やはり俺がもう一つの現実で戦うのはまちがっている。 作:辻谷戒斗
第一話 リンク・スタート
「もう1週間後には修学旅行っしょ!?テンション上がるわ〜!」
「だな」
「それな」
11月に入って、修学旅行が約1週間後に迫った今日。その放課後の我がクラスは、いつも以上に騒がしくなっていた。
え?俺?いつも通り机に突っ伏していますがなにか?
だが、まぁ、かく言う俺も柄にもなくテンションが上がってしまっている。
しかし、その理由は修学旅行なんかでは断じてない。
今日から2日後、11月6日の日曜日。この日に、世界初のVRMMORPGである《ソードアート・オンライン》、通称SAOの正式サービスが開始されるからだ。
もう一度あの世界へ――今の俺の頭の中はその言葉しかない。戸部の依頼のことなんて忘れたね。もう。海老名さんに至っては意味不明だったし。
自分の顔が自然とニヤけているのが分かる。フッ……。俺もゲーマーだった、ということか……。
「ヒッキー!起きてるよね?部室行こー!」
「……ああ。行くか」
葉山グループの連中との話を終えた由比ヶ浜が呼んだので、俺は顔のニヤケを抑え、バックを持って自分の椅子から立ち上がった。
そして、由比ヶ浜と教室を出ようと教室の扉まで歩く。
「あ!八幡!」
俺たちが教室から出ようとした瞬間、後ろから戸塚が話しかけてきた。
「おお!戸塚!どうしたんだ!?」
「うっわ!ヒッキーさいちゃんにだけテンション上がりすぎ!マジキモい!」
うっせえぞ由比ヶ浜!戸塚は可愛くて天使なんだから当たり前だろ!全く……なぜそれが分からんのだ。
「あ、あはは……。八幡たちは今から部活?」
「おう。戸塚もか?」
「うん。そうだよ。奉仕部、大丈夫?難しい依頼とかきてない?」
「ああ。まぁ、大丈夫そうだ。心配してくれてありがとな。逆に聞くが、テニス部は問題ないか?」
「大丈夫だよ!ありがとう!」
「ヒッキー!そろそろ行かないと!ゆきのんに怒られちゃうよ!」
おっと。つい戸塚との話に夢中になってしまった。流石に部室に行かないとな。雪ノ下に怒られるのは勘弁だし。
「分かったよ。じゃあ、またな戸塚。テニス、頑張れよ」
「うん!またね八幡!」
戸塚と別れ、由比ヶ浜と共に奉仕部の部室に向かう。
……なんか、隣から視線を感じるんだが……。
「……おい。なんか用か、由比ヶ浜」
「え!?い、いや……ヒッキー、なんか機嫌いいな〜……って。いいことでもあったの?」
「あ?そんなもん戸塚と話せたからに決まってるだろ」
「違う違う!確かにさいちゃんと話した後のヒッキーはいつも機嫌いいけど……。それ以外の時も、最近はずっと機嫌よさそうだからさ……」
な、なに……!?そんなに顔に出ていた……だと……!?やだ!チョー恥ずかしい!……うん。キモいな。
「まぁ、めっちゃ楽しみなことが控えてるからな。テンション上がらずにはいられねぇよ」
「え!?ヒッキーって修学旅行楽しみにするような人だったけ!?」
「いや、修学旅行を楽しみにしてるわけじゃないんだが……」
「あ、部室着いた!やっはろー!ゆきのん!」
由比ヶ浜はそう言って部室の扉を開ける。
自分から聞いてきたのに、俺の話は最後まで聞いてくれないのん?俺の話なんて興味ないですかそうですか……。
「こんにちは。由比ヶ浜さん。あと、比企谷くんも」
「……うす」
由比ヶ浜と奉仕部の部室に入り、いつもの席に座る。
……俺の気のせいかもしれないが、最近雪ノ下の機嫌がいい気がする……。
その根拠は、最近俺への罵倒が少なくなっている気がするのだ。
現に部室に入って挨拶してきたとき、いつもならヒキガエルくんなどなどの罵倒が飛んでくるのに、今日は何もなく普通に比企谷くんと呼ばれた。もうこの時点で異常だな。異常。
……あれ?なんか悲しくなってきた……。
「どうぞ」
「ありがとーゆきのん!」
「……サンキュ」
そんなくだらないことを考えていると、雪ノ下が紅茶を淹れてくれていた。
一旦思考を中断し、雪ノ下が淹れてくれた紅茶を堪能する。
……うん。美味い。流石は雪ノ下だな。
「ねえねえゆきのん」
「何かしら?由比ヶ浜さん」
「修学旅行楽しみだね〜!もうあと一週間だよ!」
「……ええ。そうね。楽しみだわ」
ん?雪ノ下って修学旅行を楽しみにするようなやつだったのか?意外だな。
「え!?意外!ヒッキーもだけど、ゆきのんも修学旅行楽しみにできる人だったんだ!」
「失礼ね……」
「本当にな」
すると、雪ノ下がコホンと一つ咳払いしたかと思うと、俺たちに向かって言葉を紡ぎ出し始めた。
「……確かに以前の私なら、そこまで楽しみにしていなかったと思うわ。でも今は……その……ゆ、友人と言える人ができたから……」
「ゆ、ゆ、ゆ、ゆきのーん!!」
「キャッ!だ、抱きつかないでもらえるかしら由比ヶ浜さん……。その、暑苦しいわ……」
「だってぇ……だってぇ!!」
……俺たちじゃなくて、由比ヶ浜にでした……。まぁ、分かってたけどね?どれだけ雪ノ下の機嫌が良くても俺に対しての扱いが良くなるとかないよな。うん。ないわ。
俺はそんな二人を横目に、いつも通り自分のバックから文庫本を取り出して読み始めた。
******
11月6日の日曜日の昼。俺はベッドから出て飯を食べるためにリビングへ向かう。
……え?起きるのが遅いって?日曜日だとこんなもんだろ。休日は休むためにある日なんだからな。
「……ん?何だこのメモ?」
昼食を食べようと食卓に向かうと、その上に何かが書かれたメモが置いてあった。俺はそのメモを持って、書かれている文章を読む。
【お兄ちゃんへ。小町たちは外に食べに行ってくるであります!お兄ちゃんはカップ麺でも食べておいてください!あと、ソードアート・オンライン楽しんできてね!お兄ちゃんが楽しんでくれると小町も嬉しいです!あ、今の小町的にポイント高い!
