やはり俺がもう一つの現実で戦うのはまちがっている。   作:辻谷戒斗

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『やはり俺がもう一つの現実で戦うのはまちがっている。』第二話になります。
それでは、今回もよろしくお願いします。


第二話 もう一つの現実

 暗闇に包まれた視界の中央から虹色のリングが広がり、そこをくぐっていく。

 すると目の前に、ベータテスターの俺からすれば懐かしい風景が広がった。SAOにログインしたときに巨大浮遊城《アインクラッド》の中で一番最初にプレイヤーたちが降り立つ第一層の南端に存在するスタート地点、《はじまりの街》である。

 

「……ついに帰ってきたんだな……。この世界……SAOに……!」

 

 俺は、全く気づかぬうちにそう呟いていた。

 ……これ、傍から見たら変人じゃね?……思ったことが口から出る癖、直さないとな……。いつキモがられるか分からん。

 

 そんなことはさておき、武器屋に向かわないといけない。なぜなら、たとえベータテスターといえども、今の状態はバリバリの初期装備なのだ。自分が使いたい武器を一、二本買えるだけのコルは支給されているので、そのコルを使って武器を買えば、モンスターと戦うことができる。SAOを楽しむなら、まずこれだろう。

 βテストからの変更がなければだが、確か入り組んだ裏道に通常の武器屋より安く売られているお徳な武器屋があったはずだ。

 

 俺はすぐにそこに向かおうと走り出そうとしたが、その前に、ある二人のプレイヤーが目に止まった。

 それは、一人のプレイヤーが俺より一足先に駆け出していたもう一人のプレイヤーを呼び止めて、何かを頼んでいるという光景だった。

 あの状況から推測するに、ニュービーのプレイヤーがベータテスターにレクチャー的なのを頼んでいるのだろう。

 

 ……あぶねぇ……。走り出さなくて良かった……。もし俺が走り出していたら俺が捕まっていた可能性もある。

 ぼっちの俺からしたら、捕まったら終わりだ。まともに話すことができずに気持ち悪がられてしまうだろう。そうなれば非常にまずい。主に俺のメンタル的部分が。

 

 つまり俺は、ベータテスターとバレないようにしないといけないのか。なら周りをキョロキョロと見渡して、いかにもニュービーです的な雰囲気を醸し出しながら人に気づかれないようにひっそりと目的地に向かおう。俺のステルスヒッキーを駆使すれば、誰にも気づかれることなく目的地に着くことができるはずだ。何なら隠蔽スキルを超えているレベル。

 

 ……あれ?じゃあ俺隠蔽スキル取らなくてもよくね?やったぜ。……いや全然嬉しくねぇ……。

 

 そう判断した俺は走り出そうとしていた足を緩め、人が少ない建物側に寄って目的地に向けゆっくりと歩き出した。

 

 

******

 

 

 なんとか誰にも気づかれず武器と防具を買い終え、《はじまりの街》の西側に広がる広大な草原フィールドに到着する。

 周囲でも少なくないプレイヤーがモンスターと戦っているはずだが、恐るべき広さゆえか俺の視界内にはその姿たちは見えない。

 

 ……良かった……。これなら普通にベータテスターとして戦うことができそうだな。

 

 そう思い、ぐるりと辺りを見渡していたら、目の前にモンスターがポップした。そのモンスターは青イノシシ、正式名《フレンジー・ボア》でレベル1の雑魚モンスターである。SAOの中で、一番最初に戦うのに最も最適なモンスターが、この《フレンジー・ボア》だろう。

 

 俺はそんな《フレンジー・ボア》を凝視しながら、迷うことなく腰の鞘から剣を引き抜いた。

 しばらく見つめ合い、《フレンジー・ボア》の動向を伺う。やがて、《フレンジー・ボア》がしびれを切らしたかのように俺に向かってきた。

 俺は《フレンジー・ボア》の突進を、左側に体を動かして避ける。その後すぐに剣を振り、《フレンジー・ボア》の側面に剣を連続で叩き込む。

 そして少しだけ《フレンジー・ボア》から距離を取り、剣を中段に構えてすう、ふー、と深呼吸をする。

 

 ……俺が腰を落として、剣を右肩に担ぐように持ち上げると、規定モーションが検出され、ゆるく弧を描いた俺の持つ剣の刃がオレンジ色に輝いた。

 

