君は初めて捕まえたポケモンを覚えているか? 作:がんばリーリエ
感想もちょっとずつ返していくつもりです。
正直俺が伝説を捕まえる事が出来たのは本当に運が良かっただけ、たまたま伝説ポケモンの機嫌が良かっただけだ。
俺はジムでの洗礼を受けて考えを改め、ポケモンを鍛え、自分も戦略や駆け引きを学びバッチも8つ全て集めそれなりに自分に自信があったわけだ。
けれどもそれをくっそいけ好かない赤帽子の電気ねずみにボコボコにされ、プライドや自信その他諸々をボロボロにされながらも俺は無謀な挑戦をすると決めたのが伝説への挑戦だ。
だが伝説ポケモンはゲームのようにただ冒険しているだけでは到底会えないようなヤツばかり。
そりゃ伝承にもなって過去からずっと語り継がれたりしてるポケモンなんだから、当たり前っちゃ当たり前なのだが。
ただ俺は知っている。
ある洞窟に伝説ポケモンの元祖とも言える最強のポケモンがいる事を。
だから行く事にした。
もちろん好奇心もあったし、単純に伝説ポケモンに会ってみたいという気持ちもあった。
けれども伝説ポケモンを倒せば何か変わるんじゃないか、そう考えていたんだ。
正直俺は自分が赤帽子に勝てるビジョンが全く思い浮かばず、ただ闇雲にがむしゃらに頑張ったところで奴には勝てないというのは朧気に理解している。
でもだからといってどうすれば奴に勝てるかだなんて想像も付かなかった。
まるで空気を掴むかなような話で、それぐらいどうしようもない程俺は行き詰まっていた。
何か変わるかもときっかけを求めて俺はハナダの洞窟に行く決心をしたんだ。
そして直ぐに後悔をした。
予め積み技を限界まで積み、手持ちポケモン全てを導入し不意打ちで最初から本気で技を撃ち込んだ。
まひねむりどくも仕込んだ、リフレクターにひかりのかべにしんぴのまもり、みがわりもまもるもしていた。
普通であるならば伝説ポケモンであろうとも上から殴りつけ、問答無用で戦闘不能に追い込めるだろう火力にこれでもかと受け技を積み重ねる。
考えられる限り最善の準備だったと思う。
「━━━━━━」
それはなんの音だったか。
もしかしたら俺の悲鳴だったかも知れない。
ごうっ、と爆発するかのように飛び散る岩。
肌に突き刺さる程感じるのは伝説ポケモンの存在。
頭で理解する。
いや本能で悟ってしまった。
これは勝てない。
いやこれはそもそも人間が挑んでいい相手じゃない。
逃げろ!
そうポケモンに指示をしようとする。
だが口は開くが震えた唇が少し上下するだけで、声にならない吐息が漏れるばかり。
だから遅かった。
閃光。
目の前に広がる強い光に思わず目を閉じる。
そして浮遊感を感じ、次の瞬間には俺は地面に寝そべっていた。
何をされただとか、そういう事を考える暇もなくただ周りで倒れる俺のポケモン達の姿を捉えて、現実だけを理解する。
震えるだけでぴくりとも動かない身体。
生暖かい液体が顔から地面に落ちる事も気が付かない程、俺はその時起こったことを理解出来ても認識出来ていなかったんだと思う。
地面に這いつくばりながら顔を上げれば、渦巻く砂煙の中にいるのは最強と言われた伝説ポケモン。
「ミュウツー.......」
白いしなやかなフォルムに鋭い目付き。
ゲームの向こう側でいつも見ていたあの伝説ポケモン。
のしかかるプレッシャーはチリチリと俺の肌を突き刺し、早く逃げろと本能が叫ぶ。
すぅ、とミュウツーの細い腕が上がる。
ぞわ
瞬間駆け抜ける嫌な感覚。
いくつもの岩石がミュウツーの周りをふわふわと舞っている。
俺をなんの興味もなさそうな目で見下す化け物。
あぁ、これは死んだな。
そんなふうに何処か自分の事を他人のように考える。
考えが甘過ぎた、そりゃ伝説ポケモンなんだから常識なんて通用する筈がないんだ。
それによりにもよって、この人間に殺意が高いポケモンに喧嘩を売ったんだから当然の結果だったのかも知れない。
ミュウツーが静かに手を振り下ろすのと同時に、それなりの大きさの岩石は俺に向かって飛んで.......
