親から独り立ちして、恋人が出来た。嬉しくて借りたマンションまで連れて行くと自宅の中は荒されていた。床には預金通帳が落ちており慌ててそれを拾うと変な爺さんと婆さんがいて冷蔵庫の中にあるアイスを寄こせと言ってきた。そこから気が付くと恋人がいなかった。
それが最初の夢だった。
お腹が痛くてトイレで目覚めた自分は用を済ませて速やかに眠りについた。
フェイト・グランドオーダーに出てくるグランドキャスター。マーリンから杖を貰う所から始まった。
なんか杖の先からビームは出るわ。杖の形状が変わってマスケット銃みたいになるわでいろいろぶっ放す。爽快感が溢れる夢を見た。
ポンポンペイン。もとより再び腹痛に見舞われてトイレに起きる。あの爽快感は久しぶりだったので用を済ませてまたあの魔術を使えるような夢を見たいと思いながら再び眠りにつく。
持病持ちなので腹痛は仕方ないとはいえ、もうこれ以上は腹痛で目が覚めないように願いながら、眠りにつくと妙ににこやかなマーリンの笑顔がチラついた。
目が覚めるとFateの顔。アルトリア。しかも今話題のアルトリア・キャスターさんだった。流行りのTSってやつか?
しかも布団から起きると白を基調とした上着とミニスカート。黒タイツに青いジャケットを着こんだ状態。うん、第二再臨状態のアルトリア・キャスターでした。杖や剣も持っていない状態ですけど。
ああ、これも夢なんだと思いながら自宅を出て外に出歩くことにした。どうせ夢だからと思いながら外に出たのは後になってから気が付いたが後の祭りだった。
お外は真昼間で話題のコロナウイルスの心配も無くいろんな人たちが歩いていた。そんな中をゲームのキャラクター・アルトリア・キャスターが出歩いていたらいろんな人たちに奇異な目で見られていた。
まあ、そうだよな。こんなファンタジーな服装をした人間がお祭りでもイベントでもないのに出歩いていたら嫌でも目に付く。しかし、所詮は夢なのだ。好きにさせてもらおう。
そうしていると遠くで騒ぎがあった。女性が倒れていて黒いライダースーツを着た男が人ごみの中を走っていた。ひったくりだ。ならば退治してくれよう。夢なのだからヒーローになっても構わないだろう。
脚に力を意識させて、跳躍。三メートルほど高く跳び上がったこのアルトリア・キャスターボディ。そのまま空中で九十度の角度を持って勢いよくひったくり犯の背中目掛けてドロップキックをかます。
ひったくり犯、ぶっとんだぁああああああ!
そんなアイコンが出てきそうな勢いでひったくり犯は勢いよく蹴り飛ばされると顔を強く打ち、鼻が砕け、歯も折れたのか鼻と口から血が勢いよく飛び散らせて倒れていた。
これはマズイ。何がまずいって、過剰防衛だと思わざるを得ない所業に居た堪れなくなって自分はそこから逃げ出した。
そこからしばらく罪の意識から逃れる為か走り回っていたらいつの間にか時間がかなり経っていて電化製品店に並べられたテレビからひったくり犯重症。少女を擁護する声も上がっているというニュースが流れ込んできた。
そりゃ、筋力B、敏捷Bから繰り出されるドロップキックを喰らったのだひとたまりもないだろう。ひったくりが死んでいない事に胸をなでおろしながら今後どうすべきか考えていた。
どうせ夢なのだからタカをくくっていたが、持病の腹痛を感じなかった。今は穏やかな眠りについているのかと思っていたが自宅に帰ろうとは思わなかった。しかし、社会人になったとはいえボッチに近い人脈。そこで頼れるのは身内。
幸運Bは伊達ではなかった。そこは偶然にも同じように独り立ちした弟が住んでいるマンションの近くだった。
そのマンションに行って弟に事情を説明。自分がお前の兄だと説明するとすんなりマンションに入れてもらった。そこでご飯も振る舞われた。味は覚えていない。自分の事を信じてもらえたことが嬉しかったし、なにより人目につかないところに行けたことにほっとしたからだ。
この夢。さっさと覚めて欲しいと思っていると、ふとマーリンの声が聞こえた。
魔術に興味があるようだからまずは素質のある体にしたよ。でもそれを使うための杖が届くまでしばらく待ってね。
うん?あの、それはどういうことかな?と思っていた。そこで気が付いた。
この夢、いい加減長すぎないか?それに持病の腹痛がいつまでたっても来ない。
・・・まさか?
もし現実だとするのなら早く魔術を使ってこの姿を幻術で誤魔化したい。お願い早く覚めて。もしくはマーリン。はやく俺に魔術を使うための杖を寄こして。
夢はまだ覚めなかった。
多分続かないよ