「おらっ!」

 

 俺は自分のこの掛け声と同時に左足で地面を蹴って、シュギーン!という心地よい効果音が響き渡るとともに、刃が炎の色の軌跡を宙に描く。

 数あるソードスキルの中の片手用曲刀基本技《リーバー》が《フレンジー・ボア》の首に命中した。

 これによって、先程の俺の連続攻撃で三分の一ほど減っていた《フレンジー・ボア》のHPをすべて吹き飛ばすことになり、《フレンジー・ボア》がぷぎーという哀れな断末魔を上げポリゴン片となってガラスのように砕け散った。

 

 ……ああ……久しぶりだが、やっぱり気持ちいい。モンスターを倒したときの爽快感は健在だな。

 すると俺の目の前に、加算経験値の数字が浮かび上がる。

 ……うん。流石にまだレベル1なだけあって上がりがまあまあ早いな。この調子で狩り続ければ、今日のうちに最低でもレベル2、3まではいけるかもしれない。

 もっと戦えばレベル4やレベル5まで上げることができるのかもしれないが、一度ログアウトして晩御飯を食べなければならないし、その後は小町にもやらせてやらなければいけない。

 

 ……そういえば、ついβテストの時に使用していた武器である片手用曲刀を本能的に選んで、小町や材木座がプレイする時ほぼ確実にこの曲刀を使わなければいけないことになったが、大丈夫か?

 ……もし、曲刀が小町の使いたい武器じゃなくて、小町に嫌われたら……。

 ……俺は死ぬ。死んでしまう。

 ……え?材木座?材木座は大丈夫だろ。何ならノリノリで曲刀使っているところを想像できちゃうレベル。

 まぁ、今更悩んでも仕方ない。幸い、《スキルスロット》の2つの内一つは《片手用曲刀》で埋め、残りの一つは開けてある。

 そこに別の武器カテゴリのスキルを入れるのは、SAOを攻略するに当たっては愚策だが、小町のためを思えばなんの問題もない。

 

 取り敢えず今日はこの周辺で雑魚モンスターを狩り続けるとしよう。それでレベル2まで上がれれば万々歳だ。

 

 そう考えた俺は、新たなモンスターと戦うべく、広大な草原をさまよい始めた。

 

 

******

 

 

「おおおっ!」

 

 正確な数は覚えていないが、何匹目かの《フレンジー・ボア》を片手用曲刀基本技《リーバー》で屠る。

 加算経験値の数字を横目にちらりと時計を見ると、SAOが始まってからすでに四時間半が経とうとしていた。

 

 ……もう五時半になるのか……。そろそろログアウトしてもいいかもな。まだレベル2にはなってないけど、流石にもう小町たちも帰ってきてる頃だろうし、一度顔を合わせて感想を言いたい気持ちもある。

 俺は右手の人差し指と中指をまっすぐ揃えて掲げ、真下に降る。

 すると鈴を鳴らすような効果音とともに、紫色に発光した半透明の矩形である《メインメニュー・ウインドウ》が現れた。

 そして俺は右側の一番下にある《LOG OUT》ボタンを――

 

「……は?」

 

 押さなかった。いや、押せなかったという方が正しい。なぜなら、そこに存在するはずのログアウトボタンがそもそも存在しなかったのだから。

 ……なんでないんだ?もしかして、ボタンの位置がβテストから変わったのか?

 そう考えて色々とメニューやらなんやらの中を探しまくったが、どの中にもログアウトボタンは存在しなかった。

 

「どうなってんだよ……」

 

 GMコールも試したが、反応はない。これは、いよいよ怪しくなってきた。

 ゲームから自発的に出られないなんてことはありえない。あってはいけない。馬鹿げている。

 そういった言葉が脳を支配するが、今の現状がこうなのだ。受け止めるしかない。

 その上で、なぜ、ログアウトできないのか。

 

 ……ただのバグならまだいい。だがもし、万が一、これが意図的なら――

 

 その時突如、俺の思考を中断させるかのようにリンゴーン、リンゴーンという大ボリュームのサウンドが鳴り響いた。

 

「うおっ!な、なんだ?」

 

 すると、俺の体を鮮やかな青の光の柱が包んだ。

 そして、先程まで見えていた風景がどんどん薄れていく。

 

