IZUMO ~蒼き戦士の戦記~ ~赤の英雄、蒼の復讐者~外伝   作:龍牙

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序曲-3-

「神よ……。」

『またか…。太陽の神を呼びたいなら、オレじゃなくて龍牙にしろ。』

三度目となるあの夢の中で思わずそんな悪態をついてしまう。過去に二回見た夢と同じ内容。リクエストにも答えてくれた事もあり、いい加減、少しは真面目に見様とも思い声の先に視線を向けてみるとそこには、泉の中に足を浸し、祈りを捧げる一人の巫女の姿。

周辺を渦巻く嫌な気配…瘴気とでも言うべきだろうか…それは辺り一面を覆い、注意深く見てみると、木々は枯れ、赤茶けた砂の中へと朽ちている。

『…随分と酷いな。』

景色を眺めつつ、亨夜は思わずそんな感想を洩らしてしまう。

「我等を守りたまえ…。………。」

切実なる少女の祈りの声を亨夜は何処か冷めた感情で聞き流していく。『何かを守りたいなら、神などに祈る前に力をつけろ』…それが、亨夜の持論なのだから。

少女へと視線を移してみると、肌は疲労の為か色を失い痩せかけている。その頬を感極まって瞼を閉じた彼女の流す涙が一滴、弓なりに肌を濡らし零れ落ちていく。

『………。』

所詮は夢と切り捨てただ少女を眺めていたが、そんな彼女の様子に力を求めていた…妹を守れなかった過去の自分を重ね、亨夜は少女に近寄ると頬を流れる涙を指先で拭う。

「………?」

夢の中にも亨夜は存在しているのであろう、その感触に驚いた様子もなく、子供の様に純真な瞳を少女は亨夜へと向ける。

「……救世主様。」

『またか。』

少女の呟きにいい加減うんざりだと言いた気な声でそう斬り返す。恐らくだが、救世主とは己の事だろうと亨夜は推測している。だが、自分自身そんな者では無いとも自覚しているのだ。『所詮、自分は復讐者』だと。

「やっと遭えた……私の運命の人。」

『はぁ?』

どう言う意味かと思い彼女に問おうとした時…

「き、きゃあああああああああああ!!!」

「え゛? や、柔らかい…;」

そんな感触が有った。心の底から嫌な予感…二度目の…あの最悪のイベント。

「は、離してよぉっ!」

衝撃音と激しい痛みと共に亨夜の意識は現実へと引き起こされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛い。」

