機動戦士ガンダム -プリンセス・オーケストラ- 作:オリーブドラブ
――宇宙世紀0081。終戦から1年以上が過ぎたこの時期においてもなお、ジオン軍残党による抵抗は激しさを増している。
それに対して連邦軍は、戦後の軍縮に伴う戦力の低下が仇となり、世界各地で苦戦を強いられるようになっていた。
ユーグ・クーロ率いる「ファントムスイープ隊」の活躍を以てしても、その全てを鎮圧することは叶わず。
エリク・ブランケを筆頭とする特殊部隊「インビジブルナイツ」の奮戦によって実行された、「水天の涙」作戦は――その最たるものとなってしまったのである。
結果として、マスドライバーに被弾していた質量弾は、標的にされたオーガスタに落ちることなく。やがて粉々に打ち砕かれ、流星群と成り果てた。
それは大局を見るなら、阻止に成功したと言えるだろう。ジオン残党の悲願である「水天の涙」そのものは、失敗に終わったのだから。
――しかし、その流星群の全てが大気圏の中で一つ残らず燃え尽きたわけではない。中には破片の大きさ故に焼失を免れ、地球を襲う矢と化した隕石もあったのだ。
そして、ファントムスイープ隊の尽力を以てしても消し去れなかった、「水天の涙」の一雫は。
戦後の時代を懸命に生きるパリの人々を、狙っていたのである。
「アッシュ中尉の教え、絶対に活かしてみせます! 見ていてくださいねっ!」
『……頑張って、リゼ』
その迎撃に向かうべく、新たな愛機であるRGM-79SP「ジムスナイパーII」に乗り込んでいたリゼット・クラルティ少尉は。
そんな彼女に、射撃のイロハを教えていたアッシュ・ヴァンシュタイン中尉も、静かに微笑を浮かべている。
ヴィヴィアンヌ・ル・ベーグ。
ミナト・ヒヤジョウ。
レイチェル・マスタング。
アリサ・ヴァンクリーフ。
アッシュ・ヴァンシュタイン。
マルティナ・テキサス。
ローズマリー・アクランド。
彼女達「パリ防衛隊」を筆頭とする、この街の守護を担う戦士達。彼らは自らの鎧であるMSを駆り、次々とパリの上空、あるいはその周辺へと飛び出していた。
『……ついに、我々の真価を問われる時が来たのだ! 皆、心して掛かれ! そして必ず、全員で生きて帰るんだッ!』
『もっちろん! 次の休みは皆でデートって、決めてるんだからぁっ!』
ジャネット・ダルシアク。
ウズメ・トリシャ。
アンネリーゼ・フランソワ。
シエル・ヴァンクリーフ。
パール・L・レムリアン。
アナイス・ルヴェリエ。
サフィーニャ・ヒゴ。
アーニャ・ザカエフ。
リリア・ラチェーミロ。
マリア・チヨメ・モチヅキ。
ナタリア・ランパート。
ミレイナ・オコーネル。
ミエ・フユタ。
リオ・ランドール・ウエシロ。
エレイン・ヴァルプリス。
ユリン・フロント。
アシューカ・クトゥルナ・ジャンファール。
インビジブルナイツに触発されたジオン残党の活発化を受け、早急に戦力を補充するべく卒業を繰り上げられていた彼女達も――ジムスナイパーIIのパイロットを務める新任少尉の1人として、隕石の迎撃に当たっている。
これまでの訓練通りとは行かない、隕石が相手となる迎撃戦。ほんの一欠片でも街中に落ちれば、甚大な被害となる。
初陣早々、そんな状況に立たされた新兵でありながら。彼女達の貌に、恐怖の色はなく。なんとしても落下を阻止する、一つ残らず撃ち落とす。その決意だけが、瞳の色に顕れていた。
『例え何があろうと、この街と人々は我々の手で守り抜く。……攻撃開始! 撃てぇぇッ!』
そして、指揮を執るパスカル・ネヴィル中佐の怒号が天を衝く瞬間。パリの守護を使命とする全ての砲火が噴き上がり、遥か天空より迫る一雫を迎え撃つ。
最初の砲撃によってさらに粉砕された破片は、すでにその多くがパリの外へと流れている。これでもなおパリに落ちようとしている破片の雨を、全てビーム兵器で焼き払うのがMS隊の役割であった。
