詠深の従姉妹はホームラン打者   作:たかと

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いよいよ抽選会……

今回の話しは新越谷と"彼女"との
やり取りを楽しんで頂けると嬉しいです

それではご覧下さい


第16話 抽選会

遂に迎えた大会の抽選会当日

 

抽選会には怜と芳乃と藤井先生の

3人だけが向かって真深や詠深たちは

学校に残って自主トレをすることになった

 

他のメンバー達も同行を志願したのだが

他校の生徒や大会委員会からの新越谷に

対して冷たい反応をされることを危惧し

連れていかなかったのだ

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「メジャーみたいな

スイングになってるよ詠深ちゃん」

 

 

「だって落ち着かないんだもん~」

 

 

怜と芳乃が帰るのを待つ間に

詠深は打撃練習をしていたが

抽選会の結果が気になるのか

スイングが大振りになっていた

 

 

「抽選会か……」

 

 

「出来ればDシードの山に入りたいわよね」

 

 

稜と菫は出来れば3戦目くらいまでは

強豪校と当たりたくないと考えていた

 

 

「でも主将ってクジ運悪そうだもんね~~」

 

 

「そうなんだよね~~」

 

 

「アハハ……」

 

 

怜のクジ運の悪いことを予測し

嫌な予感をしている詠深と稜に

真深は思わず苦笑いを浮かべていた

 

 

 

 

 

ーー抽選会場ーー

 

 

 

 

 

「わはーー! 野球選手がいっぱい!

中から強者のオーラをビンビン感じますね!」

 

 

抽選会場には埼玉県内の

多くの野球女子が一同に介していたので

芳乃のテンションは既にMAXになっていた

 

 

「主将! 早く入りましょう、中に!」

 

 

「ああ……」

 

 

「そうですね」

 

 

芳乃に促されて怜と藤井先生も中に入ると

各校のレギュラー選手が主力選手勢揃いしていた

 

 

「いるいる!

宗陣高校の古川さんだ!

県内最速投手の久保田さんも!」

 

 

芳乃が最初に見つけた有名な選手は

埼玉宗陣高校の絶対的エースである

古川投手と熊谷実業のエースで4番

そして主将である久保田選手だった

 

 

「文武両道エリート校の大宮大附設

野球部以外の運動部も盛んな古豪の聖大狭山」

 

 

次に見つけたのは共に埼玉県でAランクで

夏の優勝経験もある2校の強豪校であった

 

 

「あっちは……

この春の全国出場して

ベスト4まで勝ち進んだ美園学院!

2年生ながら正捕手の福澤彩菜さんと

大会では21イニングで僅か3失点の

同じく2年生でエースの園川萌さんだ」

 

 

今年の春の全国大会でベスト4に進出した

埼玉屈指の名門の1つの美園学院の2年で

正捕手の福澤選手と同じく2年でエースの

園川投手がチームメイトと週刊ペナントを

読んでいる姿を見つける

 

 

「あそこは……

美園学院と共に春の全国大会に

出場してベスト8にまで勝ち進んだ

お嬢様高校にしてCシードの椿峰だ」

 

 

続いて芳乃の目に入ったのは他の高校より

清楚なオーラを漂わせるお嬢様高校の椿峰

 

お嬢様高校でありながら埼玉県内の

野球の強豪校の1つで芳乃によれば

今年の春の全国大会には美園学院と

共に埼玉県から出場し準々決勝まで

勝ち上がったようだ

 

つまり今年の春の全国大会には埼玉県から

美園学院と椿峰の2校が全国大会に出場し

美園学院がベスト4……椿峰はベスト8と

どちらも好成績を残したということだ

 

 

「それにベスト4常連

一昨年の夏の優勝校の梁幽館!

注目は通算打率6割越えの陽秋月さんと

エースで本塁打50本越えの中田奈緒さんだ!」

 

 

美園学院と同じSランクに認定されてる

埼玉屈指の名門校の1つである梁幽館の

中心選手の陽秋月選手と中田奈緒選手の

姿も逃さず視界に捉える

 

 

「そして、忘れてはいけない……」

 

 

そう言って芳乃が目を向けたのは……

 

 

「昨年の優勝校の咲桜高校!

