ベル君が【アポロン・ファミリア】に入団するのは間違っているだろうか   作:七篠ロキ

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before
アルガナ「男なんか敵だ!」
バーチェ「ティオナ…! 殺す…!」

after
アルガナ「フィーン! 何処だー!? 私と結婚してくれー!」
バーチェ「この感情は一体…?」

そして報告。
 実はですね、当初はダンまち3期が始まるぐらいに異端児編に入りたいなーと思っていました。異端児編はかなり先の章です。
 はい、無理ですね。とりあえず、この章を終わらせるように頑張ります!


潜入メンバー

 オラリオに戻ったけれど、許可証のカードは僕の部屋においてある。そのため、取りに行くためにフィンさんやヘルメス様、ルアン達と別れてから、僕とダフネさんは一旦【アポロン・ファミリア】のホームに戻る事となった。

 

 そして館に戻って中に入った際、アポロン様やヒュアキントスさん、リッソスさんと出くわした。

 

 

「ベルきゅん! ダフネ! もう『強制任務』を終わらせて戻ってきたのか!! もしかしたら全身日焼けして帰ってくると思っていたよぉ!」

 

「想定よりも早かったな。それでこそ、この【アポロン・ファミリア】の団員だな」

 

「…ん? カサンドラとルアンはどうした?」

 

 

 アポロンはベル達がわずか3日で『強制任務』を終わらせたことに驚き、ヒュアキントスは当然かのように鼻を鳴らすが、リッソスはカサンドラとルアンの姿がないことに気づき、疑念を覚える。

 

 そして、その疑念に対してダフネが弱々しく答える。

 

 

「………カサンドラは、攫われてしまったわ…」

 

「「「………はぁ!?」」」

 

 

 まさかの事態が起こっていた事に3人は驚愕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええい、おのれ! よくも我が眷属を…! こうなったらこっちから殴り込んで…!」

 

「すぐに他の者たちにも伝えて襲撃の準備を致します!」

 

「ちょっ!? 余計に事態がややこしくなるから今はまだ我慢して! ルアンも【ヘルメス・ファミリア】の人達と協力して【ソーマ・ファミリア】の所を見張っているし、【ロキ・ファミリア】の人達もアルベラ商会の方を探しているから!」

 

 

 事情を知ったアポロンは激怒し、ヒュアキントスもまた早速とばかりに武器を取り出そうとして、他の団員にも武器を取らせようとする所を、ダフネが必死に止めている。

 

 

「…なるほどな、事情は分かった。それで、これから大賭博場に行くのか」

 

「はい…」

 

 

 リッソスは焦燥感を必死に抑えながらベルにこれからの行動を確認している。しかし、問題点があった。

 

 

「軍資金は何とか集めるとして、問題は賭博場区域に潜入するのは誰にするかだな。ベルは確定として、許可証の記述によると、ついて行ける2人は…」

 

「ウチが行くわ。正直言って、『強制任務』の時はやられっぱなしだし、丁度ストレス発散にもなるわ!」

 

「団長である私も行きたい所だが、流石に賭博の腕はな…。他の者にしろ」

 

「情けない話だが、私もヒュアキントスと同意見だ。そこまで腕が強いというわけではない」

 

 

 ダフネさんは潜入するメンバーに名乗りを上げるが、ヒュアキントスさんとリッソスさんは降りた。となると…?

 

 

「ふっふっふ。やはりこのアポロンが行くしかないようだな! さあベルきゅん、早速行こうじゃないか! 何、運は悪くても、子供との心理戦なら神はそう簡単に負けないさ!」

 

 

 アポロンは自信満々に名乗りを上げ、ベル達と一緒に賭博場に行こうとする。

 

 あ、そうか! 神様は僕達亜人を含めた人間の嘘を見分けることが出来るんだった! それならば、賭博場にとっては非常に心強い!

