ベル君が【アポロン・ファミリア】に入団するのは間違っているだろうか 作:七篠ロキ
以下の選択肢で、ベル君と二人きりさせると、
一番ベル君の貞操が危なくなるのは誰でしょう?
A. アイシャ・ベルカ
B. アポロン
C. イシュタル
D. フリュネ・ジャミール
E. フレイヤ
さぁ、答えは!?
襲撃から4日後。
僕は体の傷が完全に癒え、体力も回復し、アミッドさんから退院の許可をもらった。
とりあえず、経過観察が2週間あるけど、ぼくは退院することになった。
「お疲れ様です。2週間様子を見て、良好でしたらダンジョンの探索をしても問題ないです」
「はい、ありがとうございます!」
「…しかし、すごいですね。普通、Lv.1だともうこの世にいなかった可能性があったにもかかわらず、こうしてダンジョンに挑もうと思えるなんて…。正直、精神が病んでもおかしくはないと思っていました」
「そ、そんなに僕の傷ってひどかったんですか!?」
「はい。…それと、【ロキ・ファミリア】から聞いたのですが、侵入者達は撤収しようとした時、あなたを連れ去ろうとしていたようです」
「えっ!?」
こ、これは初耳だ…。一体、僕が倒れた後、何があったんだ…。
「あ、でも安心してください。それにすぐに気づいたらしく、敏捷が高い人達に追わせたので、早々諦めてくれたそうですけど」
「そ、そうだったんですか…」
あの時、僕の死力でカサンドラさんを助けたと思っていたら、今度は僕の方がさらわれそうだった。
恐ろしい事実を聞かされて、少し顔を青ざめた。
(…でも、どうして僕をさらおうとしたんだ? あの時、確か僕を連れていかなそうな話を言っていたのに…)
そう思っていた時、アミッドさんから神妙な顔で僕に質問した。
「…その、時にベルさん。どうして、【アポロン・ファミリア】に入団されたのですか?」
え、突然どうしたんだろう。僕は何か他にもあったのかなと考えるも、正直に経緯を話した。
「じ、実は…。最初オラリオに来て、ギルドの受付の人から冒険者登録するには【ファミリア】に入ることが条件だといわれて…。当初すぐに入れると思っていたんですけど、立て続けに別の【ファミリア】に断られて…。入団テストもやったですけど、他の人と比べられて落とされちゃって…。2日目の夕方でようやく入団させてくれる【ファミリア】があって、そこが【アポロン・ファミリア】だったんです」
「…なるほど。その時、ここの【ファミリア】にも行ったのですか?」
この質問で、僕はようやく意味が分かった。
「…はい。僕は田舎出身だったんですけど、僕のおじいちゃんが怪我をしたり、熱を出したことがあって、その時僕が介護をやっていたので…。【ファミリア】を探していた時は、僕は何が何でも冒険者登録することに躍起になっていたので、田舎にいたときの知識が使えるかもしれないとここに入団申し込みをしたんですけど…。あの、もしかして、僕の事で何か言っていたんですか?」
「……」
アミッドは答えない。
この事でベルは逆に何を言われたのか怖くなり、少しずつ顔を暗くしていく。
「……」
「……」
静まり返り、空気が重くなってきた。本当に何を言われたんだ。
そうしている内に、遂にアミッドさんが口を開いた。
「…その、ベルさん。あの時、ひどい言いがかりであなたを落とした我が【ファミリア】の愚か者に代わり、私が謝罪をします。大変申し訳ございませんでした」
僕は【戦場の聖女】と呼ばれるアミッドさんから頭を下げられ、謝罪された。
この衝撃的な出来事をされた僕は、非常に戸惑っている!
「あ、あの、頭を上げてください! その、あの時は僕の方が何か間違えたかも…」
「いえ、それはありません。私や我が【ファミリア】の主神であるディアンケヒト様の相談なしに独断で合否を判断するのは厳禁だと、我が【ファミリア】の掟ではそうなっています。それに、同じ医者を志そうと考えた者に、あのような下劣な言葉を投げるのはこちら側に非があります。そして、私はその団長であります。部下の責任を取るのは上司の務めでもありますから」
「ア、アミッドさん…」
「私に対して、いかなる罰でも、わ、私は…」
「い、いや、そこまで責任を取らなくても!」
規則正しく、純粋な人だけど、止めないと暴走してしまう…!
