戦姫絶唱シンフォギア 悪意に囚われし戦士   作:オルター

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ソレを止められる者はいない

オール・ゼロ…

 

 

 この世界の響が変身した戦士。悪意の象徴にして、通信衛星アークが生み出した者の名は”仮面ライダーアークゼロ”。

 

「……」

 

 アークゼロはノイズの大群を見ると、静かに歩き出す。すると彼の歩いた場所からは、人間の負の感情を表す漢字と人間の悲鳴のような音が聞こえた。

 

「もしかしてあの鎧の戦士が…?」

 

「ノイズを倒した張本人って事かよ…!」

 

 負の感情の漢字を見てマリアとクリスは、目の前にいるアークゼロこそがこれまで一瞬でノイズを倒していた者だと判断した。ノイズ達はアークゼロに飛びかかろうとするが…

 

「……」

 

 アークゼロはまるでノイズの行動パターンが分かっているかのような動作で、攻撃を避けていく。そして背後からも大量のノイズが襲いかかってきた。

 

「ふんっ!」

 

 しかしアークゼロはそれすらも気づいており右の掌からビームを薙ぎ払うように放つと、近くにいたノイズ達を纏めて消滅させてしまった。

 

 すると彼のベルトの赤いコア部分からビームが多次元プリンターのように照射され、青いアタッシュケース型の武器”アタッシュショットガン”が生成された。

 

ショットガンライズ!

 

 アークゼロはショットガンを構えると、腰のホルダーから青いデバイス”シューティングウルフプログライズキー”を取り出して起動させる。

 

バレット!

 

 起動したキーをショットガンに装填し、すぐさまトリガーを引く。

 

 

シューティングカバンショット!

 

 すると銃口から青い狼型のエネルギー弾が発射され、余っていたノイズ達を一掃した。

 

(成程。こうやって街に現れたノイズを倒している訳ね。道理で天羽 奏が来た時には何もない筈だわ)

 

 アークゼロの戦いをマリアは冷静に分析していた。そして分析している間に、その場にいたノイズ達は全て消滅した。

 

「何度も何度も…執拗い連中だ。奴らには学ぶという選択肢が無いのか?」

 

 アークゼロから発せられた声は、変身前の響とは違う大人しい成人男性のような声だった。そして彼はその場から立ち去ろうとする。

 

「おい待てよ!」

 

 クリスの呼びかけで、アークゼロは足を止めた。

 

「何だ。俺はお前達には何も用は無いのだが?」

 

「お前には無くても、あたし達にはあるんだよ。これまで街中に現れたノイズを倒していたのはお前なのか?」

 

「Yesと答えれば、どうする?」

 

「何でこんなことやってるのか、きっちりと理由を吐かせてもらう。次いでに、それに変身している中身の人間の事もな!」

 

「質問の答えはYesだ。だがお前達に理由を話す理由が、俺には無い」

 

「だったら無理矢理にでも話させてやる!」

 

 クリスはそう言うと、拳銃を発砲する。

 

「……」

 

 しかしアークゼロはその弾丸を見ることなく右手で受け止め、遠くに放り投げてしまう。

 

「何っ!?」

 

「俺はお前達に対して敵意は無い。だが、お前達の方から攻撃してくるなら…お前達も敵だ!」

 

 すると彼は、目にも止まらぬスピードでクリスに接近する。クリスもアームドギアのミサイルで迎え撃つが、それらも全て紙一重で避けてしまう。

 

「嘘だろ!?」

 

「今度はこちらの番だ」

 

アローライズ!

 

 アークゼロはベルトからアタッシュケース型の弓”アタッシュアロー”を生成すると、弓に付けられた刃でクリスを切りつけ、吹っ飛んだところに追い討ちとして光の矢を放つ。

 

「がはっ!」

 

 クリスは為す術なく地面に転がってしまう。

 

「クリス!このっ!」

 

 マリアも負けじと、アームドギアの短剣を蛇腹状に変化させての多角的な斬撃『EMPRESS†REBELLION』を繰り出す。

 

「その程度の技では、俺は止められない」

 

 しかし全ての斬撃が見切られ、オマケに刃の一部分を捕まえると物凄い力でマリアを引っ張り、近くまで来たところに腹部へ強力なパンチをお見舞いする。

 

「ぐわっ!」

 

 クリスと同じように、マリアも吹っ飛ばされてしまった。それを見てアークゼロはこう言い放つ。

 

「先に刃を向けてきたのはお前達の方だ。こうして返り討ちにされたとしても、文句は言えないぞ」

 

「私達は貴方と戦いたいんじゃない。話がしたいだけなのよ!」

 

「ならば、そこの赤い鎧を纏った女に聞こう。何故俺に対して攻撃してきた?」

 

 マリアの言葉を聞いて、アークゼロはクリスに訪ねた。

 

「お前が最初から素直に理由と目的を話せば、あたしは攻撃なんてしない!お前が答えようとしなかったから、あたしは力ずくでも話させようとしたんだ!」

 

「相手の力量も見極めずに、力ずくで話させるとは…笑止千万だな。もしお前達が俺に勝てたとして、理由を話そうとしなければ、どうするつもりだった?」

 

「そっ…それは…」

 

 クリスは言葉に詰まり、反論しなくなった。

 

「…だが、もし俺がここで立ち去ったとしても、お前達は俺を追いかけ続けるのだろう?」

 

「YesかNoで言えば、Yesになるわね」

 

「ならば、お前達のいる組織にでも行って話そうじゃないか。このまましつこく追われるよりは、理由をここで話した方がお前達は満足だろ?」

 