P.S.後で小町にもやらせてね!】
「……最後のがなきゃな……」
俺はそう呟き、カップ麺を作るためにキッチンへ向かう。
つか今回は間違えなかったんだな。前はP.S.のことS.P.ってやってたし。S.P.ってどこのセキュリティポリスだよ。小町がちゃんと成長してて、お兄ちゃん嬉しいぞ。
さてと、今日は……カップラーメンでいいか。ちょうどラーメン食べたかったし。
カップにお湯をいれ、タイマーを三分に設定しセットする。
3分間何をするかと悩みふと携帯を見ると、メールが来ていたことに気づいた。
「メール?誰からだよ……?」
『FROM 材木座
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八幡よ。いよいよSAOの正式サービス開始日であるな。まさかそれをプレイすることができるとは……真に羨ましいぞ八幡!!しかし、それをプレイできるのは選ばれた者の特権であるからな。楽しんでくるのだぞ八幡よ!!……あ、後、少しでいいからSAOプレイさせて。』
材木座かよ……。あいつ、SAOやりたいって言ってたのに手に入れられなかったからな……。仕方ない。あいつもゲーマーだし、今度やらせてやるか。
俺はメールの返信画面を開き、材木座に送るメールをうつ。
『ああ。思う存分楽しんできてやるよ。SAOやりたいなら来週末に家に来るか?今日は無理だが、来週末ならやらせてやる。後最後。いきなり素に戻ってんじゃねぇよ。びっくりしちゃっただろうが。』
そうメールをうち、材木座に送ったと同時にタイマーが鳴った。カップラーメンが出来上がったのだ。
カップラーメンの蓋を開けた後、食器棚から自分の箸を取り出す。
「……いただきます」
そう言ってラーメンを食べ始める。食べながら時間を見ると、もう12時30分だった。
……え?マジ?もうこんな時間なのん?確かSAO正式サービスの開始時間って13時だったよな……。
ヤベェ……。マジで急がないと間に合わねぇじゃねぇかよ……。
俺はラーメンを急いで食べ、カップと箸を片付け、自分の部屋に戻る。
そして諸々の準備が終わった頃には、もうサービス開始時間の直前にまでなっていた。
ゲームハードである《ナーヴギア》を持ち上げ、感慨深く呟く。
「ついに……行けるんだな……。もう一度、あの世界に……」
ちらりと時計を見ると、時刻はすでに12時59分になっており、後10秒ほどで13時。つまりSAOの正式サービス開始時間になる。
慌ててヘッドギアを装着し、顎下で固定アームをロックする。
……10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……0。
「《リンク・スタート》」
13時になった瞬間、俺は開始コマンドであるこの一言を呟きもう一つの現実へと旅立った――
始めまして!辻谷戒斗です。ハーメルンでは初投稿になります。
普段は小説家になろう、カクヨム、アルファポリスにて『女の子を好きになったことがない俺が初めて恋をした』と『元ラノベオタクの転生勇者はチートスキルを使わない』という作品を連載しております。現在は新作執筆中により更新が遅れております。
さて、そんなことはさておき、いかがでしたでしょうか?
まだSAOにログインすらしてませんが、続きを楽しみにしていただければ幸いです。
一応、ヒロインはアスナを予定してます。ハーレムにするつもりは今の所ありません。
また、この作品はあくまでオリジナル小説の息抜き程度です。更新頻度については遅くなることがざらにあると思いますのでご了承ください。
あと、この作品のストーリーをどこまで続けるべきか悩んでおります。
他のクロスオーバーも書きたいし……でもこの作品を中途半端に終わらせたくないし……といった感じです。
一応、アリシゼーションまでは自分の中で構想ができていたりするのですが、ユナイタル・リングはさっぱりでして……。
どこまで続いたら嬉しいとか、そんな感じでもいいので感想にて教えていただけると嬉しいです。
それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!また次話、または次の作品にてお会いしましょう!
ここまでのお相手は、辻谷戒斗でした!
次回作の『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』のクロスオーバー先について
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ありふれた職業で世界最強
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七つの魔剣が支配する
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彼女、お借りします
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呪術廻戦
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聲の形