県内最高の遊撃手の田辺由比さんに

県内最速ランナーにして主将の小関諒さん!」

 

 

最後に芳乃が視界に捉えたのは昨年の夏の

県大会に優勝し全国大会に出場した上に春に

真深のライバルのユイが留学したことにより

昨年よりも話題になっている咲桜高校だった

 

 

「埼玉高校野球のすべてが目の前に……!」

 

 

芳乃は県内の有力選手や名門校に

すっかり興奮してしまうと感情を

抑えられなくなり……

 

 

 

 

 

 

 

「ん~~! 分析したーーーい!!」

 

 

 

 

 

 

 

「!!!?」

 

 

「なに……?」

 

 

「えぇ……?」

 

 

(隅々まで見透かされるような重圧……!?)

 

 

野球魂に火がついた芳乃から放たれるオーラに

梁幽館の中田、咲桜の小関と田辺、美園学院の

園川を始めとした何人かの選手が気づいて

プレッシャーによる悪寒を感じ取っていた

 

 

「奈緒先輩、凄い選手でも居ましたか?」

 

 

「いや、何でもない……気のせいだ……」

 

 

芳乃のプレッシャーを感じていた中田だが

自身の後輩であり梁幽館の正捕手の小林に

声をかけられたので中田は表情に戸惑いを

残しながら後輩に余計な気遣いをさせては

悪いと思い誤魔化したのだった

 

 

一方で怜と藤井先生もテンションMAXの

芳乃を見て苦笑いを浮かべていた時だった

 

 

「「「!?」」」 ゾクッ

 

 

突如3人は芳乃のものとは全く違う

凄まじいオーラを感じ寒気に襲われてしまう

 

 

すると……

 

 

「すみません……通っても良いですか?」

 

 

「えっ、あぁ、すみま…………!!!?」

 

 

後ろから女の子の声がしたので

邪魔してしまったと思った芳乃が謝りながら

振り返った瞬間に驚愕して言葉がでなくなる

それは一緒にいた怜と藤井先生も同じだった

 

 

何せそこにいたのは……

 

 

(ユッ……ユイさん!?)

 

 

その人物とは咲桜の制服を着た見た目は

長い金髪の美少女だが嫌でも感じ取れる

強者のオーラを発したユイだったからだ

 

 

オーラの発生源はユイだったのである

 

 

(ほっ、本物だ!……この人が

真深ちゃんのライバル……ユイさん!)

 

 

(なんという凄まじいオーラだ……)

 

 

(これがウィラード選手ですか……)

 

 

芳乃と怜と藤井先生の3人は

ユイから感じる強者のオーラに

圧倒されそうになってしまった

 

 

「あの……何か?」

 

 

「あっ、すみません……どうぞ!?」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

芳乃は道を塞いでしまっていた事に

気づき慌てて道を開けるとユイは

笑顔で会釈をして芳乃たちの前を

ゆっくりした足取りで通っていくと

 

 

「ウィラ! こっちよ」

 

 

「主将! すみません……

喉が乾いたので飲み物を買いに行ったら

自動販売機が直ぐ見つからなかったので」

 

 

「大丈夫よ、まだ始まってないから」

 

 

咲桜の主将の小関が自分たち咲桜の選手が

座る一角の席にユイを手招きしながら呼ぶと

ユイは咲桜の選手が集まる席の1つに座った

 

するとユイの声で彼女の存在に気づいた

 

アメリカの世代別代表のエースであった

ユイが姿を表したことによって会場内の

他の各校の選手たちの雰囲気も変わった

 

 

(あれがウィラードか……なんて奴だ

此処からでも凄まじいオーラを感じるぞ……)

 

 

(対戦することになったら

絶対に投げ勝って見せるんだから)

 

 

(大会で当たったら必ずリベンジして見せるわ)

 

 

梁幽館の中田と美園学院の園川は

会場に現れたユイの姿を見てオーラに

圧倒されながらも闘志を燃やしており

数日前の練習試合でユイに破れていた

大野を始め柳大川越の選手達もユイの

姿を見て気が引き締まったのであった

 

そしてそれは他の高校の主力選手達も

考えはまったく同じであったが同時に

ユイが留学してから初めて日本で受けた

インタビューの言葉にも気になっていた

 