「この現象……《転移》か!」

 

 《転移》はβテストのときに嫌というほど経験している。だからすぐに理解することができた。

 だが俺は、《転移》を行えるアイテムを持ってもいないし、コマンドも唱えていない。

 つまりこれは、運営側の強制転移だ。俺以外のプレイヤーも強制転移させられている可能性が高い。

 もしそうだとするなら、バグについてなにか説明があるのかもしれない。

 俺がここまで考えた時、青い光が一際強く脈打ち、俺の視界を完全に奪っていった。

 

 

 俺の視界が戻った時、そこはもう先程までいた草原の風景ではなかった。

 俺の視界にあったのは、広大な石畳に周囲を囲む街路樹と、瀟洒な中世風の街並み。さらに正面遠くにある、黒光りする巨大な宮殿。

 間違いなく、《はじまりの街》中央広場そのものだ。

 周りを見渡せば、そこら中に人がどんどんと湧いてくる。

 

 やっぱり、SAOプレイヤー全員が強制転移させられたみたいだな。

 なら、これから運営側からの説明が行われるはずだ。

 

 そう思い、周りのざわめきを聞き流しながら運営のアナウンスを待つ。

 

「あっ……上を見ろ!!」

 

 周りのざわめきの声を押しのけて、誰かがそう叫んだ。

 俺はその声にしたがい、視線を上向ける。

 

 すると、第二層の底が真紅の市松模様に染め上げられていった。

 それを凝視してみると、それは【Warning】と【System Announcement】という英文が交互にパターン表示されている。

 そして、その中央部分が、まるで巨大な血液のようにドロリと垂れ下がり、空中で形を変えていった。

 出現したのは、全長二十メートルほどの真紅のフード付きローブをまとった顔なしの巨人だ。

 

 ……え?気持ち悪っ。いやなんで顔がないんだよ。バグの説明するのにこんな凝った演出しなくてもいいだろ。

 つーか怖いよ。怖い。あと怖い。

 

 俺のそんな心の声を聞いてそれを抑えるかのように、不意に巨大なローブの右袖が動いた。

 その時に広げられた袖口から純白の手袋が覗いたが、肉体はまるで見えない。

 続いて、左袖もゆるゆると掲げられ、中身のない白手袋を左右に広げた。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

 突然、そのような声が《はじまりの街》中央広場に響いた。

 なぜ、誰が、私の世界とは、意味は――

 そのような言葉が俺の脳内を駆け巡る。

 そんな俺の思考を置いていくかのように、巨人は言葉を続けた。

 

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

 俺の思考はこの一言によって全て吹き飛んだ。

 茅場晶彦。

 この名前は流石の俺でも知っている。

 俺はそこまで詳しくはないが、このSAOの開発ディレクターだったはずだ。

 

 この巨人の正体が、茅場晶彦だと……?一体どうなってるんだ……。

 

『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』

 

「し……、仕様、だと」

 

 隣のバンダナを付けたプレイヤーがそう割れた声でささやいた。

 俺も今、そう思った。仕様と言うことは、バグではなかったってことだ。じゃあ一体、なんだっていうんだよ……。

 

『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることができない。……また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除もありえない。もしそれが試みられた場合―――ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』

 

「……は?」

 

 俺はこの言葉を聞いて、開いた口が塞がらなかった。

 生命活動の停止……それはつまり、端的に言えば、死ぬ……ということなのか……?

 意味が分からん。たかがゲームで、そんなこと可能なわけが――

 

「原理的にはありえなくもないけど……でも、ハッタリに決まってる。だって、いきなりナーヴギアの電源コードを引っこ抜けば、とてもそんな高出力の電磁波は発生させられないはずだ。大容量のバッテリでも内蔵されてない……限り…………」

 

「内臓……してるぜ。ギアの重さの三割はバッテリセルだって聞いた。でも……無茶苦茶だろそんなの!瞬間停電でもあったらどうすんだよ!!」

 

 ……できちゃうのかよ……。

 つまりだ。説明していた男はハッタリだと言っているが、可能な以上事実なのだろう。

 ただこいつが言うように、瞬間停電でもあったらマジでどうすんだよ……。全員死んじまうぞ?

