ベル君が【アポロン・ファミリア】に入団するのは間違っているだろうか 作:七篠ロキ
女A「ええ、とても良いものです。眠り心地も非常に良く、それをしないと最近寝つきが悪くなっています」
女K「うん。凄くいいものだよ~! また抱き付きたい~~!はうぅ~~!」
男神A「なん…だと…!?」
明日の投稿はお休みします。
明後日からまた投稿を始めます。
※状況次第では、もしかしたら明日も出すかも。
メレンに隠されている予備の食人花のあるかを探るため、それを怪しい人物を見張り、僕達【アポロン・ファミリア】はそれぞれ昨日と同じく僕、カサンドラさんと、ルアン、ダフネさんの二手に分かれ、それぞれマードック家及びニョルズ様を見張る事になった。
ヘルメス様とアスフィさんは「ギルド支部の方を見張りに行く」と言って去って行った。
【ロキ・ファミリア】の人達は【カーリー・ファミリア】を見張りながら、ベートさん、ティオナさん、ティオネさんを探している。
それにしても3人は何処に行ってしまったんだろう…?
僕はそんな疑問を覚えながら、朝にカサンドラさんが見た夢のお告げをどうにか回避しようと考えていたら、ある疑問が浮かべた。
「そういえばカサンドラさん。夢に見たお告げって、オラリオに帰還する時、外壁に到着した人の影が12つだったって聞いていたけど、それ以外に何かなかったのですか?」
「いや、特にはなかったの。だから、もしかしたら誰かここで亡くなってしまうかもしれないと思って…」
「…なるほど…」
僕は妙な胸騒ぎをしながら、マードック家の方へ見張りに向かうのだった。
一方、【ロキ・ファミリア】の人達は先に【カーリー・ファミリア】の見張りをしているルルネの居場所に向かったのだが、そこには誰もいなかった。
フィンは緊急事態だと判断し、すぐにレフィーヤを使いに出し、神ヘルメスとアスフィの元に向かわせるのだった。
「レフィーヤはすぐにこの事を神ヘルメスとアスフィの元へ! アイズはここで見張りをしていてくれ! 僕は【アポロン・ファミリア】の人達のこのことを伝えてくる!」
「わ、わかりました!」「ん」
「また、ベートやティオナやティオナを見つけたら、この事も伝えろ! いいな! では、すぐに行動!」
フィンがそう締めくくり、走って【アポロン・ファミリア】の人達がいる元へ駆けて行く。
レフィーヤもまた、ギルド支部に向かい、ヘルメスとアスフィの元へ駆けるのだった。
メレンのとある岩場。
ベートはそこでふて寝していた。
昨日の昼間の件もあったが、ベートは朝が明ける前に、先に宿に出たティオナとティオネの姿を見て、ベート自身もまた跳び出して二人の後を尾行したが、途中で湖に潜られてしまい、二人の元に辿り着けず、途方に暮れていた。
引き返そうにも時間がかかりすぎてしまい、どうしようか考えている。
「さぁて、どうすっか…。うまい具合に【カーリー・ファミリア】のとこに潜り込んでみるか…? だがそれだと見つかるリスクが高いな。昨日とまた同じになっちまうし…。やっぱ意地を張らずにここは戻って…ん、なんだ?」
ベートは近くで何か騒がしいと思い、静かにその様子を見ると、そこには【ニョルズ・ファミリア】の団長であるロッドと神ニョルズが何か話していた。
「ニョルズ様! やっぱりあいつらはやばいですって! オラリオの人達にどうにかしてもらいましょうよ!」
「落ち着けって。【カーリー・ファミリア】が野蛮であることは昨日の昼間でもよくわかっていただろ。それに、あの【ファミリア】を招き入れたのはボルクの方からだし…」
「それでもやばいんですって! 昨日の夜中、俺と一緒にニョルズ様も見たんでしょ!? あいつらがガオレン船から鎖で縛られていた奴を引きづっていたのを!」
「………」
(ん? あいつら、何の話をしているんだ?)