ユイが日本に留学してまでリベンジを

誓った打者とは一体誰かなのかと……

 

 

「さて、私たちも席につきましょうか?」

 

 

「「はい」」

 

 

会場の雰囲気に感じながらも藤井先生に

促され怜と芳乃も空いている席を見つけ

目立たないように座ったのだった

 

 

そして抽選会が始まった

 

 

《シード校は整理番号順に並んで下さい》

 

 

抽選会の司会者がアナウンスすると

シード校から順番にクジを引き始める

その中には柳大川越の大野の姿もあった

 

 

「大野さんだ!」

 

 

「キャプテンだったのか

てっきり浅井さんだと思ってた……」

 

 

新越谷が柳大川越と練習試合をした時に

先攻と後攻を決めるジャンケンを浅井が

やっていたので怜も芳乃も柳大川越の

主将は浅井だと思っていたが大野が

柳大川越の主将だったようだ

 

 

そうしている内にシード校の抽選が終わり

ノーシード校の抽選が始まると主将である

怜が列に並び順番を待つ

 

 

そして……

 

 

「いよいよ、ウチの番! 頼みますよ主将!」

 

 

次が怜の番となり芳乃が

小さな声で怜を鼓舞したのだが

 

 

「……!?」

 

 

怜が試合者に新越谷と書かれた

札を渡した瞬間に試合者の顔の

表情が明らかに動揺した表情に変わる

 

 

「……新越谷高校」

 

 

そして試合者が新越谷高校と

アナウンスすると場内が騒然としだすと

 

 

(あの人達は、さっきの……!?

あの人たちが新越谷の監督と主将だったの?)

 

 

先程、入り口で怜、芳乃、藤井先生と

会話をしていたユイは新越谷の制服を

知らなかった為に怜が新越谷の主将と

分かり心の中で呟きながら驚いていた

 

 

ところが……

 

 

「新越谷って……あの不祥事の」

 

「停部明けてたんだ」

 

「でも今、1年ばっからしいよ」

 

「マジ? 当たりたいわ」

 

「しーっ! 死球当てられるよ」

 

「クジ不正しないでね」

 

 

それ以外の会場内の

他校の生徒たちから新越谷に対する

陰口のような囁きが飛び交い始めた

 

新越谷に野次を飛ばしてこなかったのは

咲桜、梁幽館、美園学院、椿峰など強者として

どんな相手にも敬意を示す一部のシード校や

他校の過去の経緯を気にしない久保田と同じ

思考を持つ熊谷実業と新越谷と練習試合をして

実力を認め再戦を誓った柳大川越くらいだった

 

そんな雰囲気に評判が悪くなっていると

分かっていたとは言え流石に怜も戸惑い

更に芳乃と藤井先生の近くに座っていた

他校の生徒が2人のことを避けるかのように

間を開けて席に座り直そうとしている始末だ

 

 

「くっ! コイツ等……!?」

 

 

それを見たユイは陰口を

飛ばした他校の選手たちに対し

思わず怒りを表してしまいそうになる

 

 

しかし……

 

 

「やめなさい、ウィラ」

 

 

「キャプテン……?」

 

 

そんなユイを小関をはじめ

咲桜の先輩たちがユイの腕を掴んで止める

 

 

「貴女の気持ちは分かるし

私たちだって見苦しいと思うわ

だけど今、貴女が出たところで

逆に反感を買ってしまうだけよ」

 

 

「そうなれば貴女の立場も危うくなるわ」

 

 

「クッ……!!」

 

 

小関と田辺に諭されてユイも

憤りを抱きながらも2人の先輩の

言うとおりだと理解したことに加えて

同時に咲桜というチームや先輩たちに

迷惑を掛けると悟った引き下がったが

何も出来ない事を悔しく思っていると

 

 

「はぁ……ウザい

当事者はもういないのに

なんでグチグチ言うのかしら?

新越谷は私から3点も取ったのよ

精々、痛い目を見るといいんだわ」

 

 

練習試合を通じて新越谷の実力を認めて

大会での再戦を誓った柳大川越の大野が

陰口を囁く他校の選手たちを嫌みを言い

新越谷を擁護したのだった

 

 

 

すると……

 

 

 

「新越谷と試合したのか?」

 

「あれって柳大川越じゃん!?」

 

「てことは、あの人が朝倉さんかな?」

 

 

新越谷を擁護した大野を見た他校の選手は

大野を朝倉だと勘違いしているようである

 

 

(潰す!)

