ベル君が【アポロン・ファミリア】に入団するのは間違っているだろうか 作:七篠ロキ
アポロン「ふっふっふ。ダフネに邪魔されてベルきゅんの風呂をのぞきに行けなかったは痛いが、神威までこっそり使って頑張って、3話にこの文を載せることで、ベルきゅんだけじゃなく、他の人からの油断も誘って夜這いしやすく…」
ダフネ「聞いたわよ変態」
アポロン「("゚д゚)」
いつものアポロンだった。
エイナ「ところで、私の出番は?」
すみません。この埋め合わせはどうにかします!
僕たちは、【ヘファイストス・ファミリア】が出しているお店があるバベルへ向かっている。
その間、僕たちは雑談をしていた。
「そういえば、ベルは【ヘファイストス・ファミリア】のことについて、どれくらい知っているの?」
「えっと、武器を扱う大人気の【ファミリア】で、すごく品の価値が高くて、冒険者ならだれでも欲しがるっていうことぐらいしか……」
正直、昨日ルアンと話していたときに少しだけ聞いた話しか知らない。
「まあ、間違ってはないわね。ちなみに、ウチらが行くのは確かにそのテナントだね」
ほ、本当に大金をはたいて買ってくれるのかな…?
正直言って、買うんだったらまだ駆け出しの僕じゃなく、ダフネさんやリッソスさんみたいな他の人の方がまだ使い勝手がいい気がするんですけど…。
「あ、あの、ダフネちゃん…」
「しー、静かに。着いてからのお楽しみってことでね♪」
「……?」
あ、あれ? やっぱり何か裏があるの?
「いいから行くよ! 男なんだからぐずぐず言わないの!」
そう言い、離れそうになる僕の手を引っ張っていく。
それを見たカサンドラさんはもう片方の手を掴み、同じように引っ張って行く。
けれど、僕らの光景を見たダンジョンに向かおうとする男冒険者たちから、殺気と嫉妬という視線を一斉に浴びてしまった。
僕は蒼くなって逆に落ち着けたけど…。
「あ、あの…「あ、そうだ。オラリオでも一流の鍛冶の【ファミリア】に行くのだから、鍛冶師について少し知らないとね」…は、はい」
僕の言葉がさえぎられた。
どうやら、僕の申し出を受け取る気はないらしい。
リッソスさんに救済を求める視線を向けようとすると、本人は少し離れている所で、笑うことを我慢していた。
僕は諦めて、必死に体を小さくしようとする。
「べ、ベルって『発展アビリティ』のことって知ってるの…?」
「いえ、知りません…」
「『発展アビリティ』っていうのはね、【ステイタス】のLv. が上がると任意で発現できるアビリティなの。」
「き、『基本アビリティ』よりさらに専門的な能力を特化するのが、と、特徴かな」
「まあ、より詳しい話を聞きたいなら、アドバイザーの人に聞くのが一番だけど…とりあえず、その『発展アビリティ』の中には『鍛冶』っていうのもあるの」
そういうのもあるんだ…。あれ、ということは、団員の多くがLv.2以上ってこと!?
派閥の戦力として、そこいらの【ファミリア】と遜色ない!?
ていうか、下手したら僕らのファミリアよりも格上じゃ…。
「『鍛冶』のアビリティを持つ鍛冶師の中には、『恩恵』によって属性を付与することが出来るの」
「そ、その代表的なのが『魔剣』って呼ばれるものなのぉ」
「まあ、それを作れるのは本当に一握りの鍛冶師だけだね」
ごくり、と喉を鳴らす。つまり、その『魔剣』を手に入れれば手練れの相手を簡単に倒せることじゃ…。
「欠点といえば、使用回数があって、限界を超えると砕けるぐらいかな。まあ、それでも効果は抜群だし、価格も非常に高価だけど…ね……」
と自慢げに話しているダフネさんが、思わずしまったという顔を見せる。
何事かとダフネさんの視線の先を見ると、
リッソスさんが怖い顔をしていた。
「あ、あのリッソスさん…」
「……ああ、すまんな。『魔剣』の話題になっていたからつい…な」
な、なにか『魔剣』で嫌なことがあったのではないか?
そう思うと、ダフネさんがリッソスさんに聞こえないぐらいの小声でしゃべってきた。
「…今言った『魔剣』の中で、『クロッゾの魔剣』というものがあって、普通の『魔剣』とは比べものにならないくらい強力なやつなんだけど、……それが戦争に使われて、海や森を焼き払ったのよ。その中にはエルフが住んでいた森もあって……」
な、なるほど……。エルフにとって『クロッゾ』の名が無視できない存在なのか…。リッソスさんの場合、『魔剣』そのものにもわずかな恨みがあるのか…!
