詠深の従姉妹はホームラン打者   作:たかと

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やっとユニフォームを渡す話が書けました

真深がいることにより背番号が
どのような形に配られるかご覧下さい


第18話 大好きなチームのユニフォーム

芳乃と息吹が影森の偵察に行ってから数日後

 

季節は6月半ばから終わりに差し掛かる

梅雨真っ只中な為に新越谷のメンバーも

ここ数日は室内練習を余儀なくされていた

 

そんな中でも白菊が怜の指導してもらいながら

バドミントンのシャトルを使って狙った方向に

打ち返す打撃練習に励んでいたり理沙と息吹は

投球練習に清を出して菫と稜の二遊間コンビは

ノックを受けられない不満が溜めつつ芳乃から

アドバイスや助言を受けながら筋トレに励んで

各々が出来る限りの練習に取り組んでいると

藤井先生が大きなダンボール箱を抱えながら

室内練習場に姿を現した

 

 

「集合ーー!」

 

 

すると練習をしていたメンバー達を

怜が号令をかけて集合を呼び掛けた

 

 

「少し早いが、この場で

公式戦用のユニフォームを配布するぞ」

 

 

「やったーーー!」

 

 

「待ってましたーーー!」

 

 

公式戦ユニフォームの配布と聞いて

詠深と稜が嬉しそうな声をあげると

勿論、他のメンバー達にも笑みが現れる

 

 

「それでは、順番に取りに来てくださいね」

 

 

そんなメンバーに藤井先生も

笑顔で告げると怜が1番から

順番にユニフォームを配り始める

 

 

「1番、詠深!」

 

 

「はっ、はい!」

 

 

最初に呼ばれた詠深が先程とは一転して

緊張した様子でユニフォームを受け取る

 

 

「頼んだぞ、エース」

 

 

「ありがとうございます!

(1番……おおっ! 背番号、刺繍なんだ……)」

 

 

詠深は怜から期待の言葉を送られて

ユニフォームを手にすると手にした

ユニフォームの背番号に嬉しそうに手を触れた

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「2番、珠姫!」

 

 

「はい!」

 

 

「3番、希!」

 

 

「はい!」

 

 

「4番、菫」

 

 

「はい!」

 

 

「5番、理沙」

 

 

「ええ!」

 

 

「6番、稜」

 

 

「ウィッス!」

 

 

そしてその後も次々とユニフォームが

メンバーに配布されていき6番の稜が呼ばれ

ユニフォームを受け取ると次に呼ばれたのは

 

 

「7番、真深」

 

 

「はい!」

 

 

流石の真深もユニフォームの配布のためか

名前を呼ばれると緊張した様子で前に出る

 

 

「頼んだぞ、スラッガー」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

しかし怜から期待の言葉を送られると

一転して引き締まりながらも嬉しそうな

表情になって7番の背番号を見つめていた

 

 

「8番、私で……9番、白菊!」

 

 

「はい! ありがとうございます」

 

 

「10番、息吹」

 

 

「はっ、はい!」

 

 

「期待してるぞ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

真深にユニフォームを渡した怜が

自身が着る8番のユニフォームを側に置くと

続けて白菊と息吹の二人にユニフォームを渡す

 

こうして無事にメンバー全員にユニフォームか

配布されたと思われたがダンボール箱の中には

もう一着のユニフォームが入っていた

 

 

「最後に……20番、芳乃!」

 

 

「えっ?……えぇーーー!?」

 

 

名前を呼ばれた芳乃が

驚きのあまり声をあげてしまう

 

 

「いいんですか!?」

 

 

「勿論だ」

 

 

「確かにベンチには20人、入れるからな」

 

 

「開会式、一緒に出れるやん!」

 

 

「試合には出しませんがコーチャーに

立ってもらうことはあるかも知れませんからね」

 

 

驚く芳乃に怜、稜、希、藤井先生が

芳乃もユニフォームを着るべきと笑顔で話す

 

 

「ほら」

 

 

「…………」

 

 

そして怜からユニフォームを

受け取った芳乃は他のメンバー達よりも

感動した様子で20番の背番号を見つめると

ユニフォームに顔を埋めて肌触りを確かめる

 

 

「この肌触り……間違いない

あの頃(4強時代)と同じ紛うことなく

新越谷の公式用のユニフォームだよ!」

 

 

「良かった。皆さん一緒ですね!」

 

 

「確かに20番って他校でも

コーチャーが着けている人が多いわね」

 

 

「それに息吹ちゃんと芳乃ちゃんって双子だから

息吹ちゃんが10番で、芳乃ちゃんが20番って

数字で見た感じでもピッタリな感じがするね」

 

 

「あっ! 確かに」

 

 

「本当だ! やったね、息吹ちゃん!」

 

 

白菊、真深、詠深の言葉に息吹と芳乃が

互いの背番号を見合いながら微笑みあっている

 

 

「それより、よく見て! メッシュ生地!

