帝具が暴走して好感度カンストしちゃった   作:鹿里マリョウ

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はじめてのにんむ (デートとか言わないで)

「帝都の市政調査?」

「ああ、タツミも流石に帝都を知った方がいいだろう。任務がてら観光して来い」

 

ナジェンダさん(ボス)から外出を提案された。

 

「でも俺外出ちゃダメって決まりじゃなかったっけ」

 

 好感度上昇組から理不尽に言い渡された決まり。怖いから守るけども。

 

「ああ、それに関しては大丈夫だ。なんたって──」

「私がついて行くからね!」

 

 急にマインが扉を開けて出てきた。ずっと待機していたのだろうか。

 というかいつの間にか〝外に出ちゃいけない決まり〟が〝 一人で外に出ちゃいけない決まり〟に変わってたんだが。絶対マインの独断だろう。

 

「シェーレとアカメは任務で留守だし、レオーネは昨日酒飲み過ぎて爆睡してるし・・・・・・完璧ね!さあ、デートに出発よ!」

 

 デートって言っちゃったよ。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

「タツミ、あーん」

 

 任務ってなんだろう。

 

「・・・・・・」

「あーん」

「・・・・・・・・・・・・」

「あーん」

 

 マインオススメだというスイーツ店で、パフェを楽しんでいる。

 こういう場合対面して座るのが普通なんだろうが、マインは俺の隣に座り、肩と肩をくっつけてきた。

 そのせいでかなり浮いているが、目立っちゃダメなんじゃ?

 

「あーん」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 真横からクリームの乗ったスプーンを突き出してくるマインは、意地でもあーんを成功させる気だろう。

 

「・・・・・・あーん」

 

 埒が明かないので仕方なく応じる。

 

「〜〜っっ♡♡♡♡♡♡」

 

 そんな喜ぶ?

 そのままマインはスプーンを自分の口の前に持って行って、一度唾を飲む。そして意を決してスプーンを咥えた。

 

「ふわっ♡・・・・・・これ、いい!」

 

 パフェには目もくれず一心不乱にスプーンを舐め続けるマイン。そんな異常な姿にも特に驚かなくなってしまった自分に少し凹む。

 

「マイン、あーん」

「・・・・・・・・・・・・ふぇ!?」

 

 目を丸くしているがそんなに驚く事だろうか。

 そっちのパフェをくれたんだし、それに久しぶりに外に出してくれたお礼だ。家の中ばかりで流石に気が滅入りそうだったのだ。

 

「あ、あーん♡♡」

 

 マインはスプーンを握る俺の手を掴み逃げられないようにする。

 顔を紅潮させ息を荒らげる姿は、恥ずかしいというより発情しているように見えてしまう。

 

「はむっ」

 

 おっかなびっくりに俺のパフェを頬張ったマインは、なかなかスプーンから離れてくれない。

 

「んむっ♡れろ♡♡・・・・・・れぇ♡♡はァ♡はァ♡」

 

 スプーンを舐め回し最終的には唾液が橋のように糸を引いた。

 なんでお前いちいち扇情的にすんの?

 

「美味いか?」

「うん♡すっごく、幸せだわ♡♡」

 

 味の感想聞いたんだが。

 終始こんな調子なマインに諦めを抱きつつ、パフェを食べ進める。

 その間マインは俺のスプーンを見て興奮していた。

 

 

 

 

「次はどこに行こうかしら」

 

 マインが腕を組んで身を寄せてくる。

 スイーツ店を後にした俺たちは宛もなく街中をさまよっていた。

 

「・・・・・・マイン、なんか妙に騒がしくないか?」

 

 急に人通りが激しくなる。

 通り過ぎていく人の顔からは、確かな恐怖の色が見て取れた。

 

「恐らく公開処刑でしょうね。帝都ではよくあることよ」

 

 マインの言葉が届くが早いか、俺はソレを目にしてしまった。

 

