シャンフロキャラで〇〇!   作:mitune

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やや短いです、半日で仕上げたので後から添削するかもしれません


サイナJD概念その二

「…なぁ、サイナさんや?」

 

「おはようございます、どうしましたか?」

 

 今、俺とサイナさんの距離は15センチ。

 

 

 

 え、なんで?

 

 パーソナルスペースもへったくれも無いこの状態で、もぞりとサイナさんが身じろぎをする。膝のあたりに何かの感触を感じる…サイナさんの足、か?

 

「よく眠れたようですね」

 

「あ、あぁ…」

 

 おかしい、攻略が煮詰まってしまったので仮眠の為にベッドで横になったことまでは覚えている。だが何故サイナさんが横で寝ている?しかも俺の腕を枕にして。

 

「あー、その、なんでそこに?」

 

「起こしても起きなかったので」

 

 さっぱりわからんわボケが、とりあえず体を起こそうとして…腕が持ち上がらない。

 

「サイナさん頭上げてくれ」

 

「もう少しだけ…」

 

 そう言ってまた身じろぎをしながら横向きになって顔をこちらに向けるサイナさん。サラリと落ちて来た蒼髪が一房、その輝きを以って絡み取らんと腕に落ちて来る。ゆっくりと持ち上がってきたサイナさんの右手が俺の胸元に伸びて……。

 

「よっ」

 

「あうっ」

 

 スポッと腕を引っこ抜く、ポフッっと音を立ててポンコツの頭が低反発マットレスに沈み込む。

 

「むぅ…楽郎君は寝ている女の子に無体を働く人だったのですね」

 

「クソみたいな風評被害はやめろください」

 

 ノロノロと上体を起こすサイナさんを無視して、素早く立ち上がり軽くストレッチを行う…ベッドを背にして、顔の向きを固定しながら。

 

 

 

「それで、なんで俺のベッドで寝てたんだ?」

 

「瑠美さんが入れてくれたので部屋まで来たのに、楽郎君が起きなかったので…」

 

「だからって横に入ってくんなよ」

 

「ダメでしたか?」

 

「…ええぃ瑠美の奴は!?」

 

「私を家に入れた後に『バイトがあるからちょっと出かけて来るね!』と言って飛び出していきました」

 

「余計な気を回しやがって…」

 

 最近瑠美がサイナさんに懐いてしまい、家にサイナさんがいる時はくっつきに来る。休日等はデパートに連れて行って着せ替え人形にしているらしい。そこまではいいのだが…何を勘違いしているのかサイナさんと俺を二人きりにしようとするのだ、されてもゲームの話くらいしかせんわ。

 

「瑠美さんに後でお礼を言いましょう、おかげで楽朗君の寝顔も堪能できました」

 

「えぇ…かなり恥ずかしいんだけど」

 

「…写真もありますよ?」

 

「肖像権」

 

「瑠美さんに許可をいただいております」

 

 あいつ何兄の権利を投げ飛ばしてんの!?

 

「はぁ…まぁいいや、なんか用事ですか?」

 

「実はそうなんです」

 

「お?」

 

 てっきり「用が無ければ来てはいけませんか?」くらいは言い返してくるかと思ったのだが…?

 

「楽朗君に甘えに来ました」

 

「金なら持ってませんけど」

 

「というのはまぁ半分冗談ですけど」

 

「もう半分で何を狙ってたんですかね…」

 

 ベッドの上で座りなおして、真剣にこちらを見つめるサイナさん。

 

「楽朗君の進路が来鷹大学というのは本当ですか?」

 

「え、はい、そうですけど」

 

 それ確認するためだけに家まで来たのか?

 

「そうですか…」

 

 あからさまに気落ちしているサイナさん、よくわからん。

 

「あー、休憩も出来たし、シャンフロやるか」

 

「…私の大学じゃないのですね」

 

 ぼそりと、それこそ蚊の泣いたような声で呟くサイナさん、どういうわけか今の俺はそれが聞き取れた。

 

「…え、ひょっとして…」

 

「ええ了解です、ログインを…どうしました?」

 

「俺がサイナさんの大学に行かないのが不満なんですか?」

 

 ストレートに聞いてみる。

 

「……………………」

 

 無表情のままにフリーズするポンコツ、コイツひょっとしてさっきの呟きは無自覚だったのか?

 

「…そう、みたいです」

 

「そりゃまたどうして…あー」

 

 何となく、察してしまった。この人はここが好きなのではないだろうか?この場所で俺とふざけるこの時間をそれなりに気に入っていて、俺が東京の大学に行ってしまうとこの時間が無くなるのではと不安になっている…かもしれない。難解な女心を理解するのは無理だが、仮にも一年以上頻繁に遊ぶ仲なのでどうにかこれくらいは読み取れる。

 

 というかだ、俺もこの時間が無くなってしまうのはちょっとどころではなく寂しい。進路を来鷹に決めた時点で遠方に行く覚悟はしていたが、それでも生まれ育った地元に加えて親しい知り合いと離れるのでは堪えるものがある。

 

「まぁこの時代、チャットでいくらでも会話できますし、オンラインで会うのには何ら不便もありませんし…ほら、今生の分かれってわけでもないんすから」

 

「そうですね…少し、重く捉え過ぎていたかもしれません」

 

 それでは、とカバンからVR機器を取り出すサイナさん。

 

「今日この瞬間を大切にしましょうか、シャンフロをやりましょう」

 

 柔らかく微笑むサイナさんの姿は、どこか儚い雰囲気を纏っていた。

 

 

 

 この二年後に大学を卒業したサイナさんが俺の下宿先に押しかけて来るのはまた別の話

 




※付き合ってません
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