練習試合用のユニフォームとは違うんだよ!」

 

 

芳乃が公式戦用と練習試合用のユニフォームで

生地の違いを嬉しそうにメンバーに話していた

 

 

 

 

 

ーーそれから数字間後ーー

 

 

 

 

 

「暗くなってから止みやがったな……雨」

 

 

「ホントね……

でも明日は普通に練習出来そうだし良かったわ」

 

 

日が沈み帰宅時間になったと同時に雨が上がり

空は星空になっていたので日中に稜が不満を

口にしていたが菫は前向きに捉えていた

 

 

「それじゃあ、私たちあがるわね」

 

 

「じゃあなーー!」

 

 

「うん、お疲れーー!」

 

 

「また明日ね」

 

 

菫と稜が帰っていくので

詠深と真深が返事をした

 

 

「芳乃ーー! 私たちも、そろそろ……」

 

 

既に真深、詠深、珠姫、息吹、芳乃の

5人以外は帰っていたので息吹も

そろそろ帰り支度をする為に外に

居る芳乃を呼びにいくと……

 

 

「もう……汚れるわよ」

 

 

「嬉しいんだもん! 新越谷のユニフォーム!

帰ったら歴代20番の選手をチェックしないと」

 

 

息吹が外に出て見ると芳乃は

公式戦用のユニフォームを着て素振りをしていた

 

 

「あっ!? 芳乃ちゃんが抜け駆けをしてる!」

 

 

「詠深、抜け駆けって……」

 

 

そこヘ詠深と真深も外に出てくると

既にユニフォームを着ていた芳乃に

詠深が羨ましそうに抜け駆けと言い

真深が苦笑いをしながら突っ込んだ

 

 

「かわいい〜~! 似合ってるじゃん」

 

 

「ありがと〜~♪」

 

 

「いいな~~、私も着てこよーっと♪」

 

 

ユニフォームを着た芳乃の姿を

羨ましく思った詠深は自分も

着ようと部室に戻っていく

 

 

「今から着るの?」

 

 

「うん! 真深ちゃんと、タマちゃんも着なよ」

 

 

「私はいいよ……もう帰るし」

 

 

「それに汚すと、いけないから……」

 

 

一緒に着てみようと言う詠深に

珠姫と真深は断ろうとしたのだったが……

 

 

「えーー、二人のユニフォーム姿も見たい!」

 

 

「試合中に、いくらでも見れるでしょ?」

 

 

「そうよ。嬉しいのは分かるけど落ち着いて」

 

 

「試合中はユニフォームが

可愛いとか考えてる余裕ないし

タマちゃんは捕手だから試合中だと

防具で隠れて見えなくなるから、お願い!」

 

 

そう言って真深と珠姫に

着てみてほしいと嘆願してきたのであった

 

 

「もう……折角だから着てみましょうか?」

 

 

「はぁ……わかったよ」

 

 

詠深に根負けして着ることにしたのだった

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「着たよ~~♪」

 

 

「3人とも似合ってるよ~~、強そう~~♪」

 

 

ユニフォームを着て部室から出てきた

詠深と真深と珠姫の姿に芳乃も興奮している

 

 

「そーだ芳乃ちゃん!

私とキャッチボールしよっか?」

 

 

「新越谷のエースと?」

 

 

「う……うん」

 

 

「ぜひ、お願いします!」

 

 

「じゃあ、グラウンド行こっか?」

 

 

折角ユニフォームを着たのだから

投球練習がしたくなったのか詠深が

芳乃をキャッチボールに誘うと芳乃は

何故か少し畏まった後に笑顔で応じた

 

 

「ちょっと濡れてるけどやれそうだね!」

 

 

そして詠深と芳乃はグラウンドのベンチの前で

キャッチボールを始めると真深と息吹と珠姫は

ベンチに座り2人のキャッチボールを見届ける

 

 

「いくよ~~」

 

 

「こい!」

 

 

芳乃が投げたボールは

良い音を鳴らせ詠深のグラブに納まった

 

 

(スピンのかかった、いい球!?)