 

 ベルもまた、神が持つ特徴の一つが存分に発揮出来ることで、アポロンがいつもよりも神様らしく見えていた。

 

 これでメンバーは決まりかと思いきや、横やりが入る。

 

 

「待って、アポロン様。アンタは無理よ」

 

「な、何故だダフネ!? 賭博場となると、この私が適任だろう!?」

 

「それがダメなのよ。賭博場でもさらに大きい所だと、相手と対面して戦うゲームが多いわ。もし誘拐されたカサンドラさんとルルネさんが既に買収されたなら、さらにその先のVIPルームにいる可能性が高いけど、嘘かどうか見分けることが出来る神様は、そのVIPルームには出入り禁止になっている所が多いのよ」

 

「なっ……、何だとぉおお!?」

 

 

 大賭博場区域の掟によると、神様は一部の所では出入り禁止になっているらしい。確かに許可証のカードの方にもそんな記述がかかれている。

 

 肝心な所で不在という事になるため、アポロン様は自動的に落選することになった。

 

 

「…一先ず、こっちは賭博場以外の娯楽施設、主に大劇場を中心に潜入する。そこだったら、許可証なしでも客として入れる事は出来るからな」

 

「ええ。そっちは任せるわよ」

 

「…しかし、賭博場の方の残り1人は誰が行く? 行き帰りの馬車は用意するが、はっきり言って、【アポロン・ファミリア】の団員達の中で明確に賭博の腕が強いといえるのは、ダフネぐらいしか…」

 

 

 このままだと僕とダフネさんの2人で挑むことになるが、もう1人腕が強い人が欲しい。恐らく足を引っ張ってしまうであろう初心者当然である僕のために。

 

 雲行きが怪しくなっている所に、ダフネさんがある人物の事を思い出す。

 

 

「……協力してくれるかわからないけど、外部の人で賭博の腕に強そうな人に心当たりがあるわ」

 

「…? 誰だ? 【ロキ・ファミリア】はアルベラ商会の方に出向いているのだろう?」

 

 

 ヒュアキントスさんが誰の事を指しているのか疑問に思い、リッソスさんやアポロン様もまた誰の事を言っているのか首を傾げる。

 

 僕はその人物が誰なのか考え、そしてすぐに思い当たった。

 

 

「あ、もしかして!」

 

「ええ、『怪物祭』の時にその腕の強さを存分見たわ。結果的にはこっちが勝ったけど、味方になったらとても心強いわ!」

 

 

 僕とダフネさんは早速その人の元へ駆けだそうとした所で、ヒュアキントスさんに止められる。

 

 

「待て、話はまだ終わっていない。そこまで言うなら残り1人はその人でいいだろう。とりあえず、今出せる軍資金はこれだ。チップは恐らく30枚程度になるかもしれないが、これでもこの派閥の6割の資金がある」

 

「くっ、やはりあの襲撃の被害の余韻がこんな形でも出るとは…! おのれタナトス…!」

 

 

 簡単に大金を渡されたけど、ヒュアキントスさんはこれでも心もとないと言わんばかりの表情をしており、アポロン様はその元凶の一人である邪神の顔を思い出し、あの時の屈辱が蘇って拳を大げさに握った。

 

 とにかくこれで軍資金が出来たことから、僕とダフネさんは今度こそ、その人物に会いに行った。

 

 

「おい待て貴様ら! 馬車を待たす場所は何処だ!?」

 

「あ、はい! 『豊饒の女主人』のお店です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その道先の道中。

 

 そこで、恐らく休暇中であろうアミッドさんと遭遇する事になった。

 

 

「おや? ベルさんではないですか。奇遇ですね、こんな所で」

 

「あ、アミッドさん! ごめんなさい、今からすぐに寄る所があって…」

 

「……? 何か非常事態でも起きたのですか?」

 

 

 アミッドさんが怪訝な顔で僕達を見て、僕は説明しようとしたところで、目的地にたどり着いた。

 

 僕らが辿り着いたところは『豊饒の女主人』のお店である。

 

 一応、【アポロン・ファミリア】の館が修復された後からも2回ぐらい、ルアンとリリと一緒に食べに行っていた。

 

 そして、店の中に訪れる。

 

 

「ニャ? 白髪頭がいるニャ」

 

「申し訳ございませんが、今は閉店でして、夜の方にまた…」

 

「あ、突然ですみません。実は…」

 

 

 僕とダフネさんは付いてきたアミッドさんと店員の人達に事情を説明する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…誘拐ですか。それで、大賭博場を調べることに…」