未だに痛みが襲う頭を抱えながら亨夜は席につく。

「自業自得!」

その痛みの原因…亨夜の後頭部に打ち込んだ拳骨を痛そうに撫でながら、拳骨を打ち込んだ本人…美由紀は怒りながら、きっぱりと言いきった。

「………? 何があったんじゃ?」

「いや…ちょっとした問題が。」

「なんじゃそりゃ?」

「なんでもないよっ!」

不思議そうに聞いてくる六介と、全面的に自分が悪い以上そう言うしかない亨夜、そして…最後に怒りながら言いきる美由紀と続く。

とりあえず、これ以上『ラッキースケベ』イベントを引きずりたくない亨夜は用意された朝食へと向き直る。

本日の献立は六介のリクエストを聞いたのか、ご飯に卵焼き、味噌汁、冷奴と純和風の朝食だった。

「日本人はやっぱりこれじゃのう……。」

「おじいちゃんはほんとに和食好きだね。」

「まあ、オレも好きな方だけど…オレは洋食の方が好きだな。」

「ふん、若造め、日本人は米の飯に味噌汁、外国の食い物なんか邪道じゃい。お前とは年季が違うわ。」

何時か誰かに言われた様な言葉を聞き…誰だったかと考えを巡らせていくと…一人しか居ない為に一人の人物の顔が浮かんでくる。

「なに龍牙みたいな事を言ってるんだよ。」

「龍牙さんって、誰? お兄ちゃんの友達にそんな人居たっけ。」

「うんうん。その龍牙くんとやらは若いのに中々関心じゃな。」

言ってしまって失敗だと考えても既に遅い。既に朝の会話から不愉快な人間を消し去る為に新しい話題へと続ける。

「それに…味噌や豆腐の原料の大豆は九割を輸入に頼ってるんだ。」

「嫌な事ゆうな!」

おでこを叩かんと振り下ろされた箸を素早く自分の箸で受け止める。

「腕を上げたな。」

「行儀が悪いぞ、爺ちゃん。」

「うぐ。原料はともかく、製造が日本なら日本食じゃ!」

亨夜の視的を受けながらそう言い返す六介だが、

「それなら、トーストもスープも日本食になるぞ。」

そう言葉を返される。

「もうそんなのどうでも良いから、早く食べてよ。」

美由紀のもっともな意見が響く。当然だ、朝は時間が無いのだから。美由紀の一言でどうでも良い話題を切り上げると、味噌汁を飲む。

「…おかわり、頼める?」

「もう、自分で入れてよ。」

「人に入れてもらうのが良いんじゃないか。」

「わがままだなあ……。」

文句を言いながらも、受け取った茶碗にご飯をよそり、亨夜へと渡す。

「ありがとう。」

茶碗を受け取り食事を再開するとふと、今朝の事を思い出す。

「そうだ。不思議な夢をみたんだ。」

「……それで寝ぼけてたの? どんな夢?」

「……昨日から見てる夢の続きらしいけどな…清らかな感じの…巫女さんみたいな格好した女の子が出てくるんだ。」

「巫女?」

亨夜の言葉に反応したのは美由紀ではなく、夢の話に興味を持ったのか、六介の方だった。

「ああ。泉みたいな所で神様に祈ってた。救世主がどうとか。」

「……ふむ……。」

「ふぅ、それでその巫女さんに抱き着いちゃったのね、お兄ちゃん。」

考え込む六介に対して興味が無いのか、呆れ顔で溜息をつき、美由紀が亨夜の話にオチをつける。

「…だから、あれは事故だ。オレは単に肩に触った程度だ。」

流石に身内相手に変なイメージを持たれたくないので、そう自己弁護する亨夜(ラッキースケベ)だった。事故の後で説得力はないかもしれないが。

「エッチ!」

「だから、違う!」

美由紀にからかわれて過剰に反応してしまうが…その反応はどちらかと言えば…肯定するのではないかと言う疑問が沸いてくる。

そこまでのやり取りをしていて一人、話題に入ってきていない者が居る事に気付いて、亨夜はそちらへと視線を向ける。見ると…六介が神妙な顔で何かを考え込んでいる。

「…それは、お前を呼んでいるのかもしれんな。」

「え?」

「ああ、いや、なんでもない。」

「………?」

六介はそれだけ言うと、何事も無かったかの用に味噌汁に口をつける。これ以上聞いたところで、満足の行く答えは返ってこないであろうと考え、亨夜も食事を再開し始めた。

「………美由紀ちゃんの作る味噌汁は、美味いのぉ。」

「えへへ、愛情が篭ってるから。」

「ただお湯で戻すだけのインスタント製品だろ?」

「むっ。文句があるなら食べなくてもいいよっ!」

「っ!? いや、そんな事は無いぞ。うん、美味い。」

慌てて亨夜は美由紀の言葉を否定する。食と言う生命の基本を牛耳っている相手に対して逆らっても勝ち目はないのだから。

