諦めた夢をもう一度   作:hirag

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5話 翼

光華「バカな男···こんな女の為に死んじゃうなんて···」

 

蒼の死体を見下ろしながらその女は言った

 

光華「さてと、あなたも彼の後を追わせてあげるわ」

友希那「貴女は‼」

 

怒りが込みあがってくる、この女を許せない!

 

光華「あなたはさっきの会話を聞いてたかしら?まぁ、聞いていようが聞いてまいが、あなたには関係ないけどね。」

 

友希那「どうして!貴女は蒼に固執するの!」

 

光華「彼とは恋人関係よ、貴方より先のね。でも、新しい体を手に入れた彼はもう私の物よ。あなたには関係ないわ」

 

友希那「新しい体…」

 

脳を組み込んだロボット…

 

光華「最後にいいこと教えてあげるわ。二年前のライブの事故は私が仕込んだことよ」

 

友希那「どういうこと…」

 

光華「あなたを排除するためよ。あの時は、仮面をつけた人に邪魔されたけど、今度こそあなたを殺せるわ。じゃあね~湊 友希那」

 

自分の死が近づいてくる

 

友希那「みんなごめんなさい。私はここまでね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼「やはり、そうだったんだな」

友希那・光華「⁉」

 

蒼が急に立ち上がり、齋島を蹴り飛ばした

 

光華「うっ…!!な、何で生きているのよ!」

友希那「蒼‼」

 

蒼「二人を騙せたってことは大成功だな。さてと、そろそろだな」

 

蒼がそう言い終えると――

 

劉「ここまでだ!」

和期「大人しくするんだな!」

 

幸成「齋島 光華 お前を傷害、並びに殺人未遂の容疑で逮捕する」

 

武崎君のお父さんの幸成さんが駆け、彼女を取り押さえた

 

光華「クソ‼どうしてこんな…」

蒼「お前の敗因は俺を殺し切らなかったことだな」

友希那「どういうこと?」

 

蒼が縄を解きながら話した

 

蒼「事前に弦巻さんから輸血パックと大量の雑誌をもらったからそれを体に巻き付けていたんだよ。それとこの左胸の機械のお陰だな。よし、解けた」

 

縄を手解き終え、壊れた機械を持ちながらそう言った

 

友希那「ありがとう。じゃあ、さっきの吐血は…」

蒼「口の中に血の入りカプセルを含んでいたのさ」

 

友希那「そうなるとさっきに刺し傷は…」

蒼「あぁ、この通りさ」

 

蒼が服をめくりあげると雑誌に大量の血がついていたけど、体には傷がなかった

 

友希那「驚かせないでちょうだい!」

蒼「ごめん…でも、この方法しかなかった」

 

もっといい方法が別にあったと思うのに…

 

光華「こんなことが…私の計画と研究は完璧なのに…」

 

蒼「まだ自分の研究が完璧だと思っているのか?言っておくが、お前の研究は穴だらけだ」

 

光華「なんですって?」

蒼「脳を機械に組み込む?笑わせるな!機械に組み込んだとしても、それは機械の動きしかしない」

 

光華「そんな…うそだ!あの二人は…」

 

動揺している。医学の事はよく分からないけど。これだけ分かる···あの女の考えが間違えていることだけは確か…

 

蒼「何日様子を見た?」

光華「え?」

 

蒼「まだ分からないか?脳を移植したとして、脳に送るエネルギーは何処から供給する?人体には機械では代用できない器官が山ほどある。

特に臓器を機械で代用するならこの廃墟ぐらいの大きさ…いや、それ以上の部屋が必要だ」

 

 

友希那「ということは…血液を運ぶ血管は…」

 

光華「まさか…」

 

蒼「血管の代わりになるチューブは血管の数だけ必要になる。現実的じゃないな」

 

光華「私の研究が···私の生き甲斐が···」

蒼「犠牲になった二人は長くは生きていられなかっただろう」

 

光華「あぁ…あぁ!ああああああああ!」

 

蒼「もし実現したとしても、死んでもお前の傀儡にはなりたくないけどな」

 

光華「ならば‼私の思い通りにならないのなら…せめてその女を!」

 

劉「コイツ!まだこんな力が!」

和期「湊!危ない!」

 

彼女が二人の拘束を解き、鉄パイプを持ちって私に目掛けて襲い掛かってくる。

 

光華「くたばれ――!!」

 

足が動かない…こ、殺される。

 

鈍い金属音が乾いた部屋に響いた。でも、痛みはなかった

 

蒼「グッ!」

 

目を開けると、蒼が私をかばってくれた。でも、左腕がありえない方向に曲がっていた

 

友希那「蒼!腕が!」

蒼「平気だ…気にするな」

 

友希那「平気な訳ないでしょう⁉」

蒼「忘れたか?この腕の事を(小声)」

 

腕?そう言われて、私はあることに気が付いた。彼の左腕は義手だったことを

 

光華「ざまぁみなさい!あなたがその女をかばうことは予測していた!腕が折れたバンドマンは翼が折れた鳥も同然ね――」

 

蒼「翼が折れた鳥か…ハハハ!」

光華「な、なにがおかしいの?」

 

蒼「悪いな齋島…」

 

蒼は左腕の義手を外し、袖をめくりあげる

 

蒼「すでに翼はないんだよ」

光華「な…ん…で···」

 

蒼「齋島、お前はさっき仮面の男の事を言っていたな?」

光華「えぇ、あの忌々しい仮面の男。それがどうしたのよ?」

 

蒼「お前の言う仮面の男は俺だ。お前が俺の腕を奪った張本人。そんなお前と違って友希那はそんな俺を受け入れてくれた。俺に翼を…希望をくれた大切な人だ!」

 

光華「そんな…」

 

蒼「私利私欲のために動くお前とは違う!」

幸成「連れていけ!」

 

光華「畜生――!! 湊 友希那! 美竹 蒼!私は必ず帰ってくる!二人とも絶対殺してやる!!!」

 

愛が怒りに···怒りが殺意に···彼女の理想が壊れ

 

破壊者()に怒涛浴びせる。

 

しかし、そんな彼女の足掻きも虚しく佳寿君と上田君に連れていかれた

 

蒼「じゃあな、齋島。ふぅ~」

 

蒼は急にその場に崩れるように座り込む

 

友希那「大丈夫?」

 

蒼「あぁ、緊張が解けて腰が抜けちゃった。それに、また守る事が出来た」

友希那「何時も···無茶ばっかりするのだから」

 

外れた義手を見ると、損傷が激しかった

 

蒼「これはもう使い物にならないな」

友希那「ねぇ、蒼…」

 

蒼「なんだ?」

友希那「貴方だけは道を踏み外さないで···」

 

彼女の歪んだ思想を聞いて、私は不安になった。でも、その心配は必要なかったわね。だって···

 

蒼「踏み外さないさ。あと少しだから…さて、俺たちも帰ろうか」

友希那「えぇ、そうね。私達の居場所に…」

 

満ちた顔をしているから

 

外伝の内容は?

  • BADEND
  • 5年後世界
  • 楓誕生まで
  • 10年後のAfterglow

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