 

「はい…。それでシルさんに協力をお願いしようと思って来たんですけど…。その、シルさんは?」

 

 

 『怪物祭』の大会でダフネさんを圧倒したシルさんなら、もしかしたら大賭博場でも存分に発揮してくれるかもという期待があった。

 

 しかし、リューさんやアーニャさん、クロエさんを含め店員の人達が大勢いるが、肝心のシルさんの姿がなかった。

 

 僕は買い出し中なのかなと思ったら、全く別の理由であった。

 

 

「残念だけど、シルは今休暇中で店にはいないわよ」

 

「ルノアの言う通りニャ! たまーにこうやって、ドカンとシルは休む事があるのニャ!」

 

「え、嘘!?」

 

 

 シルさんは休暇により、店には何日か現れないことを聞き、ダフネさんはいきなり出端をくじいた事で焦り始め、僕は顔を青ざめることになった。

 

 どうしよ…!? ダフネさんのフォローのみで賭け事に頑張らないといけないのか…!?

 

 ベルもまたその事で焦りが見え始めると、アミッドとクロエがベル達に名乗りを上げる。

 

 

「ベルさん、私が一緒に行きます。こう見えて、私は交渉などで相手を見極めていますので、カジノでもその経験を発揮する…と思います。それに、アルベラ商会の会長とは以前、薬品の交渉で面識したことがあります。その交渉は結びませんでしたけど」

 

「まあそう焦らなくていいニャ少年。『怪物祭』後で店に入ってくれた時に、ミア母ちゃんのお酒の事を帳消ししてくれたお礼もあるし、私が協力するニャ! これでも私もその許可証のカードを持っているニャ!」

 

 

 アミッドさんとクロエさんが主張している中、より有利になるためにクロエさんがそう言うと、僕と同じ『ゴールドカード』を見せてきた。

 

 

「え!? クロエさんもそのカードを持っているのですか!?」

 

「ちょーっと昔にこのカードを手に入れたのニャ! 大金を落とさないといけないから、これでも苦労したニャ!」

 

「こいつ、さては懲りずに今でもちょこちょこと行っているな…!」

 

 

 クロエが密かに賭博場に訪れている事を容易に想像できたルノアは悪弊を吐く。

 

 クロエはそれに突っかかろうとしたが、ベル達からの印象が悪くなるため止める。

 

 

「まあ何にせよ、少年は当然このカードを持っている私を選ぶニャ!」

 

「………」

 

「え、えーと…」

 

 

 確かにこのカードを持っているクロエさんの方が断然良い。アミッドさんもその事を理解しているのか、目を静かに閉じている。

 

 僕は躊躇しながらクロエさんを選ぼうとした時、リューさんがクロエさんに尋ねた。

 

 

「クロエ。そのカードを持っているなら、わざわざクラネルさんのカードの人数制限内で入らなくてもいいのでは…?」

 

「………あっ」

 

「というか、更に行ける人数が増えたニャ」

 

 

 クロエさんも僕と同じカードを持っているということは、そのカードでもお供2人を連れて入ることが可能という事だ。つまり、最大6人で行けるという事になる。

 

 

「では、私はベルさんの人数制限の方で入れますね」

 

「そうなるわね。まさか【戦場の聖女】が来るとは想像してなかったけどね」

 

「アミッドさん、よろしくお願いします」

 

 

 こうして、僕とダフネさん、アミッドさん、クロエさんが潜入することが確定する。残りは2人。

 

 

「…私が行きましょう。正義を掲げた者として、この事は見過ごせませんから」

 

「ミャーも行きたいニャ!」

 

「今度は私が行くよ! 『怪物祭』の時は店に残されたし!」

 

 

 今度はリューさんとアーニャさんとルノアさんが言い争うこととなる。

 

 そして最終的にくじで決める事となり、結局リューさんとルノアさんが行くことになった。

 

 

「というわけで、アーニャ。あなたはお留守番です」

 

「うニャー! 行きたかったニャー!」

 

「じゃあ、これで早速…!」

 

 

 アーニャさんが悔しがっている中、僕は早速行こうと足を向けようとすると、クロエさんに止められる。

 

 

