「ただいま無料試食会を実施しています〜!是非どうぞォ!」
スーパーのある一角で男性店員が声を上げ、客の注目を引こうとする。その傍らで、よく熱されたホットプレートの上ではソーセージが煙を立て、その身を焼かれていた。
「ひとつ下さい!」
彼の声とソーセージの焼き上がる匂いにつられて、小学生くらいの子供が元気よく声をかける。
「おお!少年、元気だね!よしよし、なら君には焼きたてをプレゼントだ!焼きたてのやつ、頼みます!」
彼の声に反応した中年女性店員は先程焼きあがったばかりのソーセージを菜箸でとり、そのまままな板へ持ってゆく。
男性店員はそれを包丁で切り、可愛らしいキャラクターの爪楊枝を刺す。
「はい、どうぞ!」
「ありがとー!」
焼きたてのソーセージを少年は頬張る。
口の中に入れた時、熱がる様子を見せたもののソーセージを味わった彼は満足そうな表情をしていた。
その時、スーパーの入口付近では人々が集まりつつあった。
「なんだか騒がしいわね…」
「俺、見てきますよ」
そういって彼はスーパーの入口付近へと向かっていった。そこには買い物客が不思議そうに外を眺めていた。
「何かあったんですか?」
「ああ…あの赤い服の人達が街を歩いているんだ…」
男性店員が外を見ると、赤いカッパのような物を羽織った数十人が街を練り歩いていた。
赤く、ひとつに纏まった人々が街を突き進んでゆく。
『街』という日常の風景に、赤い集団が突き進む非日常さは時が経つにつれて増してゆく。
「なんか大変な事でも起こるんじゃないのか君!」
声を上げながら、不安そうにする男。
だが男性店員は笑っていた。
「な、なぜそんなに笑っていられるんだ!奇妙な事が起こっているんだぞ!」
「あの…もしかしてこの街来るの初めてですか?」
「…そうだが。ど、どうして分かるのかね?」
「今に分かりますよ!」
男性店員が言い終えた直後。
赤い雑踏はいきなり歩みを止めた。
「焼くだけ美味しい〜アカイソーセージ!」
「冷めても美味しい〜アカイソーセージ!」
「皆大好き美味しい〜アカイソーセージ!」
いきなり流れ出した音楽とともに、赤い集団はパフォーマンスを繰り広げ始める。
「…は?」
「いやぁ。この街にあるアカイグループが自社の注目商品であるアカイソーセージをPRするとき毎回ああするんですよ。今や恒例行事って感じなんですけど知らない人が見るといつもびっくりするんですよね〜。赤いカッパみたいな服はアカイソーセージをモチーフにしてるんですよ!」
「…」
男性はその光景に呆気を取られた。
そしてお土産にアカイソーセージを買った。
今回のお題は『即興小説トレーニング』様より『赤の雑踏』及び『ソーセージ』。
制限時間15分で書いた物を内容の追加や誤字・脱字の修正をして投稿。