IZUMO ~蒼き戦士の戦記~ ~赤の英雄、蒼の復讐者~外伝   作:龍牙

37 / 63
第四楽章 -最終楽章-

「そう言えば…青龍は女性の姿だったって言ってたよな?」

 

 

「それがどうしたんだ?」

 

 

「いや、玄武って言うと…どうも堅物と言うイメージが有るんで、態度には気を着けた方が良いかと思ってな。」

 

 

その姿は亀と蛇が一つの体に存在する一種のキメラである玄武には、どうしても他の四神に比べて堅物のイメージがある。

 

 

「そうだな。」

 

 

これは玄武の城に入る前の二人の会話の一ページでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仕留めたようですね……もう、邪悪な気配はありません。」

 

 

サトリに擬態したドラゴンフライワームが二人の必殺技によって爆散すると、アマテラスがそう告げる。それに安心して七海達が臨戦態勢を解くと、亨夜と龍牙の二人もガタックとカブトへの変身を解除した。

 

 

「………で、これが玄武の祭壇か。」

 

 

亨夜がそちらへと視線を向けながらそう呟く。ドラゴンフライワーム達と戦った場所に玄武の祭壇は存在していた。相手の目的地、自分達の防衛場所にボスが配置されていると言うのには確かに理に叶っている。

 

 

亨夜達としてもそれは分かり易くて助かるのだが。

 

 

「なら、早く開放しよう。…何時あのライダーが現われるか分からないからな。」

 

 

「…そうですね。」

 

 

龍牙がケタロスの事を話題に上げるとアマテラスは重苦しい表情で言葉を返す。龍牙が戦っていた所を端から見ていただけだが、恐ろしい相手だと言う事はそれだけで十分に理解したのだろう。

 

 

「亨夜さん、その宝玉に手を触れれば、捕らわれた玄武を開放することが出来るはずです……。」

 

 

「………。」

 

 

亨夜はアマテラスの言葉に無言で頷き、青龍の時の様に宝玉に手を触れる。

 

 

亨夜が宝玉に手を触れると周囲は光に包まれる。

 

 

「………。」

 

 

そして、出てきたのは………

 

 

「…玄武で間違いないのか…?」

 

 

龍牙にしては珍しく唖然とした様子で呟く。

 

 

そこに居たのは黒いレザーのスーツを見につけた………ボディコン系の女性が立っていた。

 

 

四聖獣が女性だとは聞いていたから良いとして、龍牙としては妙に想像していた姿とは違う玄武の姿に唖然としてしまっていた。

 

 

「……ふぅ……やっと出られたわ~。あんた達が開放してくれたの?」

 

 

「え、ええ、まあ…。」

 

 

服装に似合って口調も軽い物だった。青龍がいかにも真面目な感じの人だったので青龍の時の様な態度で話しかけようとしていた亨夜としては、予想していたイメージとは違い過ぎる玄武に対してどう言う態度を取るべきかと悩んでしまう。

 

 

…付け加えるなら、冒頭の龍牙の言葉も玄武のイメージを固定する手伝いをしてしまっているが。

 

 

「あたし、玄武。悪霊どもに捕まって閉じ込められてたのよ。助けてくれて、さんきゅっ♪」

 

 

「………。」

 

 

神様の一角がこんなに軽くて良いのかと疑問に思ってしまう。…一応、ネノクニ…東洋の神様なのに英語まで使っているし。

 

 

「……何よ、そんな、ヘンなもの見る様な目であたしを見て。」

 

 

「あ、いや。その…なんて言うか…。」

 

 

…『元の世界で普通に居そうなお姉さんなので』と言えない亨夜でした。…服装は兎も角。

 

 

「……この服、ヘン? アシハラノクニでは今こう言うのが流行ってるんでしょ?」

 

 

「え、ええと…流行っているというか…。似合ってはいますけど…。」

 

 

「そう、良かった。本場の人にそう言って貰えて嬉しいわ♪」

 

 

「はぁ…。」

 

 

「そう言う訳で、あたしはそろそろ行くわ。じゃあ、白虎と朱雀も任せたわよ、頑張ってね~♪」

 

 

にっこりと笑って、玄武は空を見上げ眩い光を放った青龍の時と同様に何処へとも無く姿を消してしまった。

 

 