「待つニャ少年。カジノが開かれるのは夕方からだし、大体その格好で賭博場でもさらに大きい大賭博場に行く気かニャ?」

 

「え、まずいんですか?」

 

「当たり前ニャ! そこは世界中の超大金持ちが集まる場所ニャ! そこにそんな格好で来たら、例え入れたとしてもVIPルーム何かには呼ばれないニャ!」

 

 

 クロエさんからの忠告によって、まず服装から整えることになった。

 

 

「でも、服装はどうすれば…」

 

「それならこっちに来るニャ! すぐ近くに貸し出してくれる服屋のお店があるから、すぐにコーディネートするニャ!」

 

「あ、ちょっ、引っ張らないで下さい!?」

 

「私もベルさんの格好についてコーディネートします」

 

「アミッドさん!?」

 

 

 アミッドさんがクロエさんの味方をしてしまい、僕はそのままクロエさんとアミッドさんに連れて行かれてしまった。

 

 そして服屋に到着して、そのまま奥の方に連れて行かれ、試着室に連れ込まれる。

 

 

「よし。それじゃあ、早速服を脱がすニャアアア!」

 

「かしこまりました」

 

「うわ、ちょっ、自分で脱ぎますから!? そしてクロエさん、何処を触っているのですか!? アミッドさんも便乗しようとしないで下さい!?」

 

「いえ、ベルさん。これは必要なことなのです。サイズが合わなかったら意味がないですので、これは見定めとしてやっているのです」

 

「そう通りニャ! だから少年はおとなしくするニャ!」

 

「いや、これ明らかに別の理由が目的ですよね!?」

 

 

 ベル達の様子が聞き取れたため後からついてきたダフネ達は苦笑いをする。

 

 

「…とりあえず、ウチらも服装を整えないとね」

 

「そうですね。私達の場合は変装という意味でもありますから」

 

 

 ダフネ達もベルの事が終わったら、すぐに取りかかろうとした所、ルノアはある事を提案する。

 

 

「じゃあ、リューは男装でいいね!」

 

「…何を言っているのですか、ルノア…!」

 

「だって、変装となると誰か一人くらい性別すら偽った方がより良いじゃん。シルもいたらノリノリで賛成してくれると思うし」

 

「シルを引き台に出さないで下さい!」

 

「…もう、それもくじで決めたら…?」

 

 

 ダフネの一言が決め手となった所で、ベル達が戻ってきた。

 

 ベルは白い部分が目立つ燕尾服を着た正装の格好をしているが、何故か涙組んでいた。

 

 そして、ベルを除いた5人で誰が男装するか、くじ引きを行うこととなる。

 

 そして行った結果、リューが男装することになった。

 

 

「な……、何故、私が…!?」

 

「公正なくじの結果ニャ」

 

「あっはっは! 恨むんだったら、自分のくじ運を恨むんだね!」

 

「ルノア…! 元をただせば、あなたが余計なことを言わなければ…!」

 

 

 リューは言い出しっぺであるルノアを睨みながら言う。

 

 そしてすぐに観念したのか渋々といくつか服を取り、試着室に入るのだった。

 

 ルノア達もまたいくつか服を取り、ベルを残して服装を着替えに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数十分後。

 

 涙がとっくに止まっている僕は足音が聞こえたため、聞こえてきた方を見る。

 

 1人ずつ戻って行き、まずはダフネさんから姿を現すのだった。

 

 赤色を背景に花柄がいくつもあるフレアスカートのロングドレスをしたワンピースを着ていた。また、袖も肘が少し見える程度の長さがあって、所々に装飾品を施している。手にはいくつか高級そうな指輪をしており、それを着ているダフネさんはとても恥ずかしがっている。

 

 

「うう…結局これを着てしまうのか、ウチは…! ベル、余りじろじろと見ないで、恥ずかしいから…」

 

「す、すみません…!」

 

 

 似合っています! と言いかけたけど、何を言い返されるかわからないため、僕は心の中に止めるのだった。

 

 その時、次の人が出てきて、現れたのはアミッドさんだった。

 