「あ、あの、アミッドさん。僕は【アポロン・ファミリア】に入って、僕が断られまくった入団関係の事で、後悔していることはないんです。それに僕は、【アポロン・ファミリア】に入って良かったと思ってもいるんです。神様は変な神ですし、団長のヒュアキントスさんは物厳しい方ですけど、皆が支え合って、助けたり、助かれたりする。時にはミスも起きますけど、みんなそれを笑い飛ばして、そして励まし合ったりする。そんな【ファミリア】なんです。だから、アミッドさんはそんなに僕の事を重く考えないで、頭を上げてください! 僕は入団する前より、ほんの少しだけですけど、強くなっています! あなたに頭を下げられたら、僕は何も進んでなく、弱いままだということになってしまいます!」
「べ、ベルさん…!」
アミッドさんは頭を上げ、僕の顔を見た。少し涙組んでいたけど、少しだけ笑顔になったようだった。
そして、すぐに涙を拭き、いつもの無表情の営業顔に戻った。
「…そうですね。大変失礼しました。先程の事は忘れてください」
「え、いや、あの、それは…」
「忘れてください」
「は、はい…」
無表情のまま言葉の圧力に押されてしまった。こ、怖い…!
そして、質問はこれで終わりじゃなかった。
「…ちなみに、ベルさんは退院された後、どうなさるのですか?」
「とりあえず、館の修理が直るまで、泊まる宿とか探して、後壊れた装備も買ったりしないと…」
「…資金は大丈夫なのですか?」
「…わからない…」
実際、どうなるんだろう…。宿代とか前みたいにぼったくられないようにしないと…。あ、そうだ。カサンドラさんとかに聞けば、安くて済む宿とかあるかも。
僕はそう考えていると、アミッドさんからある提案をされた。
「宿とかお探しなら、私の部屋に泊まりますか?」
「…………えっ」
提案の内容が衝撃的すぎて、一瞬思考回路が飛んだ。
「あ、勘違いなさらないで下さい。今、被害を受けた人の約半数がまだ退院しておらず、このように一日中患者を見ないといけないので、それが終わるまでですが、私の部屋の掃除とかをお願いしたいのですが」
「えっ、あ、いや、でも、僕、男ですし。そこに、普段アミッドさんが泊まっている所に出入りするわけにも…」
「いえ、大丈夫です。安心してください」
「いや、あの、どう安心しろと…」
そんなところに泊まったら、多分僕は館の修理が完成するまで一日も眠れなくなる。
どうにかこの話を打ち切ろうとするも…
「ベルさん。むしろこれはあなたにとって、最大のチャンスです。何せ、あなたは経過観察ですので、ダンジョンに2週間潜れず、資金の補充はまず難しいはずです。そこに、宿代の資金が浮きます。その分、装備に資金を回せますし、食事代にも余裕ができます。館の修理が完了するまでですが、万が一その期間が長くなってしまったらあなたはどうなさるのですか?」
「そ、それは…」
「それにあなたが私の部屋に泊まってくれたら、この4日分の部屋の整理とかもあなたがしてくれて、私も助かります。そう、世の中「ギブ&テイク」なのです。あなたも部屋の宿代の資金の心配もなくなり、わたしも部屋の掃除や整理などの心配もなくなります。それにあなたは経過観察ですから、私も部屋で効率良くじっくり見ることもできます。お互いメリットしかないものです」
「で、でも、僕、男…」
「噂や性別が何ですか。宿だと思えば大丈夫です。私は全然気にしません」
「……」
こうして、館の修理が完了するまでの僕の宿泊場所は、まさかのアミッドさんの部屋になってしまった。
僕は退院して、どうにか誰にも見られずに、アミッドさんに部屋の案内をされ、荷物を置く。
この荷物には持ちだしていた短刀も含まれているが、館が襲撃された時、部屋に置いていた僕の荷物はほとんど駄目になってしまったけれど、無事だった服などの日用品や昔おじいちゃんからもらったお守りなどが入っている。
どうやら、【ロキ・ファミリア】やギルドの人達が病院の方に届けてくれたみたいだった。
荷物を置いた後、その場を離れようとすると、アミッドさんがどこか物寂しそうな顔をしている。
「…ゆっくりしなさらないのですか?」
「え、えーと、装備の事や日用品も新たに買わないといけないですし、他の人達にも退院報告しないと…」
「…そうですね。では、お気を付けて」
そう言うと、アミッドさんは病院の方に戻って行った。
他の患者も大勢いるからだけど、僕の事に付き合ってて大丈夫だったのかな…? それとも、休憩時間だったのかな…?