「…話が早いようで助かるわ(最初からそうしてくれれば良かったのに…)」

 

 マリアは心の中で苦言を呈しながらも、アークゼロの意見に賛同した。そしてアークゼロは変身を解き、響の姿に戻る。マリアとクリスもシンフォギアを解除した。

 

「まずは、貴方の名前を教えてくれないかしら?」

 

「俺は、”立花 響”だ」

 

「”立花 響”だって!?」

 

 2人は響の名前を聞いて驚いていた。

 

「何だ?俺の名前を知っているのか?」

 

「…それについて話すと長くなるから、一度私達について来て貰える?詳しいことはそこで話すわ」

 

 こうして響は、2人について行く事になった。

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 ―二課司令室―

 

 二課司令室に来た響はお互いに自己紹介を済ませ、マリアから詳しい話を聞いていた。

 

「成程。お前達2人は並行世界から来たシンフォギア装者で、その世界には俺と同姓同名の女がいる。だから俺の名前を聞いて驚いていたんだな」

 

「それでは、今度は我々の番だ。何故君がノイズを倒していたのか、あの鎧の姿は一体何なのか、話して貰いたい」

 

 風鳴司令は、響に尋ねた。

 

「いいだろう、まずはあの姿についてだ。俺が使っている力は、今はデイブレイクタウンの海底に眠っている”通信衛星アーク”の力だ」

 

「”通信衛星アーク”だと!?」

 

「それは了子君が言っていた…!」

 

「その口ぶり…あんた達も何か知ってるのか?」

 

 クリスと風鳴司令の言葉を聞いて響も聞き返す。

 

「私の推理よ。今回のノイズ消滅事件に、衛星アークの技術が使われているんじゃないかって思ってたけど…まさか本当だったなんてね」

 

「話を戻すぞ。俺がそのアークの力を手に入れたのは、今から2年程前のことだ」

 

「2年前と言うと…丁度あたし達ツヴァイウイングのライブ事件があった時期じゃないか!」

 

 響の言葉に、奏は驚きを隠せなかった。

 

「なら話は早い。ここからは話が長くなるから、なるべく口を挟まずに聞け」

 

 

 ~中略、1話参照~

 

 

「…そして俺はその女から力を受け取り、2年もの間デイブレイクタウンに住み着いていた…という訳だ」

 

 一連の話を聞いて、他の面々は黙っていた。

 

「…この世界の貴方も、ライブの後に酷い目にあっていたのね」

 

「…その点については、申し訳ないと思っている。まさか我々の知らないところで、そんな事が起きていたとは思っても見なかった…」

 

「今更謝ったとしてももう遅い…!俺はあの時、誰でもいいから助けて欲しかった、救いの手が来るのを望んでいた!だけど、誰も俺を助けてはくれなかった!理由のない悪意の所為で…俺の人生は…!」

 

 そう語った響の目を見て、マリアとクリスは同じ事を思っていた。

 

 嘗て自分達の知らないもう1人の立花 響に出会った事があり、彼女も迫害をきっかけに孤独の道を歩んでいた。だが今目の前にいる響は、彼女以上に苦しみ、自分達のよく知る響の面影もない程に、性格が歪んでしまっていた。どうすれば彼を救えるのか…と。

 

「…それで、貴方にアークの力を与えたその女は、今はどうしてるのかしら?」

 

「その女はもう居ない。俺が殺した…否、壊したと言った方が正しいか」

 

「壊したってどう言う事だよ!?その見た目からして、そいつは人間だったんだろ!?」

 

 了子の質問に響が答えると、クリスが強く聞き返した。この場にいる響以外の人物は、その女の正体”アズ”について知らないのだから、当然の疑問である。

 

「その女は人間じゃなかった。あいつは、人間に似せた機械(・・・・・・・・)だったんだよ」

 

「だとすると、響君が会ったって言うその女は”ヒューマギア”…飛電インテリジェンスが製作した人工知能搭載人型ロボットの可能性が高いわね」

 

「ヒューマギアか…まさかそんな奴が俺に力を与えていたとはな…あの女はアーク様アーク様うるさかったから、俺が消してやった。何だかんだアークの力はノイズへの対抗策にもなり得たし、俺が復讐を果たす為の良い道具として使えそうだったから、そのお礼としてな」

 

 復讐という言葉を聞いて風鳴司令は口を開いた。

 

「復讐…君はいつまでそれを続けるつもりだ?」

 

「決まっているだろう!心の中に溜まったこの鬱憤…全てノイズ共の所為だ!俺の家族を殺した奴等も憎いが、それ以上にノイズ共が憎くて仕方がない!俺は何処までも戦いを続ける!この世界からノイズが消えるその日まで、永遠に!」

 

 完全に悪意に染まっていたであろう響の赤い瞳。それを直に見た風鳴司令はおろか他の面々も、彼の語気から大きな負の感情を感じ取っていた。

 

「…少し長く居座り過ぎたな。話すべき事は全て話したんだ、これで満足しただろう。俺はデイブレイクタウンに戻るが、今後はあまり首を突っ込まないことだ。これは他でもない、俺自身の問題なんだからな」

 

 

 

 そう言うと響は、二課司令室を去っていった。クリスやマリア達はその背中を、黙って見送ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 




今回の話を見てアーク響の面影が、仮面ライダーに登場したあの人物と重なった人も少なくはないでしょう。ですが彼とは違いちゃんとアーク響の救済ルートは用意してあるので、どのようにして響が救われるのか…楽しみにしていて下さい。
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