 

 

当然ながら大野は苦い表情になる……

やはり昨年の柳大川越の躍進が朝倉の

活躍によるものだったこともあってか

他校の選手たちも柳大川越のエースは

朝倉だと思っていたらしく大野のことを

朝倉と勘違いしたので大野は憤っていた

 

 

(良かった……

私たち以外にも新越谷を

理解している高校があったのね)

 

 

大野の介入により陰口が

収まりユイは安心して胸を撫で下ろしていた

 

 

(というか、あの人は大野さんじゃ?

埼玉の高校は陰口を言う上に他校の

選手のことですら把握してないの?)

 

 

加えて前に柳大川越と練習試合をして

大野と朝倉にあったことがあるユイは

大野を朝倉と勘違いしているのを見て

最早、呆れ始めてしまっていた

 

 

「あの……クジを」

 

 

「あっ! すみません……」

 

 

怜は擁護してくれた大野に

心の中でお礼を言いながら

爽やかな表情でクジを引いた

 

 

しかし……

 

 

「あっ!?」

 

 

引いたクジの番号を見た怜は

"やってしまった"という表情になった

 

 

 

 

 

 

 

ーーそしてーー

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ない!!」

 

 

「アハハ……」

 

 

学校に帰って来るなりメンバーに

頭を下げて気まずそうに謝る怜と

その横で苦笑いを浮かべる芳乃の姿があった

 

 

「キャプテン、まさか……」

 

 

「強いところ、引いたんですか?」

 

 

「まさか、いきなり咲桜じゃないですよね?」

 

 

「わぁ~~♪」

 

 

予感的中と思いながら

緊張した様子で稜、詠深、菫の順に尋ねるが

希だけは強いところと対戦できると期待している

 

 

「ううん……咲桜じゃないけど

コレがトーナメント表……Cブロックね」

 

 

そう言って芳乃はメンバーに

トーナメント表が記された洋紙を渡す

 

 

「どれどれ? 初戦は……影森高校?」

 

 

「聞いたことの無いところね」

 

 

「うん……」

 

 

聞き覚えのない対戦相手の高校の名前を

見た詠深、真深、菫が首を傾げている

しかし問題は、その次だった

 

 

「影森に勝ったら……次は?」

 

 

そう言って詠深たちは次の対戦相手が

居る隣の対戦カードを見てみると……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

梁 幽 館 ーーーーー┓

埼玉宗陣 ーーーーー┛ーーー┓

新 越 谷 ーーーーー┓ーーー┛

影 森..ーーーーー┛

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「梁幽館かよ!?」

 

 

「嘘でしょう!?」

 

 

「しかも対戦相手が埼玉宗陣!?」

 

 

新越谷の2つ上にあった高校の名前を

見た途端に稜と菫が頭を抱えてしまい

真深は梁幽館の対戦相手に驚いている

 

 

「強いの?」

 

 

福岡から引っ越してきたばかりで

埼玉の学校について詳しく知らない

希が詠深に梁幽館のこと尋ねてみると

 

 

「ベスト4常連! 一昨年の優勝校!

咲桜と肩を並べる埼玉屈指の強豪校だよ!」

 

 

「相手の埼玉宗陣もベスト8クラスの強豪よ」

 

 

「えっ!? ナイス、キャップ!!」

 

 

強いチームとの対戦を望んでいた希は

詠深と真深の話しを聞いて稜や菫とは

逆に怜の手を握って賛辞の言葉を言っていた

 

 

「キャプテンは梁幽館に

知り合いの選手はいないんですか?」

 

 

「ガールズのチームメイトが

1人いるが主力ではないだろうな」

 

 

「珠姫ちゃんは?」

 

 

芳乃に尋ねられた珠姫は

言い辛そうな表情になると

やや間を開けてから答え始めた

 

 

「梁幽館の2番手投手の和美さん

吉川和美さんとはバッテリーを組んでたよ

2年前のガールズの優勝投手だよ」

 

 

「成る程……

今年の春の大会ではエース中田さんと

その吉川さんが交互に投げていたよね」

 

