その錬金術師は旅をする   作:のんびりマスター

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楽しんで行ってね〜


第二話

近くにある街が見えるとキャロルは敢えて手前で下ろし、他の馬車が来るのを待つ。

 

「風の感じからして……もう街は目の前ですよね?何で手前で止まっているんですか?」

「……色々と理由があるが、馬がいないのに馬車は動かん。それなのに街に着いたら不自然過ぎるだろ」

 

まあ、錬金術を使っているのだからバレたら大変な事になる。だから敢えて手前で止まった。

 

「え?魔法使いさんが運んだって言ったらいいじゃないですか?」

「魔法なんて便利な物があるか!?」

 

本当はここまで来るのにキャロルは相当の労力を使っている。もちろん、馬車が壊れないようにとこの娘が落ちないように繊細に操作しているので相当疲れているのだ。

 

「言っておくが、街に入ったら俺の事は魔法使いじゃなくて旅人と呼べ。いいな」

「え〜」

「い・い・な‼︎」

 

そう言うと少女は顔を膨らませると、キャロルもため息を付く。

 

「はぁ……もし俺の事を街中で旅人と言うなら俺の名前ぐらいは教えてやる。それでいいか?」

「え⁉︎いいの⁉︎わかった‼︎旅人さん‼︎」

 

この娘……チョロいな。まあこれでいいだろう。

そうしていると、たまたまこの道を馬車が通り掛かる。お、運が良いな。こんな早く来るとは。

 

「む?そこにいるのはトゥーマーンか?そんな所にいて何をしている?」

「その声はカイルおじさん‼︎実はですね…‼︎」

 

キャロル達の目の前にカイルが現れる。しかもカイルは目の見えない少女と知り合いのようだ。

経緯を話していると、カイルは少女の話を信じたのか簡単に自分の馬車の後ろに少女の馬車を繋ぎ、そのまま連結して街まで進む。

 

「カイルおじさんでよかった。こんな話言っても誰も信じてくれないもの‼︎」

「だろうな……それにしてもお前の名前はトゥーマーンというのか?」

「ううん、それは下の名前。私の名前はガリィ・トゥーマーンよ旅人さん」

「そうか。俺は……」

「俺は⁉︎」

「……旅人だったなまだ。名前は近いうちに言ってやろう」

「え〜‼︎もう名前言ってよ‼︎」

 

駄々をこねるガリィを横に、キャロルはカイルのいる馬車に移動する。

 

「お、旅人か。小さいのに良くするな。まあ、俺も若い頃はよく旅をしたもんさ‼︎はっはっは‼︎」

「こう見えてそう年は行っているがまあ良い。それによくあんな話を信じたな。あんな夢物語みたいな話」

 

キャロルがそういうと、カイルは苦い顔をしながらも話す。

 

「あいつはそんな事言うような子じゃない。ガキの頃からあの子の事を知ってるからな。ただ、あの子は運が悪かったそれだけさ」

 

カイルは最後に何か引っかかるような事を言うが、キャロルはそれを簡単に聞き流す。数十分走ると、キャロルの目指す街に到着する。

 

「着いたぞ旅人。ガリィはそのまま乗っておきなさい。どの道馬がいないんじゃ動かんからな」

「はーい‼︎あ、そうだ‼︎旅人さん今日の宿はどうするの⁉︎」

「あ?……ンなもん考えてるわけないだろ」

「じゃあ私の部屋に泊めてあげる‼︎旅人さんの話しを聞きたい‼︎」

 

宿代の節約にもなるし1日ぐらいなら別にいいか。

 

「良いが、俺は色々と忙しいからあまり構ってやらんぞ?」

「それでもいいの‼︎じゃあ旅人さんもこのまま一緒に乗っておいてね」

「ああわかった」

「そうかじゃあ旅人も一緒にガリィと同じ場所に連れて行ってやる。その前に、旅人。ちょっと来てくれ」

「ん?なんだ?」

「……今から行く場所、相当ヤバい場所だ。手は絶対出すなよ」

「はあ?どう言う事だ?」

「……見ればわかる」

 

何を言っているのか意味が分から無いが、見れば分かるとのこと。まあ、話で聞くより見たほうが早い。街を数分馬車で歩くと、街のど真ん中に大きな役所みたいな場所に着く。

 

「……ここがこの街の役所か。デカいな」

「ああ。うちの集落の自慢の役所だからな。俺は荷物を役所に届けるからガリィと旅人は少しの間だけ待っておいてくれ」

「は〜い‼︎さ、旅人さん‼︎お話ししよ‼︎」

「わかった。じゃあ俺は寝る。カイルが来たら教えてくれ」

「お話ししようよ‼︎旅人さんはなんで旅をしてるの?」

「……気が向いたら話してやる。そもそも俺が旅をしている理由など聞いてもつまらんぞ」

 

聞くだけ無駄だ。あまりにもつまらない話だ。

そう言うがガリィはキャロルのコートを掴み、揺らしながらごねる。

 

「いいじゃん‼︎話してよ‼︎」

「……ああもう‼︎夜話してやる‼︎だから掴むな‼︎揺らすな‼︎」

「やった〜‼︎」

 

ガリィは大喜びするが、キャロルは対して気が乗らないのであろう。明らかに嫌な顔をする。が、ガリィは目が見えないためこのキャロルの表情は見えていない。

 

「届けが終わったぞ。さ、行くか」

 

役所から届けを出したカイルが戻って来て、また馬車を走らせる。そこからさらに数十分ほど掛かるらしい。その間はガリィのマシンガントークが炸裂し、それプラスカイルの昔の話を板挟みで聞かされる。

 

「それでねそれでね‼︎」

「あの頃は俺はもう……‼︎」

「ええい‼︎お前ら少しは静かに出来んのか‼︎俺は静かに読書がしたいんだ‼︎」

 

そう言うがガリィとカイルは止まらない。これは目的地に着くまで止まらないであろう。これじゃあ読書もままならない。

キャロルは目的地に着くまで静かにこの2人の話しを聞く事にした。終始ずっと嫌な顔をするがガリィは見えない、カイルは見ていないで全く通じなかった。

この顔するのもう辞めようかな?

 

 

 

 




あれ?ガリィ・トゥーマーン⁉︎もしかしてこれは⁉︎次回に期待‼︎
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