ベートはその会話内容から何やら【カーリー・ファミリア】の事を話していることがわかるが、状況が何やらよく理解できなかった。そしてベートにとって、二度と聞くことはないだろうと思っていた、懐かしの名を聞いた。
「しかも鎖で縛られていた奴って神様なんでしょ!? ニョルズ様がそう言っていたじゃないですか! 「あれはヴィーザル!?」って物陰から!」
「…ッ!?」
ベートは自分の元【ファミリア】だった主神が囚われているという事実に思わず耳を疑った。ベートが声を完全に出さなかったのが奇跡であるほどに。
(何だと!? あいつら、オラリオに出てから一体何があったんだ!? つーか、ヴィーザルが囚われているなら、その【ファミリア】の眷属達はどうなったんだ!?)
ベートはさらに話を聞こうと耳を澄ませたが、それ以上の情報は出てなかった。
(…どうやら、敵の本拠地に潜り込んで確かめるしかねぇな!)
ベートは岩場から離れ、昨日の報告会で上がった【カーリー・ファミリア】が泊まっている宿を目指し、駆けて行くのだった。
一方、ダフネとルアンは神ニョルズの元へ向かう途中、浜辺でベートが駆ける姿を見かけた。
「ん? あれって【凶狼】じゃない?」
「あ、ほんとだ! おーい! 皆お前の事を探して…て、オイラの話を聞かずに行っちまいやがった」
「何かを目指して走っているように見えるわね…。ルアン、あんたはニョルズ様を見張ってて。私は【凶狼】を追い駆けるから!」
「え、ちょ、オイラ一人で!? というか、【凶狼】って敏捷は速いから、いくら何でも追いつけっこないって!」
「浜辺に足跡を残しているからその跡を辿るわ! それじゃあ任せたわよ!」
「ちょ、ほんとにオイラ一人でやれって言うのか!?」
ルアンの叫び声もむなしく、ダフネは浜辺に行き、足跡を辿ってベートを追い駆けに行く。
ルアンはその様子を唖然としながら見送ることになってしまった。
そして、丁度入れ違いになるように、フィンがそこに辿り着いた。
「すまない。緊急の要件が…、あれ? ダフネ・ラウロスはどうしたんだ?」
「今浜辺に行って【凶狼】を追い駆けに…って、【勇者】!?」
「ベートを見つけたのか!? それに浜辺か…。僕も追い駆けたいところだが、他にもベル・クラネルの所にも伝えないといけないから、ダフネ・ラウロスに託すとしよう。そして、緊急事態だ。【ヘルメス・ファミリア】のルルネ・ルーイの姿も見当たらない。恐らく、どこかで囚われてしまっている」
「え、ええええ!?」
次から次へ状況が変わるありさまに、ルアンは頭を抱える。
そしてフィンは伝えることを伝えたため、その場を離れ、ルアンは一人でニョルズを見張ることになった。
一方、レフィーヤはヘルメスとアスフィの元へ駆けている途中だった。
走っている前に、小さな女の子が目の前に転んでしまっていて、泣いていた。
レフィーヤはその様子を見て、思わず足を止めてしまう。
「あの、大丈夫ですか? これ、ポーションです。それで、親御さんとかは…?」
「ありがとうございます…。お母さんとかはぐれてしまって…」
「そうなんですか…。どうしましょうか。どこら辺に住んでいるのですか?」
(すぐにその場に連れて行って、早くヘルメス様の元に急がないと!)