 それに……そんなことをして何をすると言うんだ。俺たちプレイヤーをこんな状況にして、本当に何がしてぇんだよ……。

 

『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み――以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果――残念ながらすでに二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』

 

 す、すでに二百人近いプレイヤーが死んでいる……だと……?

 俺は絶句し言葉が出ない状況に陥る。他のプレイヤーたちも様々な反応を見せているが、いい表情の者は一人も見当たらない。

 

「信じねぇ……信じねぇぞオレは」

 

 隣のバンダナを付けたプレイヤーがその場に座り込み、そんな嗄れた声を放った。

 俺だって信じたくはない。だが、これが紛れもない事実なのだ。

 そうじゃなきゃ、わざわざ茅場晶彦が出てくる意味が見つけられない。

 それに、色々と辻褄が合いすぎている。

 

『諸君が向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。現在あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーヴギアが強引に除装される危険はすでに低くなっていると言ってよかろう。今後、諸君の現実の体は、ナーヴギアを装着したまま二時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護態勢のもとに置かれるはずだ。諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい』

 

「何を言ってるんだ!ゲームを攻略しろだと!?ログアウト不能の状態で、呑気に遊べってのか!?こんなの、ゲームでもなんでもないだろうが!!」

 

 茅場晶彦がその言葉を言い終わった直後、バンダナを付けたプレイヤーの隣にいる男性プレイヤーが茅場晶彦に言い放った。

 その言葉は俺の、いや、俺たちSAOプレイヤーの心の声を代弁したものだっただろう。

 しかし、そんな叫びをものともせず、茅場晶彦は先程と変わらない様子で話を続ける。

 

『しかし、充分に留意してもらいたい。諸君にとって《ソードアート・オンライン》は、すでにただのゲームではない。もう一つの現実と言うべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』

 

 俺は再び絶句した。

 ……いや、今までの茅場晶彦の話の中で予想できたことだ。だが、それでも、絶句せざるをえなかった。

 

 信じたくないのだ。

 ここで死んでしまったら現実でも死んでしまうということを。

 もう、小町や戸塚……雪ノ下や由比ヶ浜たちに会えなくなってしまうという事実を。

 そもそもSAOがデスゲームと化したという事実を。

 俺は、信じたくないのだ。

 

 そんな俺の思いなどお構いなしに、茅場晶彦は話を続ける。

 

『諸君がこのゲームから解放される条件は、たった一つ。先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第百層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう』

 

 プレイヤーたちに一瞬の静寂がおとずれた後、バンダナを付けたプレイヤーががばっと立ち上がり右拳を空に向かって振り上げた。

 

「クリア……第百層だとぉ!?で、できるわきゃねぇだろうが!!ベータじゃろくに上がれなかったって聞いたぞ!!」

 

 ……俺もこのプレイヤーと概ね同意見だな。百層まで登るなんてできるわけがない。

 俺はベータテスターだから、この世界の難しさもよく知っている。

 クリアできるとしても、何年かかるかわからないし、それこそそこまで自分が生きていられるという保証もない。

 ……なら、俺はもう戻ることができないのか……?愛する小町のもとに……戸塚のもとに……あの部室、奉仕部に――

 

『それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え』

 

 この茅場晶彦の言葉に、俺はほぼ反射的にメインメニューを開き、アイテム欄のタブを叩く。

 すると、所持品リストの一番上に《手鏡》というアイテムがあった。

 俺は《手鏡》をタップし、オブジェクト化する。

 そしてその後、俺は、他のプレイヤーたちもだが、白い光に包まれた。

 その光は二、三秒で消えてそのまま鏡を覗き込むと――

 

 そこには、現実の俺の顔があった。

 

「うっおう!……何だ俺かよ……」

 

 一瞬、俺の腐った目が相まって、顔がゾンビに見えてしまった。きっと四時間半ほどイケメン顔で過ごしていた弊害だろう。

 ……つーか俺、ついに自分でもゾンビと間違えちゃったよ……。なんて悲しい事実だ……。

 

 ……でも、これで茅場晶彦の言っている意味が分かった。

 ここはもう一つの現実である……。これは、こういう意味だったのだ。

 現実の俺たちと同じ姿で、この世界で命をかけて戦う。それはつまり、現実。

 ラノベでいうところの異世界転生・転移が近いか?