来なかった。
ぶつかる前に俺の前に現れたソイツは岩石に弾かれ吹き飛ばされる。
「っ!?バタフリーっ!?」
さっきまで動かなかった身体。
なのにアイツが、バタフリーが吹き飛ばされた瞬間俺は跳ね起き飛ばされたバタフリーへと駆け寄る。
「バカヤロウ.......お前、なんで.......」
バタフリーの姿は傷がない所を探すのが難しいぐらいボロボロで、それでも目は死んでなくて真っ直ぐと俺を射抜く。
どくん、と心臓が跳ねる。
あぁそうか。
バタフリーにこの目を向けられたのは何度目だろうか。
俺が無様に心を折られて1人で諦めていた時だって。
コイツはいつだってこんな目をしていた。
どんな無様な負け方をしたって、指を刺され雑魚だと笑われたって、バタフリーは1度足りとも折れたりしなかった。
いつも諦めているのは俺で、バタフリーはそんな俺をただ見詰めるだけだ。
そんな姿が何だかかっこよくて。
確かお前を捕まえた時もそうだったよな。
「お前、死にかけてんのにかっこよ過ぎかよ.......」
そう、俺の相棒はいつもかっこいい。
負けていても、どんなに笑われても堂々として次は勝つという意志を見せるコイツはかっこいい。
「じゃあ、トレーナーの俺が気合いみせないでどうすんだよっ!」
取り出したのは正真正銘切り札だ。
最強のポケモン特攻を持つ絶対捕まえるボール、マスターボール。
「オオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
走り出す。
もつれそうになる足を前に。
そして、投げた。
―――――――――
私はいつまで此処にいるのだろう。
朧気に残っているのは何かに入れられた私を満足そうに見上げる男の顔。
来る日も来る日も私はただそこにいるだけ。
ただ私の中にある何かがふつふつと大きくなっていくのだけは感じていたと思う。
存在意義もなく、ただそこにいるだけの私はある日この膨らみ続ける何かについて考え始めた。
考え続けている間もずっと、ずっと着実に大きくなっていくこの何か。
ドロドロとしていてそれでいて粘着質なそれは一体何なのか。
それをずっと考えていて。
唐突にそれを理解したのは、その何かが溢れてしまったからなのかそれとも別のきっかけなのかそれは分からないが、私はその日この溢れてくる何かに身を任せ全てを破壊して逃げ惑うゴミを潰していく。
うるさい、あまりにもうるさすぎる。
そんな目障りなゴミを掃除しても、湧き上がってくるこのドロドロとしていて粘着質なこれは消えてはなくならない。
駆け付けてきたゴミも掃除して、それでも全然足りない。
壊して壊して。
そしていつしか1人になっていた。
でもこのドロドロとしたものは萎えるどころか大きくなっていて、だと言うのに何処か虚しさを感じるのは何故だろうか。
ならばもっと、もっと壊さないといけない。
でも流石の私もこれだけ暴れれば少し力を蓄える必要がある。
そうして手頃な場所を見つけてそこで力を蓄え始めた。
眠っている間も自分の中にあるこのドロドロしたものは無くなる所か膨らんでいくのを感じていた。
ただ目の前のモノを破壊したい、うるさいゴミを消し去りたい。
そうやってそれを育てながら私は力を蓄えていく、いつしかこのドロドロした何かを別の何かで満たすために。
そうして奴は現れた。
萌えもん賛否両論っすね。
でも全部のポケモンの遺伝子持ってて、〇ュウの子供だし.......
というか萌えもんの方が書きやすいんだよなぁ。
この先ちょっと伝説ポケモン持ってないとキツイ場面あるので許して下さい何でもしますから(なんでもするとは言ってない)