ベル君が【アポロン・ファミリア】に入団するのは間違っているだろうか   作:七篠ロキ

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 次回更新日は6/28~7/2のどこか。

 8/9 追記:読者の皆様、大変申し訳ございません。今現在、ある資格試験の勉強に集中したいため、9月中盤まで更新ができません。この活動報告の遅れ含めて、改めて謝罪致します。申し訳ございません。

 前回のあらすじ

 ダフネvsチャンドラ。
 チャンドラの武器がわからんから、大剣にしました。

 そして前回の話を作ってみて、何故原作でダフネは某鍛冶貴族の子に負けたのか考えてみた。
 敗因として、橋という狭いフィールド。ベルに突破されたという焦り。背負う重みの差。
 この3点が主だと思います。
 そのため原作の敗因を出来る限り失くし、なおかつ当時の彼の強さに近い、このssのチャンドラに戦わせました。
 …内容がどう考えてもLv.2同士の戦いじゃねぇ。

 あ、今回色々あって、話は比較的短いです。



倒れる者達

 『クロッゾの魔剣』がなくなった。最強の武器だと思ったが、所詮は魔剣か。2発で終わりとは拍子抜けだ。だが、こうして見ると些細な問題だな。まさかあれを避けられるとは思っていなかったが、ただの偶然だったな。

 しかし、結局ここに着いたのは俺一人だけ。魔剣やら防具やら与えたのに、一人も辿り着けないとは情けない。連れてきたアイツもまだ来ないとは、一体どういう事か。どいつもこいつも役に立たない。ならせめて、俺のために頑張って踊ってくれ。俺の楽園の、供養としてな。

 これからもよろしく頼むぞ、下僕ども。

 

 

 

 

 

「ヒュ、ヒュアキントス!? 一体どうした!?」

 

 突然血を流す眷属の姿に、アポロンは悲鳴を上げる。その顔にはもう余裕はない。

 対するソーマもまた、冷や汗を大量に流しながら成り行きを見ている。

 そして、ロキは糸目の眼を開け、その正体を推測した。

 

「やっぱ、透明化やなこれ。フレイヤなら簡単に気づくやろうけど」

「透明化?」

「せや。ファイたんの所も多分ソイツが盗んだんやろ」

「やはり、透明人間だったのか! 僕の勘に、間違いはなかった!」

「はぁー、ドチビの勘に一役買ってしまったとか、腹立つわー」

「何だとー!」

「……これからは透明化対策も考えなくちゃね」

 

 両隣で言い合いしているヘスティアとロキの間に挟まれているヘファイストス。新たな警備態勢を考えながら、『鏡』の映像を見ている。

 

「は、早く来てくれ皆!? ヒュアキントスが危ない!」

 

 必死になって他の眷属達に懇願するアポロン。

 ここに来て、まさかの緊急事態。

 観戦していたオラリオの市民達や神達が、ヒュアキントスの動向が映る『鏡』を集中して見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 シュリーム城敷地内、中心近く。

 爆発が起きる、その1分前。

 僕はルアンを探すため、そこを走っていた。

 先程の戦闘で体力をかなり消耗しており、息切れを起こしている。

 

「ゼェ、ゼェ……。ルアンが見つからない…。一体何処にいるんだろう…? このまま南に向かっていいのかなぁ?」

 

 腕で汗を拭き、必死になって周りを見渡す。思考回路もあまり働かない。正直休みたい。

 だけど、このままだと戦局が混乱したままになる。どうにか合流して情報を統制させないと。

 僕は僕自身に叱咤をかけ、汗を掻きながらそのまま走り続けていると、剣戟が聞こえてきた。

 すぐにそっちの様子を見ようと近づくと、丁度ダフネさんがチャンドラさんを倒した所だった。

 お互いかなりボロボロで、全身切り傷である。

 

(あ、ダフネさん。チャンドラさんと戦っていたんだ……ん? ちょっと待って。何でチャンドラさんがこんな所に!?)

 

 僕達が北側で戦っている間、他の所から侵入されていた。

 もしかしたら、ダフネさんがそれに気づいて、阻止したのかも。

 ダフネさんがポーションを飲んで回復しており、僕は声を掛けて、ダフネさんからルアンの目撃情報を得ようと近づこうとした時。

 視界の上端で、一瞬ヒュアキントスさんの姿が見えた気がした。

 

「……え?」

 

 正面からの角度的にギリギリだったため、僕は上を見上げようとした、その直後。

 爆発した光景を直視して、城全体に響き渡る爆音も聞こえてきた。

 

「………ッ!? 爆発!? 何が起きてるんだ!?」

 

 状況が全く理解できず、僕は冷や汗を掻きながら焦る。

 ダフネさんも落ちてくる瓦礫から避難し、そしてすぐに理解した。

 一つだけ、とても考えたくない事だけど、こういう事だ。

 ――――いつの間にか、こっちが王手をかけられていた。

 

「ルアンを探している場合じゃない!? もうこっちが危なすぎる!」

 

 周囲も収まったため、ルアン捜索を放棄して、急いでヒュアキントスさんの所へと目的を変える。

 そしてダフネさんも連れて行こうと、声を掛けた。

 

