IZUMO ~蒼き戦士の戦記~ ~赤の英雄、蒼の復讐者~外伝   作:龍牙

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第三楽章 -6-

「覚悟はいいか…この害虫!!!」

 

 

復讐者としての感情だけではない、やっと分かり合えた千夏を殺した事に対する亨夜としての怒りも加わってか、目の前に存在するワームに対して、普段以上の怒りを感じながらガタック(亨夜)は両肩からガタックダブルカリバーを抜き放つ。

 

 

その言葉に反応したのか、千夏の体を串刺しにしたであろう針の生えた右腕とは逆の人間のそれに近い鍵爪状になった左手を振り上げる。そして、ワームの行動に反応して、周囲から悪霊達が現れる。

 

 

「っ!? アマテラス、これは?」

 

 

「奴がここの悪霊達の本当のボスだったようです。ですが、この様な怪物は初めて見ます。」

 

 

アマテラスの言葉も最もだろう。相手は彼女にとっても未知な成体の『ワーム』。ネノクニ、アシハラノクニと言う以前に言ってみれば、地球外生命体なのだから、この世界と言う以前に地球上の生命体ですらないのだ。

 

 

(…それにしても、こいつ…なんで悪霊達を…。)

 

 

そう考えながらガタックはホーネットワームに注意を向けた。そんな事を考えているとホーネットワームは右腕をガタック達に向ける。

 

 

腰を落とし左腕を前へと向け、針の生えた右腕を後へと引く。そして、配下である悪霊達の動きに合わせて、ホーネットワームはガタックへと突きを放つ。

 

 

「っ!?」

 

 

ホーネットワームの動きに反応して体を横にずらす事で突きを避けるが、続けて左腕の鉤爪で横凪ぎに振るう。それを、ガタックはダブルカリバーで防ぎつつ、後ろへと跳ぶ。

 

 

(こいつも、クロックアップを使ってこない。条件は同じって事か…。)

 

 

微かに相手がクロックアップを使えないと考えられる事に安堵する。自分がクロックアップを使えない以上、相手にクロックアップを使われればこっちには対抗手段がないのだから。

 

 

 

 

「ちょっと! なによ、あの化け物、私のマネみたいな事して!」

 

 

ワームと戦っているガタックを見て渚はそう叫ぶ。渚の言葉通りホーネットワームの攻撃は左腕の鉤爪による攻撃を混ぜているが、フェンシングのそれに近い。

 

 

「はっ!!! 何者なのでしょうか、それに…亨夜さんはあの化け物の事を知っている様な戦い方ですが。くっ、それにしても…。」

 

 

ガタックの加勢に入ろうにも、他の悪霊達に阻まれてガタックとホーネットワームには近づけない。

 

 

「あぁ~ん、もう、どれだけ居るのよ!」

 

 

アマテラス、渚、綾香の三人は完全に悪霊達によってホーネットワームと戦うガタックと戦意を失っている七海の二人とは完全に分断されてしまっている。

 

 

悪霊達に囲まれながら、渚のレイピア、アマテラスの槍、綾香の投げる勾玉で確実に倒しているが、それでも数は簡単には減らない。

 

 

「このぉ!」

 

 

「これだけ数が多いと…。」

 

 

「ど、どうしよう~。」

 

 

 

 

「はっ!」

 

 

ガタックはホーネットワームの突きを避けながら前に踏み込み、相手の懐に飛び込むとダブルカリバーによる二連の斬撃浴びせ、

 

 

「っ!?」

 

 

「悪いな…お前の戦い方は渚の相手で慣れてるんだよ!!!」

 

 

そう叫びながら今度は頭を狙って回し蹴りを放ち、ホーネットワームを地面へと叩きつけ、転がりながら、ホーネットワームは距離を取る。

 

 

そして、ホーネットワームは立ち上がり右腕の針を、

 

 

「っ!? 不味い!? 七海ちゃん、危ない!!!」

 

 

「え? きゃあ!」

 

 

七海へと向けて、千夏を貫いたニードルガンを放つ。

 

 