 

 

思いの外、芳乃が良い球を投げたので

詠深は驚きつつも感心した様子を見せていた

 

 

「ナイスボール! いい球投げるじゃん」

 

 

「息吹ちゃんの相手になれるくらいにはね」

 

 

そのまま暫く詠深は芳乃は

二人でキャッチボールを続けていると

 

 

「あれから3ヶ月か……

入学式の日……5人でここで遊んだよね」

 

 

何やら詠深が懐かしそうに呟いた

 

 

「あの時はキャッチボールするだけの

部活でもいい……とか、思ってたんだよね」

 

 

「キャッチボール部かぁ……」

 

 

「半ば帰宅部みたいな感じかなぁ

放課後好きな友達と一緒に適当に

体を動かして甘いものでも食べて

"おしゃべり"しながら遊んで帰る」

 

 

「それはそれで楽しかったかもねぇ」

 

 

詠深と芳乃……

そしてベンチで二人のキャッチボールを

見届けていた真深、珠姫、息吹も野球部が

そんな感じになっていた場合の自分達の

放課後の様子を想像しながら和んでいた

 

 

「それがまさか人数が揃って

大会に出られるなんて想像もしてなかったけど

前にも言ったけど私はこのチームで良かったよ

今までの公式戦で1番"わくわく"しているから」

 

 

詠深の、その言葉に真深も強く共感していた

詠深、珠姫、芳乃、息吹がいなかったら自分は

間違いなく野球を辞めてしまいって、今頃は

退屈な毎日を送っていたかもしれないのだ

 

 

「そうね……私も詠深と同じ気持ちで

このチームが今までで1番好きなチームよ」

 

 

「真深ちゃん……」

 

 

真深の言葉に詠深も嬉しそうな表情になる

 

 

「ボストフやジータパーラーと

一緒にプレイした時は楽しくなかったの?」

 

 

「勿論、先輩たちと一緒にプレイして

色んなことを学んだりできて楽しかったけど

こうして今みたいに気楽に話ができる相手も

居なかったから少し遠慮はしちゃっていたわ」

 

 

「そっか……

同い年の娘は、みんな真深ちゃんを……」

 

 

息吹の質問に答えた真深の話しに

改めて詠深は真深の苦労を感じ取った

 

 

「だからこのチームで沢山、勝ちたいわ」

 

 

「うん! 私もこのチームで勝ちたいよ」

 

 

「3ヶ月頑張ったもんね……

もう息吹ちゃんや白菊ちゃんも超素人級だし

データも揃いつつあるし大会を戦えるだけの

最低限のチーム力に達してるよ!」

 

 

新越谷で勝ちたいと言う真深に

詠深が嬉しそうに同意するとチームの

レベルアップを確信する芳乃の言葉に

3ヶ月前なら分からないが今この場に

居る者の中で否定する者は1人も居なかった

 

 

「勝ちたい……ね」

 

 

「芳乃ちゃんと息吹ちゃんが

新越谷に入ったのって、やっぱり好きだから?」

 

 

「よくぞ聞いてくれました!」

 

 

詠深からの質問された芳乃が

言葉通り聞いてくれて嬉しそうな表情を見せる

 

 

「昔からファンだったんだ!

家って学校の直ぐそこじゃない?

隣近所にも野球部の部員が住んでてね

小さい頃から遊んでくれたりもしてくれて

みんな礼儀正しくて優しくて好きだったの」

 

 

「球場にも、よく応援に行ったわよね」

 

 

昔のことを思い出した

懐かしそうに話す芳乃に息吹も会話に加わる

やはり息吹も新越谷の野球部が大好きなのだ

 

 

「それじゃあ新越谷の野球部が

不祥事で停部になった時は寂しがったでしょ?」

 

 

「うん、そうなんだ……だから、真深ちゃんが

アメリカのスタープレイヤーと同じチームで

プレイした選手だって知った時は驚いたけど

それ以上にこんな凄い選手が新越谷野球部に

入部してくれたんだって興奮しちゃったんだ」

 

 

真深、詠深、珠姫は柳大川越と練習試合の後に

3人で芳乃と息吹の家に行った時に真深が

ボストフやジータパーラー達と同じチームで

プレイをした選手だと分かった時に興奮した

芳乃の姿を思い出した

 

 

「好きなチームには勝って欲しいし

好きな選手には最高の結果を出して欲しい

そのために私は貢献したいんだ……だから」

 

 

「「???」」

 

 

「最後の夏まで、サポートさせてね」

 

 

「ええ! こちらこそ」

 

 

「うん! よろしくね、芳乃ちゃん」

 

 