「…この世界の神様って…みんなあんな感じなのか。」

 

 

「……変わった服装の方でしたね……。そちらの世界では、ああ言うのが普通なのですか?」

 

 

四聖獣とのファーストコンタクトの龍牙と、アシハラノクニ…亨夜達の世界の事を知らないアマテラスが妙に間違った感想を持ってしまっている。

 

 

「いや、青龍はもっと真面目な人だったぞ。」

 

 

「い、いえ、普通と言うわけでも……。」

 

 

「と言うか、どちらかと言うと……変わってる……。」

 

 

「私達の世界の文化が、やや間違って伝わっているようね。」

 

 

龍牙の四聖獣への誤解を亨夜が、アマテラスのアシハラノクニへの誤解を他の女性陣がフォローする。

 

 

「兎も角、これで青龍と玄武、あと半分、二つの封印を開放すれば良い訳だ。」

 

 

「そうですね、頑張りましょう!」

 

 

アマテラスは嬉しそうに亨夜の言葉に答える。この世界の巫女としては悪霊達によって長い間封印されていた四聖獣が順調に解放されていることが嬉しいのだろう。

 

 

そんな中、龍牙は一人ケタロスの事を考えていた。

 

 

(…死者の世界に誕生してさえ居ない奴等がいるか…。ワームならまだ分かるけど、ゼクターまで有るのは不思議な話だな。)

 

 

アシハラノクニの物でも無い正体不明のゼクターがネノクニにあると言う事に対する疑問は大きい。何より、知らないはずの装着者はストレートに龍牙へと、カブトへと殺意を、憎悪を向けてきていた。

 

 

玄武の軽さのインパクトで暫く思考停止していたのは龍牙だけの秘密だ。

 

 

「…情報が少ない今の段階で考えても仕方ないか…。」

 

 

そう呟いて考えを切りやめる。ゼクターについての情報が有るのは元の世界であり、どう考えても今は答えを出すのには情報が少なすぎるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっと出られた。」

 

 

玄武の城を出ると亨夜は息を吐く。

 

 

「残す聖獣はあと二つ…何事も無く開放できれば良いんだけどな。」

 

 

「この分じゃ、そうも行かないでしょうね……。」

 

 

「寧ろ、これまで以上に向こうの抵抗も激しくなるだろうな。」

 

 

亨夜の言葉をアマテラスと龍牙が否定するが、亨夜自身もそれは有り得ないと思っていた。寧ろ、敵の抵抗が激しくなるのは此処からと考えて良い。

 

 

「……大丈夫よ、何が有っても……。だって、私達には亨夜ちゃんが付いてるんだもの。」

 

 

「綾香さん…。」

 

 

綾香の亨夜を見る目が変わったのは決して気の所為ではないだろう。

 

 

それは今までの学生を指導する保護者、年長者としての一歩引いた視線で見ていたものではない。その暖かさを残しながらも、それだけでない……もっと別の、もっとストレートな好意。

 

 

「ああ、みんなはオレが守る!」

 

 

「ふふ、頼りにしてるよ、亨夜ちゃん♪」

 

 

「お前も変わったと言うべきか、亨夜?」

 

 

「……どう言う意味だよ。」

 

 

そんな友達では無い相手の言葉に亨夜はそう返す。

 

 

「………綾香先生、亨夜先輩と何か有ったんですか?」

 

 

そんな、亨夜と綾香の様子を見ていた七海がそう尋ねた。

 

 

「え゛っ………、な、なんで行き成りそんなこと聞くの?」

 

 

「だって、なんだか雰囲気が違うし………。」

 

 

「な、なんでもないよ。」

 

 

そう言っているが動揺しているのははっきりと分かる。

 

 

「そうよ? ほら、亨夜ちゃんももう一人前だし、そろそろ頼りにしてもいいかな…、なんて思っただけ……。」

 

 

「はぁ…。」

 

 

どうも腑に落ちない様子の七海だが、

 

 

「みんな~、早く行こうよ~!」

 

 

渚が亨夜達をせかす様に先に行くので、

 

 

「分かったよ! だから、ちょっと待てって!」

 

 

「はぁ~い、今行くわ~。」

 

 

(まったく、何時でも何処でも元気な奴だな、あいつは。)

 

 

そんな事を思いながら、亨夜は渚の後を追いかける。

 