「…普通はお門違いだと言われ、我々の種族の中にも割り切っている者もいるが……私には、まだ、な」
「……」
「……」
「……」
く、空気が重くなってしまった……。
しかも、丁度バベルについてしまった…。
こ、この空気の中、僕の武器選びをするのか…。な、何か楽しい話題を…って、武器の値段高っ!?
「さ、3000万ヴァリス!?」
ベルはその値段を見てよろめく。それを見た皆が少し苦笑いをする。するとそこで、
「いらっしゃいませー! 今日のご用は何でしょうか、お客様!」
店員さんが明るく声をかけてきた。
その女の子は身長が低いけれど、可愛らしい黒髪のツインテールがぴょこぴょこ跳ねていて微笑ましい光景であった。また、その小さな体に不釣り合いな胸がデデンと、じゃなくて、とにかくこの重苦しい空気を完全に断ち切ってくれた!!
「それで、お客様? どのような品を「とりあえず、ありがとうございます!」…えぇ!?」
「あ、ありがとうございますぅ!」
「貴行のおかげで重苦しい空気が立ち去った!」
「ありがたいけれど、求める品はここじゃないの」
「「えぇぇ!?」」
「ふーん、なるほど。駆け出し用の武器ねぇ」
「そ、だからここじゃなく、もう少し上にあるの」
「そ、そうだったんですか……」
さ、流石にこんな高価な品は僕にはまだ早かった…!!
「ま、期待して悪かったな、ベルよ」
「い、いえ…」
そうリッソスさんにフォローされると、店員さんが僕らに話しかけてくる。
「それはそうと君たち、僕の眷属にならないかい?」
「「「「え?」」」」
「僕は、実は神様で、眷属がまだ一人もいなくて、こうやってバイトをして生活費を稼いでいるんだ!」
「いや、神様がバイトって…」
「今なら団長にもなれるよ!」
「…………」
「おい、ダフネ。考えるな」
「ヘスティアちゃん!!! 何をやっているんだい!! まだバイトの時間だよ!!」
「わ、ご、ごめんよ!!」
そう言い、店員さん、もとい、バイトの神様はそう言って駆け足で持ち場に戻っていく。
「……」
「とりあえず、上に行きましょう」
「はい…」
「1万2000ヴァリス!?」
こ、これなら……。でも、なんで?
「ふふ、驚いた?」
「は、はい。」
「【ヘファイストス・ファミリア】は、末端の鍛冶師にもどんどん作らせてお店に並べているのだ」
「え、でもそうしたら…」
「勿論、熟練の鍛冶師の作品と商売する環境は異なるが、こうして作られた武具を店の経営陣が確かな値段を張り、そして冒険者が直接手を取り、購入する。そういった評価が未熟な鍛冶師にとってプラスにもなる、というのがこの場所だ」
「そ、そう言った場所が、ま、まだ末端の冒険者の客層を捕まえることが、出来るのぉ」
「まあ、私たちもここでお世話になったからね」
な、なるほど…。そういう所だったのか…。
僕は様々な武器を取り、どれが自分に合うか探し始める。
もうすぐ夕方になる頃。
未だにしっくりくる武器が見つからず、前途多難をしていた。
一応武器も振り回せる部屋もあり、実際に扱ってみることもできるが、それでも合わなかった。
リッソスさんも「そういうものだ」といってはいたが、さすがに時間をかけすぎる。早く決めないと、と決めた所で、ふと目が引っ張られる。
店の中でも目立たない片隅にボックスがあった。中をのぞいてみると…
「アーマー系統? あ、短刀もある」
「気に入ったの、見つかった?」
「は、はい! 後は試着して見るだけです!」
「ほう、どれどれ……。お、中々、丁度いい感じがするぞ」
「値段は……短刀合わせて合計4万5000ヴァリスね。丁度いいんじゃない?」
「まさか鎧の装備のサイズが全てピッタリとはねぇ」
「ま、そういうこともあるさ」
「あ、ありがとうございます!」
遂に装備が手に入った…!
「この鎧や短刀の製作者の名はぁ……っ!?」
「ん? カサンドラ? どうかしたのか?」
「あ、いえ、なんでもないですぅ」
「……?」
そんな一悶着があったけど、とにかく僕の装備を購入した!
「そういえば、この鎧の名前は……。えっ」
「ん、どれどれ……兎鎧(ピョンキチ)!?」
「ふふふっ……っ」
わ、笑わないで下さい……。
はい、というわけで、前書きにもあるように、アポロンはアポロンだった。
本文の話をさせていただきます。ベル君がこの武器に到達するのが原作より早くなってしまいましたが、原作より早いのは【ファミリア】に入団するまでに要する日数とこの話に関することのみでしょう。(多分)
そして、某王国の貴族出身の人の名前は、エルフであるリッソスさんがベル君の近くにいるため、まだ出せません。
あ、鎧の名前に関しては、作者のネーミングセンスではなく、原作のままなので、ご了承ください。