ベル君が【アポロン・ファミリア】に入団するのは間違っているだろうか   作:七篠ロキ

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※ 夜中の出来事です。
アポロン「ゔわ~ん! ヒュアキントス~! べるきゅ~ん!」(´;ω;`)
アミッド「ここは病院ですので静かにして下さい」
ヒュアキントス「呼びましたか?」←今、目が覚めた。


 感想に書いている人もいますが、誤字報告などは作者にとって非常にありがたいので、遠慮なく行ってください。

 評価、感想、誤字報告など、お待ちしております。


神の宴

 ベル・クラネルが病室で決意した2日後。

 

 【ロキ・ファミリア】及び遅れてきたギルド職員の館の探索は前日に打ち切られ、その日の朝は館の修理が始まっていた。

 

 ヒュアキントス、アポロン、退院したダフネは、【ゴブニュ・ファミリア】の団員と館の修理について話している。

 

 

「修理が完了するまで、どれくらいかかるの?」

 

「そうだなぁ。ざっと、7, 8日ぐらいって所か。ただ、これは壁に外装のみの話だ。内装まで手を付けるとさらに10日ぐらい日数がかかるぞ」

 

「フン…。なら、早急に取りかかって直せ。内装もだ」

 

「そう、特に私の銅像もだ! 侵入者達に全て執拗に破壊されていたのだ! 恐らく私の美貌の出来栄えに嫉妬してやったのだ! これから団員たちにもすごさを見せつけるように、数も増やして…」

 

「あ、そうそう。あの悪趣味なのは直さなくていいよ。その分、内装の修理も早く直るのでしょ?」

 

「それを含めなかったら、内装は3日で終わるな」

 

「じゃ、それで決定ということで」

 

「おい、ダフネ貴様! アポロン様像を勝手に…!」

 

「そうだぞ! 何故だ! 私の威厳を知らしめるのに…」

 

「うっさいわね! 今はそんなことより館の修理よ! ただでさえ資金が少なくなったに、そんなものを入れたらウチらの【ファミリア】は借金地獄になるわよ!」

 

 

 それを聞いたヒュアキントスは、少し首を傾ける。

 

 

「…そうなのか? 【ファミリア】全体の治療費や宿代も入れても、私の計算ではまだギリギリ直せる資金が余るはずだが…」

 

「…さてはアポロン様、アンタ…!」

 

「……撤収!」

 

「待ちなさい! …とりあえず、あの悪趣味な奴はむしろ撤去して! 何かの材料に使ってもいいから!」

 

「わ、わかった」

 

 

 そうして館の修理の方針は決まり、館の中にあった大量のアポロン像の残骸は撤去されることに決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜。

 

 『怪物祭』に向けて、【ガネーシャ・ファミリア】主催の神のみによる宴が開催された。

 

 

「諸君! 本日はよく集まってくれた! 俺がガネーシャである! 今回の宴もこれほど出席して頂きガネーシャ感激! 愛しているぞお前たち! さて積もる話もあるが、今年も例年通り3日後に『怪物祭』を開催することに最終決定が下り、みなの【ファミリア】にもどうか協力を…」

 

 設けられたステージの上で巨大な象の仮面を被ったガネーシャがでかい声でスピーチを行っていたが、お約束とばかり神達は聞き流し、談笑している。

 

 

「結局、『怪物祭』やるんだ。なんか【ガネーシャ・ファミリア】の主力が軒並みダウンしたって聞いたけど」

 

「Lv.5全員行ったってわけじゃないからな。それに、目が覚めた奴もいるから、そいつらの退院が間に合うらしい」

 

「なーんだ。むしろ俺は、何か別の祭りが代わりに開催されると期待したんだけどな」

 

「おっ、あれはド貧乏【ファミリア】代表の一人、タケミカヅチじゃないか! ―――フヒヒ」

 

「あっ、あの年柄年中幸薄そうな顔はタケミカヅチさんじゃないかですか! ―――フヒヒ」

 

「このクソ神どもがぁ…!」

 

「よっす」

 

「おお、おひさー。何十年振りだっけ?」

 

「ん、2日振りだな」

 

「むっ! 給士君、踏み台を持ってきてくれ、早く!」

 

「は、はい!」

 

 

 あるところでは『怪物祭』について話し、ある所では貧乏神を笑い、ある所では出された料理をタッパーに入れ、明日以降のご飯として持ち帰ろうと企むロリ神など、神達が宴に楽しんでいる。

 

 そこにロキも到着する。何かの情報を聞いたのか、いつもの男物ではなく、ドレスを着て。

 

 

「盛況やなー、っと。ドチビの奴、おらんかー?」

 

「あちゃー、ロキ来ちゃった」

 

「ロキが、ドレスだと…!?」

 

「世も末だな」

 

「それにしても、見事な貧乳だ」

 