あ、でも、【ディアンケヒト・ファミリア】の団長でもあるから、きっと休憩時間だっただろう。
そう結論した僕は、ともかくこの場にいることを見られないように去った。
今は退院報告だ。カサンドラさんやルアン達に言おう。
そう思い、僕はカサンドラさんが泊まっているという宿に向かうのだった。
その行先の途中の道端で、ジャガ丸くんを買おうとしているカサンドラさんとそれに待っているダフネさんたちと会った。
「あ、カサンドラさん! ダフネさん!」
「あ、ベルだ」
「よっ、こんな所で奇遇だね。無事退院できたんだ」
「今日から2週間は経過観察だから、もうしばらくはダンジョンに潜れないですけど」
「まあ、無理もないわね…。私も昨日退院したけど、後6日ぐらい経過観察だから無理な運動ができないからね。カサンドラは大丈夫だったからダンジョンに潜れるけど」
「うう~~~…。ダフネちゃん~~~~」
「メソメソするな。あんたのせいとかじゃないから、責任感とか感じるな!」
「は、ははは…。…そういえば、ジャガ丸くんですね。僕も食べよう…、って!?」
「いらっしゃいませ…ぇえ!?」
【ファミリア】探しの時、散々お世話になったジャガ丸くんの注文をしようとすると、そこでいつぞやのツインテールをしたロリ神様と出会った。
「え…、あ、あの、ベルの装備を買おうとした時の【バイトの神様】!?」
「ちょっ、何だ、その二つ名はっ!?」
「えええぇ!? ここのバイトもしていたんですか!?」
「そうだよぉ。ここのジャガ丸くんはおいしいからねぇ…。て、そうじゃなくて、ご注文はっ!?」
「あ、えーと、抹茶クリーム味とバターチーズ味…ベルは何にするの?」
「じゃあ、小豆クリーム味を…」
「ご注文受けたまりましたぁ! 少々お待ちくださぁい!」
「…あの神様、いくつバイトの掛け持ちをしているんだろう…」
「多分、私たちの予想の数を超えるわね…」
「う、うん…」
注文を待っている間、僕は不思議なことを考えていた。
何となく、この神様とは、他人事ではないような気がする。もしかすると、僕が【アポロン・ファミリア】に入団できなかったら、この神様の眷属になっていたかも…。
そんな事を考えていると、カサンドラさんからある質問される。
「ね、ねえ、ベル…。その、宿とか、どこにするか決めたの?」
「ギクッ!?」
「ギクッ?」
「い、いえ、そ、空耳じゃありませんか?」
「…そう、かな…?」
この質問は僕にとって非常に危うい。
ま、まずい。そのまま素直に「アミッドさんの部屋に泊まることになりました」って、答えたらどんな事になるかわからない。まず間違いなく白い目に見られることは確定だけど。それで済むとは全く思わないし。ど、どうやってごまかせば…。
「ん? どうしたの? 何か汗をかいているようだけど」
「べ、ベル? もしかして、まだ体調が悪いんじゃ…」
「い、いえ、ぜ、全然そんなこと全くこれっぽっちもありませんよ!」
「何かとてつもなく動揺しているように見えるわね…。…っ! さてはあんた…! …いや、流石にそこまでの資金はベルには持ってないか」
「ダ、ダフネちゃん? どうかしたの?」
「ベル。あんた、どこに泊まることになったの? 私達に言えない所? それとも、またぼったくられたの?」
「い、いえ、そういうわけじゃ…」
「じゃあどこ?」
ど、どうしよう…。これはもう正直に白状するしか…。
もう絶望的な状況になってしまった。が、ここで助け船が来た。
「はい、お待たせ~! 左から抹茶クリーム味、バターチーズ味、小豆クリーム味です! お値段は90ギルになります!」
「あ、ぼ、僕は払います! あと、小豆クリーム味は僕のなので、これにて失礼します!」
「あ、ちょっと! 待ちなさい!」
「あ、べ、ベル、待って!」
「またのご来店をお待ちしておりま~す!」
こうして僕の逃避行が始まろうとした。
「ん、あれ? 確か昨日アポロンが話していた子って、赤目の白髪をした兎の印象があるベルという名前…って、あの子の事か!」
「ヘスティアちゃん! 今はお客の方を!」
「あ、ごめんよ! いらっしゃいませ! ご注文の品はいかがでしょうか?」
「抹茶クリーム味。小豆マシマシで」
しかし僕は今、経過観察の身であるため全速力では走れず、あっけなく捕まった。
「さて、どう裁こうかしら……。あ、これおいしいわね」
「でしょ! 私、このジャガ丸くんおすすめなんだ~」