 

「おお~~♪」

 

 

珠姫の話と芳乃の説明を聞いた希が

更に期待を高めたのか目を光らせた

 

 

「梁幽館の初戦は埼玉宗陣

ノーシードながら全国にも

出たことのある強豪校だよ」

 

 

「そうね……

初戦で見られる対戦カードじゃないわね

というか宗陣って何でノーシードなのかしら?」

 

 

「確かに……

とは言え激戦が予想される初戦は

エースの中田さんが投げるだろうから

つまり私たちとの試合では吉川さんが

先発して投げる可能性が高いと思うよ」

 

 

埼玉宗陣がシードでないことを

疑問に思う真深の言葉に芳乃が付け加えると

仮に新越谷が初戦を突破した場合は2番手の

吉川の先発を予想するのだった

 

 

「しかし、珠姫ってマジで

凄いところで野球やってたんだな」

 

 

「そんなことないよ……

というか私より、もっと凄いところで

野球やっていた人が、ここに居るんだけど?」

 

 

そう言って珠姫は真深に目を向ける

 

 

「だな……真深の先輩の

ボストフやラスターソンと比べたら

梁幽館の中田や吉川なんて可愛い方だよな」

 

 

「流石に、その2人と比べたら

日本の高校球女なんて全員、可愛く見えるわよ」

 

 

「それに先ずは私たちが

初戦に勝たないと話しにならないわよ」

 

 

稜の呟きに菫と真深が

苦笑いを浮かべながら突っ込んだ

 

 

「すみません……

初戦の御相手の影森高校とは

どのようなチームなのでしょうか?」

 

 

梁幽館の話題で盛り上がっていると

白菊が初戦の対戦相手である影森の

情報を芳乃に尋ねる

 

 

「それが……

影森のデータって殆ど無いんだよね

取り敢えず先に梁幽館と埼玉宗陣の

春大会のビデオでも見てみようか?」

 

 

「見る見る!!」

 

 

大事な初戦の相手で気になるが

データが無いらしく一先ず2戦目で当たる

梁幽館と埼玉宗陣の過去の試合のビデオを

見ることになり希が1番に賛同した時だった

 

 

「そう言えば芳乃ちゃん。咲桜は?

ユイさんとは何処で当たれるのかな?」

 

 

「そうやん、咲桜は!?」

 

 

ユイと対戦したい詠深が芳乃に尋ねると希も

思い出したように食い付くように芳乃に尋ねる

 

 

「咲桜は新越谷と同じ山だけど

新越谷や梁幽館から見て1番向こう側に

入ったから当たれるとしたら準決勝だね」

 

 

トーナメント表を見てみると

確かに表の左側の山の1番上に梁幽館

その2つ下に新越谷の名前があったが

咲桜は梁幽館とは逆の1番下に名前があった

 

 

「準決勝……」

 

 

「梁幽館に勝利しつつ

5勝しないと当たれないのか……」

 

 

同じSランクの梁幽館と2戦目で

当たれるのに対して対戦がしたい

咲桜と当たるには道は厳しいと分かって

希と詠深は残念そうな様子を見せている

 

 

「詠深、希ちゃん……

今は咲桜のことを気にしても仕方ないわ

まずは芳乃ちゃんの言う通りに梁幽館と

埼玉宗陣の試合を見て情報を得ましょう」

 

 

「そうだね、早く見ようよ」

 

 

「うん! 早く見るけん!」

 

 

真深に促された詠深と希を皮切りに

他のメンバーもビデオルームに

移動して向かおうとしたときだった

 

 

「真深ちゃん、詠深ちゃん」

 

 

「芳乃ちゃん?」

 

 

「どうかした?」

 

 

芳乃に呼び止められた真深と詠深が振り替える

 

 

「うん……ちょっと話があって

それから珠姫ちゃんと息吹ちゃんも」

 

 

「えっ?」

 

 

「私たちも?」

 

 

珠姫と息吹も呼び出されて首を傾げる

 

 

「芳乃、先に行ってるからな」

 

 

「はい! 話が終わったら直ぐ行きますから」

 

 

怜はなにやら芳乃の意図を悟っているような

表情で他のメンバーを連れてビデオルームに

向かっていった

 