『あの程度の小石なら我々のビーム兵器で焼き尽くせる! いいか、1発たりとも街に落とすなよ! 「繰り上げ」を認められるほどの実績を収めてきたお前達の力、今ここで見せ付けてやれッ!』
『はいッ!』
ロングレンジビームライフルを手にしたジムスナイパーIIの大部隊が、パリを襲う隕石の群れに閃光を放つ。光り輝く傘を、街中に広げているかのように。
『ダイト、確か鹵獲機のドダイがまだ残ってたよな!? 僕達だけでも上空で撃とう! 少しでも彼女達の負担を減らしたい!』
『全く……あなたの無茶は折り紙付きですね、デューク。……
デューク・ラングレイ。
ダイト・アロン。
ラファエル・フロレンティーノ。
ミヤコ・ウシザネ。
デニス・ヴェランデル。
ジャン・パール・ベアルン。
ラヴィエル・アリアドゥネス。
セツカ・カザマ。
クライオゼニア・シロガネ。
チャン・ズーロン。
イ・ホジュン。
リン・シャオ。
フィリップ・
ヨシト・シンジョウ。
マコト・クズミ。
カタリナ・キャスケット。
先陣を切ってビームを撃ち続けている彼らも、教え子達に連邦兵としての在るべき背中を見せている。これが最後の授業だ、と言わんばかりに。
その光景を、避難先のパリ基地から見守っていた市民達は、固唾を飲んで恐怖に耐え忍んでいた。ある者は祈り、またある者は精一杯の声援を贈り。連邦軍の「勝利」を、ただ願っている。
――市民だけではない。世界各地の基地にいる、連邦軍のエース達も。インビジブルナイツに与することなく、今もどこかで生き延びている、ジオン軍の残党ですらも。
パリを舞台とする苛烈な迎撃戦の中継映像を、それぞれの視点から見つめていた。
「……分の悪い賭けだと思うか? リュータ」
「いいや……勝てるさ、カルマ。彼女達なら、必ず守り抜ける。……きっとジルベルトも、そう言うよ」
「そーそー! ヴィヴィーが居るもんっ! 絶対大丈夫っ!」
リュータ・バーニング。
ソノ・カルマ。
セフィラ。
コタロウ・ニシズミ。
カタヤイネン。
ゲルハルト・ファン・バイエルン。
アルベルト・ビュヒナー。
マコト・カザマ。
ペドロ・ガルシア・ペレス。
クリム・ブッディ。
マテウス・クルマン。
キアギルク・ギルボード。
ラグナス・ギルボード。
サイウン・レツ。
エディン・ギルス。
ユウキ・ハルカゼ。
レオ・アークライト。
ネロ・ダイル。
ヒダカ・アマサキ。
アクセル・ウィルマン。
カルロ・ジェノヴェーゼ。
「ミコト少尉、確かパリ士官学校って言えば……」
「あぁ。……ボクの上官だったジャン=クロード大尉の妹君がいるところさ。彼女が付いてるなら、きっと大丈夫。ボクはそう信じてるよ、ギーア」
「……なら、俺も信じましょう。彼女達なら、必ずやり遂げてくれると」
ギーア・ギア。
ミコト・W・サイジョウ。
バーン・ヘミング。
クレア・ブランドロール。
スクアーロ・バレッティ。
ネルヴァー・オム。
ガルダ・ゴードン。
モニカ・スターベライズ。
ツグイ・オハリ。
ショウ・マカベ。
カツヨシ・アズマ。
マイナ・ウミノ。
バレェン・ホワイツ。
リーネ・エイム。
レイノ・シヴォネン。
ノーフェイス。
ティア・ローレンス。
ドミナウ・ハウ。
シャンデルローズ・アラベスク。
マサミ・カイエダ。
レーナ・タイカ。
「……レイン、朕は悔しい。皆があれほど頑張っても……まだ、戦いは終わらないのだな」
「大丈夫ですよ、レシア。フィリップ少尉達が付いてるなら……きっと、何とでもなるはずです。賭けてみましょう、今あそこで戦っている人達に」
フロンレシア・ノートン。
レイン・ウォーミング。
ガンド・オロシュゲン。
カナタ・アマサキ。
