ミーティングから開始直前までだけの話の
つもりが書きたいことが多くなってしまい
結局長くなっちゃいました
他の球詠の作者さんは簡潔に書いてるのに
自分だけ毎回のように長く書いてしまって
更新が長引いてしまって申し訳ないです
今回は再び他校視点の話となっています
更にこの物語で初登場となる原作のキャラや
オリジナルキャラが多く登場しますが今回は
他の作者さんとのコラボや他の作者さんから
提供して頂いたオリジナルキャラが登場します
それでは、かなり長くなっていますが
どうか最後まで読んでくださいますと幸いです
新越谷と熊谷実業の試合が終了し
両校のメンバーが学校に戻った後
先程まで熊谷実業の試合が行われた
県営大宮球場では次の試合が行われていた
【咲桜 VS 和戸】
バシィィィィィィィン
「ストライク、バッターアウト!」
《最後は空振り三振! "15-0"!
咲桜高校が和戸高校を"5回コールド"で下して
今年も危なげなく"ベスト16"に進出しました
これで咲桜は3試合連続の"5回コールド"です》
県営大宮球場で熊谷実業の試合が
終了した後に行われた咲桜の試合では
新越谷や熊谷実業と同じく咲桜高校も
大量リードによる5回コールドを決め
咲桜の初戦となった2回戦から数えて
3試合連続となるコールドを決めていた
因みに今日の試合はエースの小石が先発し
ヒットを2本打たれたものの要所を閉める
安定した投球で相手の打線を沈黙させると
今日も咲桜の打線は猛攻を見せると今日は
3番三塁手で先発したユイは本塁打1本と
二塁打2本を放つなどで5打点を上げると
他の打者も鋭い当たりを連発し得点を重ね
相手投手を粉砕して今日も終わってみれば
"15-0"でコールドでの圧勝であった
因みに5回には今日の試合は一塁手として
先発していた左腕の工藤が小石に代わって
マウンドに上がり三者三振の好投を見せて
投手陣の厚さも見せつけた試合でもあった
「ふぅ~~」
試合を終えた咲桜のベンチではユイが
ペットボトルの水を飲み干して一息ついていた
「お疲れ様です、ユイさん」
「ありがとう、瑞希……
瑞希もラストはナイスリードだったわね」
そこへユイと同じ1年生で2番手捕手で
ベンチ入りした二宮瑞希がユイに労いの
言葉をかけてきた
因みに今日は先発ではなかったが5回から
工藤がマウンドに上がると正捕手と交代で
出場すると相手の打者の癖などを分析して
得た情報で相手の弱点を付きながら工藤の
長所も引き出す見事なリードを見せた結果
三者三振の好投を演出してみせていた
「瑞希みたいな捕手がいるから
安心して投げられるから仲間で良かったわ」
「それほどでもありません
半分は私の趣味でやったみたいなものです」
「……(あれだけレベルの高いリードを
趣味でやってるだなんて瑞希って何者なの?)」
因みにユイと二宮は、いつの間にか
互いを名前で呼び会うほどになっていたが
それは、とある人物の影響によるものであった
「瑞希~~♪ ユイ~~♪」
「いっ、いずみさん!?」
「いずみさん、お疲れ様です」
ユイと二宮の元に欧米人のような長い金髪で
明るいオーラを振り撒く少女が駆け寄ってきた
「うんうん! ユイもやっと
私のことを"金原先輩"じゃなくて
名前で呼んでくれるようになったんだね」
「アハハ……(慣れるまで大変だったけど)」
ユイから名前で呼んでもらえたことに金髪の
少女は満足そうに笑みを浮かべている一方で
「いずみさん……私はいずみさんと
川越ガールズの頃からの知り合いですから
互いに名前で呼び合えますけど、いずみさんと
知り合って間もなくて真面目なユイさんに
上級生である、いずみさんの事を、いきなり
名前で呼べと要求したのはハードルが
高かったと思いますよ」
「瑞希の言うとおりです……
まあ、そのお陰で瑞希とは、お互いに
名前で呼び会えるようにはなりましたけど」
二宮の指摘にユイも何を思い出しているのか
苦笑いを浮かべながら金髪の少女の顔を見る
「え~? いいじゃん!