クロックアップこそ使えないが、七海の居る位置はガタックのすぐ近くだが、今から助ける事はできない。だが、最善の方法は有る。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

 

守る事が出来る。素早くホーネットワームと七海の間に飛び込み、ガダックダブルカリバーで七海へと放たれた針を切り払う。

 

 

「先輩!」

 

 

「七海ちゃん、そこを動くな!」

 

 

万が一切り払えなかったとしても、丁度七海はガタックの影に居り、最悪は自分が七海の盾になる事が出来る。そう考え、ガタックは七海に向かって叫ぶ。

 

 

暫くニードルガンの針とガタックの双剣での攻防が続いたが、ホーネットワームからの乱射が止まった瞬間、ホーネットワームはガタックへと向かって、右腕の針をレイピアに見立てた突きを放つ。

 

 

「こいつ!!!」

 

 

肩の装甲に針を掠らせ、装甲をホーネットワームの針によって傷つけながら、ガタックはホーネットワームに肉薄する。

 

 

(貰った!)

 

 

ガタックダブルカリバーを連結させ一気にトドメを誘うとした瞬間、

 

 

「ギィ!!!」

 

 

呻き声を上げるホーネットワームの振るう鉤爪状の左腕がガタックのボディーを削る。

 

 

「ぐわぁ!!!」

 

 

先ほどのお返しとばかりに放たれた蹴りがガタックのボディーに叩きつけられる。そして、ガタックが地面に叩きつけられた時、ホーネットワームが倒れたガタックに右腕の針を向ける。

 

 

「先輩!」

 

 

ガタックを助けようと七海が慌てて弓を構えるが、

 

 

「亨夜! このぉ、邪魔よ!」

 

 

ガタックを助けに入ろうと渚が近づこうとするが、

 

 

「亨夜さん!!! どきなさい!!!」

 

 

同じ様にガタックを助けようとするアマテラスもまた悪霊達に阻まれ、

 

 

「亨夜ちゃん!!! 逃げて!」

 

 

綾香がガタックに針を向けるホーネットワームに向かって勾玉を投げようとするが、

 

 

 

間に合わない。

 

 

 

「くっ! プット…オン!」

 

 

ホーネットワームから針が放たれた瞬間、ガタックゼクターのホーン部分に触れる。

 

 

 

《Put on》

 

 

 

電子音と共にガタックのマスクドフォームの装甲が装着された瞬間、

 

 

「ぐあぁ!!!」

 

 

顔や心臓などの急所に当りそうな物は全てマスクドフォームの強固な装甲に阻まれるが、それでも幾つかは肩や腕にガタックの体に突き刺さる。

 

 

変身者である亨夜のダメージが限界と判断したのか、ガタックゼクターがベルトから外れ、変身が解除される。

 

 

「くっ…。」

 

 

自分の体に突き刺さった針を抜き、自分の前に立つホーネットワームを睨みつけながら、ガタックゼクターへと視線を向ける。

 

 

「ガタックゼクター、もう一度だ!」

 

 

「ダメですよ、すぐに手当しないと。」

 

 

痛みに耐えながらガタックゼクターへと手を伸ばすが、亨夜に駆け寄った七海とガタックゼクターに止められる。

 

 

「あ…ああ……。」

 

 

「七海ちゃん、オレの事は良いから早く逃げろ。」

 

 

七海は亨夜を治療する為に癒しの効果の有る勾玉を取り出そうとするが、それよりも早くホーネットワームが変身が解除された亨夜へとトドメを刺そうと近づいてくる。

 

 

この世界ではクロックアップが使えない事が唯一の救いかと思うと苦笑を浮かべてしまう。使えたなら、一瞬でトドメを刺され、死んだ事さえも認識できないだろう。

 

 

「そ、そんな事…出来ません!」

 

 

「えぇーい!!!」

 

 

悪霊の一体を踏み台として渚がホーネットワームへと飛び込み突き『フレッシュ』を放つ。

 

 

「亨夜達から離れなさい!」

 

 

