機動戦士ガンダム -プリンセス・オーケストラ- 作:オリーブドラブ
-エレイン・ヴァルプリス-
17歳。レイキャヴィーク出身。ヴェルディア・アステリオンの教え子であり、本気になれば凄まじい強さを見せる士官候補生。搭乗するジムトレーナーの色は黒と銀色。
※原案は妄想のKioku先生。
MS戦技会3回戦、第1試合。当初は互角だったその試合内容は徐々に、しかし確実に――エレイン・ヴァルプリスの方へと傾いている。
対するリゼット・クラルティのジムトレーナーの全身には、すでに多くのペイント弾が付着していた。あと1発でもどこかに当てられた瞬間、彼女の敗北は決まってしまうだろう。
『ふぁ〜あ……リゼ、そろそろ諦めたら? 元々出場すらできなかったあんたが、ここまで立派に勝ち進んで来たんだし。もう負けても誰も文句は言わないって』
「……私は文句を言われないために戦ってきたんじゃないよ、エレちゃん。この戦技会に勝って、ヴィヴィアンヌ少尉みたいになりたくて……ここまで来たの! だから……エレちゃんにも譲れないんだよ、これだけはっ!」
『そう……そうだね、確かに愚問だった。リゼは昔っから頑固で、これと決めたらテコでも動かないんだから』
岩山の上に立ち、圧倒的に優位な頭上からリゼット機を見下ろしている、黒と銀色のエレイン機。
そのコクピットから、同期の真摯な眼差しを見つめるエレインは、それまでの眠たげな表情から一転し――戦士としての鋭い貌を露わにした。
『じゃあ……文句の付けようもないくらいの実力差で、あっという間に終わりにしてあげるッ!』
「……ッ!」
そこからの射撃は、一瞬だった。100mmマシンガンを構えたエレイン機は、最後の1発を当てようと銃口をリゼット機に向ける。
だが、とどめのペイント弾が発射される直前。リゼット機は敢えて自身の足元を撃ち、その弾みで噴き上がった土埃を目眩しに利用した。
『……!』
「でやぁあっ!」
間髪入れず、岩山に体当たりを仕掛けたリゼット機の衝撃によって、足場を揺るがされたエレイン機は姿勢を乱されてしまう。そこから持ち直すのは容易いことだったが――彼女が自機を制御した頃には、すでにリゼット機が眼前に飛び込んでいた。
『リゼッ……!』
「これがっ……私の全力だよ、エレちゃんっ!」
咄嗟にマシンガンの銃身で殴り付けるが、それでもリゼット機は懸命にエレイン機にしがみつき。両機は互いに拳を交えながら、岩山から転げ落ちていく。
激しい衝撃音が天を衝き、やがてリゼット機とエレイン機は、立ち込める土埃の中へと消えて行った。この土埃が晴れた時、勝敗は決する。
「リ、リゼちゃん……!」
「リゼット……!」
ミレイナとジャネットが、多くの生徒や市民達が、固唾を飲んで見守る中。ついに、この一帯が澄み渡る青空を取り戻した。
『試合終了! リゼット・クラルティ候補生、4回戦進出!』
「リ、リゼットが……勝っている! リゼットが勝ったぞッ!」
「やったあぁあぁっ! リゼちゃあぁん!」
そしてアナウンスが、その結末を告げた時には――リゼット機がエレイン機を取り押さえている姿が、映像に映し出されていた。
それを目にしたジャネットが感嘆の息を漏らしたと同時に、ミレイナが弾けるような歓声を響かせる。他の生徒達も、同様に歓びの声を上げていた。
「……分かっていた、というような顔だな」
「分かっていたからさ。……この私が優勝する上での最大の障壁は、彼女になるのだと」
一方。試合の決着を静観していたマリアの隣で、アシューカは腕を組み不敵な笑みを零していた。
それでこそ私のライバルだ、と言わんばかりに。
――MSで相手を取り押さえる。今大会のルールにも組み込まれているその手段は、自機を文字通り手足のように扱える操縦精度がなければ到底なし得ない。
戦技会の目的の一つに、その技能の向上が含まれていることは明白であり。リゼット・クラルティは間違いなく、その分野において比類なき才能を開花させている。
天性の空間把握能力で自機と相手の駆動範囲を捉え、抵抗できない姿勢に持ち込む。本人が無意識のうちにこなしているその技術は、もはや士官候補生などという枠に収まる代物ではない。
その片鱗を見せ付けられた、今だからこそ。アシューカは猛烈に、昂っているのだ。
『……はぁー、全く。そういう無茶苦茶な戦い振りも、変わらないんだから。ヴェルディア教官にまた叱られても、知らないんだからね』
「えへへ……」
そして、照れ臭そうに頬を描くリゼットに、苦笑を向けながら。最後の最後で逆転された事実を前に、エレインはため息を漏らすのだった――。
活動報告にある通り、キャラ募集企画は明日の8月23日00:00まで続いております。まだまだ募集は続いておりますので、機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)