帝具が暴走して好感度カンストしちゃった   作:鹿里マリョウ

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予約投稿で19時に投稿するつもりが変な時間になっちゃったんですけどお!


これ俺の村のしきたりだから

 タツミがブラートの兄貴との熱い筋トレを終え浴場で身体を流している頃、一人の女性がフラフラと覚束無い足取りで更衣室の扉を開けた。

 彼女の視線の先には、タツミの汗がたっぷりと染み付いた練習後のシャツ。

 ゴクリと大きく喉がなる。

 その姿はまるで、食虫植物の甘い誘惑に誘われた、哀れな虫を想起させるものだった。

 

「はァ、はァ、はァ♡」

 

 荒い獣の呼吸を繰り返して、金髪の女性レオーネは葛藤する。

 

 さ、流石にこんな事したらタツミに嫌われるんじゃないか?い、いやでもこんな凄い匂いを無視しろなんて生殺しだ!

 

 脳内で天使と悪魔が口論している最中、既にレオーネの腕はシャツに向かって伸びていた。

 頭では否定しても、身体はもう目の前に置かれた極上のスイーツに囚われている。何もせずに去るなどできないことは明白だ。

 

 そ、そうだ!元はと言えばこんな匂い醸し出すタツミが悪いんだ!誘ってるじゃないか!

 

 思考も暴論で自己保身を固める方向にシフトし、レオーネは口を開いた。

 

「変身〈ライオネル〉」

 

 半獣化、嗅覚が急激に強化される。

 と同時に、レオーネは膝から崩れ落ちた。

 

「──んくぁっ♡♡♡♡」

 

 まだシャツとは距離があるが、それでもこの有様。

 意識がタツミの色で染め変わる。

 

 件の記憶がじわりと脳に染み込むように蘇った。

 ・・・・・・また、頭をぶっ壊されたい。

 タツミの匂いに脳ミソ掻き回されて、何が自分かも分からなくされて、

 

 そして、

 

 そしてまた、敗北宣言をしたい

 

 歪んだ欲望が次々に湧いてくる。

 

「タツミぃ♡タツミぃ♡」

 

 最早腰に力は入らず一歩としてタツミのシャツに近づけない。動かない身体をもどかしく思いながら、うわ言のように愛しの名前を呟き続ける。

 

 

 

「──え?何やってんのレオーネ姐さん」

 

 風呂上がりのタツミと、鉢合ってしまった。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 俺が風呂から出たら、レオーネ姐さんが俺のシャツに手を伸ばしながら更衣室にへたりこんでいた。

 何を言ってるのか分からねえと思うが、俺はだいたい察した。

 

「た、タツミ!?これは違うぞ?私は無実──ちょっと待ってタツミの裸ヤバい・・・・・・」

 

 言い訳すらままならない様子。

 タオル巻いてて良かったと今日ほど思ったことは無い。

 

 洒落にならない量の鼻血を零しながら、レオーネ姐さんが凝視してくる。

 ライオネルで変身していることも相まって、猛獣に睨まれた気分だ。

 

 恐怖に竦んでから不意に思い出す。

 この状況で責められるべきは確実にあっちであり、また俺にはレオーネ姐さんに金を取られた恨みがある。

 その恨み、ここで果たすことも可能だ。

 

 再びレオーネ姐さんへと目を向ける。今にも飛びかかってきそう。

 ・・・・・・やっぱ怖くね?

 今は一匹の発情したライオンに食われる寸前。

 正直恨みを一旦忘れて逃げ出したいが、あちらは理性のタガなどとうに外れている。背中を向けた瞬間、飛びかかってくるだろう。

 

 腹を括るしかない。

 

 ここで怖気づいていたら一生恨みを返せないぞと脳内で繰り返す。

 

 目の前の猛獣に、自ら一歩踏み出した。ゆっくりと、隙を見せないように。

 顔を真っ赤に紅潮させるレオーネ姐さんの間合いに入る。

 

 

 緊張の一時。

 

 

 レオーネ姐さんが、微かに鼻を動かした。

 

「ふぁっ♡♡」

 

 目尻が垂れ一瞬俺への意識がブレる。

 瞬間弾かれたように飛び出した。

 普段なら軽く捻られるであろう攻撃も、今なら当てれる。

 

「トウッ!」

 

 レオーネ姐さんに飛びついて組み伏せた。

 仰向けに倒されるレオーネ姐さんは、背中から落ちた衝撃で理性が戻ってくる。

 

「え?タツミ?・・・・・・っ!?ちょ、は、はだ──」

 

 よし、何とか拘束には成功したぞ!

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・え?この後どうすんの?