「……調子良いなあ。」

「終わったら、台所に出しといてよ。」

「ああ。」

「ちゃんと水で流しとくのよ。後からだと洗うの大変なんだから。」

「分かってるよ。ご馳走様。」

朝食を食べ終えると、言われた通り食器を台所へ持っていき、簡単に水で流す。

「さて、学校に行くか。」

「あ、ちょっと待って、忘れ物。宿題書いたノート、部屋に忘れてきちゃった、取ってくる。」

「そうか、早くしろよ。」

振り向いて自分の部屋へ戻っていく美由紀の背中を見送りながら、慌しい朝は過ぎていく。

出雲学園

「今日も日直だよ……。めんどくさいなあ。」

「仕方ないさ、頑張れよ、優等生。」

そう言って美由紀の背中をポンと叩く。

「ふぅ、そうだね。頑張るよ。」

そう言って下駄箱の方へと行く美由紀の背中を見送ると、弓道場の方へと足を向ける。

「さ、時間もあるし、また七海ちゃんの朝錬でも見に行くか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

弓道場へ入ると空気を切り裂く音が聞こえてくる。その先には弓を構える七海の凛々しい姿がある。

既に幾つかの的の中心に命中している中、また別の的の中央に命中する。個人的な意見が混じっているかもしれないが、銃士とも言える女好きの蜻蛉のライダー(ドレイク)の使う銃より、弓の方が何処か扱う姿に美しさを感じ取る。

「おはよう、七海ちゃん。」

「あっ、亨夜先輩、おはようございます!」

亨夜が声をかけると七海は練習を中断して、リラックスした様子で亨夜の方へとかけていく。

「昨日は、長電話しちゃってごめん。」

「いいえ。私こそ遅くまで付き合わせちゃって。」

そんな様子に微笑ましさを感じながら、亨夜は

「月食、綺麗だったね。七海ちゃんは、天体観測とか好きなの?」

「はい。……と言っても、そんなに詳しくないんですが。」

「オレは全然知らないからな。理科は苦手なんだ。」

「勉強というよりは、星占いが好きだから、その所為で色々覚えたんです。」

亨夜の言葉に答える七海。そんな様子に亨夜は笑顔を浮かべながら、

「なるほど、星占いか。流石七海ちゃん、女の子らしいな。」

「美由紀ちゃんだって、そう言うの好きじゃないんですか?」

「まさか。」

「だって、時々私から占いの本を借りていきますよ。」

「へぇ…それは知らなかった。」

七海の言葉に亨夜は感心した様子で答える。何故、亨夜に隠していたかはある程度想像できる。

「美由紀ちゃん、面白いんですよ。良い結果が出るまで納得しないんです。」

「確かに、面白いな。」

楽しそうに告げる七海の言葉に亨夜も面白そうに笑う。そもそも、亨夜は占い事態信じていない方だが、流石に雑誌や本の占い等何度占っても結果は一緒と言う程度は知っている。

「姓名判断、血液型判断、タロット西洋占星術と試して、一番結果が良かったのが占星術だから、美由紀ちゃんは占星術が一番好きなんだって。」

「…いや、流石に…そこまでやるのは占いと呼んで良いのか?」

楽しい日常の一コマとも言える会話を交わしている、丁度その時だった、

「きゃっ!」

「っ!?」

突然驚いた様にそう叫ぶと、七海がいきなり亨夜の胸の中に飛び込んでいく。弓道着の上からでも分かる両胸のふくらみが衝撃を和らげ、しっかりと受け止める。

「せ、先輩っ!」

突然の『ラッキースケベ』イベント第三段に対して『何があった!?』と驚いていると、七海が悲鳴雑じりに亨夜を呼ぶ。

「ど、どうしたの、七海ちゃん。」

突然美少女に抱きつかれると言う出来事に驚きながら、なるべく落ち着いた声でそう問い掛ける。

「せ、背中! 背中!」

「背中?」

「私の背中、なんか這ってるっ! 取って、取って下さいぃ!」

「何も居ないけど…。」

慌ててそう叫ぶ七海を半回転させて背中を見るが、そこには何も居ない。

「中、中!」

「中って…? まさか!? ちょっと待て、落ち着け!!!」

慌てて弓道着を脱ごうとする七海を慌てて止める亨夜、朝から人に見られたらどんな反応されるか楽しみな図が繰り広げられる。

「早く取ってぇ~っ!」

「分かった! 分かったから!!!」

手足をバタバタとさせながら喚く七海を取り押さえながら、亨夜は壁際まで追い込んで周りから見えない様に背中で隠しながら、襟元から背中に右腕を突っ込んで、服の中に入り込んだと言うものを探す。