「お、お助けを…。まだ少ししか口にしていないジャガ丸くん小豆クリーム味と引き換えに…」
「却下。そしてそれは没収します」
「そ、そんな…」
「あの、ダフネちゃん…。そのジャガ丸くんを私に頂戴。まだもう少しお腹が空いてて…」
「それはこいつの罪状次第だね」
と、買ったジャガ丸くんを口にしながら僕を裁いていた。
そしてあっけなく、僕が泊まる場所について白状されてしまった。
僕が泊まる場所を聞いた二人は愕然としている。そして、白い目で僕を見た。
「アンタ…。よく、そこに泊まろうとしたわね…」
「べ、ベル…」
「いや、これでもだいぶ粘りましたよ! 結局押し切られちゃいましたけど!」
「気持ちはどうあれ結果は変わらないわ! 判決! カサンドラ、このジャガ丸くんを食べてよし!」
「じゃあ遠慮なくいただきます」
「あ、ぼ、僕のジャガ丸くんが…!」
言葉の抵抗はむなしく、口をつけたジャガ丸くん小豆クリーム味がカサンドラさんに食べられてしまった。
ひ、一口しか食べられてなかったのに…。
「むしろ、これで許す方が大分軽いと思うけどね」
「うん、そうだよ…」
「え、ええ…」
な、何か釈然としない…。
「へえ。女性の人の部屋にお泊り出来て、挙句の果てに女性2人にこうやって話をして、それを羨ましがっている奴も世の中にいるのよ。むしろ、そいつらから助けたと思いなさい」
「お、横暴すぎる…」
「まあ、他の人に口止めもするから、その代償として思えばいいよ」
そ、それだったらまだ…。
「じゃあ、そういうことで。私達はもう行くところがあるから」
そんな感じで話が終わり、ダフネさん達は立ち去ろうとする。
僕はその行先を尋ねる。
「え、どこに行くのですか?」
「うん、ちょっとアポロン様の所に。ステイタス更新のことがあるから」
「あ、ぼ、僕も行きます!」
そして、アポロン様の所に訪れ、僕はアポロン様に経過観察中のダフネさんやカサンドラさんが監視の下、ダフネさん達が泊まる宿の中で、僕のステイタス更新を行ってもらうことになった。
ダフネさん曰く、僕とアポロン様を二人きりにさせると、非常に不安になるらしい。
前もそうだったけど、一体どういう意味なんだろうと疑問を持ったが、すぐにステイタス更新が始まった。
ベル・クラネル
Lv.1
力:I82 → H114
耐久:I38 → I76
器用:H101 → H133
敏捷:H156 → G201
魔力:I0
≪魔法≫
【】
≪スキル≫
【】
「はい、これで更新は完了した。さて、このままベルきゅんの体をブヘッ!?」
「やっぱりな! こっちはこれでも経過観察の身なんだから、気を使いなさいよ!」
完了した後、何かを僕の体にしようとした時、アポロン様の顔面に蹴り技が叩き込まれた。
いや、あの、ダフネさん。今は経過観察だから、あまり無理は…。
そう思いながら、僕は顔が腫れたアポロン様からステイタス更新表を受け取った。
『ミノタウロス』の一件、巨大な植物、食人花や巨大花、そして侵入者達との戦いで、どうやらステイタスが大きく更新されている。
散々追い掛け回され、回避したり、攻撃を受けたりしたからかなぁ。ついに加算合計140オーバーを記録してしまった。新記録だ。
こうして見ると、非常にきつい出来事が起こると、乗り越えたら大幅にステイタスが上がるみたいだ。特に『敏捷』のステイタスの大幅上昇を見ながら僕はそう思った。
カサンドラさん達も僕のステイタス表を見て、驚きの声が上がる。
「すごい伸びたわねぇ。これ、ウチらでもここまで伸びたのないわよ」
「ベル、あんなに頑張ったから…」
「うん。それが反映してくれたのかな」
僕たちがステイタス表を見て喜びあっていると、アポロン様が明後日の事で話しかけてきた。
「さて、ここにベルきゅ、じゃない、ベル君もいることだし、明後日の『怪物祭』のことで話そう。本来の意味から遠く離れてしまったが、療心観光という意味で動けるメンバー全員で行こうと考えているのだが、何故か集まりが悪くてね」
「そりゃ、そうでしょうね。意識を取り戻していない奴もいるから、ウチらだけ行くわけにもいかないし」
「うーん。折角開催されることになったのに…」
ここで、僕が手を挙げる。
「あ、あの…。僕、見に行きたいです。」
「おお、流石ベルきゅん! こうなったら二人きりで『怪物祭』を見て回って、その後良いことをしブヘラッ!?」