レフィーヤが内心焦っていたが、少女が返答せず、代わりに質問される。
「…お姉さん、オラリオの冒険者なの?」
「はい、そうですよ。どうかしたんですか?」
「あのね、ずっと前から遊び場で変な物がいて…」
「変な物…?」
「うん。湖に出た、あの長いモンスターに似ている。」
「!!?」
少女の言葉にレフィーヤは驚愕する。それはつまり、ベル達が言っていた食人花の事に他ならない。恐らく、予備の食人花のありかである。
「大人の人に内緒って言われてたんだけど、私、怖くなっちゃって…」
「その変な物は、どこに?」
「この道の、ずっと奥……」
少女が指すのは、路地口だった。
(…まさかこんな形で見つかるとは予想しませんでしたけど、先に本当かどうか、調べときましょう)
「案内、できますか?」
レフィーヤが尋ね、少女は頷く。
そして案内されると、路地裏は入り組んでおり、土地勘がなければすぐに迷ってしまうほどだった。少女は勝手知ったる様子で、人気のない小径の奥へ導いていく。
「……?」
レフィーヤの細い耳がぴくり、と知覚して、何かに見られているような感覚に陥り、狼狽していた。
そして、少女がレフィーヤの心の中を見透かしたように、背を向けたまま、その疑念に回答する。
「アマゾネスのお姉ちゃんが来たんじゃないかな?」
レフィーヤが「え?」と返答する前に、恐ろしい手刀を振り下ろされ、的確に首筋に打ち込まれた。
薄れゆくレフィーヤの意識が途絶える前に、少女の声が聞こえる。
「神々の中には、纏う『神威』を0にする者がおる。ゼウスやオーディンなどの大神や、一部の神々もそうじゃ。子に成りすまし、気づかれることなく市井に溶け込む。これもまた、下界の遊びじゃな」
少女が鬘を脱ぎ、紅の髪を出し、懐から取り出して2本の牙をはやした悪鬼の仮面をつける。
「1つ利口になったのう、【ロキ・ファミリア】の眷属よ」
その姿はカーリーの姿を現し、またその隣にはレフィーヤの後ろから現れたバーチェが並んでいた。
レフィーヤはその光景を見ることが出来ず、そのまま気絶して、意識を完全に途絶えてしまった。
一方、ティオネ、ティオナは人気のない場所に組み手の練習をしていた。
どうやって二人を見つけたのか、アルガナからルルネの持ち物のペンを見せられ、人質を囚われていることを知らされた二人は、決戦の時間になるまで競い合っている。
ちょうど、ティオネの拳がティオナの腕で防がれているところだった。
「痛ったぁー!? 本気でやりすぎでしょティオネ―!?」
「当たり前だろ、ティオナ! じゃなきゃ、意味がない!」
「ッ…!」
拳を交わすうちに、お互いが白く燃えていた。
次第にいろいろな感情が混ざり合い、とうとう先にティオネが口に出した。
「ねぇ、知ってる? 私、あんたのこと大っ嫌いだったわ」
「知ってるよ! 聞かなくてもわかっていた!」
「今も嫌い」
「そっか!」
テルスキュラにいたときと変わらず、ティオナは唇を曲げている。
凄まじい肉弾戦を繰り広げながら、顔に笑みを耐えている。
その笑顔にティオネに苛立ちが増していった。
「いつもいつもヘラヘラ笑いやがって! ちっとも変わらないじゃない!」
「そういうティオネは変わったよねー! ロキたちと出会って、フィンの事を好きになって、ティオネ、変わったよ! あたし、それが嬉しかった!」
「っ…そういうところが! 腹立つって言ってるのよ!」
「え、何、聞こえなーい!」
「てめぇ!」
お互い渾身の一撃を放ち、お互いどこ吹く風だった。
無邪気に笑い、天真爛漫に闘い、喜んで技を交わす。
気づけば、ティオネの方も笑みを出し始め、双子の姉妹は笑いあっていた。
ティオネとティオナは殴り合いを楽しんでいる。
そして、本来の目的を忘れた二人は。
「「おぐぅ!?」」
と、お互いの拳がお互いの頬にめり込んでいた。
そして、二人はぐらりと体勢を崩し、揃って仰向けとなって倒れ込んだ。
そして、手足を投げ出し、大の字になっていた二人は勝敗について言い争っていたが、やがて笑みがこぼれる。
二人揃って寝転がり、ティオナとティオネは見上げる視界が眩しく感じていた。
しばらくした後、二人とも用意しておいたポーションを飲み、回復していく。
そして、二人とも夜まで休む事にして、決戦に備えていた。
一方、ベルとカサンドラはマードック家の前で見張りをしていたが、フィンの緊急事態の内容が通達され、取り乱していたが、フィンによってすぐに冷静になった。
「じゃあ、これからどうするんですか?」
「もう僕達は【カーリー・ファミリア】に関しては後手に回っている。少なくとも、君達で今日中にメレンの食人花の問題を片づけて欲しい」
「今日中にですか!?」