先輩だなんて他人行儀な呼び方は寂しいよ……」
そんなことには、お構いなしに、金髪の少女は
頬を膨らませ不満そうな表情をユイに向ける
金髪の少女は二宮と同じ川越ガールズ出身で
二宮より1つ上の先輩で咲桜の2年生であり
名前は"金原いずみ"
咲桜の主将の小関に匹敵する俊足を持つ上に
長打力は小関よりも高いと評され肩の強さも
真深にも劣らぬ強肩で早攻守の3拍子の揃う
小関の後釜とも言われる実力者であり今年の
夏大会でもベンチ入りし小関との1・2番の
俊足コンビを組んでいて相手チームの驚異に
なっている選手だったが性格は非常に明るく
フレンドリーな為に後輩たちにも友好的に
接する上に金原自身も可愛らしい容姿なので
後輩だけでなく3年生の先輩からも信頼を
得ていて野球部内での人気も非常に高くて
ユイも金原を慕っていたが会っていきなり
自分を名前で呼んでほしいと言われたことに
ユイは真面目な性格ゆえ戸惑っていたらしい
因みに二宮が進学先の高校を咲桜にしたのも
先輩であって親しい友人でもあった金原から
誘われたのが理由の1つであり二宮も金原も
お互いに高校でも同じチームで一緒に野球が
できることを嬉しく思っていた
「遥菜は私のことを直ぐに
名前で呼んでくれるようになったのにな……」
「遥菜さんは、あの通り裏表もなく
細かいことは気にしない、さっぱりとした
性格ですから大丈夫でしたけど、いきなり
そんな事を言われたら大半の人は戸惑いますよ」
ユイや二宮と共に咲桜の黄金の新人の
1人に数えられる松井遥菜の例を出し
気楽に付き合っていこうという金原の
言葉に二宮が冷静に指摘すると
「ん? 呼んだか、瑞希?」
その松井遥菜が自身の名前が
聞こえたからかユイたちの側にやって来た
「なんでもありません、遥菜さん……
いずみさんを名前で呼ぶ話をしていただけです」
「おお、その話か……
私は先輩が名前で呼んでほしいって言うんだし
気にせずに呼んだ方が良いと思ったんだけどな」
「うんうん! 遥菜は素直で偉いね♪」
「あっ、ありがとうございます……」
松井遥菜の言葉に気を良くした金原が
松井遥菜の頬をフニフニと揉みながら
嬉しそうな反応を見せるが当の松井は
頬を触られて困惑した表情になる
「そういえば、瑞希、ユイ……
さっき琴羽から試合結果のメールが来たぞ」
そう言いながら松井は鞄からスマホを取り出す
因みに琴羽とは同じ咲桜の1年生の野球部員で
夏大会ではベンチ入りはできなかったが松井と
仲が良い"大友琴羽"という名前の部員で今日の
新越谷と馬宮の試合を自分と同じベンチ入りが
できなかった1年生のメンバーの数人と一緒に
偵察に行っていたようだ
「新越谷と馬宮の試合ですね」
「結果は?」
スマホを取り出した松井に二宮とユイが
松井のスマホに届いた試合結果を尋ねる
「新越谷が14点も取って
5回コールドを決めて勝ったらしいぞ」
「5回コールドですか……流石ですね」
「しかも4回裏に上杉の
満塁本塁打を含めて4人の打者が本塁打を
打って1イニング4本塁打を記録したらしいな」
「真深は今日も打ったのね」
「最初の2打席は敬遠されたらしいけどな」
スマホに届いたメールを見ながら試合結果を
口にする松井の言葉を聞いて二宮は新越谷の
強さを称賛しユイは真深が本塁打を打ったと
聞いて笑みを浮かべる
「新越谷、強いね~~♪
このまま埼玉4強時代の頃に完全復活かな?」
横で会話を聞いていた金原も新越谷の
試合結果を聞いて楽しそうな様子を見せていた
「ですが練習中は新越谷の話題は
あまりしない方が良いかもしれませんね」
「ああ……去年、新越谷からウチに
転校してきた、あの娘の機嫌が悪くなるから?」
二宮の言葉に、さっきまで笑顔だった金原が
嫌なことを思い出したらしく、表情を歪める
「はい……新越谷が梁幽館に
勝ってからと言うものの新越谷の話を聞くと
苛立って後輩の部員に対して暴言を吐くなど
理不尽なことをされているくらいですからね」
「フンッ! あんな奴、全員で無視するか
暴言を吐いたのを理由に退部させれば良いのよ」
どうやら咲桜の野球部員の中に新越谷のことを
悪く言う部員がいるらしく二宮の指摘を聞いた
ユイも機嫌の悪そうな声になる
「……(まあ、苛立っている
理由については大体の検討がつきますけどね)」
機嫌の悪そうなユイを横目に二宮は
その部員が苛立つ理由に心当たりがあるらしい
「おいおい、補欠の部員のことなんか
レギュラーの私達が気にすることないだろう
口だけは達者なくせに15点くらいの実力の
奴の話をするだなんて時間の無駄だと思うぞ」
そんな二宮とユイに遥菜が
笑いながら新越谷を目の敵にする
補欠の部員を見下したような発言をする
「……遥菜さんの今の指摘を
否定する気はありませんが遥菜さんの観点で
選手に点数を付けるのは失礼だと思いますよ」
どうやら遥菜は選手に点数を付けて
自分の観点で実力を判断すると言う
妙な癖があるらしい
「因みに、いずみさんと
瑞希とユイは最低でも95点な♪」
「そっ、そうなんだ……」
「点数で評価されても
いまいちピンと来ませんが……」
「私は95点か……折角だし
このままを100点を目指そうかなっ☆」
95点以上と言われてユイと二宮は
よく分からなそうに、首を傾げている横で
金原は100点を目指すと冗談を口にしていた
「因みに遥菜の点数は、どれくらいなの?」
そこへユイが遥菜に自身の点数を尋ねると
「な、75点……」
「意外と謙虚ね……」
「自身を過大評価しないのは立派です」
「遥菜、可愛い~♪」
「うぅぅ……」
恥ずかしそうな口調になりながら
自分たちよりも自身を低く評価する遥菜に
ユイと二宮と金原も和みそうになっていた
「そう言えば次の相手って何処だっけ?」
暫く和んでいた3人だが不意にユイが
次の対戦相手の情報を二宮に尋ねてくる
「明日、この球場で行われる
聖大狭山と美園実業の試合の勝者ですね」
「聖大狭山か……シード校だし
流石にコールドで勝つのは無理かもな?」
瑞希がトーナメント表を見ながら答えると
先程まで恥ずかしそうな表情だった遥菜も
聖大狭山という名前を聞き気を引き締めた
表情になっていた
「聖大狭山って強いの?」
そんな遥菜の姿を見たユイが
今度は二宮に聖大狭山の情報を尋ねる
「聖大狭山は優勝経験もある強豪校で
これまでに当たってきた相手とは実力も
レベルも間違いなく段違いの相手なので
苦戦は避けられないと思うべきでしょう
因みに聖大狭山の対戦相手の美園実業も
ノーシードながらベスト16常連という
強豪校ですから美園実業が勝ち上がって
来る可能性も十分に高いと見るべきです
現に3回戦ではシード校の朝霞武蔵野を
破って4回戦進出を決めていますからね」
「そうなんだ……
つまり、どちらが来たとしても、苦戦は確実ね」
「ベスト16まで来れば
勝ち残っているのは強豪校ばかりですからね」
「どこが相手だろうと
いつもどおりの試合をして蹴散らすだけだぞ」
「いよいよ、ここからが本番だね~~♪」
これから先は強豪校やシード校でなくとも
実力のある相手ばかりなのでユイも二宮も
松井も金原もモチベーションを高めていた
すると……
「いずみ、遥菜、瑞希、ユイ!
