ベル君が【アポロン・ファミリア】に入団するのは間違っているだろうか   作:七篠ロキ

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???「一暴れするか」
タナトス「計画どおり」ニヤリ
アポロン「うわああああ!?」


ベル「食人花を倒した!」



激闘の行方

 館内に侵入を許され、また、援軍に来てくれた【ガネーシャ・ファミリア】が壊滅された。さらに、食人花に囲まれてしまい、絶体絶命に陥った僕たちは、どうにか切り抜けたと思われたが…?

 

 食人花の特性と魔石の位置を把握でき、【ファミリア】みんなで連携を取って、続々と倒していく。

 

 また、カサンドラさんに最後のポーションと、マジック・ポーションを飲ませ、皆を少しでも回復させている。

 

 さらに、新たな援軍を呼ぶために何人か敷地内を出て行くも、相当数の人数がここに残る。

 

 そして、残す敵は侵入者二人組のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敷地内に残り、【アポロン・ファミリア】で手が空いているものは、まず近くの侵入者の一人を取り囲んでいる。

 

 

「うわあ、これ、絶体絶命ってやつかな?」

 

「ふはははははははははははっ! 形勢逆転だな、タナトス!」

 

 

 二人組の侵入者の内の一人の名前を聞いて、囲んでいた【ファミリア】の人達は戸惑いを隠せない。

 

 

「タナトス…?」

 

「え、マジで…?」

 

「ギルドのブラックリストにのっている、闇派閥の悪神じゃねえか…!」

 

 

 そんな話声を僕は、ダフネさんの傷をいやしているカサンドラさんたちと一緒に聞いている。

 

 

「あ、あの…。闇派閥って一体…?」

 

「あ、うん。オラリオは昔、今ほど平和じゃなくて、混沌としていたの。その時、それを陥れようとしていた集団を闇派閥と呼ばれているの…」

 

「しかも今回、その闇派閥を仕切っていた内の、一柱の神が現れたのね…」

 

「そ、それって、結構大物じゃ…!?」

 

「そうだね…。一体今回は何が狙いなの…?」

 

 

 そんなことを話していた僕たちとは裏腹に、向こうでも話が進められていく。

 

 

「さて、タナトス! 今回は一体何が狙いなのだ!」

 

「だから言ったろ? 俺は死を司る神だ。当然、俺は、それに該当していることを」

 

「それはお前の言う計画の最終目標だ。今回の小さな目標について答えろ!」

 

「………へぇ」

 

 

 な、何かすごいことを聞こうとしている。今回、一体向こうに大きな何かがあるのか…?

 

 

「まあ、そうだね。単刀直入に聴くか。『宝玉』について何か知らない?」

 

「…? 『宝玉』? なんだ、それは?」

 

 

『宝玉』…? 一体、それは何?

 

 

「…やっぱり反応が鈍いな。嘘をついているように見えないし、やっぱりお前の子供の単独犯だな」

 

「おい、一体何の話をしている!?」

 

「じゃあ、もう、お前に聞くことないや。おーい頼むよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自称、エインちゃん」

 

「…っ!?」

 

 

 すると、【ガネーシャ・ファミリア】と戦っていたもう一人の侵入者が黒フードをなびかせながら、タナトスを囲んでいた所に突っ込んでいく。

 

 

「な、速っ…ヅッ!?」

 

「あ、おい…ブォ!?」

 

「え、ちょ、ガハッ!?」

 

「いや、やめ、きゃあ!?」

 

 

 瞬く間に包囲網が瓦解される。

 

 そしてそのまま次の人達を襲い、中心にいたタナトスと、対峙していたアポロンのみがその場に残った。

 

そしてタナトスは「形勢逆転だな。アポロン?」と、非常に悪い顔で言う。

 

「ぐぐぐぐぐぐぐっ!」

 

対してアポロンはそう悔しそうな声を上げるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 その光景を離れて見ていた僕たちは、ただ茫然と見るしかなかった。

 

 

「な、何、あの人…!? あんな強い人が闇派閥に属しているの!?」

 

「た、頼むからこっちに来ないでくれ…!」

 

 

 と、この場にいる僕やカサンドラさん、ダフネさんを含め、もうこの敷地内で神様二人と侵入者一人を除き、まだ意識がある最後の7人の僕らは、そう喚くしかなかった。

 

 しかし、そんな簡単に見逃してくれるわけがなく、そのうちの一人が、一瞬で意識を失ってしまう。

 

 

「お前たちで最後だ」

 

「な、はっや…!?」

 

「ひっ…!」

 

「っ…!」

 

 

目の前に現れ、停止する僕たち。緊張で体が止まってしまっている。

 

 

「…う、うわあああああ!?」

 

「ち、ちくしょおおおおおおお!?」

 

「あああああああ!?」

 

 

 恐怖で理性を忘れ、その内3人が襲い掛かる。しかし―――、

 

 

「…弱い…」

 

 

 そうつぶやき、あっという間に襲い掛かってきた3人を蹴散らし、吹っ飛ばす。

 

 立ち上がれる様子もなく、百人いる【アポロン・ファミリア】で、この敷地内でまだ意識があるのは、僕、カサンドラさん、ダフネさんの3人のみとなってしまった。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 

 無言で見つめ合う僕ら4人。

 

 緊張した場となり、どうしようかと逡巡していると、相手の方から話しかけてきた。

 

 

「…食人花を最初にやったのは、お前か?」

 

「! ……そうだ…!」

 

「…信じられないな。お前、どう見ても駆け出しだろ。どんな魔法を使った?」

 

