創造魔術師と開闢神器   作:Lie ここあうまい

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かきかきこ


episode.2

 これは晴天の霹靂、とでも言うのであろうか。

 第0部隊隊長のマリーからの思いもよらない命令にレインは耳を自身の耳を疑った。

 

「⋯⋯おいおい、何の冗談だ?俺に、教師⋯⋯?それに⋯⋯」

 

 レインは赴任先の校名を見て、頭を抱えたくなった。

 その名もヴィクトリア魔術学院。帝国最大にして、最優の学院と言われている。生徒のレベルは高く、もちろん教師を務める魔術師もA級魔術師──一流の魔術師ばかりだ。中にはS級、魔術師として最高位の者もいる。

 そこの教師を務めると言うことは、すなわち魔術師としての期待は否応なく、勝手に上がっていくと言うことだ⋯⋯。

 

「冗談でも何でもないわ。それはれっきとした命令、任務よ。そこにも書いてあるでしょ?」

 

 そういって命令書を指差すマリー。それを見えないように四つ折りにするレイン。

 

「折るな、現実見なさい」

 

 無理やり戻される。

 

「まぁ、命令は了解した。⋯⋯だが妙だな。これ、本当に第0部隊──《黒の扉(ブラックドア)》でやる必要あるのか?しかも俺って⋯⋯もっと適任いたんじゃないか?」

 

「まぁまぁ。これは王様直々の依頼よ、レインの名指しでね」

 

「んぁぁ、ア(・)イ(・)ツ(・)からの指名か⋯⋯。じゃあ仕方ねぇな」

 

 王直々と聞いたレインはどこか懐かしむ様に視線を遠くへ投げた。

 

「それとこれ、詳しい資料ね。目を通しておいて」

 

 マリーが資料の入った封筒をレインに渡す。

 中からいくつか出し、ざっと目を通す。⋯⋯そして、怪しげな文面に目を細めた。いや怪しいと言うか、レインの魔術師としての勘が違和感を訴えていた。

 

「おい、マリー。この前任の教師、変じゃないか?⋯⋯『魔術実験中に事故死』だと?」

 

「さすがレイン。その通りよ」

 

 レインの言葉にうなずくマリー。そして懐から新たな封筒──レインに渡した封筒とは色が違う、極めて秘匿性の高い物に使われる封筒だ──を出す。

 レインは紅茶で喉を潤し、続ける。

 

「前任のコイツ⋯⋯バータ・ジガルドは火属性魔術を得意としていて、その関連で幾つも論文を出しているはずだ。属性魔術の研究は実験ではなく、ただひたすらに優れた魔術式の考案だ。死ぬ要素なんてほぼないはずだ」

 

「えぇ、だから彼は、錬金術系の実験で構築式をミス、致命的な魔術拒絶(リバウンド)で死亡した『事になっている』」

 

「なっている、だと?」

 

 無言で追加の資料を差し出してくる。レインはそれを見て、驚愕した。

 

「魔術師バータ⋯⋯彼は、殺害されたわ」

 

「しかもただの殺害じゃない。⋯⋯これは惨殺だ」 

 

 バータはある日、自宅の書斎で死んでいるのを同じ学院の教師に発見された。

 その様子は酷く、片目は潰れ、腕は焼けただれ、足には穿たれた跡がいくつもあった。

 抵抗したのであろう、家の内部はどこも荒れていた。そして、書斎は棚も引き出しも全てがひっくり返されていた。

 

「彼を殺した犯人の狙いは、おそらく研究の成果ね。彼ほどの魔術師となれば、それは素晴らしい発見をしていたでしょう⋯⋯」

 

「あぁ、それは間違いない。それに、これをやった奴⋯⋯かなりの手練れだ」

 

「ヴィクトリア魔術学院に務める教師は一流。属性魔術の専門ともなれば、その戦闘力は軍にいても問題ないレベル⋯⋯。それを、ここまでボロボロにできるなんて、おそらく一方的に、嬲るように⋯⋯」

 

「なるほど⋯⋯それで、俺らか」

 

 ならば納得がいく。帝国軍に隠されるように設置された第0部隊、通称《黒の扉(ブラックドア)》。大隊の様な人員を持たず、しかしその戦力は軍最強の少数精鋭。ここに発令される任務。それには必ず、闇がある。

 マリーが威厳のある声色で告げる。 

 

「No.6《創造》レイン・アルベール。ヴィクトリア魔術学院へ赴任し、魔術師バータ殺害について調査を進めなさい。⋯⋯この任務、絶対に裏に何かある。気をつけて」

 

 ──こうして、レインはこの任務を皮切りに、様々な事件へ巻き込まれてく。⋯⋯それが、世界の命運を握っているとも知らずに。

 

 

 




まぁ続くでしょう
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