「ダフネさん! 早くヒュアキントスさんの所に加勢しないと!」

「そうしたいんだけど……ていうか、ベル、どうしてここに!? 北側の方は!?」

「もう鎮圧寸前です。それよりも、爆発する直前にヒュアキントスさんの姿が見えた気が…」

「という事は、団長さんはギリギリ大丈夫な気がするわね」

 

 慌ててる僕とは対照的に、ダフネんさんは落ち着いている。傷も多く残しており、フラついてもだ。これが、冒険者としての経験の差かなぁ…。

 ただ、普段より声に覇気がない。もしかしたらダフネさんは、立つ事させ辛いんじゃ…。

 

「…その、ダフネさん。とても言いにくいんですけど、休んだ方が…」

「そんな事出来る場合じゃないわ。ただ今の状態じゃ、足手まといにしかならない。ポーションも、無くなっちゃったからね」

「…僕のは、まだ」

「いらないわ。むしろ、団長やカサンドラを助けるために使いなさい」

 

 ダフネさんの顔から疲れが少々出しながら、僕を遠慮してくる。

 それでも僕は取り出そうと小鞄に手を突っ込もうとして、ダフネさんがそっぽを向いてしまう。そしてその方向に、足を向けようとしていた。

 

「……ウチは北側に行くわ」

「え!? いや、でも」

「こっちに人手を割いてもらうわ。それくらいなら、口で出来る。だから、心配しなくても大丈夫よ」

 

 そう言いながら反論を聞かずに、この場から一人離れてしまう。

 取り残された僕は唖然とするが、すぐに首を振って現実を直視した。

 一先ず、ヒュアキントスさんの所に行って加勢しないと。敵陣営の人がもう追い詰めている。

 

「……わかりましたダフネさん。僕、すぐに行きます!」

 

 確かに、今のダフネさんを連れてだと、進行スピードが遅くなる。

 そういう判断だったと理解して、そして僕は急いでヒュアキントスさんの所へ、一直線に走るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…この程度しか、もう今のウチのやれる事はないわね」

 

 北側に向かったダフネ。チャンドラとの戦いで、限界まで体力を使い果たした。

 傷は治しても、失った体力はすぐには戻らない。

 大丈夫そうに見えるのは、ただの見せかけ。

 今でも、足がふらついている。

 

「せめて指揮だけでもとらないと、ね…」

 

 ベルの話を聞くかがりだと、北側のみで考えたら優勢だが、敵が粘って中々決着が着かない。だったらいっその事、兵を減らして戦力の集中を中央へと対処しようを考える。

 そして、出来るだけ駆け足で北側の門の近くまで近づく。

 その間に、ダフネの中で違和感があった。

 

(…喧騒が、聞こえてこない? どういう事?)

 

 ベルの話では、北側に人が集まっているという事だ。誰かの叫び声や、魔法や武器が音を鳴らしてもおかしくないのだが、そういう類が一切聞こえてこない。いくら何でも、それは変だ。

 そもそもベルと離れて以降、誰とも遭遇していない。誰かしら中央の様子を見に来ても良いのだが、味方どころか敵兵すら現れなかった。

 嫌な予感がする。そう思いながら走り、倒れそうになる自分自身に喝を入れながら、進んでいく。

 そしていざ、北側の門に辿り着くと。

 信じがたい光景が、映り込んでいた。

 

「ん? まだ増援が来るのか。懲りない奴らだな、お前ら」

 

 一人しか、立っていなかった。

 全身鎧で顔も兜で隠れている。見る限り、【ソーマ・ファミリア】側の者だ。

 それ以外は敵味方両方、倒れ伏している。

 ここで奮闘していたリッソス達も含めて、全員気絶していた。

 

「…アンタ、一体何者!?」

「あ? …ああ。俺はニルネ・ネラク。【ソーマ・ファミリア】の一人と偽って来て……ばれたら強制的に負けになっちまうから、そういうのは答えられないな」

「…はぁ!?」

 

 予想外の返答が返り、目を見張るダフネ。まさかの口が滑りまくりの乱入者の登場に、思考が追い付かない。

 対する相手は倒れているリッソスを椅子代わりとして座り込み、のんびりし始める。

 明らかな、挑発だ。

 だが彼女はそれに乗り、剣を抜いて突進した。

 

「部外者は、引っ込んでいなさい!」

 

 なけなしの体力を使い、乱入者を狩ろうと斬りかかる。そしてそのまま、剣が届きそうになった所で。

 

「……ッ!?」

 

 ダフネの動きが止まった。

 そしてそのまま、倒れ伏してしまう。

 ピクリとも動かず、気絶していた。

 

「ひでぇな。一応エンブレムに『月』があるという部分だけは合致しているんだけどな。ま、知る由もないか。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 軽口を話しながら、パンパンと手を叩く。

 いつの間にか席から立っており、ダフネを簡単に倒していた。立ち位置も、ダフネが立っていた位置のすぐ後ろ。彼にとって、そこは完全に間合いの中であった。

 

「しっかしザニスの奴、決着が遅すぎるだろ。その気になったらこんな奴ら、俺の超スピードで瞬殺だったのによ。見栄を張って失敗したら、正式に『闇派閥』に入れねぇのになぁ」

 

 ザニスの総評を定める目的で来ている彼は腕を組み、爆発した城の部分を遠くから眺めている。

 その光景は、これからの事を暗示するかのようであった。

 

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