 

「芳乃ちゃん……話しって?」

 

 

芳乃に呼び止められた4人を

代表して詠深が話の内容を尋ねる

 

 

「実は、みんなに伝言を預かっているんだ」

 

 

「伝言?」

 

 

伝言があると芳乃に言われて

真深と他の3人は誰からだろうと耳を傾ける

 

 

「まずは真深ちゃんに……

"開会式で会えるのを楽しみにしてる"……って」

 

 

「!!」

 

 

聞かされた伝言の内容を聞いて

真深は誰からの伝言か直ぐに悟った

 

 

「芳乃ちゃん!?」

 

 

「それって、まさか!?」

 

 

「うん……ユイさんからだよ」

 

 

詠深と珠姫が聞くと芳乃は真剣な表情で頷いた

 

 

「ユイさんに会ったの!?」

 

 

「というか声をかけられたの!?」

 

 

「うん……抽選会が終わった後にね」

 

 

「そっか、ユイさんも抽選会に来てたんだ」

 

 

ユイが抽選会に来ていた上に芳乃が

声をかけられたと聞いて驚く詠深と息吹に対し

抽選会だから来ていても可笑しくないと珠姫は

納得した様子になっていた

 

 

「それと、これは詠深ちゃん達に……」

 

 

「えっ、私たちに!?」

 

 

自分たちにも伝言があると知らされて

驚いた3人の気持ちを代弁するように

詠深が芳乃に尋ねる

 

 

「"真深を立ち直らせてくれて感謝します

準決勝で会えるのを楽しみにしてます"……って」

 

 

「えっ? それって……」

 

 

芳乃から伝えられた伝言に詠深たちも

ユイの意図が分からない反応を示すと

 

 

「うん、実は抽選会が終わった後にね……」

 

 

そう言って芳乃は抽選会が終わった後に

ユイに合いやり取りした話しを話してくれた

 

 

 

 

 

ーー抽選会終了後ーー

 

 

 

 

 

「はぁ~~

まさか梁幽館の山を引いてしまうとはな……」

 

 

「主将、ドンマイです……」

 

 

怜は自身のクジ運の悪さを嘆いていたので

芳乃が苦笑いを浮かべて励ましていた時だった

 

 

「あの……すみません」

 

 

「「「えっ?…………あっ!?」」」

 

 

後ろから呼び止められて怜と芳乃と藤井先生が

振り替えて見ると呼び止めた相手はユイだった

 

 

「突然、申し訳ありません

どうしても、お話がしたかったので……」

 

 

「はっ、はい! 全然大丈夫です!?」

 

 

「あぁ、大丈夫だ……!」

 

 

ユイに声をかけられたことで

芳乃は勿論、怜も緊張してしまった

 

 

「先程は失礼しました

まさか貴女方が新越谷の方とは知らずに」

 

 

「いいえ……私たちの方こそ

入り口の前に突っ立って邪魔をしてしまって」

 

 

怜とユイは先程の入り口での

やり取りの話をして居る横で

芳乃はユイに話しかけられた

感動からか何も言えずにいる

 

 

「ところで、何か御用でしょうか?」

 

 

「はい、その……彼女は元気ですか?」

 

 

「「「 !! 」」」

 

 

藤井先生に用件を尋ねられた

ユイは少し緊張しながら聞いてきた

そしてユイの言う彼女が誰のことか

芳乃と怜と藤井先生は直ぐに察した

 

 

「はい。元気ですよ」

 

 

「ユイさんのことは

彼女から話しを聞いています

だから私たちも会えて嬉しいです」

 

 

藤井先生と緊張状態が治った

芳乃が真深が元気にしていることと

真深からユイのことを聞いていたことを話す

 

 

「そうですか……

それじゃあ、野球は続けてるんですね?」

 

 

「はい。彼女には4番をお願いしていますよ」

 

 

「そうですか……良かった」

 

 

藤井先生から話を聞いたユイは

安心したような表情を見せながら呟いた

 

因みにユイが真深の事を彼女と言ったのは

自分がリベンジしたい相手が新越谷高校に

居ることを他校には悟らせない方が良いと

ユイが判断した為であった

 

 

「彼女は今日は来てないんですね」

 

 