 白を強調としたイブニングドレスを着ており、スリットは特に刻まれてはいないが、随所には赤や金の装飾が施され、肩と背中はむき出しとなっており、胸元も開いていた。白銀のネックレスもしており、白銀の長髪は結い上げて青色の高価な髪飾りを施しており、顔にもまた薄い化粧を施している。

 

 アミッドさんはそのまま僕に近づいて来る。

 

 

「どうですか、ベルさん? 似合っていますか?」

 

「は、はい! とても似合っています!」

 

「そ、そうですか。そんな率直に…。悩んだ甲斐がありましたといえますね」

 

 

 アミッドさんは少し顔を赤く染めながら返答して、肘まで伸びた白い手袋とその手に持っている扇で上手く顔を隠して、僕の視線からはずそうとしている。

 

 僕もまた目のやり場に困りそうになると、次の人が現れる。

 

 今度はクロエさんが来た。

 

 黒一色のオフショルマキシワンピースの格好をしており、肩は露出しているが、袖は肘ぐらいまでの長さがあり、胸元は全く見えない。サングラスもしており、黒くて短い手袋もはめていて、いかにも常連らしい雰囲気を出している。

 

 クロエさんは堂々とカジノに行けることで、非常に気合が入っていた。

 

 

「よっしゃあ! これで堂々とこの服を着て行けるニャ!」

 

「え、その服クロエさん自身の物なんですか?」

 

「そうニャ! いつも今日行く所みたいな大賭博場では、この服を着て入っているニャ!」

 

 

 確かに、アミッドさんやダフネさんに比べて非常に着こなしている感じがしている。

 

 腰に手を当て、サングラスをグイッと少し上を上げ、尻尾もまたかなり振っている。

 

気合が入りまくりのクロエさんをよそに、次の人が現れた。

 

 現れたのはルノアさんであった。

 

 薄茶色のアシンメトリー二段フリルがついているレースフィッシュテールドレスを着ており、服の所々に装飾品を施している。肩は覆われているが袖はなく、スカートの長さは膝の少し下ぐらいの長さがある。髪型も少し変え、高級品の髪飾りもつけており、アミッドと同じく化粧を施しており、いかにも貴婦人らしい格好をしている。

 

 ただし、僕から見たら、ルノアさんは立候補したことに非常に後悔しているように見えた。

 

 

「うう…、私がこんな格好するなんて…。でもこの服しかこの色の奴が置いてなかったし…」

 

「ニャニャ!? いつもの隠しきれない、脳筋らしい雰囲気が少しも見当たらないニャ!?」

 

「うっさいわ! そして脳筋とか言うなよ!」

 

 

 いつもとは大きく異なる変貌を遂げたルノアに対して、クロエからツッコミが入り、反論している。

 

 ダフネさんやアミッドさん、そして僕は思わず言葉をなくしてしまったが、丁度そこに最後の一人が到着したため、すぐに正気に戻った。

 

 リューさんである。

 

 外装は黒で覆っており、ベルと同じ燕尾服を身に包んでいる。また、薄緑色の髪を品良くまとめ、巨大な眼帯で左目ごと顔半分を覆い尽くしており、不思議な魅力が放っていた。

 

 リューさんは策略にはまってしまった事で溜息しながら、僕達の前に現れる。

 

 

「はぁ…。どうして私がこんな格好を…」

 

「に、似合っているニャ、リュー…! ニャハハハハハ!」

 

「あっはははははは! 想像以上に様になっているじゃん、リュー! シルにこの事を知らせたら見なかった事に後悔すると思うよ!」

 

「…覚えておきなさい、2人共…!」

 

 

 眉目秀麗な男性へと変貌したリューにクロエとルノアは大笑いして、リューは事が終わった後は2人をしばいておこうと考えている。

 

 ベル達はルノア以上の変貌をしたリューに、言葉をなくして唖然としていた。

 

 しばらくして正気に戻り、これで全員の服装は完了したため、【アポロン・ファミリア】からの馬車がこちらに来る次第、すぐにそれに乗って出発という形になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてしばらくした後。

 

 ベル達は談笑しながら待っていて、ついに【アポロン・ファミリア】からの馬車が到着する。

 

 僕、ダフネさん、アミッドさん、リューさん、クロエさん、ルノアさんはそれに乗って、大賭博場へと向かうのだった。

 


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