「いや、無乳だ」

 

「よし、顔は覚えた。帰ったら潰す」

 

 

 ロキは馬鹿にされた神達の顔を覚え、後でけしかけてやろうと考えていると、ロキと真逆の体型をしたデメテルが声をかけてくる。

 

 

「あら、ロキ。お久しぶり。元気にしてた?」

 

「ん? …デ、デメテル…、来ていたんか」

 

「うちの【ファミリア】は色々なところに御贔屓してもらっているわ。先日もまた野菜が実ったから、今度採れた時ロキにもおすわけしてあげる」

 

「おお、ありがとなー。お、このワインうめぇ」

 

「ところで、ロキは『怪物祭』に行くの?」

 

「ああ、そのつもりやけど…お、あれは! ごめんな、デメテル。また今度な! 」

 

「ふふっ、またね、ロキ」

 

「おーい! ファイたーん! フレイヤー! と、ドチビッ!!」

 

 

 ロキは、デメテルと別れ、見つけた標的含む友神に声をかけに行った。

 

 

「あ、ロキ」

 

「何しに来たんだよ君は…! フレイヤもだけど」

 

「ああ、すぐそこで会ったのよ。久しぶりーって話していたら、じゃあ一緒に会場に回りましょうかって」

 

「か、軽すぎるよ、ヘファイストス…」

 

「邪魔だったかしら?」

 

「そんなことはないけど…」

 

「なんや、理由がなきゃ来ちゃあかんのか? はぁ、マジで空気読めてへんよ、このドチビ」

 

「……! ……!!」

 

「ヘスティア…今、鏡見たら自分でも驚くくらい凄い顔になってるわよ」

 

「ねえ、ロキ…。遠征どうだったの? 何かあなたの子供たち、少し険しい顔をしていたけど」

 

「…ああ、何か帰りにアポロンのとこと揉めたらしいんや。それで、特にウチのベートが荒れててな」

 

「…そう。私は、遠征の結果を聞きたかったけど…」

 

「…ああ、実はなぁ…」

 

「全くぅ…。遠征の話になって…どうせ、僕の所に来てくれる子は誰もいないさ! 皆目がないよ!」

 

「それはドチビに魅力がないからやろっ!」

 

「何だとぉ!」

 

「こらこら、ヘスティア」

 

「クスッ。天界の時と変わらないね」

 

「だいたい、ドレスも着れない貧乏神はぁ、こんな所に何しに来たんや。思いっきり爆笑もんやぁ!」

 

「ふん! それは滑稽だね! 僕を笑うために自分の無乳さを周りに見せつけて、君は笑いの神様だね!」

 

「ぐはぁ!?」

 

「あ、これはもう、手が付けられないみたいね」

 

「でも、決着は目に見えるわね」

 

 

 そんな雑談をしていると、ヘスティアとロキは取っ組み合いとなる。しかし、生活は向上できても、神の体は成長しないため、勝負の決め手はそこになった。

 

 

「ふ、ふん…。きょ、今日、今日はこんくらいに、しといてやるわ…」

 

「めっちゃ動揺してるし…」

 

「今度会った時は、そんな貧相なものを僕の視界に入れさせるんじゃないぞっ、この負け犬め!」

 

「こ、ごいつぅ…!」

 

 

 ロキは涙目になってこの場を離れようとすると、そこにアポロンがやってきた。

 

 

「おや? 皆の衆、久しぶりじゃないか! 特にヘスティア!」

 

「ゲェッ、アポロン!」

 

「あんたよくこの状況で割り込めるわね…」

 

「なぁに。ヘスティアとは、天界で愛し合った仲だからね!」

 

「嘘をつくな嘘をぉおおおおおっ!? 頭がお花畑の君が一方的に言い寄ってきただけで、速攻お断りしただろうがぁああああっ! この僕が、守備範囲が広すぎる変神の求婚なんて受け入れるもんかぁ!!」

 

「うわぁ。それを聞くと、流石のウチもドン引きやわぁ」

 

「それより、あなたの【ファミリア】って壊滅したって聞いたけど、大丈夫なの?」

 

「フレイヤ。特にそこは問題視していない。子供たちは私達の想像を超えていくこともあるからね!」

 

「あなたが言うと、何か作為的なものを感じるし、説得力も半減してしまうんだけど…」

 

「…丁度いいや。おい、アポロン。ウチに何かいうことあるやろ」

 

「ロキ…ふむ、そのドレス中々、君の無乳さを見せつけてゴブハッ!?」

 

「うっさいわ! しばき倒すわボケェ!」

 

「いや、もう倒しているんだけど」

 

「はっはっはっはぁ! どうやら君は、本当に笑いの神様だねぇ! そしてよくやったロキ!」

 