そろそろ次の試合のチームが来るから
早く片付けてロッカーに引き上げましょう!」
「すみません、小関さん!」
「今、行きます!」
「ごめ~ん、キャプテン!すぐ終わらせるから」
会話をしていた4人に主将の小関が
早くロッカーに引き上げるようにと
注意されて慌てて準備をするユイと
松井と金原に対して……
「私は、もう引き上げの準備を終えています」
二宮は既に荷物をまとめていて
いつでもロッカーに引き上げられる状態だった
こうして咲桜も5回コールドゲームでの勝利を
決めてベスト16に進出したメンバーはバスに
乗り込み球場を後にして学校への帰路についた
そして、その翌日……
【新越谷高校!
1イニング4本の本塁打を含む
大量、14得点の圧倒的な打撃力で完勝!】
真深と詠深の活躍で梁幽館に勝利した後に
発覚したアメリカでの真深の経歴によって
思わぬ形で世間に注目され始めた新越谷の
野球部は続く馬宮との試合で1イニングに
4本の本塁打などで"14-0"と圧倒的な
得点力でコールド勝ちし梁幽館との試合に
続き更なる話題を提供した野球部だったが
部員たちは昨年の不祥事のことを踏まえて
理事長に言われた通りに浮かれることなく
今日も全員が真剣に練習に取り組んでいた
更に……
【強い! 強すぎる! 王者、咲桜!
3試合連続の二桁得点と5回コールド!
初戦から4回戦まで全ての試合で二桁得点!
上級生と下級生が一体に纏まり連覇に向け良好】
初戦となった2回戦から3試合連続の
5回コールドで勝ち上がってきた咲桜の
圧倒的な強さを新聞も大々的に伝えていた
一方で他の強豪校やシード校のチームでも
真深やユイという高校世代では間違いなく
ワールドクラスの選手が出場してることで
選手たちのモチベーションも高まったのか
今年の夏の大会は例年になくハイレベルな
試合が繰り広げられていた
新越谷と咲桜の試合が行われた翌日でも
県内の各球場で4回戦の試合は行われて
見応えのある試合が幾つも繰り広げられ
球場を訪れた観客に加えてテレビの前の
視聴者を大いに盛り上げていた
◇ ◇ ◇
【美園学院 VS 岩槻中央】
ーー 5回表の"美園学院"の攻撃 ーー
キィィィィィィィィィィン
《これも、行ったーーー!!
5回表に美園学院が1年生打者の諸積による
今日2本目のソロ本塁打でリードを広げます》
新越谷と馬宮の試合が行われた翌日の
市営大宮球場では咲桜と並ぶ優勝候補の
美園学院と岩槻中央の試合が行われたが
この試合で1年生ながらもスタメンに
大抜擢された美園学院の1年生打者の
諸積が2本の本塁打を放つなど打撃で
活躍し球場の観客を大いに沸かせていた
「おいおい、なんだよ、あの1年生は!?」
「打球の強さなら新越谷の
上杉にも負けてないんじゃないのか!?」
「あんなに小さな体格でよく飛ばせるね」
観客は美園学院の小柄な体格の1年生打者の
打撃力に度肝卯抜かれながらも既に新越谷の
上杉真深という存在があるので1年生打者の
大活躍に納得して盛り上がっていた
そして"7-0"と美園学院が大量リードで
5回裏を迎えて岩槻中央の攻撃が始まるが
「ストライク、バッターアウト!」
美園学院のエースの園川は5回裏の岩槻中央の
攻撃で先頭打者として回ってきた4番を三振に
打ち取り速くもワンアウトを取ると……
《美園学院……
選手の交代をお知らせします
投手、園川さんに代わりまして、黒木さん》
園川が4番を三振で打ち取ると
美園学院はエースを休ませるためか
園川を下げると1年生投手で右腕の
黒木亜莉紗をマウンドに送ってきた
「あとはお願いね」
「お任せください」
尊敬する園川からボールを受け取った黒木が
興奮と気合いに満ちた表情でマウンドに立つ
そして……
「ストライク、バッターアウト!」
《試合終了ーー!! "9-0"!!