ジェイムズ・キャラウェイ。
デネエル・オルダス。
ハテム・ザキ。
アリア・ヤグモ。
アルカ・M・カルヴァーン。
グーイ・ノア。
ランダ・バーロン。
エリムス・ナイドレイブン。
レティシア・シェフィールド。
フェザール・スコッツマン。
スナイパー。
リーガル・ウォルバーグ。
イコ・シュタイナー。
クルト・クニスペル。
ライヤ・ペオニー。
ブラン・ドゥルジー。
ショウ・カナタ。
リーフ・T・ライア。
マリアンネ・アケチ。
「おおぉっ、スゲーじゃねぇか! 見ろよレントッ! あの戦技会に出てたレディー達、可愛いだけじゃなかったんだな!」
「ちょっ、レイジさんテレビ! テレビ見えないっ! アンナ大尉も何とか言ってくださいよっ!」
「……ようやく、一端の働きが出来るようになったな。母として誇りに思うぞ……マリア」
レント・アルマー。
レイジ・ホーネット。
アンナ・モチヅキ。
リゼ・ラングリフォン。
カジ・ヤマグチ。
シンタロー・カネダ。
シトリ・ハルパニア。
イザベル・ファリントン。
マリナ・ヴァネッサ・エルロン。
トウカ。
キョウイチ・ヤクモ。
ヴェルディア・アステリオン。
ライゾウ・ホリウチ。
ヴィオレッタ・エバーグリーン。
カリス・ベイル。
アシェリー・スカイ。
アレクサンドラ・
ジャンナ・セルペンテ。
イサミ・チネン。
ナギ・シミズ。
ミカナ・ユズリハ。
フィーネ・エイム。
「……この分では、『一雫』すらも落ちそうにはないな」
「嬉しそうですね、ニコラ教官」
「ふっ、そんなに顔に出ていたか? ……ガリウス」
ガリウス・ブリゼイド。
ニコラ・バルヒェット。
アドラス・セン。
ジェイコブ・ホーク。
レノン・マーシュ。
ディートハルト・クリーガー。
ヴィレッツ・ハルトマン。
アンナ・ブリューネル。
チョー・コウ。
ロビン・カーター。
ゴウ・サワキ。
ヴァルタル・フリーデゴード。
メリッサ・マイヤー。
イルザ・レーナルト。
ユウ・キリシマ。
アリア・ホプキス。
「サトル、ガルド! ちょっとテレビ観てみな、パリの方が面白いことになってるみたいだよ」
「隕石を凌ぐビームの傘、ですか……」
「……へぇ。結構やるじゃねぇか、連邦のヒヨッコ共も」
ヨゼフィーネ・ミュールマイスター。
サトル・コガ。
ガルド・ルーデンドルフ。
ミランダ・ヴェルテ。
ユリウス・ヴォルケンシュタイン。
カイナン・トバルカイン。
スティクス・ウィンストン。
アイレ・トゥルエノ。
バルド・シディス。
クイ・バーバランド。
シャティー・トゥリープ。
アクア・ハーフェン。
ダファーズ。
アストレア・ティルビッツ。
「次の世代は、順調に育っているようだな……シンジ」
「えぇ……そうですね、ゼファー中尉」
シンジ・ミュラー。
ゼファー・アルビオン。
アンリエット・ダルシアク。
ディーネ・エイム。
クーナ・フェニー。
カポル・フェイネック。
「あの数の隕石を捌き切るつもりでいるとは……。連邦の若手も、大した度胸の持ち主じゃあないか」
「彼女達を見ていると、私達の部隊にいたカゲツを思い出しますね……。元気にしているでしょうか、あの子」
「あいつなら……どんな修羅場でもしぶとく生き残ってるさ、スティレット。俺達『ルザー隊』に、ちょっとやそっとの弾で死ぬ奴なんていない。あの連邦の娘達が、そうであるようにな」
ルザー・ヴァハーク。
スティレット・リズナムル。
カゲツ・クロダニ。
キャロル・ジャヴォック。
ゲイル・ヴィクター。
マイ・シマムラ。
ウルガ・オックス。
ホウカ・ツクヨミ。
ユイ・カーマイン。
ハルーディ・コリオス。
ロニー・コーツ。
ガルム・シュドガー。
ライミューダ・アゲイン。
リュウジ・クガ。
アッシュ・クロウ。
イルマ・ライナー。
アデリーナ・バラノヴァ。