「…魔法は、習得していません……!」

 

「はぁ!? じゃあ、どうやって「フッ!!」ッ!?」

 

 

侵入者の人が僕に食人花との戦いについて話しかけている隙に、ダフネさんが剣を振るう。

 

 しかし、緊急回避をされ、残念ながら空振りに終わってしまう。

 

 

「…人の話を最後まで聞けないようだな。お前は」

 

「あら。ここはまだ戦場だと思うけど? あんたらがそうしたじゃない」

 

「すぐに終わらすか」

 

 

 緊急回避した距離を一瞬で詰めて殴りかかるが、ダフネは事前に脳内シミュレートをしていたのか、どうにか躱して、カウンターを仕掛ける。

 

 

「…こんなものか」

 

「っ!!?」

 

 

しかし、振るった剣が指で掴まれてしまい、ダフネは驚愕する。

 

 

「お前は寝てろ」

 

「ガッ…!」

 

 

 顎に飛び膝蹴りを見舞いし、ダフネはうめき声をあげ、そのまま倒れ、意識を失ってしまう。

 

 

「ダ…、ダフネ、ちゃん…」

 

 

 友人の完敗した姿を見たカサンドラは、声を震わし、ベルもまた唖然となる。

 

 

「…………ハァ。興がそがれてしまったな。」

 

「くっ……!」

 

 

 僕は怒りに震えて立ち上がり、短刀を構え、相手を見据える。

 

 

「ん、何だ? やるのか、お前? ずいぶん威勢のいい駆け出しだな。」

 

「…あなたを、倒します…!」

 

「べ、ベル。さすがに無茶は…」

 

「……はぁあああああ!」

 

 

 僕は助走をつけ、短刀で相手を切りかかる。

 

 

「全く。2人ともこちらに勧誘しようかと思ったけど、少なくとも1人は入らないようだな」

 

 

と、退屈そうに僕を殴りにかかってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、最後に残ったのはどうやら悲観そうなお前だったな」

 

「う、あ…」

 

 

 侵入者は、一撃でベルを気絶させ、最後に残ったカサンドラを見て言った。

 

 

「どうだ、おまえなら、こちらに来ても、それなりに歓迎してやるぞ?」

 

「あなた方の目的は、一体…!」

 

「さっき言っ……てないな。そういや」

 

「おーい。もう終わったー? あれ、まだ一人残っているじゃん? こっち側に来させるの?」

 

「タナトス。結局【アポロン・ファミリア】を壊滅状態にさせたのはいいが、目的の『宝玉』が回収できてないぞ」

 

「うーん、どうしよっか。知っているであろう単独犯の人物も、逃げられちゃったからね」

 

「はあ…。また計画を大幅に修正しないといけないのか…」

 

「そうなっちゃうね」

 

「…そういや、アポロンは?」

 

「向こうでオーバーに泣いてる」

 

「…まさか、持ってきた食人花が全て仕留められるし、収支で考えればマイナスだな」

 

「一応、応援が呼ばれないように事前に手下を周辺に潜り込ませたのに、ガネーシャのところが来たから焦ったね」

 

「そのための私だろ?」

 

「…死者が結局、敷地内のみしかわからないけど、0人みたいなんだけど?」

 

「むしろ、けが人を増やした方が、向こう側の人員が割かれるからな」

 

「…えげつねえ」

 

「まあ、そう悲観するな。とりあえず、こいつを手土産にして、撤収するのが賢明だな」

 

「……!?」

 

 

気絶したフリをして、このまま忘れて欲しかったカサンドラは、顔を青ざめる。

 

 

「あ、持ち帰るんだ。使えるの?」

 

「さあな。ただ、噂だが、夢のお告げとかが見られるらしい」

 

「へえ……。結構いいじゃん」

 

「まあ、なんか欠陥があるらしいが、条件が揃えば………っ!?」

 

 

 まさかの人が立ちあがる姿が視界の端に入り、視線を即座に動かした侵入者は、信じられないものを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程、一撃で気絶させたはずの駆け出しの冒険者がそこに立っていた。

 

 

「カ……、カサンドラさんを…、連れて、行かさない…!」

 

 

 短刀を握りしめ、ベルは必死に一歩ずつ、歩んでいく。

 

 

「こいつ…! 現実がまだ理解していないのか!ならば、お望み通り…!」

 

 

 侵入者は右手を突き出し、トドメを刺そうとする。

 

 

「喰らえ!」

 

 

 ベルに向かって赤い炎が放たれる。

 

 その直後、ベルは力を使い果たしたのか、うつ伏せに倒れ込んだ。

 

 その上を放たれた魔法がギリギリで通過して、地面に着弾する。

 

 まさかの回避に侵入者二人は警戒したが、少しの時間が経過しても、起き上がってこず、不審に思い近づいたが、今度こそ完全に気絶したことを確認した。

 

 

「まさかこれを避けられるとは…。なんて運のいいやつなんだ」

 

「まあでも、これで…あれっ?」

 

「ん、どうした…なっ、悲観していた奴がいない!?」

 

 

 振り向くと、そこにはカサンドラがいなかった。

 

 

「ありゃー、これ、今のあの冒険者の行動していた隙に、逃げられちゃったね」

 

「いや、まだ外の手下が…っ!?」

 

「あ、やべっ!? 急いで撤収!」

 

「ギルドからの要請で来た、【ロキ・ファミリア】だ! 不審者を逃がすな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、【アポロン・ファミリア】の館の内外の戦いは、終わりを告げた。

 

 僕たちは、病院に運ばれ、ベットの上で過ごすことになった。

 

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