園川に代わってマウンドに上がった黒木が
5回と6回の岩槻中央の攻撃を三者凡退に
打ち取り"6回コールド"により美園学院が
磐石な試合で"ベスト16"に進出しました》
「やりましたわ!」
黒木は園川にも劣らぬ安定した危なげない
投球を見せて自分の役割を見事に果たした
打線も6回裏に2点を追加して"9-0"と
リードを広げるなど磐石な試合内容だった
「あの1年生の投手も良い球投げてたな」
「今年の大会は1年生の活躍が目立つな」
エースの園川と県内屈指の捕手と評される
福澤が注目されている美園学院であったが
諸積と黒木の1年生コンビの大活躍により
新越谷の真深と詠深の1年生コンビに加え
咲桜のユイ、二宮、松井による黄金の新人と
呼ばれる3人の1年生に続いて美園学院の
2人の1年生も注目され初めていた
◇ ◇ ◇
【大宮大附設 VS 姫宮】
《試合終了ーー!! "8-2"で
大宮大附設が初の4回戦進出を果たした
姫宮を下してベスト16進出を決めました!》
美園学院が岩槻中央に勝利した同じ時刻に
上尾にある上尾市民球場では昨年まで怜と
理沙の2人と新越谷野球部に所属していた
金子小陽と吉田美月が所属する姫宮高校が
創部初の4回戦で強豪校の大宮大附設との
試合に挑んでいたが1回裏に早くも1点を
先制されてリードを奪われてしまうと続く
3回裏には連打などで3点を追加されると
4回裏にも2点を追加されて"6-0"と
大きくリードを許してしまったが姫宮の
メンバーは決して諦めずに続く5回表の
姫宮の攻撃では先頭打者の打席で相手の
守備にエラーが出てノーアウトで走者を
出したのを切っ掛けに2点を取り返して
"6-2"としたが6回裏の大宮大附設の
攻撃で相手の4番で捕手で主将の牧田に
2ラン本塁打を打たれてしまい7回表の
姫宮の攻撃を三者凡退に抑えられ姫宮は
"8-2"で敗れて惜しくもベスト16を
逃して4回戦で姫宮の夏は終わった
「3年間の最後の夏に皆と一緒に
ここまで来られたこと……誇りに思うよ」
試合後に球場の駐車場に停めていたバスの
前では姫宮の主将が集まった姫宮の面々を
前に感謝の言葉を送っていた
「弱小校で毎年、初戦敗退か良くて2回戦で
敗退していたウチがここ(4回戦)まで来られて
敗れたとはいえシード校の大宮大附設を相手に
2点を取れた上にコールドを許さずに7回まで
食らい付けたのは皆の力があったからこそだよ」
「うぅぅ……」
「キャプテン……」
姫宮の主将は涙にくれる面々を前に自分も涙を
流しながらもメンバー全員に感謝の言葉を送り
そんな主将の言葉に感極まったのかメンバーの
目からは次々と涙が流れ出る
「小陽……美月……」
「「はい……」」
メンバーに感謝の言葉を送った姫宮の主将は
集まったメンバーの中で最も後ろの方にいる
小陽と美月の2人に声をかける
「試合には出られなかったとはいえ
姫宮が、ここまで来られたのは間違いなく
2人の力があったからだ……本当にありがとう」
高校野球の決まりで転校してから1年間は
試合に出られないので新越谷から転校した
小陽と美月はベンチに入ることもできずに
スタンドから応援していたが小陽と美月は
チームの力になろうと努力し日頃の練習で
ガールズ時代の経験を生かして効率の良い
練習法を提案して主将が採用すると2人の
提案した練習法を取り入れた姫宮は徐々に
レベルアップしていき今年の夏は大躍進し
初の4回戦進出を果たしたのだ
そのため主将だけでなくチームメンバーの
全員が今回の躍進は小陽と美月が居たから
成し遂げたことだと認識していたのだ
現に2人がスタンドで応援の際に着ていた
ユニフォームの背中には21番と22番の
背番号が縫い付けられていたのだ
本来なら20番までしか用意されない番号を
例え試合に出られなくても気持ちは一緒だと
2人に対する姫宮の3年生のメンバーからの
感謝の思いが込められた贈り物であった
「2人とも、ありがとう」
「2人が姫宮に来てくれて良かったよ」
そして主将に続き姫宮の3年生のメンバーが
次々に小陽と美月に感謝の言葉を送ってきた
そんな姫宮の主将と3年生のメンバーからの
言葉に昨年の新越谷で3年生から暴力を受け
辛い思いをした2人は気持ちを押さえきれず
涙が溢れ出てくる
その光景に姫宮の1年生や同級生の2年生の
メンバーも感極まって涙を流してくれていた
「新人戦からは2人とも漸く
試合に出られる……本当に、よく頑張ったね」
小陽と美月が試合に出られないのは夏大会の
終了をもって解かれるので新人戦から2人も
試合に出られることを主将や3年生の面々も
心から嬉しく思っていた
「ありがとうございます……でも、私達……」
しかし小陽と美月は試合に出られるという
主将の言葉を聞くと更に涙を流し初めると
「先輩と一緒に……試合に出たかったです」
「私も……」
不祥事を起こした新越谷の野球部から加わった
自分たちを受け入れ支えてくれた姫宮の主将を
初めとする姫宮の先輩と試合に出たい思いが
2人の中にあったので今日の敗北で高校野球を
引退してしまうことを悲しく思っていた
そして小陽と美月の言葉を聞いた瞬間に主将や
3年生のメンバーも感極まってしまったらしく
2人を優しく抱き締めたのであった
◇ ◇ ◇
【柳大川越 VS 川越中央】
《試合終了!! 注目の川越対決は
柳大川越が川越中央を"10-4"で破り
2年連続となるベスト16進出を決めました!》
美園学院と岩槻中央の試合が終了した後の
市営大宮球場では柳大川越の試合が行われ
柳大川越がノーシードながらも4回戦まで
勝ち進んできた川越中央をエースで主将の
大野の好投で序盤は相手の打線を沈黙させ
攻撃では4番で捕手の浅井の本塁打などで
4回裏までに10点を奪うなどして試合の
主導権を掴むと5回表から大野に代わり
3番手投手の山本がマウンドに上がった
10点差が付いたので柳大川越が
このままコールド勝ちかとも思われたが
