不安を突くように、いじわるな表情をしたスネイプが言い放った。
「その、えっと、セブルス」
「スネイプ先生、と呼んでいただけるかな、ルーピン。先達は敬われるべきだ。そうであろう?」
おお、絶好調だな、とカサンドラは思った。
「あ、ああ、そう、ですね。スネイプ先生の言う通りです。私はその、えっと」
「リーマス。言う必要はないのじゃ。知るべき人間にはすでに知らせてある」
「ありがとうございます、校長先生」
あからさまに安堵した風のルーピンは、ほっと胸を撫でおろすと自分の席に着いた。
「うむ。今年はこの面々で生徒たちを導いていくとしようかの。では、恒例の注意事項じゃ。今年は逆転時計を使う生徒がおるでな、ハーマイオニー・グレンジャーを何人か見かけても、声をかけないよう注意してほしい」
次に、とダンブルドアはカサンドラをちらりと見てから言った。若干申し訳なさそうに。
「今年度じゃが、ホグワーツの外に生徒を近寄らせないよう厳に言い聞かせてほしい。理由は、そうじゃの。非常に不本意じゃが、今年は
吸魂鬼ってなんだ、とカサンドラは思ったが、とりあえずは黙っておく。
「ゆえに、特に先生方も吸魂鬼に襲われぬよう、注意を促しておく」
「校長先生、やはりブラックの件ですか」
マクゴナガルが聞くと、ダンブルドアは頷いた。
「うむ。シリウスが脱走した件での、ホグワーツの安全を確保するためじゃ」
「待ってくれダンブルドア。シリウス・ブラックの脱走の件がなぜこっちにかかわる? 奴はマグルの殺人鬼だ」
「うむ。シリウスはマグルも13人殺した罪でマグルとしても捕まっておる」
カサンドラはダンブルドアの言葉で察した。
「シリウス・ブラックは魔法使いなのか?」
「そうじゃ」
まじかよ、という顔をカサンドラはする。つまり脱獄というのは、アズカバンからか。つくづく、ブラック捜索の依頼を受けなくてよかったとカサンドラは内心胸を撫でおろす。
「校長、ヤツはホグワーツに来る可能性があるのですかな」
「うむ。おそらく狙いはハリーじゃ」
またハリーか。スネイプとダンブルドアの会話を聞いて、カサンドラはそう思った。
「ふっ……。ポッターがな……。なるほどな。カサンドラ。奴は、シリウス・ブラックは魔法使いでも極上のクズだ。もし万が一ホグワーツに侵入していたら問答の必要すらない。始末してしまうといい」
「始末? ブラックを?」
「ルーピン
スネイプが言うと、ルーピンはぐ、と押し黙った。
「もちろんだ。生徒に危害を加えるのなら、容赦はしない」
「待ってほしい、その、えっと……」
「カサンドラだ。ルーピン先生の穴埋め要員だな」
「そうなのか、すまないね……。カサンドラ先生、ブラックは凄腕の魔法使いだ。聞くところによるとカサンドラ先生はマグルのようだが……」
「一昨年はトロールとヴォルデモート。去年はバジリスクを始末した。まだ実力に不安があるか?」
カサンドラがホグワーツで倒した化け物たちの名前を挙げると、ルーピンは青い顔をして黙りこくった。
「……問題はなさそうじゃな。では、今年の注意点は以上じゃ。では、本日はこれにて解散」
ダンブルドアはそういうとバシン、と音を立てて消えてしまった。カサンドラは立ち上がると、ルーピンの席まで歩く。同じようにしてスネイプが寄ってきた。
「改めて。私はカサンドラ。月に一度あんたの代わりに授業を受け持つことになってる」
「わざわざありがたい。リーマス・ルーピンです」
リーマスとカサンドラがにこやかに握手をしていると、スネイプがせせら笑うような顔をした。
「先に挨拶に伺うのは……後輩たる者の礼儀だと思うのだが」
「それは……」
「スネイプ、私は気にしていない」
「カサンドラ、吾輩、礼儀の話をしているのだ。どうにも、グリフィンドールの元悪ガキは礼儀のれの字すらご存じないようなのでな。顔合わせの初日に、そのようなローブを着てくるなど。品位を疑いますな」
「その、すまない、スネイプ先生」
「生徒たちにそのような無様を晒さないよう気をつけることですな。一昨年、去年と『闇の魔術に対する防衛術』はハズレの先生だった。今年も、同じように判断されないよう気を張っているとよろしいかと」
「忠告感謝します、スネイプ先生」
よろしい、とスネイプは機嫌よく踵を返し、職員室から出て行った。
「……何かあるのか?」
「いや、その……私が悪いんだ、カサンドラ先生」
「……? まあ、深く追及はしないが。とにかく、私は先生などやったことはない。引継ぎは密にしておきたい」
「ええ。では休暇の数日前に、引継ぎの時間を作りましょう。夜間になりますが、大丈夫ですか?」
「問題はない。では、私はもう帰る。マクゴナガルにテレポートしてもらわないとな」
ルーピンに別れを告げると、今度はマクゴナガルのそばによる。
「私は事務所に帰るが、問題はあるか?」
「いいえ。ではすぐに発ちましょうか。では」
マクゴナガルは手を差し出した。カサンドラはその手をそっと握る。
バシン、と音がして、一瞬あとには事務所に戻ってきていた。
「では、失礼します」
「なあ、マクゴナガル。あの二人、何かあったのか?」
去年のように誘惑することはなく、カサンドラはすっと離れる。ホグワーツに行く前にあった紅茶を手に取ると、一口飲む。ダンブルドアが座っていたところには、紅茶もケーキもなかった。
「私からは、何も。ただ、二人は同学年だということです」
「……ハリーとドラコみたいな関係か?」
「――そのようなものです。では、私は帰ります」
「ああ」
バシン、とマクゴナガルは姿現しをした。
「……面倒だな」
かつて同学年だったのに、今は先輩後輩の関係。想像するだに面倒くさい。
「まあ、準備するか」
先生をするのに必要なことをできるだけ準備しておこう。カサンドラはこの1か月、世界中飛び回って資料集めに奔走することにした。