「あぁ……さっきみたいなことに

なると思ったので他のメンバーは置いてきたよ」

 

 

「そうですか……新越谷の皆さんは

本当に立派な主将さんを持たれましたね

咲桜の主将の小関さんに負けないくらい」

 

 

怜の話を聞いたユイは陰口を言われる

可能性を承知の上で監督の藤井先生と

参謀の芳乃の3人だけを連れて陰口を

言われる思いを1人で請け負った怜の

主将としての思いと他のメンバーへの

心遣いに感銘を受けていた

 

 

「あの、ユイさん……」

 

 

「はい。なんですか?」

 

 

ユイに声をかけられてから

なにやらソワソワして落ち着きなかった芳乃が

何処に持っていて何処から取り出したのか手に

色紙を持っていて恐る恐るユイにお願いをした

 

 

「サインください!」

 

 

「えっ?……はい、良いですよ」

 

 

芳乃からの要望に一瞬、戸惑ったユイだったが

直ぐに笑顔をなると快く応じてサインを書いた

 

 

「どうぞ」

 

 

「ありがとうございます! 宝物にします!」

 

 

ユイからサインを貰い芳乃は目を輝かせた

 

 

「では、私はこれで……

先輩たちを待たせてしまいますので」

 

 

「そうか、なら早く戻らないと」

 

 

「サイン大事にします!」

 

 

「気をつけて、帰ってくださいね」

 

 

ユイがお辞儀をして去ろうとしたので

怜、芳乃、藤井先生の順にユイに別れ言葉を送る

 

 

「あっ! できれば伝言を

お願いしても良いでしょうか?」

 

 

「あぁ。構わないさ」

 

 

去ろうとしたユイが思い出した様に

伝言を頼んできたので彼女が伝言を

伝えたいと思う相手が分かっている

怜は快くユイの頼みに応じる

 

 

「それでは……

開会式で会えるのを楽しみにしてる

と、伝えておいて頂けるでしょうか?」

 

 

「あぁ、分かった……必ず伝えるよ」

 

 

「それから新越谷の皆さんにも……」

 

 

「えっ?……私たちにもですか?」

 

 

真深以外のメンバーにも伝言を

お願いしてきたので怜と芳乃も

意図が分からず首を傾げそうになる

 

 

「厚かましいかも知れませんが

"彼女を立ち直らせてくれてありがとう"

と、伝えてください」

 

 

「立ち直らせた……というと?」

 

 

芳乃と怜は、ますます分からなくなる

 

 

「私のことを彼女から

聞いたということは彼女の過去……

正確には昨年の彼女の事情も知ってますよね?」

 

 

「は、はい……」

 

 

昨年の真深の事情

それは真深が同年代のチームメイトから

嫌がらせや嫌みを言われ辛い思いをしたことだ

 

 

「正直に言って不安だったんです

留学を決意したとは言え日本に来てみたら

彼女が野球を辞めてるんじゃないかと思って」

 

 

「「あっ……」」

 

 

真深にリベンジしたくて留学したのに

肝心の真深が野球を辞めていては意味がない

 

ユイは真深に日本に留学すること告げた時の

真深の表情を見てそんな予感がしていたのだ

 

 

「ですが彼女は野球を続けてくれました

それはきっと新越谷の皆さんのお陰でも

あるのだと私は思うんです」

 

 

「「…………」」

 

 

ユイのその言葉に芳乃と怜は

今まで真深が詠深や新越谷の仲間たちに

何度もお礼の言葉を言っていたことを思い出した

 

 

「ですから彼女は勿論、新越谷の皆さんと

準決勝で当たることを楽しみにしていますね」

 

 

そう言ってユイは真深だけでなく

新越谷のメンバーと対戦するのが

楽しみであることを告げたのだった

 

 

「しかし私たちは初戦に勝っても2戦目で

当たるのが恐らく梁幽館だから厳しいかもな」

 

 

怜はそう言って再度

自身のクジ運の悪さを嘆き始める

 

 

「確かに梁幽館は手強いでしょう

ですが皆さんなら勝てると思います……だって」

 

 

「「「???」」」

 

 

「チームメイトのことで

辛い思いをした彼女が選んだチームですから」

 

 

「ユイさん……」

 

 