「アンタは危ないから駄目だ! ベル、どうしても見に行きたいなら、私達と行きましょう。この変態と行くとろくな目に合わないから」
「あ、はい…」
そうして、明後日の待ち合わせ場所を今日行ったジャガ丸くんの出店付近に午前9時に集合となった。
とりあえず、そんな所かなと思っていた時。
「あ、私達のステイタスの更新もしないと」
と言って、カサンドラさんが服を脱ぎ始めてしまった。
僕はその光景を見て、頭の思考回路が停止して、体の動きが止まってしまった。
そしてすぐに顔が真っ赤になって、体の制御を取り戻した。
「あっ、ちょっ、カサンドラさん!?」
「ストップ! カサンドラ、ストップ! ベル、変態! いいから二人とも部屋から出てって!」
「え、私も? ステイタス更新は?」
「あ、そうか…。て、ともかく! ベルはすぐに部屋から出てって!」
「え…、キャッ、キャアアアアアッ!?」
「気づくの遅いよカサンドラ!」
「す、すぐに部屋から出ます!」
と、すぐに扉の方に駆けつけて出ようとして、開けた瞬間、すぐに閉めた。
「ど、どうしたの!? 早く部屋から…」
「い、いえ、あの、扉の前に男の人がいて、部屋の中の様子が見えてします!」
「え、ど、どうしよう!」
「アンタが死角に入ればそれでいいでしょ!」
「あ、そうか」
「は、早くお願いします!」
そして、この状況を達観していたアポロンは、少し考え、ある事を思いつく。
「はっ! ベルきゅん、後ろ!」
「えっ?」
僕は緊迫した声をアポロン様が挙げたため、僕は思わず顔を振り向いてしまった。
「えっ、ちょ、ベル!?」
まさかの事態にカサンドラさんが驚いてしまい、服を手にもって体を必死に隠していたけど、それを落としてしまった。
あらわになった上半身の肢体を見た僕と肢体を見られたカサンドラさんは、さっきよりも顔を赤くなって悲鳴を上げた。
「キャ、キャアアアアアッ!?」
「キャ、キャアアアアアッ!?」
「おお、同じ悲鳴を挙げゴべパッ!?」
「何させてんだ変態!!」
その後、しゃがみこんで涙目になってしまったカサンドラさんをダフネさんが必死になだめ、扉から死角になる場所に引っ張って、それを確認した僕は顔を真っ赤になりながら部屋から飛び出し、扉を閉め、その場からダッシュで離れた。
「あ、おーい、ベル! 退院したのか! ん? 『ミノタウロス』に追われた時ぐらいに全力で走ってどうして、あ、ちょっ、おい!」
「……はっ! ルアン! あれ、ここはどこ!?」
「ここはもうギルド前だよ。オイラはダンジョンに潜れるから、資金稼ぎにサポーターやって、今換金し終わったところだけど…。ベル、明後日の『怪物祭』はどうするんだ? 行くんだったらオイラも連れてってくれ! 何やかんやオイラも見たいし!」
「あ、うん…。明日、カサンドラさん達に掛け合ってみるよ…。でも、ルアンが声を掛けなかったら何処まで走っていたか…。…ええい、思い出すな! 静まってくれ僕の中の欲望! ここまで走ってきたのに!」
「どんだけ夢中で走っていたんだよ…。なんか神々が言っていた中二病? とかになっているし…。てか、お前、経過観察はどうしたんだ? なかったのか?」
「………あっ」
こうして、思わぬ出来事なってしまい、経過観察の身でありながら全力で走ってしまったので、後でアミッドさんにばれて激怒された。
そしてアミッドさんに激怒された後、僕は部屋に戻った。僕が泊まるアミッドさんの部屋に。どうにか周りから見られずに部屋に入れたけど。
「つ、疲れた…。ダンジョンに行っていないのに」
これから部屋に出入りする時、周りから見られずにやり過ごすのか…。出来るかな?
「ご飯は怒られる前に食べたし、今日はもうシャワーを浴びて寝よう…」
そして僕は部屋にあるお風呂に入り、ベットに横になった。
いつもアミッドさんが使っているからか、少しだけいい香りがするような気がする。
その影響か、僕の中の欲望が囁き、昼間のカサンドラさんの事を思い出しそうになったが、すぐに首を振り、寝ることに専念した。
「装備はもう2日後の『怪物祭』の後に買おう…」
こうして、僕は眠った。
次の日はカサンドラさんの所に行き、極東に伝わるという土下座を披露して、何とか許してもらった。お互い顔を真っ赤にして、うつむいていたけど。
そして、ダフネさんも途中で加わり、明日の『怪物祭』にルアンも同行する事を話した。
そしてさらに次の日、遂に『怪物祭』が開催された。