ルート2、解放条件。ルート1クリア。
0章 2月4日(水)
遠坂蓮は倹約家である。彼にとって聖杯戦争とは莫大な魔力リソースというリターンはあるもののそれを得るまでのリスクと準備に必要な費用を考えるとあまり乗り気ではなかった。しかし、令呪が出たことに加え10年前の聖杯戦争によりセカンドオーナーを剥奪された遠坂家のことを考えると参加し儀式を成功させなくてはならない。正直、彼にとってはどうでもいいことなので適当に世継ぎを作り、教会の兄弟子に丸投げし自分は引退し優雅な生活を送ろうとまで考えていた。だが今は亡き父時臣の特許により収入はあるものの年々減ってきており自分でも補わなくてならなくなっているのだ。一先ず彼は使うお金を抑えるため、自身の得意魔術である宝石魔術を最低限に封印、強化魔術による格闘術に切り替え、食べる物も換え、更には魔術協会だけでなく兄弟子を通じて聖堂教会の仕事をも請け負い貯蓄に専念しながら高校生として勉学にも励む毎日となった。そして聖杯戦争の召喚では令呪もあるため誰かは来るだろうと触媒を用意しないことを決めた。いざ、召喚…とその前に白米と味噌汁、そして瓜の漬物と質素な食事を取り準備が終わる。魔方陣を書き詠唱を始める。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。
ーーーー告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よーーー!」
魔方陣が光り中からサーヴァントが現れた。手に大きな弓を持つ、長く綺麗な黒髪で和服の美少女であった。
「サーヴァント、アーチャー、召喚に応じ現界したわ。貴方がマスターかしら?」
「あぁ、そうだ。よろしく頼む」
アーチャーは探るようにこちらをみてくる。
「ふーん、貴方運がいいわね。バーサーカーでない私が呼ばれるなんて。触媒は何を使ったのかしら?」
「別に何も使ってはいないぞ」
「何それ意味わかんない」
ステータスを確認する。筋力と俊敏がDランクと低いものの魔力がAランクと非常に高い。そして…高ランクの神性を持っている。このサーヴァントは何者なのか…
「…お前の真名は?」
「教えてもいいけど…先ずは貴方のことを知りたいな」
「遠坂家当主、遠坂蓮だ。マスターでも蓮でも好きに呼んでくれ」
「じゃあレンで。レン、貴方の願いは何?」
「金だ。シンプルな願いだろ?」
「えぇ、わかりやすい願いね、気に入ったわ。最後に1つ、貴方は私をどう扱うつもり?サーヴァントとして奴隷のように?それとも女神として跪く?」
聞かれるまでもない。
「サーヴァントである以上、女も神も関係ない。基本的には俺の言うことを聞け。しかし、お前の意見を無視したりはしないからそこは安心しろ」
「フフフ、わかったわ。じゃあ次は私の番ね。自己紹介の前に私の目的を話すわ。私の願いは受肉し第二の人生を送ること…その時は私の面倒をみてね!」
「な!」
「そして、私の真名は…」
「瓜子姫よ」
…触媒って晩飯(瓜)かよ
遠坂蓮:魔術師。令呪が宿り聖杯戦争に参加せざるを得なくなった。父の脱落により遠坂家は夏海のセカンドオーナーから外されたため次の世代に繋ぐまでには戻そうと動いている。なお主食は交遊時を除くと水道水と塩が中心で米や味噌を食べるのは結構久しぶり。
アーチャー:真名瓜子姫。「瓜子姫と天邪鬼」に出てくる瓜から生まれた美少女。神性持ちでアーチャーだけでなくバーサーカーにもなれるようだが現在詳細不明。東と西で物語の結末が異なるがこの瓜子姫は果たしてどんな結末を迎えたのか…。触媒はレンが召還前に食べた瓜の漬物。
はい、スタートはこんな感じですが主人公は衛宮結ちゃんですよ。いきなりアーチャーの真名が出てきましたね。ルート2の分岐点はどこになるのか…楽しみにしていただければ幸いです。ここまで読んでいただきありがとうございました。