その言葉に芳乃の胸が暑くなったようだ

 

 

「では、失礼します

新越谷の……皆さんの幸運を祈っています」

 

 

最後にお辞儀をしてユイは去っていった

 

 

「立ち直らせてくれてありがとう……か

だったら今の伝言は詠深と珠姫と息吹の

3人に伝えるべき伝言だな」

 

 

「そんな事ないですよ

主将や理沙先輩に他のみんなだって!?」

 

 

怜の言葉を急かさず否定する芳乃だったが

 

 

「確かに真深は私達にも

お礼を言ってくれてはいたが

実際に真深に野球を続けるようにと

励ましたのは芳乃たちだったからな

逆に私と理沙は真深に救われた側で

真深を立ち直らせた訳じゃないしな」

 

 

「キャプテン……」

 

 

「だから今の伝言は

真深と、あの3人だけに伝えるべきだ」

 

 

そう言って怜はユイが真深以外の

新越谷のメンバーに送った伝言を

詠深と珠姫と息吹の3人だけに

伝えるように芳乃を説得したのだった

 

 

 

 

 

ーーそして場面は今に戻るーー

 

 

 

 

 

「……って、言っていたよ」

 

 

「ユイが、そんな事を……」

 

 

芳乃から聞かされた話しに

真深はユイに余計な心配をかけたことを

申し訳なく思いながら複雑な表情になる

 

 

「うぅぅ……ユイさん」

 

 

詠深はユイからの伝言を聞いて泣き始めていた

 

 

「やっぱりイイ人だわ……」

 

 

息吹も感無量になったらしく泣き出していた

 

 

「2人とも、顔が大変なことになってるよ」

 

 

「ホントだ……ホラ、詠深ちゃん、涙吹いて」

 

 

泣き出した詠深と息吹の顔を見た

芳乃が息吹にハンカチを手渡すと

珠姫も詠深にハンカチを手渡すが

珠姫の表情もユイからの伝言には

心が響いたらしく爽やかな表情に

なっていたのだった

 

 

「というわけだから皆……

自分たちに出来るだけの事をして

初戦は勿論、梁幽館にも勝てるように頑張ろう

私だって皆なら、きっとやれると信じてるもん」

 

 

そして芳乃も真深たち鼓舞すると……

 

 

「そうね……頑張って練習しましょう!」

 

 

「うん! もっと練習して上手くなるよ」

 

 

「そうだよ! 頑張ろうね、詠深ちゃん!」

 

 

「私も何だか燃えてきたわ!」

 

 

ユイの伝言と芳乃の激励に

真深、詠深、珠姫、息吹は練習意欲が上がったようだ

 

 

「さあ! そうと決まったら

梁幽館と埼玉宗陣のビデオを見て作戦会議だよ!」

 

 

「「「「「うん!」」」」」

 

 

芳乃の掛け声に真深、詠深、珠姫、息吹も

ビデオルームに向かって走って行くのであった

 

 




今回はここまでです

次回は梁幽館と埼玉宗陣の対策と
影森の偵察や作戦を立てる話になります

書けたら公式戦ユニフォームを
渡すところまで書きたいですね

実は背番号についてもこの物語で
やってみたいことがあるものですから

それでは次回まで失礼致します!



ーーP.Sーー



真深とユイの選手名鑑が
見てみたいとのメッセージを
頂いたので、この場を借りて掲載します


【上杉 真深】 新越谷高校

【ポジション】外野手/三塁手

【1】1年生

【2】右投げ右打ち

【3】4月22日

【4】164㎝

【5】アメリカのガールズ(ドルフィンズ)

【6】イルカ

【7】素振り、料理

【8】詠深と同じ高校だから





【ウィラード・ユイ(優衣)】咲桜高校

【ポジション】投手/三塁手

【1】1年生

【2】右投げ右打ち

【3】5月15日

【4】165㎝

【5】アメリカのガールズ(エアリーズ)

【6】馬

【7】投球練習、ゲーム

【8】真深と対戦するため


ーーーーーーーーーーーーーーーー


【1】= 学年

【2】= 投・打

【3】= 誕生日

【4】= 身長

【5】= 出身チーム

【6】= 好きな動物

【7】= 趣味

【8】= 進学理由
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