トリニティセブン~7人の魔書使いと第四真祖~ 《リメイク版》   作:アゲハチョウ

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2話

リリスの案内の元、古城と雪菜は少年と少女と合流し、この街が何故こうなったのかの説明を受けていた。

 

「崩壊現象か。大きな魔力の暴走による魔導災害ですか。黒い太陽の出現による人々の粒子化。たった一人の人物による世界の再構築。それを行った春日さんと魔道書の調査が浅見さんの任務だったと」

「はい。まあ、今は事情が変わってしまいましたが」

「で、俺と姫柊はこのままあんたに着いてくとして、春日とこの魔道書はどうするんだ?」

「一度自分の荷物などを整理出来る物などがあるのか確認して貰い荷物をまとめてこちらで手配した旅館かホテルに泊まったあと、こちらから連絡してから学園の場所など地図を送ります」

「なんだ?俺は一緒じゃないのか?」

「貴方の場合は説明や事情を話すのに時間がかかるでしょうから今日連れていくことはできません」

 

二人に今までの経緯を話す。このあとどうするのかを説明し、取り敢えずアラタは一旦何処かの宿泊施設へと行き古城たちはリリスが所属している学園へと向かうことになった。

 

「それでは春日アラタはこのまま荷物をまとめてここへ向かって下さい。それでは暁さんと姫柊さんはこのまま私に着いてきてください」

 

アラタと魔道書とは一旦別れて、古城と雪菜はリリスと共に歩いていった。

そしてアラタと別れ歩くこと数十分。古城たちは森の中にいた。

 

「ここが学園へと転移できるポイントになります」

「空間転移の魔法ですね。しかもそれなりに大掛かりな」

「那月ちゃんよりこれなら遠くの場所に転移できるな」

「ですが、これは相当制御が難しいものですね」

「まあ、制御している人物は変人ですが…」

 

すると魔法陣が光だし発動し、場所が変わる。そこはどこかの儀式所のような場所に飛んでいた。

 

「ここは学園にある転移魔法ができる唯一の場所です。そしてあそこにいるのが」

「やあ、リリスちゃん任務お疲れ様。そしてうしろの御二方ははじめまして私がこの王立ビブリア学園の学園長だ」

「学園長、場所を移しましょう。ここで話すわけにはいきませんから」

「おっと、そうだね。じゃあ、学園長室に向かおう!」

「なんだかテンションが高い人ですね」

「変人なのは間違いないだろうな」

 

そのまま二人の後を追うように学園内を歩く。まだ、午前中のためか教室と思われる部屋では授業が行われている様子が伺えていた。

 

「着きました。ここが学園長室です」

「それじゃあリリスちゃん任務の報告のほう最初にいいかな」

「わかりました」

 

そのままリリスはことのあらましを理事長へと話した。

 

「なるほど。その春日アラタくんの編入については許可しよじゃないか」

「な、そんな簡単に決めてしまってもいいんですか!!」

「彼は従妹の聖ちゃんを助けるために魔道を学びたのだろ?なら、うちに通ってもらおうじゃないか。なにより彼がそれを望んでいるのだろ?」

「そうですが…もし何かの拍子に崩壊現象を起こしたらどうするおつもりですか」

「なぁに魔道を少しづつ学んでいけばその危険性も低くなるだろうさ。それに他の場所で見ず知らずの魔道書で暴走されてみたまえこんどは手に負えない自体になるかもしれないよ?」

「わかりました。そのように連絡します」

 

どうやら話はついたようだ。そして学園長は古城たちへと視線を向けた。

 

「さて、待たせてしまったね。君たちの話を聞こうじゃないか」

「わかかりました。それでは私たちがここに来た経緯についてお話します」

 

それから古城と雪菜は自分たちがここに来た経緯を学園長に話した。

 

「なるほど。こことは全く異なる文化や世界観がある異世界からの放浪者ってわけか」

「ああ、そういうことだ。まさか異世界に飛ばされるとはこっちも思わなっかたけどな」

「ええ、しかも魔法の行使にも違いが見られましたが」

「詳しくその話を聞きたいけど…君たちの年齢を聞いていいかな」

「俺は16だ」

「私は15です」

 