 

 ……だが、まだ疑問は残っている。なぜ茅場晶彦はこんなことをしでかしているのか。

 ここが、一向につかめない。

 

『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私は――SAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と』

 

 ……はいその通りです。めちゃくちゃ考えてました。

 なんなの?ほぼ最初から思ってるけど、もしかして茅場晶彦って心読めるの?

 いやマジもんの天才かよ。……そういやこの人天才だったわ。

 

『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら……この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、鑑賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた。……以上で、《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の――健闘を祈る』

 

 そう言って茅場晶彦は上昇して、システムメッセージに溶け込むように同化していき、現れた時と同じように突然消滅した。

 そして茅場晶彦が消えた後、《はじまりの街》は数々のプレイヤーの絶叫で包まれた。

 

 ……俺は、このまま死んでもいいのか……?いや、駄目だ。

 ……小町や戸塚を、泣かせてもいいのか……?駄目だ。絶対に駄目だ。

 ……なら、どうすればいい……。このクソゲーをクリアしてやればいい。

 何年かかってもいい。生きて帰れさえすれば、それでいい。

 抗え。戦え。いつかの漫画の主人公も言っていた。『戦わなければ勝てない』と。

 

 ……よし。覚悟は決まった。

 やってやるよ茅場晶彦。俺はこのSAOを、もう一つの現実をクリアしてみせる。戦い抜いてみせる。あいつらの元に、帰るために。

 

 小町、親父に母ちゃん、戸塚、雪ノ下、由比ヶ浜、平塚先生、皆……あと材木座……。

 待っていてくれ。俺は必ず、お前らのもとに帰ってみせるから。

 だから、少しでいい。ほんの少しでいいから、俺に勇気を与えてくれ。戦う勇気を、与えてくれ。

 俺が戦う、理由になってくれ。

 




 はい!今回はここまでになります!

 ついに、SAOにログインし、デスゲームが開始しました。
 いかがでしたでしょうか?

 八幡の武器は曲刀になりました。
 まぁ、皆様おわかりかと思いますが、後にカタナになります。

 ……戦闘描写、どうでしたか?
 正直、うまく伝えられているか分からないのですが、伝わっていただけたなら幸いです。
 こうした方がもっと分かりやすいとか、そんなことがあれば感想にてご指摘ください。
 アドバイスが有れば、そのアドバイスを元に、文章を書き直したいと思います。

 あと正直、茅場晶彦のくだりが長すぎたと反省しております……。
 しかしここ、どうしてもいれたかったんですよね……。
 ここは環境の変化に伴う心境の変化がよく出るところなので……。

 しかし、八幡らしさはあまり出てないかもしれません……。会話が少なく、覚悟を決めるところでしたので、最後は思い切りました。
 この件に関しては、本当に申し訳ありません。全ては私の力不足ゆえです。
 次回からは八幡らしさを出せると思います。キリトやアスナといった人達と関わっていくので。

 自分の中では、ここまでが序章です。次回から、第一章が本格化していきます。
 ここから、八幡が色々な人たちと関わっていきます。
 様々な出会いがあります。別れもあります。衝突もあります。
 しかし、そうやって人生を歩み、経験を積むことによって、人は成長してゆくのです。
 ……人生経験皆無の高校生が何いってんだって話ですが……。
 ここから八幡が何を思い、何を経験し、どのようにこの世界で生きていくのか。

 これからもこの物語を楽しみにしていただければ幸いです。

 最後に、引き続き次に書いてほしい『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』のクロスオーバー先を募集しています。
 第一話のアンケートのところに、自分が書きたいと思っている作品を置いていますのでご協力よろしくお願いします。
 また、第二話に第一話のアンケートに入り切らなかったクロスオーバー先の作品を置いておきます。こちらの方も投票の方よろしくお願いします。
 そして、それ以外の作品でこの作品とのクロスオーバーを書いてみてほしい、などなどの要望がございましたらコメントにて教えて下さい。できるだけ書けるように色々考えてみますので。

 それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!また次話、または次の作品にてお会いしましょう!
 ここまでのお相手は、辻谷戒斗でした!

次回作の『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』のクロスオーバー先について【第二弾】

  • ぼくたちは勉強ができない
  • 炎炎ノ消防隊
  • 魔王学院の不適合者
  • 僕のヒーローアカデミア
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