「ドチビも黙っとれや! それはウチを褒めてんのか、貶しとるのか、どっちなんや! つーか、そこを聞いているんじゃないわ! ダンジョンのこともそうだし、お前ぇんとこの騒動についての事や!」

 

「いてて…。あ、そっちか。ダンジョンのことに関しては私もよく聞かされていないから良くわからんが、揉めたっていうなら謝ろう。すまなかったね。で、騒動の方は、ロキの方から何かわかったのか? 君の子たちは。館内を捜索したみたいだけど」

 

「いいや、館内には怪しいものが見つからなかったらしい。ウチの団長の勘がそうささやいたらしく、昨日切り上げたからなぁ。あ、ダンジョンの事はベートが何か言ったみたいだけど、気にすんなって伝えといてくれや」

 

 

 そしてロキとアポロンは、互いの【ファミリア】の眷属同士の衝突の謝罪を行い、騒動の情報交換を行っていった。

 

 それを見たヘスティアは、少し羨ましがっている。

 

 

「…うう、僕にも眷属がいたらあんな話が出来たのかなぁ」

 

「ヘスティア。あんたもいずれ出来るから、そう心配しないで」

 

 

 そして、フレイヤがある話題を口にする。

 

 

「そうね。…時に皆、最近、何か新しい眷属とか増えた?」

 

「うう、フレイヤ。僕の前でそんな話題を…」

 

「ん? 何や、急に。まあ、ウチんとこは、最後は4, 5ヶ月前ってとこかなぁ」

 

「私は鍛冶系の【ファミリア】だけど、毎年定期的に募集した半年前になるかしら」

 

「ふっふっふ。私の所は半月ぐらい前だ。ベルきゅんという名前でな、なんと3日前の騒動でも大活躍してたんだ!」

 

 

 それを聞いたロキは、ベルという名前の子を憐れむ。

 

 

「その子は不憫やなぁ。よりにもよってアポロンの所か。まだドチビの所がまだ良かったんじゃないんか? 一応こいつ処女神だから、貞操とか大丈夫そうだし。第一、お前に夜中とか襲われているんちゃうか?」

 

「ま、まだ襲ってないし! というか、誰も館内のベルきゅんの部屋の場所を教えてくれないし! 今病院で入院しているし! 明日退院するけど」

 

「すぐにその子を僕の所に改宗させるんだ! 立派な子に育ててあげる!」

 

「フハハハハハ! それは無理だな、ヘスティア! 改宗するには、その【ファミリア】に入ってから最低1年間という条件があることを知らないのか!?」

 

「グギギギギッ!」

 

 

 フレイヤは半月前に加入した冒険者と聞き、耳を傾け、アポロンに向けてさらに質問した。

 

 

「ねえ、アポロン。その子の特徴とか、何かないの?」

 

 

 それを聞いたロキは、フレイヤの行動に何か違和感を感じ始める。

 

 

「…なあ、フレイヤ。何かお前、さっきから…つーか、フレイヤがこんなパーティーに出たのって本当に久しぶりじゃ…」

 

「そうだなぁ、白い髪をして赤い目をした少年でなぁ。全体的な印象だと兎人の種族ではないのに兎の印象が強く、非常に純粋で大分可愛らしくて、つい襲いたく痛ッ!?」

 

 

 アポロンは話が言い終わる前に、ロキから脛を思いっきり蹴られる。

 

 

「おい、やっぱこいつに『戦争遊戯』を挑んで、そのベルっつー冒険者の卵を奪った方が良いんちゃうか?」

 

「ま、待てロキ! いくら何でも戦力差が…!」

 

「だったら尚更自分の子に手ぇ出そうとするなボケェ! モチベーションとかいろいろ下がるだろうがぁ!」

 

「いや、ロキに言われたくない!」

 

 

 そうした中、フレイヤは少し微笑み、この会話に加わった。

 

 

「そうね…。挑もうかしら?」

 

「フ、フレイヤもだ!」

 

「……」

 

「……」

 

 

 こうして、『怪物祭』に向けての神の宴は終わりを告げた。

 

 別れる際、ヘファイストスとヘスティアのバイトの事で話をしていたところを聞いたロキは、減らず口をヘスティアに向けて叩き、ヘスティアは負けじとロキの無乳さを責めたことで、先程と同じような光景でロキとヘスティアは再び喧嘩して取っ組み合いになり、ロキが「覚えとけよこん畜生ぉおおおおおおおおお!!」と涙をまき散らして退散していった。

 

 勝負に勝って試合に負けたヘスティアは「無い胸を成長させてから挑めー!」と去りゆくロキに大声で怒鳴り返したのだった。

 

 アポロンもまたロキとフレイヤによってもみくちゃにされたスーツ姿を、他の神に何か言われる前に急いで退散する。

 

 こうして、一日の夜が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌日、ベル・クラネルが退院する日となった。

 

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