ありがたやありがたやー(拝み拝み)
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頭スッキリさせてから返信させてもらうのでちょっと待っててね…(寝不足)
暫くして父さんが畑仕事に行ったので、母さんになにを手伝えばいいか聞きに行く事にした。母さんは台所で洗い物をしていて、父さんが出掛けてすぐに手伝いの内容を聞きにきた僕を見てクスクスと笑う。
…だからそういうのじゃないって……
僕の不服そうな顔を見て母さんは分かってますよとまた笑う。
……絶対分かってないな…
終始笑顔の母さんから任せられた仕事は薪の用意と水汲みだった。薪は数日前に集めておいた分があるので、その補充と水汲みだけなら午前中には終わるだろう。
思った通り、お昼前に全部終わらせることが出来た。
僕はこういう日いつも家でのんびりして午後になってから集合場所に向かう。早めに行っても他の家の子も手伝いがあるので、結局人数が集まるのは午後になるからだ。
だけど……
「母さん」
「はいはい。これお昼ね」
僕が台所でお昼の用意をしている母さんに呼びかけると、そうやって小包を渡された。
そう、エナが来る日は来れる子はお昼前には集まる。
母さんはそのまま父さんのお昼作りに戻っているから、伝え忘れてたけどそれを理解して先に用意してくれたのだろう。エナが来る日は早めに行くから僕からお昼用意して、とお願い攻撃される事が母さんにとって予想出来ることになってるみたいだ。
ありがとうと言って受け取る。
お昼まで時間に余裕はあるが、早めに手伝いが終わった子はもう少ししたら向かい始める頃なので村の中心まで走っていくことにした。
そう言えばエナが来る日は早くみんな集まるっていうのがもう当たり前になっているが、別にみんなでそんなルールを決めた訳では無い。
むしろ昔は普通に午後からだった。
だけどある日、髪の色からして暑苦しいヤツが何となく早めに向かったら、社でエナが1人おむすびを頬張ってるのを発見したことが始まりらしい。それからエナは基本的に来れる時はお昼前に来てると知った暑苦しいヤツが一緒に食べるようになり、それが増えていった感じだ。
因みにどうして家で食べないのかエナに聞いた子いわく、風が憎い……昼は風下で…まるで公衆トイレ……と、変な顔になったエナからよく分からない返事が返ってきたそうだ。
親と上手くいってない訳では無いようなので良かったと思う。
暫く走るとようやく社が見えてきた。
僕の家は村の中心へ向かうと社の裏側から出る事になる。ちなみにみんな社の表側に集まるので、基本的に僕は社に着くまで誰かがいるか分からない。
だけど社まで後少しの所まで来た時、僕はエナだけが社にいることが分かった。何かが風を切る音が聞こえたからだ。
エナは数ヶ月前から何故か長い木の棒を振り回し始めた。
最初はみんな笑ってた。
戦う剣にしては長いし、殴る武器にしても長くて細いからだ。けどエナは何故かそれを変えようとしなかったし、そして皆も数日後には笑ったりしなくなった。
長い棒を振り回しているだけのエナ。
そんな彼女の姿は……
ただただ、美しかった。
最初の頃、突いたり払ったりを繰り返していただけの動きは他の動作と繋がり流れが生まれていた。
エナ自身はゆっくり動いているのに、彼女の持つ木の棒はその何倍もの速さで不規則な動きを繰り返す。不規則なのに繰り返す、まるで矛盾した表現だけど、そうとしか言えない光景。彼女の集中して感情のあまり見えない表情、動きに合わせて揺れるまとめた金色の髪、それと合わさってそれはまるで舞のようだった。
ある時うちの村を通った冒険者の人が言うには、エナがしている動きは槍術と言われるものに近いそうだ。
ただし詳しく知っている訳では無いらしいが、彼が知る槍術はエナのものとは全く違うらしい。一つ一つの動きは似ているがもっとシンプルな組み合わせで、彼女のような流れるような動きではないと言っていた。彼の知るそれに比べると、彼女のそれは華麗すぎるのだとか…。
社の裏側からそっと覗くと、エナは木の槍を使い舞を舞っていた。
エナは真面目に槍術の鍛錬をしているつもりなので伝えられないけど、初めの頃に比べてもすごく綺麗だ。
暫くしたら彼女が気付き、ニコッと笑ってお昼に誘ってくる。もちろん断る理由はないので僕はお昼を一緒にとることにした。
ちなみに、彼女は誰かが来たら舞をやめてしまう。
そして不思議なことに、みんな最近はどんどん集まる時間が早くなっていたりする。