だが、それはサナギのそれよりも皮膚が薄いとは言え強固な成体ワームの体を傷つける事は出来ず、弾かれる。

 

 

「嘘!?」

 

 

そして、『邪魔だ』と言わんばかりの態度で、渚を殴り飛ばす。

 

 

「きゃあ!」

 

 

「渚!」

 

「渚先輩!」

 

 

悲鳴を上げて地面に叩きつけられる渚、立ち上がろうとしているが動けないのだろう。

 

 

邪魔をされたのが気に入らなかったのか、先に渚からトドメを刺そうというのか、ホーネットワームは渚へと向き直る。

 

 

「渚さん! くっ、退きなさい!!!」

 

 

「渚ちゃん! えい!」

 

 

アマテラスは悪霊達に阻まれて渚を助ける事は出来ない。綾香が投げた赤い勾玉がホーネットワームにぶつかり、炎に包まれ、ダメージがあるのだろう、足を止めるが、それを意に介した様子も無く、渚へと近づいていく。

 

 

「ダメ、渚ちゃん、逃げて!」

 

 

「綾香さん、オレが助けに行く、回復の勾玉をこっちに!」

 

 

「あっ、そっか! はい!」

 

 

倒れる渚へと綾香が叫ぶが渚はまだ立ち上がれないのだろう、ホーネットワームが近づいて来ていると言うのに動けずに居る。自分がガタックに変身して助ける為に回復の効果の有る勾玉を渡して貰う様に言う。そして、綾香が投げ渡した勾玉を受け取るが、再変身しても間に合うかは完全に未知数。

 

 

「………て……。」

 

 

「!?」

 

 

亨夜が勾玉を使い傷を癒した時、搾り出す様な声と共に放たれた矢がホーネットワームに突き刺さる。

 

 

「……止めて……。」

 

 

続いて放たれた第二射が再びホーネットワームに突き刺さる。

 

 

「これ以上、私の大切な人達を傷つけないで! 私の大切な人達を奪わないで!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

七海の心からの叫び声、それは亨夜がガタックの力を得た時に、復讐以外で願った思いと同じ意思。

 

 

「…そうだな…。もうこれ以上…奪わせない…。」

 

 

「先輩…。」

 

 

傷を癒し立ち上がりながら亨夜はホーネットワームを睨みつける。

 

 

「行くぞ、ガタックゼクター!」

 

 

楓の勾玉を握り締めながら、怒りと憎しみではなく、守りたいと言う意思の元でガタックゼクターを呼び、

 

 

「変身!!!」

 

《HEN-SHINN》

 

 

ガタックゼクターをバックル部分へと装填する。本来ならマスクドフォームになるはずだが、

 

 

 

《Change StagBeetle》

《FORM POISON》

 

 

 

聞いた事の無い電子音が響く。同時に茶色の光に包まれ、変身が完了するホッパーゼクターのライダーの様に、マスクドフォームを飛ばしてライダーフォームに、それも今までの物とは違う青が茶色に染まり、背中には蜘蛛の足の様な八つのパーツが存在し、左腕に蜘蛛型の鉤爪『タランチュラアンカー』を装備している。

 

 

「な、なんだ、これ…?」

 

 

「それって…く、蜘蛛…ですか?」

 

 

『亨夜様、聞こえますか?』

 

 

亨夜に響く楓の声。

 

 

(これって…楓さんの力なのか?)

 

 

『その様です。ですが、これは亨夜様の従者の力では無いのですか?』

 

 

(いや、ガタックゼクターにそんな機能はないと思ったけど…。)

 

 

それこそが、ネノクニにおいて亨夜が契約した精霊達の力を借り、進化した姿である《エレメンタルフォーム》の最初の一つ『仮面ライダーガタック エレメンタルフォーム・ポイズン』である。

 

 

「…良く分からないけど…これがオレの…いや、オレ達の新しい力か!」

 

 

そう叫び走り出すガタックP(ポイズン)。進化したライダーの力を脅威と認識したのか、ホーネットワームは標的をガタックPへと変えて突きを放つ。

 

 

「はっ!」

 

 