 

 

 恨みを返すって具体的に何をやればいいのだろう。

 

「裸だ♡タツミの裸♡凄い・・・・・・ふあ♡え、何この匂い。すごい、あったかい・・・・・・♡」

 

 ・・・・・・恨みを返す。つまりお仕置すればいいのかな。

 

「汗の強い匂いじゃなくて、風呂上がりのタツミの優しい匂い♡あぅぅ♡♡こっちもすきぃ♡♡」

 

 俺の故郷には、お仕置きといえばコレ。というものが一つある。

 

 仰向けに押し倒したレオーネ姐さんの上から一旦退く。

 一応腕は抑えているが、何故だかレオーネ姐さんは上の空状態なのでいらない気もした。

 というかろくに抵抗してこないな。

 

 俺は正座をして、その上に今度はうつ伏せにしたレオーネ姐さんの腹を乗せる。

 

「タツミぃ♡もっと優しい匂い頂戴♡」

 

 ぶっちゃけ何を言っているのか理解できないが、しかし反省していないことは伝わった。これはお仕置しなければ。

 

 大きく右手を引き絞る。

 

「タツミ?」

 

 ようやく俺がいつもと違う雰囲気なのを感じとったか、だがもう遅い。

 俺は思いっきりレオーネ姐さんの尻を引っぱたいた。

 すなわち、おしりペンペンである。

 

「フンっ!!」

「んぎぃッッ!!?」

 

 苦悶の声が響く。

 

「フンっ!!」

「あぐッッ!!?」

「フンっ!!」

「ひぎゅッッ!!!」

 

 二度三度、四度五度と続く。しかしその程度では終わらない。俺の故郷では百回やるのが通例だ。

 

「た、タツミっ、ゆるひて・・・・・・」

「フンっ!!」

「いぎぃぃぃぃ!!!??」

「許して欲しい時はなんて言うんだ?」

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

「それでいい!フンっ!!」

「んんんん〜〜ッッ!!!!なんでぇー!?」

 

 レオーネ姐さんが涙を浮かべて抗議してくる。しかしここは心を鬼にして続行だ。

 

「謝って済んだらナイトレイドいらねえんだよ!フンっ!!」

「あぐぅぅぅぅぅ!!!!!ごめんなしゃいぃぃぃ!!!」

 

 チンピラを演じるのがおしりペンペンのコツだ。

 

 乾いたビンタ音と、レオーネ姐さんの悲鳴がこだまする。

 しかしその声は、おしりペンペンが十五を超えたところで変化を迎えた。

 

「フンっ!!」

「ごめんなさいっ♡」

「フンっ!!」

「ごめんなさいっ♡♡」

 

 彼女の悲鳴は、徐々に甘さが混じり嬌声に近くなっていた。

 

「フンっ!!」

「ごめんなさいぃ♡♡・・・・・・なにこれ♡♡・・・・・・お尻ジンジンすりゅの、ちょっと、きもちぃ♡♡♡♡」

 

 微かにだが、レオーネ姐さんはこの行為に快楽を得始めたのだ。

 

「フンっ!!」

「ぁあっ♡ごめんなしゃぃ♡♡♡・・・・・・だめ♡どんどん気持ちよくなる♡♡これだめなやつ♡♡♡に、逃げ──」

「フンっ!!」

「ごめんなしゃいいいぃぃいいぃぃぃ♡♡♡♡」

 

 逃げ出す素振りを見せた瞬間一際強く叩く。こうすることで逃げたらもっと辛いと刷り込んでいくのだ。

 そんな極悪非道な行いに引っかかってしまったレオーネ姐さんは、身をよじるなどの行為を止めた。

 それでも助けを求めて、手だけは前に伸ばす。

 しかしいくら伸ばしてバタつかせても、結局そこには誰もいない。助けなどなかった。

 

「フンっ!!」

「ごめんなしゃいっ♡♡♡♡」

 

 

 

 だがなんと、無意味だと思われた腕を伸ばす努力は、とある事象を引き起こした。

 レオーネ姐さんにとって、最悪と最高とも取れる事象を。

 

 懸命に助けを求める手のひらが、俺の訓練後の服が脱ぎ捨てられたカゴに当たった。

 ひっくり返り、汗を吸ったシャツがレオーネ姐さんと地面の間に滑り込む。

 

「〜~〜~〜〜~〜~〜~〜~ッッッッッ!!!????」

 

 声にならない叫びが飛んだ。

 彼女の頭の中では快楽の花火が弾けていることだろう。

 

「フンっ!!」

「こぉあっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 シャツとお仕置のダブルブッキング。

 訳の分からぬ気持ちよさに、視界は真っ白、体は痙攣。脳の許容量を遥かに上回り、意識はブツリと途切れる。

 

「フンっ!!」

「うぎゅひっっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 しかし失った意識は俺の平手打ちの衝撃で引き戻された。

 目を覚ますと目の前には俺の訓練後のシャツ。そして絶え間なく襲ってくるおしりペンペン。

 また快楽のキャパオーバーで気絶、起こされる、気絶、起こされるの無限ループに陥る。

 

「ほら、謝罪は!?フンっ!!」

「あぎゅぅっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡は、はひ♡♡♡♡ごめんなしゃいいっっ♡♡♡♡」