 磔にされた数人の人間。至る所に矢が刺さっている。

 死ぬまであそこで苦しみ続けるのだ。

 

「な、なんて酷いことを・・・・・・」

 

 意識せず口から言葉が零れた。

 

「ああいうことを平気でやるのが今の大臣。世継ぎ争いで幼い皇帝を勝たせたキレ者よ」

 

 マインが、磔られ苦しむ人々を鋭い眼光で睨む。

 

「私は、あんな風にはならないわ」

 

 マインの瞳の奥で確かな決意が燃えていた。

 

「──私はねタツミ。革命を成功させて、その功労者として貴方と二人でセレブに暮らすのよ。」

 

 異様な雰囲気を纏ったマインがこちらに視線を向ける。

 

 ・・・・・・勝手に俺が人生プランに組み込まれているんですが。

 

「タツミも私と暮らしたいでしょう?」

 

 絡められた腕が、一層強く締まる。

 恍惚とした、でも何処か歪な笑いを浮かべて、光無い双眸が覗き込んでくる。

 

「あーんだってしてくれたものね♡タツミも私のこと大好きなのよね♡」

 

 クスクス、クスクスと、笑い声。

 何かがおかしい。

 マインの声が遠のいていく。

 

「これからはずっと、ずぅーっと一緒よタツミ?ふふふっ、タツミ♡タツミ♡タツミぃ♡♡」

 

 ボヤけた視界が回る。

 

 あれ?なんで地面が目の前に────。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 次に目を覚ました時はナイトレイドのアジトだった。

 ベッドの周りにはボスと好感度上昇組に加えてサヨまで来ていた。

 そして部屋の隅にマインが縄で縛られている。

 

「くっ、解きなさいよー!!アタシとタツミ恋路を邪魔するというのっ!?この!この!」

 

 マインが縄から外れようともがいているが、悪足掻きだ。そもそもの身体能力がそれ程高くないため、固く結ばれた縄はビクともしない。

 

「タツミ、眠らされる前のことは覚えているか?」

 

 ボスが心配そうな目で尋ねてきた。

 

「・・・・・・市政調査で公開処刑を見たところまでは」

「ふむ、ではその後の話からしようか」

 

 

 ボス曰く、俺があーんさせられた時、強力な睡眠薬も同時に飲まされていたようだ。あーんし返さなければよかったな。

 そして俺が眠った後、マインが俺を誰にも見つからない場所に運び込もうとしたところを、突如現れたレオーネ姐さんにぶっ飛ばされたという。急展開過ぎる。

 レオーネ姐さんは朝起きたらアジトに俺がいないもんだから街中を探し回ったらしい。

 ちなみにもし公衆の面前じゃなかったら〈ライオネル〉を使って殴ってたとはレオーネ姐さんの談。

 

 以上が事の顛末。

 

「そこでだなタツミ、今後このようなことがないように、お前にはこれを渡しておく」

 

 ボスが懐から小瓶を取り出す。

 中に数個の丸薬が入った小さなものだ。

 

「こいつは革命軍が開発した試作品の対毒薬でな、大抵の毒なら何とかなる。猛毒にだってそこそこ効果を発揮するぞ。今回お前が早く起きれたのもこの薬のおかげだ」

 

 ボスが自慢げに話すということはかなり凄い薬なのではないだろうか。

 

「貰えませんよ俺戦闘に出ませんし」

「いやこいつには厄介な副作用があってな。毒を消した後めちゃくちゃ体が痺れるんだ。動けないほどではないにしろ、どの道まともに戦えん。実戦投入は現段階では不可能だな」

 

 言われてみれば微かに体の感覚が鈍い。服用してからも暫くは寝たままだったようなので、これでもかなり収まった方なのだろうが。

 毒を解除しても体痺れてたら殺されるか。いや、生け捕りとかの可能性が高まるからさらに酷い。拷問なんて考えるだけで身の毛がよだつ。

 