その突きが届くよりも早くタランチュラアンカーを射出し、左腕とワイヤーで繋がれたアンカーの鉤爪がホーネットワームの体を切り裂く。

 

 

「!?」

 

 

すると、突然切り裂かれた部分を押さえて苦しみ出す。それによって近づくのは危険と思ったのか、ホーネットワームはニードルガンとして放とうとするが、

 

 

「そうはさせるか!」

 

 

今度は右腕に巻き展開したクローで捕獲し、打ち出そうとした瞬間、力任せに足元へと向けさせる。当然ながらそれはホーネットワームの足元へと突き刺さる。

 

 

フォーム・ポイズンの能力は、ガタックゼクターを通じて全て亨夜に教えられる。そして、その隙を逃さず接近する。タランチュラアンカーを射出、ホーネットワームの鉤爪を避けながら撹乱するように周囲を動き回る。

 

 

 

 

「何するつもりなのよ…あいつ。」

 

 

「見て、あれ。」

 

 

「あれって…ワイヤー?」

 

 

ガタックPの行動を疑問に思う渚。それをホーネットワームの注意がそれた瞬間に、渚に近づいて傷を治している綾香が気が付いたワイヤーを指差しながら告げる。

 

 

 

 

蜘蛛の巣に捕らわれた獲物の如くワイヤーによって雁字搦めにされたホーネットワームを一瞥し、タランチュラアンカーを左腕に装着し直したガタックPはホーネットワームを睨みつける。

 

 

「トドメだ。」

 

 

ガタックゼクターのボタンを叩いた瞬間、

 

 

 

《MAXIMAM POISON ELEMENTPOWER》

 

強酸霧(アシッドガス)

 

 

 

それと同時に周囲に満ちるのは、楓の力を借りた呪法『強酸霧(アシッドガス)』。その力をタランチュラアンカーに集まっていく。

 

 

「受けてみろ、これが…。」

 

 

『私達の…。』

 

 

「『新しい力!!!』」

 

 

左腕の鉤爪を展開させ、ホーネットワームの体を切り裂く。それこそが『仮面ライダーガタック エレメンタルフォーム・ポイズン』の…楓の力を借りた亨夜の新しい必殺技。

 

 

「『『アシッド・デス・ブレイク』!!!』」

 

 

爪でワイヤーで動きを封じたホーネットワームの体を何の抵抗も無く切り裂き、ホーネットワームはそのまま爆散する。

 

 

「や…やったー!」

 

 

「わーい、亨夜ちゃん、すごい!」

 

 

「お見事です、亨夜さん!」

 

 

自分達のボスの敗北を悟ったのか、悪霊達は一斉に逃げ出していく。そして、渚、綾香、アマテラスの三人はガタックPの方を向き嬉しそうに声を上げる。

 

 

「やりましたね、先輩。……仇…とったよ…千夏ちゃん。」

 

 

悲しげな笑顔を浮かべながらガタックPへと告げる七海だが、すぐに顔を伏せて友達へとそう告げる。

 

 

こうして、ネノクニにおける初めての成体ワームとの戦いは終わった。そして、七海が悲しい過去と向き合う時も一つの決着がついたのだった。

 

 

 

つづく…





ホーネットワーム戦終了とブレイブさんの投稿の新フォーム『エレメンタルフォーム・ポイズン』の登場の第三楽章の六話目でした。



翔「新フォーム…クワガタ+蜘蛛って感じの外見が想像できるな。」



あはは…それは確かに。一応、進化の理由に関してはまだ不明と言った所でですけど…今回のホーネットワーム戦はライダーフォームでの一撃で終了と考えても居ましたけど、ブレイブさんの投稿のアイディアを思い出し、ここで登場させるのも面白いと思ったので出してみました。

結局、予定では今回でエピローグまで繋げるはずが、次回と次に伸びてしまいました。



輝「…しかし、新登場のヒーローとフォームは無敵…だな。」



そうですね。そして、次回は最初の四聖獣との出会いとなります。いよいよ七海がメインの第三楽章もラストです。では。
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