明いた左手で額を押さえながら、顔を真っ赤にさせて『頼むから誰も来るなよ』等と心から祈っている事は亨夜だけの秘密だ。こんな所を他人に見られたら、どんな風に誤解されても不思議ではないのだから。

「…何処だ…。」

「右! 右です!」

(変な事を考えるな…オレ…これ以上キャラが壊れたら…本編のイメージが台無しだぞ。)

必死に自制心を全開に働かせ、七海の背中を探る。

「これか? 捕まえた。」

『いや、そんな事思ってるなら既に本編の君のイメージ全滅だぞ』と言いたくなるような、清らかで甘美な七海ちゃんの肌の手触り(亨夜談)を台無しにする、手の甲をちくちくとする感触。

素早く掌を裏返して蜘蛛の足を掴み、引っ張り出す。

「ほら、蜘蛛は取ったから、早く服を着て!」

「は、はい!」

蜘蛛を取ると亨夜は注目を浴びない内に急いで七海の乱れた弓道着を着直させる。

「「………。」」

「うう、恥ずかしい……。」

「人に見られなくて良かった…。」

心底恥ずかしそうにそう言う彼女から顔を赤くして目をそらしつつ、亨夜は天井を見上げる。天井の柱を伝って移動していた蜘蛛が、その下で喋っていた七海の襟元から弓道着の中に入り込んでしまった様だ。

「……さて、そろそろ授業に行かないと。」

「あ、そ、そうですね。」

七海が落ち着いたのを見計らって、亨夜は素早く話を切り替える。

「その前に…。」

捕まえた蜘蛛を持ち上げて全貌を確認する。先日も亨夜の服の中に入り込んだものと同じ女郎蜘蛛…それも雌。

「もう人の居る所には出てくるなよ。」

そう言って亨夜は中庭にある物置の陰、誰にも踏まれないような場所を選んで投げてやる。

「あれ、逃がしちゃうんですか?」

「殺した方が良かったか? 無闇に命を奪うのは行けないからね。」

「いえ、そう言う訳じゃないんですけど。」

気味悪そうに去っていく蜘蛛をちらちらと目で追う七海を一瞥しつつ、からかう様な口調でそう聞いてみる。

「見た目は気持ち悪いし、悪いイメージはあるけど、蜘蛛は益虫なんだ。家に住んでるダニとかの害虫を食べてくれるんだ。」

「そうだったんですか……先輩って、物知りです。」

「ふっ、そうかな? こう言う諺があるんだ…『朝蜘蛛殺すな』って。」

「朝蜘蛛は殺すな?」

不思議そうに聞いてくる七海に亨夜は説明を続けていく。

「ああ。朝捕まえた蜘蛛は神様の使いだから、殺さずに逃がしてやるんだ。」

「………じゃあ、夜の蜘蛛は……。」

「『夜蜘蛛は親でも殺せ』と言って、泥棒の使いらしい。」

「…なんで夜はダメなんですかね?」

「多分、夜は勝手に家に巣を作るからだと思うけどな。」

自分の考えを交えて蜘蛛に関する諺を説明していく。もっとも、その諺を亨夜に最初に教えた人間が龍牙である事は亨夜にとって絶対に忘れておきたい事実ではあるが。

そんな会話を交わしているとチャイムの音色が聞こえてくる。

「あっ! 予鈴鳴っちゃった!」

「そうか。拙いな、オレも急いだ方がいいか。」

「はいっ、じゃあ、失礼しますっ。」

「ああ、またな。」

着替える為に更衣室に向かっていく七海の背中を見送ると『嫌な予感』を感じつつ、教室へと向かっていく。

無言のままゆっくりと引き戸を開け、中の様子を確認して教室に入る。

「…今日は間に合ったが…なんだこの嫌な予感は?」

妙な予感を感じながら、いつもちょっかいを出してくる渚が出てこなければ、本来は何時もこんな調子だと言う事を考えながら、席につく。そして、机から一時間目の数学の準備をしていると…。

