機動戦士ガンダム -プリンセス・オーケストラ-   作:オリーブドラブ

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-第7話からの登場人物-

-ナタリア・ランパート-
 18歳。マンチェスター出身。明朗快活で男勝り、加えて姉御肌な士官候補生。搭乗するジムトレーナーの色は深緑とコバルトグリーン。
 ※原案はスノーマン先生。

-マリア・チヨメ・モチヅキ-
 15歳。熊本出身。カルロ・ジェノヴェーゼの姪であり、アンナ・モチヅキの娘でもある寡黙な士官候補生。搭乗するジムトレーナーの色は漆黒をベースに、忍者風の装飾で左肩に金色の九曜紋を施したもの。
 ※原案はmikagami先生。



第7話 閃光の忍者 -マリア・チヨメ・モチヅキ-

 リリアの勝利を契機に、さらに激しさが加速していくMS戦技会第2回戦。その第4試合の舞台に立ったナタリア・ランパートと、マリア・チヨメ・モチヅキの対戦も、凄まじい気迫のぶつかり合いとなっている。

 

『おぉおぉッ!』

『はぁあぁあーッ!』

「す、すごい……! どっちも全然負けてないですよっ!」

「だが接近戦が不得手な分、マリアの方が優勢だな……!」

 

 1回戦を突破した猛者同士の激突は、観戦しているリゼット達も思わず息を呑むほどであり。深緑のナタリア機と漆黒のマリア機は、演習場にあるもの全てを目眩しに利用して戦い続けていた。

 だがジャネットが言うように、ナタリアは射撃戦が得意だが接近戦が苦手であり。マリアはその逆で、ゼロ距離でのインファイトを得手としている。つまり彼女の接近を許せば、ナタリアの敗北は決定されたも同然なのだ。

 

『……やるな、ナタリア。だがそろそろ、ペイント弾が尽きた頃ではないか?』

『あははっ……さすがねー、マリア。あのアンナ・モチヅキ大尉の娘なだけはあるよ。でも……勝てると思ってナメてると、最後の最後で痛い目見るかもね? ヴィヴィアンヌ少尉にこっぴどくフラれてた、あのジェノヴェーゼ曹長みたいに!』

『面白い……見せてみろッ! あと叔父の話はやめろッ!』

 

 その状況を看破しているマリアは、無表情のままEカップの巨乳を揺らして。風を斬るかの如き疾さで、ナタリア機に肉迫していく。まるで、忍者のように。

 そんな彼女のジムトレーナーに対し、ナタリアは冷や汗を伝わせながらも――不敵に笑っていた。

 

 マリアが見抜いた通り、すでにナタリア機のペイント弾は底をついている。こうなった以上は接近戦で彼女を取り押さえるしかないのだが、真っ向から(・・・・・)戦って勝てる見込みなどない。

 

『……来なッ!』

『いいだろう、これで終わりだッ!』

 

 故に彼女は、一か八かの賭けに出るべく。弾切れとなった100mmマシンガンを投げ捨て、接近戦の体勢に移る。

 彼女の覚悟を見込んだマリアが、一瞬でケリをつけようと、さらに加速した時。その瞬間が、訪れた。

 

『どりゃあぁあッ!』

『なぁッ……!?』

 

 マリア機がナタリア機の両肩を掴み、押し倒しに掛かったと同時に。ナタリア機は自ら後方に倒れ込み、胸部を蹴り上げたのである。

 いわば、巴投げ。その意表を突いた技にマリアが瞠目した瞬間、彼女を乗せたジムトレーナーは加速した勢いのまま、吹っ飛んでしまった。

 

『これで決まりッ――!?』

 

 接近戦が得意ではないナタリアが、いざと言う時のために特訓していた秘技。その奥の手を食らったマリア機の敗北は必至だろうと、誰もが判断する。

 

『やってくれたな、ナタリア……! だが私は、まだッ……!』

『タ、タフだなぁっ……!』

 

 ――だが。例え岩壁に叩き付けられても、彼女は不屈の闘志で立ち上がり、ナタリア機に挑もうとしていた。

 唯一の近接技でも倒せなかった以上、もはや勝ち目はない。そう覚悟したナタリアが、焦燥をあらわにした――次の瞬間。

 

『……と、言いたいところだが……ふっ。どうやら今回ばかりは、勝ちを譲らねばならんらしい』

 

 糸が切れた人形のように、マリア機が膝を着いてしまう。どうやら先程の巴投げの影響で、駆動系統に支障をきたしてしまったらしい。

 

『母上の背には……まだ遠く、及ばんか』

 

 例え勝利が目前であろうとも、機体が動かなければ意味はない。だが、全力を出し尽くしたマリアは一欠片の悔いもない、と言わんばかりに――微笑を零していた。

 

『試合終了! ナタリア・ランパート候補生、3回戦進出!』

『……なんだ、その……やけに意外そうな顔は』

『いや……ははっ、あんたってそんな風に笑うんだねってさ。可愛いじゃん、結構』

『か、かわっ……!? ええい、からかうなっ!』

『あははははっ!』

 

 そんな彼女の様子が、あまりにも意外だったのか。試合終了のアナウンスを他所に、演習場にはナタリアの笑い声が響き渡っていた。

 

 ◇

 

 ――その頃、ベネツィアの街角にある小洒落たバーでは。とある常連客が突然、胸を押さえて苦しみ始めていた。

 

「はぅあッ!」

「ど、どうしたカルロ!」

「……すまんマスター、気にしないでくれ。いつもの発作だ」

 

 狼狽する店主とは裏腹に、常連客の連れは全く意に介していない。それどころか、呆れ果てたような視線を向けている。

 少なくとも彼にとっては、この状況は常連客の「自業自得」であるらしい。そんな塩対応に怒る余裕もなく、常連客の男はわなわなと身を震わせていた。

 

「アクセル隊長ッ……! 今、お、俺の可愛いマリアに、また嫌われた……ような気がしたぜッ……! 今度こそ姉貴に殺されちまうかもなッ……!」

「日頃の行いだ。自省しろ」

 

 美女と見れば躊躇わず声を掛ける、典型的なプレイボーイ。そんな自分を冷ややかに一瞥する姉と姪の眼差しを思い出し、カルロ・ジェノヴェーゼ曹長は暫し悶絶する――。

 




 活動報告にある通り、キャラ募集企画は8月23日00:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)


Ps
 最近はリリスパとラピライが貴重な癒し。そういえばこの2作、主演が同じ声優さんだ……(゚ω゚)
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