その錬金術師は旅をする   作:のんびりマスター

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楽しんで行ってねー


第三話

馬車を走らせること数分、ある一軒の宿屋に着く。

 

「でかいな」

 

大きさで行くとあの役所よりは大きくはないがこの町の2番目ぐらいの大きさだろう。こんな場所にガリィは住んでいるのか。

 

「すごいでしょ‼カイルさん、裏までお願いします」

 

「ああ。行くか」

 

なぜかカイルはあまり乗り気ではない。というか行きたくないようにも見える。一体どういうことだ?

キャロルは疑問に思いながらカイル達とともに宿屋の裏まで移動する。裏についた途端、急に裏の扉が開き、そこから一人の太った女性が出てくる。出てきた途端に大声を上げる。

 

「ガリィ‼どこにいるんだい⁉」

 

「あ、おば……」

 

ガリィが馬車から顔を出した瞬間、その女性は急いでガリィの元へ走り胸倉を掴み、ガリィの顔を殴る。

その衝撃で馬車から落ちてしまう。

 

「……ッ‼」

 

「やってくれたわね‼馬を二匹も逃がすなんて。ロクに仕事もできないのかい⁉」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「謝って済む問題じゃないわよ‼このポンコツ娘‼」

 

「‼」

 

太った女性は地面に倒れたガリィをもう一度殴ろうとしたその瞬間、キャロルはその女性の腕を掴む。

 

「おい、いい加減にしろ。こいつは目が見えていない。そんなこいつに仕事を任せたお前の責任だ。こいつには責任はないはずだ」

 

「はぁ⁉あんた見ない顔ね。旅人かい?」

 

「だったらなんだ。貴様なんぞに名乗る名前なんぞもってないがな」

 

「そうかい。なら覚えておきな。この街であたしに逆らうことはしないことね。ガリィ、今日はあんたに食わせる飯はないとおもいな」

 

「……はい」

 

「フン」

 

太った女性はズカズカと音を立てながら宿屋の中に入る。

 

「なんだあのクソみたいな女は⁉おいお前‼なんでやり返さない‼」

 

「おばさんにはお世話になってるから……」

 

「んなもん関係ない‼あんなやつのさばらせている町も町だ‼︎」

 

キャロルはそう言うと、何故かカイルが頭を下げる。

 

「気を悪くさせたすまない。許してやってくれ。カレンは気が少し荒いんだ。ガリィ大丈夫か?」

 

「私は平気です。えへへ、やっぱり怒られちゃいました」

 

「……今日の所はカレンの気が収まるまで町か部屋の中にいなさい」

 

「は〜い。じゃあ旅人さん‼︎町の案内するから着いてきて‼︎」

 

「お前話を聞いていたのか⁉︎」

 

「だって町にもって言ってるから良いんだよ‼︎さ、早く行こ‼︎」

 

ガリィに手を引かれ、キャロルは無理矢理引っ張られる。しかも強い力で。お、おい⁉︎

すると、カイルは笑顔で手を振っていた。どうやら助けてはくれないらしい。

 

「早く行こう‼︎」

 

「……ああもう行く。だから引っ張るのを辞めろ‼︎」

 

こいつは……少しばかり厄介だな。

キャロルはそんな事を思いながらガリィに付いていく。そもそもこいつは眼が見えないのに町を案内出来るのか?

そんなキャロルの疑問と不安を打ち消すかのようにガリィは淡々とこの町の説明をしだす。

 

「ここは町でも自慢の役所だよ‼︎大きいでしょ⁉︎」

 

「ああ、さっき見たがまた近くで見るとやはり大きいな」

 

自慢なだけはある。中には何があるのだろうか?

 

「中にはちょっとした酒場とかがあるよ。でも子供は入っちゃダメだよ‼︎旅人さんは特に‼︎」

 

「誰が子供だ‼︎貴様より年は相当上だ‼︎」

 

見た目は変わらないものの何百年と生きている。錬金術師は錬金術の道を極めると見た目は変わらず、何千年と生きることが出来る。なのでキャロルは見た目は子供でも何百年と生きているのだ。錬金術って凄い。

 

「そんな見栄を張らなくていいよ‼︎大丈夫、このガリィお姉さんに任せなさい‼︎」

 

胸をトンッと叩き、笑顔で言うがキャロルは内心、相当嫌な顔をしている。いや、もうすでに顔に出ている。が、ガリィには見えていない為なんの効果も無い。

 

「……で、次は何処に案内するつもりだ?」

 

「次はね……‼︎」

 

そう言ってガリィは色々な場所にキャロルを連れ回すが、その説明の殆どをキャロルは聞いていない。

そもそも疲れているのかガリィの相手が面倒なのかどっちか分からないがずっとボーッとしていた。考えるのを放棄したと言った方が正しい。

すると、いつの間にか辺りは暗くなり、夕日が町に差し込んでいた。

 

「あ、もう夕方か」

 

「……見えなくても分かるのか?」

 

「風とか陽の当たり具合で分かるよ‼︎凄いでしょ‼︎」

 

それは普通に凄いな。同じ立場になったとしても俺には到底出来ない芸当だ。おそらくこの娘の才能と言った所か?

 

「それにしても腹が減ったな。おい、ここら辺でうまい店は無いか?」

 

「それならカイルさんのお店が一番美味しいよ‼︎これは贔屓ではなく本音だよ‼︎カイルさんの作るご飯はこの町でも1番だよ‼︎」

 

そんなに美味いのか。そう言われると食べたくなってくるな。よし、

 

「そこに案内してくれ。丁度いい、お前も一緒に食べるぞ」

 

「私はいいよ‼︎旅人さんだけでいいから‼︎」

 

「ふざけるな。1人で食べるより2人で食べた方が飯は美味い」

 

パパが居た時もそうだった。1人で食べるより2人で食べた方がいつものご飯より美味しかった。だからご飯を食べるときはみんなで食べる。

 

「で、でも……」

 

「どうせ食べる飯なんて無いのだろ?なら一緒食べた方がいいだろ。ほら早く案内しろ」

 

半ば強引な誘いにガリィは何故か笑顔で頷き、カイルが営む料理屋に移動する。全く、自分からはぐいぐい来るのにこっちから来たら逃げる。面倒な娘だ。

 

 

 

 




カイルさん料理していたのか⁉︎どんなものか…お楽しみに‼︎
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