3番手投手の山本が5回と6回に相手に
2点づつ奪われて4点を返されてしまい
コールドでの勝利こそ逃してしまったが
試合全体を通じて早攻守で相手を圧倒し
柳大川越もベスト16進出を決めていた
因みに柳大川越と川越中央の試合は
両校が共に母校が川越にあることから
試合前に地元の高校野球のファンから
"川越ダービー"と盛り上げられていた
「いや~~! 今日は完勝ッスね!!」
試合が終わり柳大川越のメンバーが球場を
後にすると大島が満足そうに両腕を空高く
上げて大きく伸びをする
「大島さん、今日も大活躍だったね」
「朝倉さん! お疲れ様ッス!」
大野と同じくらいに尊敬する朝倉から
労いの言葉をかけられたことに大島は
自然と嬉しそうな反応になる
現に大島はチャンスに繋がるヒットや
盗塁でチームを勢いづけるなど今日の
勝利に大きく貢献していたのだ
「朝倉さんも3回戦の翔栄との試合は
大野さんと2人の継投で大活躍でしたッスね」
「ありがとう……
とは言っても翔栄は強かったから
大野さんが後ろにいてくれてて心強かったよ」
柳大川越は3回戦で梁幽館が2回戦で破った
埼玉宗陣のようにノーシードながら強豪校の
翔栄高校を相手に"2-0"と熾烈な投手戦の
末に辛くも勝利して4回戦に進んでいたのだ
翔栄との試合では朝倉が先発して好投するが
翔栄のエースも朝倉に負けない好投を見せて
お互いにチャンスを掴めず投手戦となったが
柳大川越が4回裏に相手の守備のミスを漬き
2点を奪い5回表からは朝倉に代わり大野が
マウンドに上がると大野は変化球を駆使して
翔栄を相手にゴロの山を築きチームを勝利に
導いての4回戦進出であった
今日の試合では朝倉に出番がなかったのだが
それは翔栄との試合で力投した朝倉を休ませ
ベスト16以降の試合に備えるためであった
「甘いわね、2人とも」
「「 大野さん 」」
そこへ大野が浅井と共に
厳しい表情をしながら2人の前に現れた
「確かに翔栄は優勝候補に
上がる時もあるくらいの強豪校だし今日の
相手の川越中央もノーシードながら実力は
シード校にも劣らないチームではあるけど
次からは強豪校ばかりのベスト16なのよ」
そう言って危機感を強めさせようとすると
大野は自分のスマホに届いたメール画面を
大島と朝倉に見せる
「さっきウチの次の対戦相手が決まる
上尾の試合の視察に向かったメンバーから
大宮大附設が勝ったって連絡が届いたから
ノーシードのチームを相手に今日みたいに
終盤に4点も取られたり翔栄の時みたいに
2点しか取れないような試合をしていたら
大宮大附設との試合はかなり厳しくなるわ」
「主将で正捕手の牧田を中心に
打撃力が強力なチームだから手強いぞ」
「やっぱり大宮大附設が勝ったんスね」
「相手の姫宮も今年は強かったので
もしかしてとも思ってたんですけどね」
姫宮の大躍進は柳大川越のメンバーも
知っていたがシード校の大宮大附設が
強豪校の実力を見せて勝利したことや
浅井から大宮大附設の情報を聞かされ
朝倉と大島がモチベーションを高める
「打撃力で思い出しましたけど
昨日の新越谷の試合は凄かったッスね」
「1イニング4本のホームランだもんね」
モチベーションを高めた後に大島が昨日の
新越谷の試合の話題を口にすると朝倉も
4回裏に新越谷打線が見せた1イニングに
4本のホームランを打ったことを思い出し
苦笑いを浮かべている
「あそこまで、チームの打撃力が
上がるとは正直言って思わなかったッスよ」
大島は4月に練習試合をした時とは
比べ物にならないくらいにまで新越谷の打線が
レベルアップするとは予想してなかったらしく
新越谷と馬宮の試合を見て驚愕したようである
「バカね! あの上杉とチームメイドで
毎日一緒に練習してるんだから短期間の内に
チーム全体の打撃力が上がって昨日みたいな
試合をやってきても全然不思議じゃないわよ」
「そうだな、私から見ても納得の結果だな」
「そうですね」
しかし大野、浅井、朝倉の3人は
真深の打撃力と技術を新越谷のメンバーが
取り入れて打撃レベルを上げてくることを
予想していたらしく驚いた様子はなかった
「うぅぅ……私は、まだまだ未熟ッスね」
尊敬する先輩たちは予想していた結果を
自分はできてなかったことに対し大島は
自分の甘さを悔やんでいた
「とにかく次の試合に勝てば
柳大川越は夏大会で初のベスト8に駒を
進める上に新越谷と当たれるかもしれないし
次の大宮大附設との試合は負けられないのよ」
「だな……4月の練習試合の後に
夏大会で、また対戦しようと約束してから
彩優美も朝倉も練習に身が入っていたからな」
「はい! 私も上杉さんと、また対戦したいので」
「あんたは練習試合で対戦したんだし
今度は私から先に勝負させてほしいんだけど?」
「申し訳ありませんけど……
いくら大野さんでも、ここは譲れませんよ
私も上杉さんと対戦しようって約束しましたし」
浅井の言葉で4月の練習試合の後に真深と
夏大会で対戦しようと約束した大野と朝倉は
大野が気に入らなそうな表情で朝倉を睨むと
朝倉は目が笑っていない笑みを大野に向ける
「ふっ、2人とも怖いッス……!?」
そんな大野と朝倉の2人の様子に
大島は怖さのあまり挙動不審になっている
「おいおい、2人とも……
先発投手を決めるのは監督なんだから
今ここで誰が投げるか揉めても仕方ないだろう」
「すっ、すみません……」
「そっ、そうね……ちょっと大人気なかったわ」
そこへ浅井が呆れた表情になりながら
最もな指摘をしたことにより朝倉と大野も
落ち着きを取り戻すと他のチームメイトとも
合流して球場を後にして学校へと戻っていった
一方……
【聖大狭山 VS 美園実業】
熊谷実業と咲桜の試合が行われた翌日の
県営大宮球場では咲桜の次の対戦相手が
決まる優勝候補にあげられる埼玉県内で
強豪校の一画にも数えられる聖大狭山と
ノーシードながらも実力校の美園実業の
試合が行われていた
そして……
《試合終了ーー!!