セリナ・マイヤー。
ジークヒンメル・ドラヘンハルト。
ダリウス・フォン・メルダース。
フィルト・ファッツィ。
ロギー・グラーツ。
マーリィア・マリアドネス。
ジーン・パチョレック。
ルーク・アルフィス。
ルーシー・ウィルバート。
グラン・ヴァル・ザーミー。
ロベルト・ゴムレー。
ロイ・メーベルト。
「ジャン大尉。中継……見なくても良いんですかい?」
「見るまでもないさ、ガイエル。結果なら分かりきっている。……何しろ、
「……ははっ、なるほど。そりゃあ、確かに百人力ですぜ」
ジャン=クロード・ダルシアク。
ガイエル・バスタード。
ヨウヘイ・チネン。
ルイ・ヤクモ。
マイ・ユウキ。
アル・ナディスティア。
ロウアー・ダウン。
マミア・ガロウ。
「……ジオン残党の連中も、とんだ置き土産を残してくれたものだな」
「でも、彼女達なら決して負けない。でしょう? ジャック大尉」
「あぁ……そうだな、ケンジロー。今のミレイナには戦技会の仲間達も、デュークの奴も付いている。……彼らなら守れるはずだ、この街を」
ケンジロー・カブト。
ジャック・オコーネル。
ベネッタ・ヒューリンデン。
テオ・アルムガルト。
ダイナ・スレイヴ。
アリスノア・カーター。
タシギ・メスヴェン。
ジュスト・ベルティーニ。
リリアーヌ・ガブリエル。
シエラ・マクナイト。
ウモン・サモン。
バルソー・ブレンダン。
リュート・カドクラ。
ドロテア・ルイーゼ・マルティン。
リューコ・タカスギ。
ルーデル・シャカタク。
ピーター・バルバ。
アンソニア・W・サイジョウ。
バートル。
カナン・エスペランザ。
ゾネス・ゴルドー。
マサヒコ・イシモリ。
ヨシナオ・シンジョウ。
「状況は……かなり厳しいな。だけど、彼女達ならきっと守り抜いてくれる。俺は、そう信じるよ」
「……そうだな。俺も、そう信じよう。己の心に従う……それが、ヤマダ教官の教えだからな」
「あぁ。……ところでクラム、もうすぐ
「……ふん、言われるまでもない。しっかり
クレイ・ハルパニア。
クラム・プレスタン。
ユキノ・カツキ。
パッチワーク・ビギナーズ。
リーサ・ヴァレンタイン。
アーデルトラウト・ブライトクロイツ。
「まさか新米達がここまで粘るなんてねぇ……ミネルヴァ、こりゃあもしかするともしかするかも知れないよ!」
「えぇ、ツバキ中尉……! 彼女達なら、本当にバリを守り切れてしまうのかも……!」
ツバキ・シバ。
ミネルヴァ・マーズ。
ディアーヌ・デュボア。
ヴャチェスラフ・イワノヴィチ・ボブリコフ。
アオオニ。
ミキエラ・バルボッサ。
ウィンストン・コサック。
キニス・エイグザンド。
ティルク・ディルク。
ロバート・エーカー。
アカツキ・トウジョウ。
アイリス・ベルガモット。
タクミ・ベルトライン。
ショウヘイ・グスクマ。
アイ・ヒナドリ。
ギルス・スォード。
ライミューダ・アゲイン。
ハナ・モリイズミ。
ヴォルフガング・ミューゼル。
アンドラ・グレース。
「……ふん、つまらんな。エリク少佐も、随分と詰めが甘かったと見える」
「確かにな。……だが、あの小娘達があれほど抗えている理由は、それだけではあるまい」
「ほう……? お前がそれほど連邦の連中を買うとは、珍しいものだなエルヴィン」
「スミル、パイロットの腕の良し悪しに連邦もジオンもあるまい。……俺はただ、あるがままの事実を語っているに過ぎんよ」
スミル・ダジャ。
エルヴィン・ケーニッヒ。
トキノ・カズラ。
フェオドラ・アドリアーノヴナ・ペトルーシュキナ。
ガノン・ギルバード。
ヴェローニカ・シェーンベルク。
ミカエラ・マコーミック。
ジャスグル・ヤージュ。
マーカ・トウェイン。
ストラ・ディバイリ。
