「La la la」
誰もいない。何もない。
「La la la la」
ここは果て。
「La lu la la」
わたしは君を歓迎しよう。親愛なる読者様。
※ ※ ※ ※
「終わったね」
少年は旅を終えた。きれいな館だった、きれいな景色だった、いい人達だった。
「さよならだね」
博麗神社と呼ばれていた巫女のいた神社に2人は帰ってきた。
「そうなる」
夕日が彼らを照らしている。
「お帰りなさい」
神社では八雲紫と巫女が待っていた。
「そして さようなら」
札で囲まれた中に少年は足を踏み入れた。
体の力が抜けていくような感覚がある。
「約束は守ってね」
結界の中から少年は告げる。それに無言で頷き、それを合図にしたかのように札が光を放ち彼を包み込む。
それは暖かく、温もりに満ち、彼を啜っていた。
腕の先から徐々に光になっていく。不思議と痛みはない。
人のために死ぬなら良いなんて言ってみたものの実際は怖い。痛みはないが死が迫ってくるのを感じる。次々と自分の身に起きたことがフラッシュバックし、映像の様に転写され、流れていく。
「ルーミア!ありがとう、そして本当にさようなら。短い間だったけど楽しい観光だった!」
声だけが残され、光が消える。彼の姿はどこかに消えていた。
※ ※ ※ ※
「こんにちわ」
何もない。
「どうだった?この優しい人のお話は」
同然返答はない。そこは白く、何もない。空も、地面も、果ても。どれだけ走ろうがどれだけ飛び上がろうがどれだけ降りようが。
「優しいって言葉があんまり好きじゃなくてさ。だって、他人から優しいねと言われればそれは都合が良いだけかもしれない。自分で自分を優しい人だよと言うのは傲慢すぎる。優しいというのは他人が決めることだし、自分で決めることじゃない」
声だけがこだまする。
「最初に植え付けられたあの黒いマーク。それのおかげで若干妖怪みたいな事ができる様になったんだ」
白い空間の少年は未だ話し続けていた。
「誰かに俺という存在を認識してもらう。それで存在を維持できるようになった。俺は君が何を思っているのかも分からないから、このお話が目を通すまでもない駄作だと思っているのかもしれない。けど俺の目的は俺を認識してもらう事。別に最後まで読まなくたっていいわけだ。でも最後まで見てくれた人は俺の目的がわかるってわけ」
少年は光の粒子に戻り、また身体を作り直す。
「何にせよこれにて終幕。目を通してくれてありがとうね。君は優しい人だ」
笑顔を浮かべて少年は光となって消えた。そして何もなくなった。