「キョ~ウ~ヤ~。」

地獄の底から這い上がってくる死者のようなドロドロと擬音が聞こえて来そうな声で呼ばれる己の名前に気がつき、その方向へと視線を向ける前に頭を掴み、渚が亨夜に絡んできた。

「な、なんだ?」

「勝負よ! 亨夜!」

「ハァ。」

思わず溜息をつきながら、朝からチャンバラ等御免だとばかりに亨夜は頭を抱えてしまう。

「……何してんの?」

何時もなら突っかかって来るはずの渚からのリアクションが何時もと違う事に気がつき、別の意味で頭を抱えてしまう。

「剣術勝負…じゃないのか?」

「あれは今日はお休み。それよりも、私のプライドとアイデンティティを賭けたもっと重要な勝負があるのよ!」

「…何だよ…それは?」

「これよ!」

何時似なく真剣な表情で告げる渚の言葉に疑問の声を上げるが、次の行動でそれは氷解する。机の上に置かれた紙皿、その上にあるのは…。

「ケ、ケーキ?」

「そうよ! 昨日はよくも酷い事言ってくれたわね! ハイソサエティな私としては、負けたままでは済まされないのよ!」

「…いや、自分で言うなよ。」

「ふふん。だって、本当の事ですもの。」

呆れた様に呟く亨夜に対して自身満万に渚はそう言葉を返す。そう、実はこう見えても、渚は日本有数の財閥である『倉島グループ』の総帥・倉島幸太郎の一人娘…良い所のお嬢様なのだ。

付け加えておくと彼女は、出雲学園の近くにあるこの山の中腹辺りにある大きな屋敷で両親と一緒に暮らしている。

「この勝負の為に、今日は態々朝の五時起きまでして、このケーキを作ってきたのよ!」

「……その成果がこれか?」

そう言って視線をケーキへと向ける。そもそも、夜に作って冷蔵庫に入れておくという選択肢は無かったのか? 等と思わない事も無いのだが、無言のまま観察する。

「………それで?」

「さあ、食べなさい! そして、美味いと思ったなら私の勝ち、不味いと思ったならあんたの勝ちよ。」

「…なるほど…要約すると…『プライドをかけた勝負』と言う訳か?」

「そうよ、勝負!」

「良いだろう、受けて立とう。」

先日のケーキのことも有るが、流石にそれだけの事を言うのならば大丈夫だろうと油断して、亨夜は笑みを浮かべる。

「望む所よ! さあ、食べなさい亨夜!」

闘志に燃えた視線で見られながら、ケーキを手にとってゆっくりと口に運ぶ。

「………。」

「……。」

ケーキを食べた瞬間、亨夜の視界が青く染まる。そんなリアクションを取る亨夜を渚は不安そうに見つめる。

「……ど、どう?」

「………。」

彼女の問いかけに対して亨夜は沈黙で返す。途切れそうになる意識を必死に繋ぎとめながら、敗者へとケーキを押し返す。

「すまん…別の意味でオレの負けだ。」

「くっ。」

悔しそうな表情を浮かべ、渚は無言のまま剣を抜く。

「コロス!」

「ちょっと待て…渚、それはオレが悪いのか!?」

「問答無用! コロス!!!」

剣を振りまわす渚の攻撃をすばやく木刀で受け流す。流石に『何故か生クリームにさえも卵の殻の様な食感を与え、甘味こそ有るがまだ酸味と苦味と塩味が有る生クリームに文字通り味の無い変わりにネバネバとパサパサと言うある種正反対の食感を持ったスポンジ』等と言う…改善なのか改悪なのか分からない代物なのだ。

「ムカつくムカつくムカつくーーーーー!!」

亨夜の言葉に怒った渚は叫びながら、剣を振り回す。哀れ、何時もの光景として受け入れられているそれは誰にも止められる事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

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