聖大狭山が"5-0"で美園実業を破りました》
試合は聖大狭山が美園実業を破り
ベスト16進出を決めて咲桜との
対戦相手の権利を得ていた
「まずは、お前ら……
今日の試合はご苦労だったな」
試合終了後の挨拶を終えてベンチ前に
集まったメンバーに対して聖大狭山の
山本監督が選手に労いの言葉をかける
「お前らも分かっているとは思うが
次の相手は咲桜だ……小関を初めとした去年の
優勝に貢献した選手が軒並み残っていることに
加えてウィラードを初めとした優秀な1年生が
加わって、はっきり言って去年より、強いだろう」
聖大狭山の監督として長年勤めてきた
経験豊富の山本監督も史上最強と言われる
咲桜との対戦が決まり緊張感を抱いていた
「アタシの見る限り咲桜は先発投手を
ローテーションで起用していると見ている……
初戦はエースの小石で2戦目ではウィラードが
そして昨日の試合で再びエースの小石が先発で
投げたことを踏まえると次のウチとの試合では
ウィラードが先発して来る可能性が高いと見る
言わずもがなアメリカの世代別代表のエースだ」
山本監督の言うとおり咲桜は梁幽館が
中田と吉川をローテーションで交互に
投げさせていたように今年はエースの
小西とユイを交互に先発させていて
状況によって中継ぎで左腕の工藤が
投げるという流れて勝ち進んでいた
「説明するまでもねぇと思うが……
ウィラードはアメリカのガールズリーグで
一昨年は奪三振数2位を記録して昨年には
奪三振王と防御率1位を記録している上に
完全試合1回とノーヒットノーラン3回を
達成したワールドクラスの化け物投手だ!
気持ちで負けたら何もできずにやられるぞ」
アメリカでのユイの成績を聞けば萎縮する
選手もいるかもしれない可能性もあったが
今日まで自分が鍛えてあげてきた選手なら
それを告げれば奮起してくれるだろうと
信じて敢えてユイの経歴と成績をこの場で
選手たちに告げたのだ
「試合当日まで時間は少ないが
お前ら各自が練習の合間に奴の試合の
映像を見るなどして、自分の出来る限りの
対策を練って心して挑んでほしい! 以上だ!」
「「はいっ!!」」
山本監督からの最後の激にチームの主将と
副主将とみられる2人の選手が声をあげて
返事をすると山本監督は先にベンチ裏へと
去っていった
そして山本監督が去った後のベンチでは……
「咲桜との対戦か……」
「監督は私達が緊張してるかもって
心配されてるみたいだったけど前回優勝の
咲桜と当たれるってだけで興奮しているのに
日本の高校野球の試合でウィラードを相手に
やれるなんて緊張どころか早くウィラードと
対戦したくて逆にテンション上がってるわよ」
「ああ! それに奴も無敵じゃない!
私達と同じ日本人で奴が1度も勝てなかった
打者がいるんだし私達も怖がる必要はないさ」
「!?」ピクッ
その言葉を聞いた瞬間に1人の
部員の眉が微かに動き頭に青筋を浮かばせた
「ウィラードは日本の高校野球に
挑戦したかったのと上杉と対戦がしたくて
わざわざ日本にまで留学したみたいだけど」
「残念だろうけどウィラードは
今回の大会で上杉と当たることはないさ!」
「ベスト16でウチに敗れるんだからね!」
「日本の高校野球の厳しさを教えてやる!」
「聖大狭山と当たったのが運の尽きだわ!」
ベスト16で咲桜を破ることでユイの
目標である真深との対戦を今年の夏大会では
阻止してやろうと選手たちは意気込んでいた
しかし……ここで先程
頭に青筋を浮かばせた選手が口を開いた
「おい、オメェら……
今、言ったこと本気で言ってるつもりか!?」
「「「えっ……?」」」
聖大狭山の主将の宇梶樹莉亜の口から
小さくも憤りの宿った声が発せられて
聖大狭山の部員たちに動揺が走る
「そんな気の持ちザマじゃあ
逆に咲桜に叩き潰されるぞ、バカ共が!!」
「すっ、すみません!?」
主将の怒声に先程まで咲桜は聖大狭山に
勝てないような発言をしたメンバー等は
軽はずみな発言だったと考え直したのか
慌てて主将の宇梶に謝るが自惚れている
メンバーへの怒りは収まっていなかった
「自分と同じ日本人の打者に1度も
勝てなかったから自分たちも打てるだと?
私を含めて奴(上杉)みたいな打撃ができる
奴がウチに居ると本気で思ってんのかよ!?」
「もっ、申し訳ありません……」
真深を引き合いにユイを打てると
豪語した部員は主将の言葉に自分の言葉が
軽はずみだったと気付き、ばつが悪そうになる
「だいたい今のウチ(聖大狭山)が
そんなに強いチームだと思っているのか!?」
「けど、今日の試合も無失点でしたし……」
「ベスト16に進出した殆どチームが
コールドで勝ち上がっているのにノーシードの
美園実業を相手に5点しか取れなかったウチが
去年の夏に優勝した上に強力な1年生を加えた
咲桜と互角に渡り合えると本気で思ってるのか
いつから咲桜よりウチが上だと思っていたんだ
こんなんでウィラードを打てると思ってんのか」
「そっ、それは……」
「ついこの前、梁幽館が負けて
気を引き締め直してるかと思っていれば
3年で気を引き締めてるのは尾崎ぐらいだ!