「フンっ!!」

「きゅにゅう♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ご、ごめんな──」

「フンっ!!」

「あぎひぃぃぃぃ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ごめんなしゃいいいいいいい♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 時折意識がブツ切りになりながらも、喘ぎと共に謝罪を叫び散らす半獣化した女性と、その女性をおしりペンペンし続ける腰にタオルを巻いただけの男。どう見ても事件だ。

 しかし俺は気にせずお仕置を続ける。

 ひたすら無心で叩き続けるのだ。

 故郷でもそう教わった。変に情をかけてしまえば、味をしめてまた悪さをするかもしれない。どんなに謝っても泣いても、決して手を緩めてはいけない。

 

 俺は機械。無慈悲なおしりペンペンマシーンだ。

 

「フンっ!!」

「ごめんなしゃいいいいいいい♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

「九十七回目ぇ!フンっ!!」

「っ♡♡♡♡♡♡ごめんなしゃいいいいいいい♡♡♡♡♡♡♡♡」

「九十八回目ぇ!フンっ!!」

「ごめんなしゃいいいいいいいい♡♡♡♡♡♡♡♡」

「九十九回目ぇ!フンっ!!」

「あああ♡♡♡♡ごめんなしゃいいいいいい♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

「百回目ぇ!フンっっっ!!!!」

「たちゅみごめんなしゃいいいいいいいいいいいい♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 ようやく百回のおしりペンペンが終了する。

 レオーネ姐さんはぐったりとしつつも、尻に残る快楽の余韻と、鼻に直付けされたシャツの匂いで体を定期的に跳ねさせている。

 

「はぁ、はぁ・・・・・・んっ♡はぁ、タツミぃ♡タツミぃ♡」

 

 息絶え絶えという表現がベストマッチするような姿で俺の名前を連呼する。名前の連呼は彼女の求愛行動らしい。

 

 

 

 

 

「・・・・・・え?なんか終わった感出してるけど、まだ後百回あるからね?」

 

 

 

「・・・・・・ぁえ?」

 

 何を驚いているのか。

 イタズラをして百回なのだ。人の金を騙し取るなんて犯罪行為、二百回でもまだ少ないと言えるだろう。

 それでも二百回で許してあげる慈悲を感じて欲しい。

 

「ほら続きいくぞ、フンっ!!」

「いぎゅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡た、たちゅみ♡♡はなしが、ちがっ♡♡」

「謝罪はどうした!フンっ!!」

「んきゅぅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ご、ごめんなしゃいいいいいいい♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 

 この後しばらく、甘さと苦しさを混ぜ合わせた嬌声が止むことはなかった。

 

 

 

 

 

「フンっ!!一九八!」

「♡♡♡♡・・・・・・ご、ごめん・・・・・・な、しゃぃ♡」

「フンっ!!一九九!」

「♡♡♡・・・・・・ご、ごめ、なしゃぃ♡」

「フンっっっ!!!!!二百!!!」

「♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡・・・・・・ごめ♡・・・・・・♡♡・・・・・・しゃ♡♡・・・・・・♡♡♡♡」

 

 これにて、お仕置おしまい。

 

「♡♡♡♡♡♡」

 

 レオーネ姐さんは涙とヨダレで顔、そしてシャツをぐちゃぐちゃにしていた。

 

「・・・・・・レオーネ姐さん」

「っ♡♡♡♡ひゃぃ♡♡♡♡♡♡」

 

 俺の呼び掛けにビクリと身体を過剰に反応させる。

 ゆっくりとそんなレオーネ姐さんを労りながら起こした。

 そして静かに抱きしめてあげる。

 

 これも俺の村のしきたりだ。おしりペンペンの後、無用な悔恨や恐怖を残さない為に相手を抱きしめる。

 

「ふああ♡♡優しいタツミだあ♡♡♡♡」

 

 消耗の末腕を上げることすらも叶わないレオーネ姐さんは、必死に俺の胸板へ頬を押し付けてきた。

 頭を撫でてあげる。これもしきたり。

 

「それすきだぁ♡♡優しい匂いもすきぃ♡♡・・・・・・タツミ♡タツミ♡厳しいタツミも、優しいタツミも、どっちも大好きだぞ♡♡」

 

 よし、これで後に恨みが残ることはないだろう。

 

「・・・・・・それはそうとお金は返してね」

 

 まあこれは別問題だよね。普通にね。

 

「分かった♡♡私の全財産あげる♡♡」

「いやそんなにいらねえよ。俺が盗られたのほんのちょっとだぞ」

 

 極端過ぎるんだけどこの人。

 

「違うの♡♡私タツミに二回も手も足も出ず負けたから♡♡♡♡レオーネタツミに完全屈服しちゃったから♡♡♡♡♡♡私の物全部タツミに貢がなきゃいけないのっ♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 胸板から俺を見上げる虚ろな目が、その言葉は冗談ではないと告げている。

 

 

 俺は一旦レオーネ姐さんを置いて一人着替える。

 しっかりと服を着たら、超全力ダッシュで逃げ出した。

 

 だって怖いんだもん。




ただのおしりペンペンだからr18ではない。
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