二人の年齢を聞き、学園長は笑顔で二人に提案する。

 

「なら、二人ともこの学園に通ってみないかい」

「「え」」

「戻る手段がないんだろ?幸いこの学園は魔道を学ぶ場所であり、魔道を極めた人間も何人かいるからね。その子達にも協力してもらうといい。ちなみにそこにいるリリスちゃんも魔道を、書庫(アーカイブ)を極めた一人だよ」

「へぇ、そうなのか」

「先輩、そこはもっと驚くことです」

「そういう姫柊だって驚いてないだろ」

「ハッハッハ、二人ともリアクションが薄いね」

 

薄いはずだ。今まで巻き込まれてきた事件の中にはその魔道を極めた人物たちなんかよりも強大な力を持つ者たちや道具などとであってきている。それに古城自身が自分たちがいた世界で都市伝説にもなっている世界の理から外れた世界最強の吸血鬼の真祖なのだ。リアクションの取りようがなかった。

 

「そこまで反応がないと流石に凹みますね」

「あっ、いえ!別に驚かなっかたわけではないんです。浅見さんが凄い魔道士なのはなんとなく分かっていましたから」

「あと、あの春日もな。魔法を使うだけなら浅見さんより上かもな」

「ほう。その春日くんというのは今日リリスちゃんが出会ったていう魔王候補と思われる少年かな」

「はい。世界を再構築してしまうほどの力。さらに所持していたのはアスティルの写本と思われる伝説の魔道書。ここまでのことを纏めて考えると魔王候補と考えるのが普通かと」

 

魔王候補と言う単語を不思議そうに聞いている二人。

 

「なんだ?魔王候補って?春日は魔王になれる存在なのか」

「そうだね。彼は世界すら簡単に壊してしまうような存在だ。今は彼自身がそれを自覚してないがいずれは魔王となってしまう存在ってところかな」

「そうか。でもそれって自分で制御できるものなんじゃないのか。自分の力のわけなんだからよ」

「確かにできるかもしれないね。古城くんのその可能性は否定できないね。この世界の魔道は“すべての可能性を否定しない”。もしかしたら彼が魔王としての力を制御できるかもしれないね」

「…そうか」

 

古城はそれ以上何も聞くことはなかった。

 

「それじゃあ話はこれでお終いってことで!君たち二人の制服はアラタくんが来る日に渡すよ。彼も君たちみたいな顔見知りが一緒に編入したほうが気が楽だろうしね。それじゃあ、リリスちゃんには学園内の案内と寮の部屋もこっちで用意しておくから説明しておいてくれ。あと、古城くん雪菜ちゃんは同じ学年でクラスも一緒にしておくよ」

 

そんな感じで古城たちはこのあとリリスに学園内を案内され寮での規則などを説明された。

 

「しかし本当に俺たちがいた世界じゃないんだな」

「そうみたいですね。歴史も文化も所々違いますし、地図に示されている土地も全然違うものでした」

 

リリスからの案内などを終え雪菜は与えられた自分の部屋ではなく、古城の部屋で本当に異世界に飛ばされたことを実感したと話していた。

 

「あぁ。まさかこんなことになるなんてな。凪沙やアヴローラや浅葱や煌坂たちも心配してるだろうしな」

「そうですね。なるべく早く戻りたいですね」

 

あちらにいる妹や血の従者である彼女たちがきっと自分たちのことを心配しているだろうと考えた。

 

「というか、俺大丈夫じゃないよな。このまま戻るのが遅くなったら資料やら課題やら終わんねんじゃねか。完璧に那月ちゃんや浅葱にドヤサれる」

「だ、大丈夫ですよ。お二人にきちんと説明すれば理解してくれる筈です。私もお手伝いしますから」

「本当か姫柊」

「はい。私は先輩の監視役ですから」

 

雪菜が最後にいったセリフになんだか安心したのか古城は笑顔を見せ、雪菜も釣られるように笑顔を見せた。

 

「あっ、先輩。くれぐれも学園内で吸血衝動なんて起こさないでくださいね」

「分かってるって。こんなところで起こしたら面倒だからな」

 

そんな会話を最後に雪菜は部屋へと戻り、古城は吸血鬼の習性になんと抗いながらいつもどおりに寝たのであった。


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