 

「…ふぅ、今の所七海ちゃんが恋のライバル、か。スタイルじゃ勝ってるけど、歳で負けちゃうわねぇ。」

 

 

龍牙は綾香の隣を通った時にそんな声を聞いたのだが…面白そうなので聞かなかった事にした龍牙だった。

 

 

そうして、一行は村への帰り道を行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所…祭壇のような物が置かれた場所で、

 

 

「またしくじったようだな。」

 

 

ブラッドガタックゼクターを連れた少年、スサノオがそう呟く。

 

 

「………そうね、正直に言って、奴等がこれだけやるとは予想外だったわ。」

 

 

「これ以上お前の無能な配下には任せておけん。俺自ら出るぞ。」

 

 

「スサノオ、貴方には貴方の任務が有るでしょう。そんな身勝手はヨモツオオカミ様が御許しにならなくてよ。」

 

 

「………。」

 

 

スサノオを嗜める様に響くツクヨミの声にスサノオは押し黙る。

 

 

「戦の準備に忙しいのでしょう? 私と遊んでいる暇は無いはずよ。」

 

 

「………ふん、言われなくても。母上の命令は絶対だからな。俺は俺の任務を果たすだけだ。」

 

 

「ふふ、精々蛮勇を奮うが良いわ。」

 

 

嘲る様にツクヨミの声が響く。

 

 

「…………。」

 

 

「………ところで貴方、戦場で拾った娘だけど、いざと言う時には切り札になる娘よ、あまり情が移らない様になさいね。」

 

 

「なんだと!」

 

 

「おお怖い。あの娘達には優しいスサノオ様の表情がまるで鬼のよう。」

 

 

「……き、貴様……。」

 

 

「女にうつつを抜かすのは悪い癖よ、スサノオ。」

 

 

「うるさい! 言われなくても分かっているっ、要は任務を果たせば良いのだろう!?」

 

 

「そうね。一刻も早く。こんな所で油を売っている暇が有ればね。それと、蛮勇を奮うのは勝手だけど、あの怪物達を無駄にしない様にね。あの怪物達は役に立つんだから。」

 

 

「覚えていろよ、女狐がっ!」

 

 

そう捨て台詞を残してスサノオとブラッドガタックゼクターの姿は闇へと消える。

 

 

「……ふふ、可愛いものね。言う事は一人前でも、未だ心は乳飲み子のまま。」

 

 

ツクヨミは捨て台詞を残して消えて行ったスサノオを嘲る様に言う。

 

 

「……居るんでしょう?」

 

 

ツクヨミの言葉に青い花弁が散り、顔は見えないが闇の中から青い薔薇を持った男が現われる。いや、それだけでは無く他にも二人の男の姿が現われる。

 

 

闇の中から辛うじて見る事の出来る服装は……明らかにネノクニでは異質な物。それはアシハラノクニと呼ばれている亨夜達の世界の人間の服装だった。

 

 

そして、何より三人の男達の腕にはブレスレッド『ライダーブレス』が有った。

 

 

「これ以上四聖獣の封印を解かれるのは拙いわ。だから、白虎の所には貴方に行ってもらうわ。」

 

 

ツクヨミの声と共に三人の男達の中の一人が頷くと、三人の男達はゆっくりと闇の中に姿を消していく。

 

 

「それと、今後は私の指示無く動かない様に。」

 

 

ツクヨミの声が男達の中の一人に向かって響く。三人の去り際…その男達の姿がカブトムシを意識させるワームの姿に変わったのは…決して見間違いではないだろう。

 

 

 

 

 

つづく…




カブト・ハイパーフォームの登場した蒼き戦士の戦記の第四楽章『追いかけてくる過去』終了です。



翔「…最後に出てきたのは…。」



描写からも分かるようにカブティックライダーの三人です。悪霊側に着く三人の仮面ライダー達。スサノオを含めて四人の仮面ライダーを有する悪霊達と、それに対して亨夜、龍牙、剣と言う形になりますね。



翔「何で居るんだ…本来なら居ないはずの人間が三人も…しかも、三人ともワーム。」



何故彼等が居るのかは…今後明らかにしていきたいと思います。では…



翔「次回に謎を残したな; それでは、次回第五楽章『取り替えっ子』。お楽しみに。」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。