機動戦士ガンダム -プリンセス・オーケストラ- 作:オリーブドラブ
-ミレイナ・オコーネル-
16歳。サイド3出身。ジャック・オコーネルの妹であり、フィーネ・エイムの教え子でもある人見知りな士官候補生。搭乗するジムトレーナーの色は濃紺をベースにしている。
※原案はエイゼ先生。
第1回MS戦技会2回戦、第5試合。
その舞台に上がったのは、1回戦で無類の強さを発揮して周囲を戦慄させた、あのアシューカ・クトゥルナ・ジャンファールだった。
『……ふん、その程度か。先のジオン独立戦争で名を馳せた、あのジャック・オコーネル大尉の妹と聞いていたから、どれほどの実力かと思えば。エイム教官のご指導も、無駄になってしまっているのではないか?』
『はぁっ、はぁっ……!』
彼女と対戦しているミレイナ・オコーネルは、その圧倒的な技量の差を前に息を荒げている。彼女が搭乗している濃紺のジムトレーナーは、すでに全身の各部にペイント弾を撃ち込まれていた。
「ミレちゃんっ、頑張って……!」
「くッ……! ミレイナの腕でも歯が立たんとは、なんと恐ろしい奴だ……!」
その窮状を、ただ固唾を飲んで見守るしかないリゼットとジャネットは、親友の勝利を願うだけで精一杯だった。その願いすらも虚しく、圧倒的な力に押し潰されようとしている中で。
『兄の名を汚したくなければ、無様な抵抗はやめて棄権することだ。私としても、エイム教官とオコーネル大尉の武名に泥を塗るのは忍びない』
『……ごめんなさい。それだけは、できないんです』
『なに?』
『お兄ちゃんのためだけじゃない。人見知りで、何もできないダメな私を、それでも見捨てずにいてくれたリゼちゃんが、ジャネット先輩が、学校の皆が……この試合を見てるんです。ここで諦めたら、それこそ私は、お兄ちゃんにもリゼちゃんにも顔向けできないッ!』
『……ッ!』
そんな親友達のエールを、遥か遠くから感じ取っていたのか。気弱で大人しげな表情から一転して、勇猛な貌を見せた彼女は――Dカップの胸を弾ませながら、自機を急発進させる。
ペイント弾を連射しながら迫る、彼女のジムトレーナーは。これまでアシューカがあしらってきた相手とは、比べ物にならないほどの気迫に満ち溢れていた。
『ぐあッ……!? オコーネル候補生、貴様どこまでッ!』
『あなたに……勝つまでですッ!』
その迫力に、僅か一瞬
捨て身のタックルを浴びたアシューカ機はたまらず転倒し、ミレイナに最大のチャンスが巡って来る。このまま取り押さえれば、試合終了だ。
「ミレちゃん、いっけえぇえっ!」
『やぁあぁあーっ!』
『……なめるなぁあぁッ!』
リゼットの叫びと同時に、ミレイナ機が一気に飛び掛かってくる。その攻勢は、アシューカに「本気」を出させるには十分な素早さであった。
組み伏せられる直前、ミレイナ機の両腕を掴んだアシューカ機は、その体勢のままバーニアを噴かして真横に機体を回転させる。やがて両者の姿勢は、逆転してしまうのだった。
『きゃあぁあっ!?』
『勝つのは……私だあぁあぁッ!』
そうなっては、勝敗の判定も変わってしまう。逆に組み伏せられる形となったミレイナ機は、あと1歩のところで勝機を逃したのだった。
『試合終了! アシューカ・クトゥルナ・ジャンファール、3回戦進出!』
そして、アシューカの勝利を告げるアナウンスが、この演習場に響き渡った時。ミレイナの頬には、悔しさの涙が伝っていた――。
◇
「ミレちゃん、すごかった、すごかったよ! 頑張ったね、ミレちゃんっ!」
「本当によくやった。見違えたぞ、ミレイナ……!」
「リゼちゃん、ジャネット先輩ぃ……う、わあぁあんっ!」
試合の後、格納庫へ帰ってきたミレイナを待っていたのは、リゼット達の暖かい出迎えと労いの言葉だった。親友の抱擁に心を解され、ミレイナはますます泣きじゃくってしまう。
一方、そんな彼女達の様子を、アシューカはコクピットから静かに見下ろしていた。その表情はどことなく、ばつが悪そうな色を滲ませている。
(オコーネル候補生の……
やがて居た堪れない、とばかりに彼女達から視線を外したアシューカは。これから自分の前に立ちはだかるであろう「強敵」の存在を、改めて意識するのだった。
(……どうやら私の優勝も、容易いものではなくなってしまったようだな)
リゼット・クラルティという、「強敵」の存在を――。
活動報告にある通り、キャラ募集企画は8月23日00:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)