「まさか、繰り上げ卒業のひよっこ共に街一つを託すことになるとはな。……ブリゼイドタウンの二の舞にならなければいいが」
「なりませんよ、ルゥトゥ大佐。……絶対に大丈夫です。あそこには、ダイトも居るんですから」
「ふっ……そうだったな、ミック。ならば俺も、あいつに賭けてみるとしよう。かつての隊長として、な」
リュ・ルゥトゥ。
ミック・ゴートン。
キアラ・パーシング。
ジルバート・ブーガンヴィル。
イクサ・アンクブレス。
エイジ・レンフォード。
ダフネ・ガルシア・ペレス。
ジャレッド・ジャッカル。
ブラッドリー・マーズ。
アルダー・サモンド。
イヴァーナ・コジェドゥーブ。
サワイ・キサミン。
ヴァイス・ヴァレンタイン。
カイト・マクラウド。
シルフィア・ラウテル。
セラ・アルビオン。
ナース。
マクスウェル・コンドウ。
シルフィア・ラウテル。
ディアン・バルトロード。
シェルーザ・ファウラース。
ユニ・メニッサ。
ニア・アイマン。
「シロー隊長、随分と冷静ね? 隊長のことだから、こんな状況居ても立っても居られない……って感じだと思ってたけど」
「……お前も分かるだろう、セイラン。ミシュリーヌさんがそうだったように……あの街に居る人達は、本当に『強い』んだ。こんなことで負けたりはしないって、俺は信じてる」
「やれやれ……相変わらずおアツいことだね、ブロンズコンドル隊の若獅子殿は。見てるボク達の方が妬けてしまうよ」
「か、からかわないでくださいよ、ターナ中尉……」
セイラン・バーラン。
ターナ・シリスト。
シロー・カワグチ。
「……いい狙いだぜ、
「誰も欲しがりませんよ、そんな物騒な異名。喜んでいるのはラゼル隊長だけです」
「カッコいいだろうがよ!? なんだよカイニス、お前だけは分かってくれてると思ってたのに〜!」
ラゼル・バルカンク。
カイニス・グランバル。
カナデ・タカミザワ。
フランツ・アンダーソン。
ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルク・フォン・ヴォルケンクラッツァー。
エドガー・トーレス。
カズサ・カワカミ。
ジン・カキザキ。
ジャマル・ジャマー。
スキキル・ラインオーバ。
レルフ・ローガン。
ティオネ・アルマー。
ユリネ・ダイゴ。
ゲッカ・ヨナミネ。
ラウラ・ヴァンクリーフ。
「私達のお仲間も、随分と派手な真似をするじゃあないか。『水天の涙』……ねぇ」
「俺達も……今となっては、あいつらと何も変わらないのだろうな。シンダー」
「そうだねぇ……。しかし、だからといって……今さら銃を捨てられるはずもない。そうだろう? レオンハルト」
「……あぁ。行き着くところまで旅を続けるしかないのだろう、俺達『森夜叉』はな。ところで、ホタル少佐のMS派遣事業はどうなっている?」
「地球での事業展開も軌道に乗って来たようだ。
シンダー・ロンギス。
レオンハルト・ベルガー。
ポーラ・テルミット。
ベルノ・ブラック。
ホタル・モナカ。
ミコト・カンナギ。
ライミー・スノーフラワ。
ラアス・リュレウ・ソボミ。
エンジ・クサカベ。
アズレト・ヴォロノフ。
クラーク・ランドバック。
彼らはそれぞれ、思い思いに呟き、騒いではいるが。その中に不安げな表情を浮かべている者は、1人もいない。
一雫という涙の残滓で、花の都が燃えることはない。誰もが、その未来を視ている。
「……ヴィヴィアンヌ少尉。私、戦います。守ります。あなたのように、このパリの盾になりたいっ!」
『私も……同じ想いです。盾となりましょう、私達でッ!』
矢継ぎ早に迫る一雫の欠片を狙い、ビームを撃ち続けるリゼット。その叫びは、共に戦場と化したパリに立つヴィヴィアンヌにも届いていた。
盾。その言葉に、かつて自分の前に颯爽と現れた「守護騎士」の勇姿を思い浮かべた美姫は――色香に満ちた笑みを浮かべ、勇ましく吼える。