「そういうことなら貰っとくよ。ありがとう」

「ああ」

 

 ボスから薬を受け取る。使う機会が無いことを祈るばかりだ。

 

「それよりタツミー、マインとデート行ったんだろ?おねーさんとも行こうぜ」

 

 レオーネ姐さんが俺の顔を胸で押し潰してきた。

 

「そ、そうだタツミ!私も二人っきりでなにかしたいぞ!」

「私もですご主人様」

「おにーちゃん私もー♡」

 

 アカメ、シェーレさん、サヨも続く。

 今回の件でデートにかなりの抵抗ができたので遠慮したい。

 

「頼めるかタツミ?このままじゃナイトレイド内で不満が爆発しそうなんだ」

 

 不満と引き換えに胃が爆発しそう。

 

「悪いけど遠慮し──」

「よーしじゃあ順番決めジャンケンやるぞー」

 

 聞いてくださいレオーネ姐さん。ジャンケンしないで。

 

 

 

「・・・・・・私が勝ちましたぁ!」

 

 シェーレさんが満面の笑みで駆け寄ってきた。

 眩しい笑顔。顔面エクスタスだ(褒め言葉)。

 

「やだあ!」

 

 シェーレさんの幸せオーラを引き裂いて、腹の上に泣きっ面のサヨがダイブしてくる。

 

「私が最初におにーちゃんとラブラブえ〇ちするの!」

「え?サヨ今なんて──」

 

 言い終わる前に、サヨの顔面目掛けて巨大バサミが切り裂いた。

 しかしサヨは身体を引いて危なげなく回避する。

 

 言い終わる前に始めないで。サヨ凄いこと言わなかった?・・・・・・いやまさかな。聞き間違いだろう。てかサヨ避けんのうま。

 

「それ以上、ご主人様に汚い手で触るな」

「・・・・・・私いまおにーちゃんとお話してたんだけど」

 

 サヨとシェーレさんの間に弾ける火花を幻視する。

 

「おにーちゃん、ちょっとまっててね。シェーレさんとお話してくるから」

「ご主人様、少々お待ち下さい。ゴミ掃除をしてまいります」

 

 視線を交錯させて何を感じたのか、二人は同じタイミングで俺に笑いかけてきた。

 両者殺伐とした冷気を纏わせながら部屋を出ていく。

 

 サヨってあんなに怖かったっけ。

 

「アカメ、レオーネ姐さん、止めてきて」

 

 とはいえあのシェーレさん相手じゃサヨはひとたまりもないことなど明白だ。(全然そんなことは無い)

 

「な、何故だタツミ。私はもっとそばに居たいぞ」

「お姐さんも!」

 

 アカメ達がごねてくる、早くしなければサヨの命すら危ういので行ってもらいたいのだが。

 この状態に入ったアカメ達はそう簡単には動かない。

 

「止めてきてくれたら頭撫でてあげる」

「「行ってきます」」

 

 めっちゃ簡単に動いてくれた。

 

 その後しばらく、外から轟音が響き続けることとなる。

 

 

「ちょっと縄解きなさいよー!!」

 

 室内でも甲高い叫びが飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜、誰もが寝静まった深夜に、アジト内をウロつく人影が一つ。

 

「うふ♡うふふふふ♡♡今回は失敗したけど、次はもっと上手くやるわ。タツミが渡された対毒薬も一個盗ったし、先ずはこの薬が効かない睡眠薬を作らないと。

待っていてねタツミ♡タツミ♡タツミ♡タツミ♡♡」

 

 窓から差し込む月光がピンクのツインテールを濡らす。

 

 マインはこれっぽっちも反省していなかった・・・・・・。

 

 

 




Twitterで流れてきたスプラトゥーンのイカちゃんの見てたらなんか、主人公に虐められるのが気持ちよくなっちゃったイカちゃんがリスポーン地点で死んでは狩られを繰り返されて、負けるのクセになっちゃう小説思いついた。
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