二度死んだら、三度目はサーヴァントでした   作:paddy

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皆さん初めまして、paddyです。
元々Fateの小説を書こうと思っていたのですが、ちょうどFGOで5周年がきたので、勢いで書きました。

コメント、誤字脱字報告、批評大歓迎です。





封鎖終局四海オケアノス
プロローグ


「後はお任せ下さい、女王陛下」

 

 

私はその言葉を聞いて、

 

 

――あぁ、やっとすべてが終わったんだ

 

 

本当にそう思わずにはいられなかった。

 

 

いやー本当に良かった良かった。私が一般人だった男から王女として転生しておよそ七十年、ここまで来るのに本当に長かったなあ。幼少期は不幸なことが続いたし、女王になったらなったで問題か厄介事しかなくて、前世の自分がどれだけ楽に生きていかかを痛感したし。時には自らの手で非情な判断を下さないといけない時もあったけれど。

それでも、昔から支えてくれた親友や忠臣たち、何より守るべき国と国民たちのためにも途中で折れることもできなくて、何とか最後まで走り続けることができた。

今思えば本当によく最後までできたな私。

 

 

だからもう何も思い残すことはないし、後のことはすべて皆に任せて私ももう休もう。

 

 

目を閉じれば、これまで歩んできた波乱万丈な人生がおぼろげに浮かんでは消えていく。

 

 

次こそは、どうか安らぎのある人生が送れますように…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がついたら、私は知らない森の中に立っていた。

 

 

「―――えっ?」

 

 

思わず口から声が漏れてしまった。だっておかしいじゃない。私はさっき死んだはずなのに、こんな来たことも見たこともない森の中に突っ立っているはずがないし。それともここは死後の世界とでも言うつもりか。確かに死ぬ間際に次の人生を望んだけど、こんなところでは安らぎどころか明日の自分の未来すら危ないじゃないか。

 

 

「何ですか、そんなに私が悪いことをしましたか。確かに女王としてはちゃんとできていなかったかもしれないですけども、私は私なりに頑張ったはずなのに。ていうか元男が女王として振る舞っただけでもせめて評価してくれてもいいじゃない!!」

 

 

ハア……ハア……ハア……

 

 

とりあえず頭の中でも思ったことを言えたし、改めて周りを見ても、木、木、木、木…………もう木しかないじゃない。

 

 

とりあえず今私がどういう状態なのかもそうだけど、ここがいったいどこなのかも調べないとね。……はあ、それにしても叫びすぎて喉も乾いたし、どこか水が飲める場所はないのかしら。

 

 

あっ、あったわね……。こんなに早く見つかるものなのかしら。まあ昔から運だけはよかったしね。てか運がなかったら今頃私は牢獄の中で女としての地獄を味わうか、王位を奪われて処刑コースだったし。今思い出してもヒヤヒヤするわ。

 

……ぷはぁ。それにしてもやっぱり自然の水は冷たいし上手いわね。生きていた時じゃあこんなことも中々出来なかったし。そういえば今の私ってどんな感じなんだろう? さすがにヨボヨボなおばあちゃんってことはないと思うけど、まあおばさんぐらいかな……。そう思いながら私が水面を覗いて見ると、

 

 

「―――えぇっ?」

 

 

もう一回口から声が漏れてしまった。

腰まで届く金褐色の髪、傷一つない白い素肌、メリハリのある体つきに赤を基調としたドレスを着た私。

だってどう見ても若返っているし。思わず何度も見返すけれども、結果は変わらず若い私のまま。

えっ、なに私若返ったってことは過去に戻ってきたってことになるの……。でもこんな所知らないしなあ。

 

 

「ぐっ……うぅ………」

 

 

痛い痛い痛い! 急に頭の中に何か流れ込んで来たんですけど。これいったいどこから流れてくるのよ……もっと相手のことを思いやりなさいよ!

やっと治まってきたけど……ははあ、なるほどね。どうやら今の私はライダーのクラスのサーヴァントとして存在しているらしい。

 

サーヴァントとは、英雄が死後、人々に祀られて英霊化したものを、聖杯の膨大な魔力によって使い魔として召喚したものらしい。

「英霊の座」に存在する本体のコピーが召喚され、召喚されるサーヴァントは七つのクラスに当てはめられるようで、クラスはそれぞれ、セイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの七つで、稀に例外のクラスのサーヴァントも存在するみたいだ。

 

 

今の私のクラスはライダーだけど、ライダーのクラスは騎兵ということで「乗り物に乗っていたという伝説」があればいいらしい。

でも私は、特に乗り物に関した伝説もないし、有名な乗り物があった訳でもないのに、なぜライダーのクラスに当てはめられたのか。

考えても理由は分からないし、それよりも、

 

 

「とりあえず、ここはどこなんでしょう」

 

 

サーヴァントとして存在していることも、若返ってることも一先ずおいといて、なんで私がこの場所に呼ばれたのか、そもそもここがどこなのかは結局分かっていないのよね。

 

 

――――ィン、キィーーーン

 

 

今遠くの方からかすかに金属音が聞こえてきた。

 

 

「誰かが戦っているのかもしれませんね」

 

 

どうしようかなあ。確かにこのまま分からないよりかは、人に聞いた方が早いけど戦っているしなあ。私は武器持ってないし。でもこのままでは埒が明かないし、とりあえず音のなる方へ進みましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――キィン、キィーーン

 

 

段々音の場所へ近づいて行けてるみたいね。

私は音を立てないように慎重に足を進めながら、隠れられる場所を探した。近くにあった茂みにそっと息を潜めて、体を小さくなるように丸めて耳をすませる。

 

 

「……………」

 

 

「……」

 

 

「……………………」

 

 

どうやら戦闘は終わって、何か話しているみたい。これならここの話を聞くこともできるかもしれないし、少しづつ体を近づけて行く。

 

 

――パキッ

 

 

「あっ」

「そこにいるやつ、出てきなっ!!」

 

 

何やってるのよ私は。足下にあった枝を気づかずに踏むなんてただのマヌケじゃない。でも今ので向こう側にも気づかれてしまったみたいだし、観念して出ていった方がいいかもしれないわね。

私は一応両手を上げながら茂みから出ていく。少しでも生き残る可能性があるんだといいんだけど……。

 

 

茂みから出てまず目に映ったのは、三人の人物がこちらを見ている姿だった。

黒髪に青い瞳で戦闘服を着た少年、露出の多い鎧を纏った巨大な盾を持つ紫髪の少女、そして赤いフロックコートを羽織り、頭に海賊帽を被った顔に傷のある赤髪の女性。

 

 

「―――――嘘ですよね」

 

 

私は最後の女性を見た瞬間思わず声が出てしまった。まさかこんな所で会えるなんて思わなかった。もう二度と会えないはずの、私が最も頼りにしていた人が目の前にいたのだから。

 

 

私は一歩ずつ、ゆっくりと彼女の方へ足を進めて行く。周りにいる人たちが何かを言っているみたいですが、私の耳にはまったく入ってこなかった。

目覚めてからどこかも分からない場所で、誰にも会えないと思っていたのに、まさか彼女に会えるなんて。

 

 

「ドレイク!!」

 

 

思いがけない出会いに私は駆け足になって、彼女の名前を呼びながら抱き着いた。

 




初投稿です。


二次小説書くのは初めてなので暖かい目で見守ってください。



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