「ああ、もはや悠長していられない。速攻で片づけて欲しい、以上だ。僕は持ち場に戻る」
「き、気をつけて下さい!」
僕はそう言うと、フィンさんは「大丈夫だ」と応え、その場を去った。
どうやら、メレンにおいて、非常に大きな騒動が起こる予感がした。
「カサンドラさん…。食人花の隠し場所って、どこら辺ですかね…?」
「私に聞かれてもわからない…」
僕達は弱音を吐いてしまった…。だが、粉の生成方法から考えて、少なくとも粉を取り押さえる。その機会を僕達は待つことになった。
一方、ベートは【カーリー・ファミリア】が泊まっている宿に辿り着いた。
そして、見張りをしていたアイズがベートに気づき、ベートもまた気が付いたため、【カーリー・ファミリア】に見つかる前に、一旦アイズの元に身を隠した。
「ベートさん、どこに、行っていたのですか?」
「ああ、まあ、ちょっと、な…。フィン達は?」
「…ルルネさんが囚われたことに関して、他の【ファミリア】の人達に、伝えに行っています」
「…!? こっちも大分やべえな…!」
「…? こっちも…?」
「いや、俺の話だ。気にすんな……、おい、あいつもここに来たぞ」
「ん…」
そこで息が絶え絶えなダフネが辿り着き、アイズたちはそれに気が付く。
「もしかして、ベートさんについてきたのでは?」
「はぁ!? 何を言って…、そうか、俺の足跡でここに辿り着いたのか」
「とにかく、こっちに来てもらおう…!?」
すると、ダフネの所にアルガナがやってきた。
ダフネも「最悪…!」と悪態付きながらも、どうにかこの場を逃げようとしても、あっさり囲まれてしまった。
監視していたアイズは助けようとするも、ベートに止められる。
「まずい!」
「待て、アイズ! 今は更に場が荒れちまうから、おとなしくしろ!」
「でも…!」
「ここはまだ監視をするべきだ! ここの見張り場所がなくなったら、後になって、この事が響いちまう!」
そうしているうちにダフネはあっさり気絶され、囚われてしまった。
そして、宿の中に運ばれていく。
「…!」
(やっぱり、人質としてか…。さて、あいつもこの宿の中にいるのか…?)
ベートは目の前に起きたことをにらみながらスルーし、ダフネが宿の中に入られることを黙って見ていた。
そしてしばらくした後、フィンが戻ってきた。
「遅れてすまない! 状況は!?」
「ダフネさんが囚われてしまいました…」
「…」
「…ッ!? まずいな…。いよいよ人手が足りないぞ…! レフィーヤはまだなのか?」
「はい。まだ戻ってきません…」
「……」(…もしかしたら、レフィーヤも、もう…!)
フィンが必死に状況を挽回できるかどうか考えていると、ベートがある提案をしてきた。
「なあ、フィン。ここの見張りは俺に任せて良いか?」
「…別に構わないが、揉め事だけは起こすなよ」
「ああ。向こうから手を出してこない限り、やらねえよ」
「…わかった。じゃあ、ベート、君にここは任せる。僕達はヘルメスの元に急いで向かって、レフィーヤがそこに来たのかを尋ねる。そして、その返答次第で行動を考える」
「「了解」」
そうして、フィンとアイズはその場を離れ、ヘルメス達がいるギルド支部に向かった。
そしてフィン達はギルド支部に辿り着き、ヘルメス達に緊急事態のことを伝える。またレフィーヤがここに来たのかを尋ねたが、来ていないという返答が来て、レフィーヤもまた囚われてしまった事が確定した。
「フィン…どうすればいい?」
「…昨日、実は文をオラリオに送っておいて、そろそろ僕達の【ファミリア】がここに到着してもおかしくないはずなんだが…、来る気配がない」
「それは、どこかで握りつぶされた可能性は高いぜ。【勇者】」
「……となると、ここの現状で対応するしかなくなる。……このまま夜まで待とう」
そう結論し、夜になるまでできるだけ戦闘準備をし、ティオナとティオネを探しながら、体力の回復を務めるのであった。
そして、夜となった。
「行くわよ、ティオナ」
「うん! 私は洞窟の方で、ティオネは船の方だよね」
「さてアスフィ、すぐに片付けるぞ」
「わかっています。こういうのは、ヘルメス様のせいで慣れていますから」
「カサンドラさん! 今がチャンスだと思います!」
「うん! 向こうが家の中で何か取り出したのが見えた!」
「あれ、ニョルズ様、夜に何処に行くんだろう?」
「あれ、【ニョルズ・ファミリア】の団長が怪しい動きをしているな。結局オイラ一人で見張る羽目になったし、大丈夫かな…?」
「…動いたか」
「…」
「さあ、来い! ティオネ!」
「やぁっと、宿にあまり人気が少なくなってきたな!」
「ゲゲゲゲゲ! 準備しなぁ、春姫!」
「さて、妾も楽しみじゃ…宴が始まるぞ」
メレンの地にて、戦いの幕が上がる――――――。