そんな様子じゃ、テメェら仮に全国に行けても
ベンチにも入れねぇぞ、このボケナスどもがっ!」
「そうね、私も少し不安になってきたわ」
「フッ……さすがエースだな、尾崎」
「「「「「…………」」」」」
宇梶と尾崎の言葉にユイを倒すと豪語した
メンバーは返す言葉がなくなってしまった
因みに尾崎とは聖大狭山の副主将で
エースと4番を兼任する聖大狭山の
中心選手の1人である
「おい、美木! 小倉!」
「「はい!!」」
すると宇梶はすぐ側で成り行きを見届けていた
下級生とみられる2人の選手に声をかけてきた
「まさか下級生にまで
そんな、ふざけた考えの奴はいねぇと思うが
万が一いたら構わねぇ……ヤキを入れておけ
半殺しまでだったら許す! 主将命令だ、いいな!」
「「はい!!」」
その言葉を受けて宇梶に叱られて
項垂れている3年生のメンバーに対して
気を引き締めた様子で宇梶に返事をする
美木と小倉は聖大狭山の2年生の選手で
殆どが3年生がベンチ入りした中で唯一
一桁の背番号を与えられた優秀な選手で
美木は三塁手で小倉は捕手を任されていた
「ったく! どいつもこいつも
監督からの激を何だと思ってるんだか……」
説教を終えた宇梶は尾崎と共に
自分たちの荷物を片付けながら愚痴っていた
「……(『ヤキ入れろ』は
流石にハッタリだとは思うんだけど
それくらい言わなきゃ本当に負けると思うわ」
「……(油断こそ最大の敵と言うし
言葉は厳しいけどチームのことを思う
主将の気持ちは痛いほど伝わってきたよ)」
押しの強い主将の宇梶からの怒声に宇梶と同じ
3年生のメンバーが挙動不審になっている横で
2年生の美木と小倉の2人は宇梶が自ら悪役を
買って出て選手達の奮起を促している気がして
これからも宇梶を信じてついていこうと決意を
強めて咲桜との試合に向けて意気込んでいた
こうして遂に今年の夏の埼玉県大会の
ベスト16が全て出揃ったのであった
ーーーーー ベスト16の組み合わせ ーーーーー
【美園学院 VS 川口青木】
【越谷第二 VS 村神】
【椿峰 VS 南栗橋】
【浅間台 VS 川口電電】
【咲桜 VS 聖大狭山】
【深谷東方 VS 東応第三】
【大宮大附設 VS 柳大川越】
【熊谷実業 VS 新越谷】
梁幽館や一部の強豪校が敗退したことや
新越谷が混ざっていること以外では概ね
大会前の予想通りの顔ぶれであった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー その翌日 ーー
熊谷実業との試合を明日に控えた新越谷の
メンバーは明日に備え練習は軽いアップと
調整だけで終えてから練習場のベンチ前に
集まると芳乃の口から熊谷実業との試合の
スタメンが発表されたのだが……
「なっ、マジかよ!?」
「本気で、このスタメンでいくの!?」
「相手は、あの久保田さんなのよ!?」
発表されたスタメンと打順を見た稜と菫と
息吹は戸惑いながら間違いではないのかと
芳乃に確認する横で他の一部のメンバーも
3人と同じような表情になっている
「うん! 本気だよ!
みんなも思うことはあるだろうけど
ちゃんと考えがあってのことだから
私と藤井先生のことを信じてほしい」
しかし芳乃は力強い笑みを浮かべながら
メンバーに自分と藤井先生が話し合って
決断した判断を信じてほしいと嘆願する
ーー そして翌日 ーー
新越谷と熊谷実業の試合は新越谷と馬宮の
試合が行われた球場と同じ市営大宮球場が
会場で試合は午前開始なのでメンバーも
早めに球場入りしようと朝早くに駐車場に
集まりバスに乗って試合会場に向かうと
球場の観客席は午前試合開始だったのにも
関わらず久保田と真深の力勝負と久保田と
詠深の投げ合いを期待する観客によって
埋め尽くされて大いに盛り上がっていた
そして新越谷のメンバーが三塁側ベンチに
熊谷実業のメンバーが一塁側のベンチに
姿を現すと同時に場内アナウンスで両校の
スタメンとポジションと打順が発表される
今日は熊谷実業が先攻なので熊谷実業の
スタメンが先に発表されると熊谷実業は
その日の選手のコンディションや相手に
よってスタメンを定期的に変えるために
毎回スタメンも打順も固定されておらず
背番号が二桁の選手も試合に出る機会が
多いなかで久保田だけは4番投手で常に
固定されていて今日の試合でも久保田は
4番投手で先発だった
そして熊谷実業のスタメンが発表が終わると
続いて後攻の新越谷のスタメンが発表される
《後攻、新越谷高校
1番、左翼手、川口息吹さん》
「ん?」
「左翼手が川口?」
「息吹ちゃん、可愛い~♪」
左翼手が真深でなく息吹と発表された瞬間に
観客席の一部から"ざわめき"が起こり始める
因みに息吹は馬宮との試合での好投によって
本人の知らない間に一部のファンのハートを
掴んでいたようである
《2番、二塁手、藤田さん》
《3番、捕手、山崎さん》
《4番、一塁手、中村さん》
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
そして2番に菫……3番に珠姫の名前が
発表されたあとに4番に希の名前が上がると
観客席の"ざわめき"が"どよめき"へと変わる
「えっ!?」
「うっ、上杉は……!?」
「中村も打率が高くて凄い打者だけど……」
それと同時に観客の戸惑いの声も聞こえてくる
そして……
《5番、中堅手、岡田さん》
《6番、投手、藤原さん》
「えっ!?」
「おいおいおい……」
「投手も武田じゃないの……?」
6番の理沙の先発ポジションが
投手と発表されて"どよめき"は更に大きくなる
《7番、遊撃手、川崎さん》
《8番、右翼手、大村さん》
《9番、三塁手、武田さん》
9番に三塁手で詠深の名前が発表された瞬間
今日は真深がスタメンから外れていることが
観客が認識すると……
「はぁっ!? 嘘でしょう!?」
「真深ちゃん、スタメンじゃないの!?」
「というか、武田も投手じゃないぞ!?」
「久保田相手に上杉と武田、温存か!?」
「久保田と2人の対決が見たかったのに!?」
真深はスタメンを外れて詠深は先発でないと
分かると観客席の彼方此方から戸惑いの声や
久保田との対決を楽しみにしていた観客から
抗議や落胆の声が聞こえてきた