『あらあら、今の聞いたぁ? こりゃあ、アタシ達も負けてられないわねぇ!』
『ラファエル少尉、勝ち負けじゃありませんよ! それから、冷却剤は絶やさないように!』
『分かってるわよぉ、ラヴィエルちゃんったらお堅いんだからっ!』
そんな彼女達の勇姿に触発されるように。この戦いに参加している全てのMSが、次々とスラスターを噴かせて上昇し始めていた。
少しでも戦闘の余波を自分達で受け止め、街に被害を出さないために。この町で暮らす人々の、当たり前であるべき明日を守るために。
『レイチェル、そっちに撃ち漏らした奴がっ!』
『分かってる分かってる! 任せて、アリサっ!』
どんなに傷付いても、恐れることなく。最後の一欠片が、ビームの閃光に消え去るその時まで。
彼らは一瞬たりとも、引き金を引く手を休めることはなかった――。
◇
――そして、その日の夕暮れ。青空の下で繰り広げられていた死闘が嘘のように、花の都は静寂に包まれていた。
全ての隕石を迎撃し、パリを傷つけることなく守り抜いた戦士達は皆、力尽きたように膝をついている。艶やかな夕焼けを見つめている、リゼットの愛機もその一つだった。
コクピットから身を乗り出した彼女は、ヘルメットを取り桃色のショートヘアを靡かせている。頬を伝う汗は色白の柔肌をなぞり、頭を振った弾みで揺れ動く豊穣な乳房が、彼女の「成長」を物語っていた。
(……戦争は終わったのに。まだ、こんなにも、戦いは続くんだね)
可憐でありながら、どこか憂いも帯びているその瞳は。一雫をこの街に落とそうとしていた、
あくまで、卒業して間もない新兵なりの直感でしかないが。この当時のリゼットにはすでに、予感があったのだ。
自分達の初陣を飾った、この戦いはほんの序章でしかない。これからもずっと、気が遠くなるような未来まで、戦いは続く。続いてしまうのだと。
(嫌だなって思う。辛いなって……思うよ。でも私、逃げたいとは思わない。根拠なんてないけど、それでも……大丈夫だって、そう信じてる)
そんな不穏な未来を予想しながらも。褪紅の天使は口元の笑みを絶やすことなく、愛機の掌から飛び降りると――自分の元へ駆け寄って来る仲間達の方へと、向き直っていた。
「プリンセス・オーケストラ」と呼ばれていた、あの戦技会の頃から。共に切磋琢磨し合ってきた彼女達が、そばにいるなら。こんな地獄のような時代にも、彼女達のような仲間が居てくれるなら。
きっと、恐れることなどないのだと。せめて、願うように。
「……みんなぁーっ!」
リゼット・クラルティは、走り出していく。宇宙世紀という戦乱の世を渡る、果てしなく険しい道の上を。その第一歩となる、ひび割れたアスファルトの上を。
――何十年にも及ぶ、悲劇の歴史を。
なるべく完結編への流れを自然にしたいなーという思いもあって、今回このようなお話を書かせて頂きました。リゼット達の初陣は書きたいけど、この作品の中で彼女達が明確に人をぶち殺すのもなぁ……という葛藤の果てに生まれたお話でもありましたね。隕石相手だからノーカン! ノーカン!( ゚д゚)
とはいえ、結局彼女達もどこかの戦場では正真正銘の命のやり取りを経験することになるでしょうし。恐らくはそこから、彼女達なりの戦う理由を見つけていくことになるのだと思います。どうか暖かく見守ってあげてくださいませ(´-ω-`)
ちなみに、読者応募キャラを投稿された方が考案された「その後」のエピソードとは微妙に食い違いもあるかも知れませんが、ここは何卒ご容赦頂けると幸いです。出来れば誰もハブりたくないなーと思いまして(><)
ではではっ!٩( 'ω' )و
Ps
この時代ならジムスナIIがいっぱい居てもいい! ……はず(ノД`)