機動戦士ガンダム -プリンセス・オーケストラ-   作:オリーブドラブ

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-第2話からの登場人物-

-ジャネット・ダルシアク-
 19歳。オルレアン出身。名門ダルシアク家の出身であり、高いプライドに見合う実力を持つ血気盛んな士官候補生。搭乗するジムトレーナーの色は白と藍色。
 ※原案はMegapon先生。

-アシューカ・クトゥルナ・ジャンファール-
 18歳。ニューデリー出身。寡黙ながら、優れた操縦技術で他者を圧倒する士官候補生。搭乗するジムトレーナーの色は黒と灰色。
 ※原案はクレーエ先生。



第2話 英雄の再来 -ジャネット・ダルシアク-

 オルレアンの地に伝説を刻んだ、フランスの英雄「ジャンヌ・ダルク」。そのイメージを彷彿させる、毅然とした佇まいで有名な士官候補生がいた。

 彼女が搭乗している白と藍色のジムトレーナーは、岩陰に隠れ防戦一方となっているリゼット機に、容赦のない牽制射撃をお見舞いしている。

 

『ふふっ、どうしたリゼット! そんなことでは、1回戦突破もままならないぞ! かのヴィヴィアンヌ・ル・ベーグ少尉に選ばれたパイロットとして、相応しい戦いをして見せろッ!』

「ま、まさかいきなりジャネット先輩が相手だなんてぇえ!」

 

 その名はジャネット・ダルシアク。士官学校卒業を目前に控えている、同校きっての優等生だ。

 もちろんMSの操縦においても優れた成績を残しており、真っ先に出場者に選ばれたのも彼女なのである。

 

 騎士道精神に溢れ、正々堂々と戦う士官候補生の模範。だからこそ彼女は、例え相手が選考から漏れていたリゼットであろうとも、一切手加減していないのだ。

 あくまで真摯に、真っ向から正攻法で突き進む。その勇姿はまさしく、ジャンヌ・ダルクの再来であった。

 

「リゼット、隠れてばかりでは戦いになりませんわ。先程の勢いはどうしましたの?」

「わ、私だって勝ちに行きたいです! でもっ、ジャネット先輩の方が狙いも操縦も正確だし……!」

 

 当初こそ意気揚々と真っ向から仕掛けていたリゼットだったが、結局は如何ともし難い技術の差に押し切られ、場外ギリギリの位置にある岩陰に追い詰められてしまっている。

 このままでは、何もできないまま1回戦敗退だ。

 

「確かに、純粋な技術においては彼女の方が上かも知れません。が、これは実戦のシチュエーションを意識した模擬戦です。そして実戦に絶対はありえません。あなたが彼女に勝てる道筋は、必ずあります」

「ヴィヴィアンヌ少尉……」

「周りをよくご覧なさい。彼女の技術は確かに一級品ですが、視野の広さにおいてはまだまだ課題があるご様子ですわ」

「視野……!?」

 

 そんな中でも、全く動揺することなく戦況を静観していたヴィヴィアンヌが、ようやく重い口を開いた時。彼女の言葉に目を見張るリゼットの視界に、場外を示すラインが飛び込んできた。

 

「……わかりました。私、勝ちます! 例えジャネット先輩には遠く及ばない実力でも……弱っちくても、絶対に勝ってみせますっ!」

『覚悟は決まったようだな! 来たまえリゼット、この私が相手ッ――!?』

 

 やがて、意を決した彼女は声を張り上げ、100mmマシンガンを放り投げる。その軌道に目を奪われたジャネット機が、咄嗟に銃口をそこへ向けた瞬間。

 

「でやぁあぁあーっ!」

『なにィィッ!?』

 

 視界から消えた一瞬の隙を突き。岩陰から飛び出したリゼット機が、全速力でタックルを仕掛けてきたのである。

 低姿勢からジャネット機を捕まえたリゼット機は、そのまま後方へ急速回転。その素早い旋回に伴うGに耐え忍びながら、一直線に場外のラインを突き抜けていくのだった。

 

『ジャネット機、場外! リゼット・クラルティ候補生、2回戦進出!』

「……やったあぁあぁっ!」

「そう……それでこそあなたですわ、リゼット」

 

 そして両機がようやく停止し、アナウンスが試合終了を告げる瞬間。顔馴染みの市民達が沸き立つ中で、リゼットも歓喜の声を響かせていた。

 得物を囮に使った、奇抜にして捨て身の賭け。セオリーに頼らないその戦法を見せ付けられたジャネットは、暫し放心し――やがて、吹っ切れたような笑みを浮かべる。

 

『ふっ……はははっ、負けたよ。言い訳の余地もない完敗だ。素晴らしい師を持ったな、リゼット』

「ジャネット先輩……」

『この私を打ち負かしたのだ。迷うことなく、恐れることなく、優勝目指して突き進め。いいな!』

「……はいっ!」

 

 そんな彼女の潔い激励と笑顔に、力強く頷きながら。リゼット機はジャネット機に手をの差し伸べ、両機は固い握手を交わす。

 その光景に、パリの市民は大いに盛り上がっていた――。

 

 ◇

 

『し、試合終了!』

 

 その後、次の組み合わせによる試合が始まった――の、だが。それは「試合」などとは到底呼べない、あまりにも一方的な内容であった。

 アナウンスを務める生徒も動揺を隠し切れず、声に戦慄の色を滲ませている。テレビで観戦していた市民達も、あまりの決着の早さに言葉を失っていた。

 

「……ふん」

『ア、アシューカ・クトゥルナ・ジャンファール候補生、2回戦進出っ!』

 

 黒と灰色に塗装されたジムトレーナーのパイロット――アシューカ・クトゥルナ・ジャンファールが、不遜に鼻を鳴らした瞬間。彼女の2回戦進出が、確定される。

 

「……出場を許された優秀者でこの程度か、笑わせる。やはり、私の優勝は揺るぎないようだな」

「油断するなよ、ジャンファール。お前が思っているほど、やわな奴らばかりではない」

「ご心配には及びませんよ、教官殿。……この大会で優勝し、最強のパイロットになるのは……この私です」

 

 だがそれは、新たなる激闘の幕開けに過ぎなかったのだ――。

 




 活動報告にある通り、キャラ募集企画は8月23日00:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)
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