「なんだと……!?」
それは対戦相手の久保田も同じで梁幽館が
新越谷に敗れた翌日にアメリカでの真深の
経歴を知った後には新越谷と馬宮の試合を
観戦していた中田から真深とは良い勝負が
できると聞かされ更に梁幽館打線を相手に
12個の三振を奪った詠深との投げ合いや
自分が打席に立った時での詠深との対決も
楽しみにしていたので久保田は唖然として
他の熊谷実業のメンバーも動揺していたが
「舐めやがって……
だったら早いところ武田と上杉を
出さざるを得ない状況にしてやるまでだ!」
久保田は唖然とした表情から直ぐに挑戦的な
笑みに変わると新越谷のベンチを睨み付けた
一方……
「予想はしてたけど、観客は落胆してるわね」
「だな……まぁ、私も気持ちは分かるけどな」
真深の欠場と詠深が先発投手でないことに
落胆している観客を見た菫と稜は苦笑いを
浮かべているが……
「だが、良い機会じゃないか!」
「ええ! 私達の力を見せてあげましょう!」
2年生コンビの怜と理沙の表情は
気合いに満ちて瞳に炎が宿っているかのようだ
「久しぶりの1番だし頑張るわ!」
「芳乃ちゃんの期待に応えて見せるっちゃ!」
「真深さんと詠深さんに
頼ってばかりでないことをご覧にいれます!」
希、息吹、白菊の1年生の3人も
気合いに満ちた表情で闘士を燃やしていた
「皆さん、良い感じですね
久保田さんも良い具合に此方を睨んでいますし」
「はい! まずは、作戦の第一段階は成功ですね」
発表されたスタメンに観客席は騒然としていたが
やる気に満ちているメンバーを見たことに加えて
熊谷実業のベンチからは睨み付けている久保田に
芳乃と藤井先生は"してやったり"といった様子だ
「なんだか今日は面白い試合展開になりそうね」
「そうだね! とにかく私は理沙先輩と
息吹ちゃんの2人を上手くリードして見せるよ」
「頑張ってね、珠姫」
「ありがとう、真深ちゃん」
観客席と両チームのベンチの様子を見て
真深と珠姫の2人はワクワクした様子だ
「うぅぅ……今日も投げられないのかな?」
一方で詠深は三塁手でスタメンとはいえ
2試合連続で先発投手でないことが少し
残念そうな様子であった
「作戦だよ♪ 作戦、作戦♪
それに展開次第では詠深ちゃんには
リリーフで投げてもらうかもしれないしね」
「本当!? よ~し、頑張るぞ~~!!」
残念そうな様子だった詠深だが芳乃に
途中から投げてもらうと聞いた瞬間に
一転して元気になって張り切りだした
「それじゃあ、皆……張り切っていこう!」
「「「「「「「 おおっ!! 」」」」」」」
そして最後に芳乃が激励の言葉を送ると
ベンチの真深を除く全員が気合い十分な表情で
1回表の守備に向かっていきベンチから芳乃と
真深が守備に向かったメンバーの背中を見送る
《1回表……
熊谷実業の攻撃は、1番、中堅手、平下さん》
場内アナウンスで熊谷実業の1番打者が
コールされたのと同時に試合が始まった
そして芳乃と藤井先生の意図とは?
次回……【県内最速投手】
というわけでして……
次回から熊谷実業との試合の話になります
とはいえ馬宮の時のように
熊谷実業との話も1・2話で終わる予定です
そしてお察しでしょうが
今回は色々とお知らせすることがございます
まず咲桜、美園学院、柳大川越、姫宮の
4回戦の対戦相手は組み合わせ抽選会の話で
名前だけ登場したチームやコミック10巻の
最後の方にあるトーナメント表に書いてある
チームやコミック6巻の裏表紙を捲るとある
トーナメント表を参考に組み合わせてみました
球詠の原作のコミック9巻の回想シーンの中で
姫宮は原作で3回戦まで行けてシード校に敗れ
敗退したとありましたがこの物語では4回戦に
進出してシード校の大宮大附設に破れたという
設定にしてみました
柳大川越に関してはコミック7巻で詠深たちが
柳大川越と大宮大附設の試合を観戦してる中に
柳大川越のベスト16までのスコアがあって
3回戦で"2-0"と苦戦していたので3回戦で
翔栄と対戦したと勝手に想像して書いています
翔栄は強豪校ですがコミック6巻の裏表紙の
トーナメント表を見ると夏大会はベスト16に
進んでいないので丁度良いかと思った次第です
翔栄って新人戦で新越谷に勝った上に決勝まで
勝ち上がっているくらいですから多分ですけど
埼玉宗陣と同じノーシードで強いチームという
感じなんだと思います
決勝では梁幽館と当たったらしいですし
試合結果は不明ですが決勝まで行ったので
秋大会ではシード権を獲得していましたね
(自分は梁幽館が勝ったと予想しています)
柳大川越と川越中央の組み合わせは
コミック10巻にあるトーナメント表を見てから
2校による川越ダービーをやってみたかったので
柳大川越の4回戦の相手にチョイスしてみました
そして今回からハーメルンで同じく球詠の物語を
書かれている銅英雄さんとのコラボの一環として
【最強のスラッガーを目指して】から二宮瑞希に
続いて新たに金原いずみにも登場して頂きました
真深とユイも【最強のスラッガーを目指して】で
コラボでゲスト出演させて頂きまして嬉しいです
銅英雄さん! ありがとうございました!
更には今回は抽選会の話で名前だけ登場した
コンスタンチノープルさんからの提供による
オリジナル強豪校の聖大狭山チームと一緒に
主力の選手と監督を登場させて頂きました
聖大狭山は夏大会が終わった後の夏休みや
秋大会でも登場する予定なので宜しくです
コンスタンチノープルさん! 感謝致します!
因みに聖大狭山の選手の口調やセリフも
コンスタンチノープルさんが提供してくれました
以下が聖大狭山の監督と主力選手になります
◇ ◇ ◇
【聖大狭山】(夏3回・春1回・全国出場)
山本 操 (監督)
宇梶 樹莉亜 (3年生・遊撃手・主将)
尾崎 琴音 (3年生・投手・副主将)
美木 悠香子 (2年生・三塁手)
小倉 未来 (2年生・捕手)
◇ ◇ ◇
近い内に真深やユイを初めとした
自身のオリジナルキャラを含め銅英雄さんとの
ゲストキャラやコンスタンチノープルさんから
提供して頂いた聖大狭山のオリジナルキャラの
特徴を含めたプロフィールを書こうと思います
それでは次回まで失礼致します!\(^o^)/
(……後書きでも1200文字いってしまった)