芳乃は少し間を開けてから

微笑みながら新越谷野球部への思いと今の

野球部の仲間たちへの思いを言葉にすると

真深と詠深も微笑みながら答えると同時に

そんな芳乃の新越谷野球部への思いを知り

真深と詠深は自分たちのプレイで少しでも

結果を出してその思いに答えたいと思った

 

その後は暫く黙々とキャッチボールを

していた詠深と芳乃だったが……

 

 

「ところで、芳乃ちゃん……」

 

 

「ん?」

 

 

「……曲げていい?」

 

 

キャッチボールをしている内に

詠深は軽く"あの球"を投げたくなったようだ

 

するとベンチでキャッチボールを見届けていた

珠姫がそれを聞いて不機嫌そうな表情になった

 

 

「ダメだよ……

それを捕るのは珠姫ちゃんの役目だからね」

 

 

「私は別に……」

 

 

珠姫が不機嫌そうな表情になったのに

気づいたのか気づかなかったか分からないが

芳乃がそう言うと珠姫は少し恥ずかしそうになる

 

 

「でも……折角だし

キャッチボールには混ぜてもらおうかな」

 

 

「そうね、私もやりたくなったわ」

 

 

「じゃあ、私も」

 

 

こうして結局入学式の時と同じ5人で

キャッチボールを始めることになった

 

 

「珠姫ちゃんが捕って

詠深ちゃんが投げて真深ちゃんが打つ

この夏はきっと新越谷旋風を巻き起こるよ!」

 

 

「名バッテリーと

アメリカ帰りの謎の4番打者ってことね」

 

 

芳乃と息吹は夏の大会で3人が

注目の選手になることが楽しみなようだ

 

 

「意外と息吹ちゃんかもよ」

 

 

「初心者は注目されるからね〜~」

 

 

「私よりデータが無いとも言えるしね」

 

 

「プレッシャーかけないでよね〜!

私はあくまで詠深や理沙先輩の控えなんだから」

 

 

逆に珠姫、詠深、真深の3人から

息吹旋風が起こるかもと言われた息吹が

重圧を感じたこともあり恥ずかしそうに否定した

 

こうして暫くキャッチボールを楽しんだ5人は

明日の練習に思いを馳せながら家に帰っていった

 

 

 

ーーその日の深夜……川口家ーー

 

 

 

芳乃は自分の部屋でユニフォームを

着たまま初戦の相手である影森高校の

データなどをパソコンで調べていた

 

 

「影森高校……

試合結果以外のデータがないなぁ

北部地区に知り合いも居ないし困ったなぁ」

 

 

強豪校ではなくてもデータが少ないことに

困り果てた芳乃が影森高校の過去の試合の

スコアをパソコン画面を見ていた時だった

 

 

ーーーー影森高校新チーム後のスコアーーーー

 

 

◯ 1-0 上尾総合 (試合時間:40分)

 

● 1-2 椿峰 (試合時間:55分)

 

◯ 2-1 東応第三 (試合時間:46分)

 

◯ 1-0 高瀬川 (試合時間:48分)

 

● 0-1 柳大川越 (試合時間:1時間01分)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「これは……」

 

 

芳乃が注目したのは

異様に短い試合時間であった

 

すると何を思い付いたのだろうか

芳乃は隣の息吹の部屋に向かった

 

 

「息吹ちゃん、ちょっといい?」

 

 

「ひっ!?」

 

 

芳乃が息吹の部屋に入ると

中にいた息吹が驚いた声を

発したので見てみると息吹は自分の

部屋でユニフォームを試着していた

 

 

「うっ、うるさいわね!

ちょっと着てみただけでしょう!」

 

 

「まだ何も言ってないけど……」

 

 

誰の目から見ても照れ隠しと

分かる息吹の反応に思わず

和みそうな気持ちになる芳乃

 

 

「でも息吹ちゃんも

気合い入ってるみたいで良かったよ」

 

 

「それで、どうかしたの?」

 

 

「影森戦! 息吹ちゃんにも投げてもらうから」

 

 

「えっ?」

 

 

芳乃からの登板予告に対して

思わず困惑した声を発する息吹であった

 

 

次回……【開会式……再会の時!】

 

 




ユニフォームの話し書けました

この話が書きたかった話しの
1つだったので書けて嬉しいです

双子で姉の息吹ちゃんが10番
そして妹の芳乃ちゃんが20番

これが、やりたかったんです!

違和感があったら申し訳ありませんが
これは変える気はないので宜しくお願いします

次回は遂に開会式……真深が"彼女"と再会します

それでは次回まで失礼致します!
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