「……うるさい」
外からの騒音により、わたしは目覚めた。
なんの音だろうか。まあどうせたいした事ではない。騒音がするのはいつものことだ。普通の感覚では騒音にもならないのだろうが、今のわたしにはうるさすぎる。
「……あたまいたい」
頭痛がしてきたのでベットの横に置いてあるヘッドホンを充電コードを抜いて被り、ノイズキャンセリングをオンにする。
いつもならこれで静かになるのだが、一向にその気配が無い。
「……こわれた?」
だとしたらかなりまずい。そもそもわたしはこれが無ければまともに外も歩けない。一応我慢出来ないこともないのだが正直かなりキツい。
時計を視ると現在昼の12時過ぎ、夏休みなので問題無いが、夏の外はセミまでいるのでさらにうるさい。同居人も現在実家に帰省中でいない。
「…………………買いに行くか」
仕方がないので外に出る。めんどくさい。あたまいたい。
とりあえず外に出るなら着替えねば。ワンピース程ではないが長めの白いTシャツの下に黒のショートパンツを履く。そして腰下まである白と黒が混ざり合って灰色に見える髪を中に入れて上から少し大きめのサイズのせいで袖が余っている黒いパーカーを着る。裾が膝の上くらいまである。そして腰に黒いポーチを着けて準備完了。
部屋の中を確認するといつもの飴や鎮痛剤が切れかけている事に気付いた。ここ数日外に出ていないからだろう。
玄関に付き、鏡を見るとそこには完全に光の失せた黒い瞳が映っている。
「いってきます」
フードを被り、扉を開けて外に出るとさらに激しくなった騒音が耳に突き刺さり、あまりの痛みに視界が滲む。
「──いっづ!!」
一応鎮痛剤を飲んでおいたのだが、そんなものを無視して痛みが脳に突き刺さる。早くヘッドホンを着けないと冗談抜きで死にそう。実際以前何度か倒れた。
「……はぁ」
ふらふらとした足取りで家電量販店になんとかたどり着いたわたしは前と同じ黒いヘッドホンを購入し、持ってきておいたモバイルバッテリーで充電しながらヘッドホンを装着し、安堵の溜息を零していた。ようやく少しは静かになった。鎮痛剤はきれ、頭痛はまだしているがまだましだろう。ようやく周りの暑さに気が回るようになった。
「次はドラッグストアか」
飴と鎮痛剤を買うためにドラッグストアにへと足を向ける。
暑さと頭痛と戦いながらドラッグストアへ向かう道中、現在わたしは少し面倒なことになっていた。
「おうおう嬢ちゃんちょっと俺達と遊ばない?」
「へっへっへっ、俺達がいーとこ連れてってやるぜ?」
──うるさい。
数は五人、こんな道のど真ん中でこいつら馬鹿なんだろうか。まあ馬鹿なんだろうただでさえ能力者蔓延るこの学園都市では治安維持組織のジャッジメントやらアンチスキルとかいう部隊がうろうろしている。そんな中実にわかりやすい迷惑行為、すぐにしょっぴかれるだろうが、今のわたしはこの暑さと頭痛と周りのうるささでイライラしている。自分で処理した方が早い。
男の一人がわたしの腕を強引に掴んだところで腕を捻り、がら空きの脇腹に蹴りを叩き込む。
「ぐっ、いってえなぁ!!」
知るか、わたしもあたまいたいんだ我慢しろ。
わたしと男達を囲むように結界を張り、腕をぞんざいに払う。すると、空間を揺るがす衝撃波により俺達の手足は本来曲がってはいけない方に曲がり、足元で呻き声をあげている。うるさい。
少しすっきりしたので本来の目的通りドラッグストアに向かおうとすると、
「お待ちなさいな。ジャッジメントですの」
後ろから誰か近づいて来ているのは気付いていたが、まさか本当にジャッジメントだったとは。
というかこいつの声キンキンしてうるさい。
「……帰っていいですか?」
もう早く鎮痛剤と飴買って帰りたい。
「駄目に決まってますの! 正当防衛とはいえやりすぎですの! 少し支部までご同行願いますの」
過剰防衛? そんな概念は存在しない。つまりわたしは悪くない。帰ろう。
そそくさと立ち去ろうとすると先程のキンキンする声のやつが目の前に現れた。
「テレポーターか。めんどくさい」
わたしの能力なら逃げることはできるが、あたまがいたいのであまり使いたくない。みんな頭が痛い時に大学受験の勉強とかしたくないだろう? つまり、
「……わかった。急いでるから早く終わらせてくれるなら大人しくついてく。でも時間掛かるなら全力で逃げる」
わたしは早くお昼寝したいのだ。
「そこまでお時間は取らせませんわ。ただ、わたくしから逃げられるとお思いで?」
「できるよ。確実に」
あたりまえだ。たかがレベル4のテレポーター程度には捕まらない。むしろ逃げるだけならこの学園都市の第一位からも逃げきれる。
「!! ……分かりましたわ。それではこちらに」
キンキンするやつの言う通りについて行く。早く帰りたい。
ジャッジメントの支部だという所に付き、現在キンキンするやつから尋問を受けていた。
「とりあえず、わたくしの名前は
「
名は体を表すというのはこういうことだろうか。我ながらピッタリな名前である。昔から灰色だったわけではないが。
「白灰さんですのね。いまバンクと照合しますので少々お待ちを」
「んで、しらこはわたしに何の用? あたまいたいし帰りたいんだけど」
「しらこ!?」
「黒いしらこって言ったなかった?」
「違いますの!! 白井黒子ですの!!」
「んで、白黒は何の用?」
「白黒……まぁいいですの。それより貴方はあの男達にあれだけの怪我を負わせておいてただで帰れるとでも?」
「からんでくんのが悪いんじゃない?」
「それにしてもやりすぎですの!」
「えー」
どうやらずいぶんと正義感が強い人種らしい。めんどくさいタイプだ。
「あ、出ましたわ。音無灰夜、能力はレベル4の『
「? どうしたのさ」
「16歳!? 高一!? その見た目で!?」
「めっちゃ失礼なこと言ったね」
ちなみにわたしの身長は150ちょい。童顔なせいもあってよく中学生と間違われる。むしろ小学生とも間違われる。しかし立派な高校生である。断じて中学生などではないし、ましてや小学生でもない。
というかそんなことより……
「あたまいたいから叫ばないで」
「あ、ごめんなさいですの……というか貴方、ヘッドホン着けてるではありませんの。学園都市のヘッドホンはノイズキャンセル100パーセントですのよ? どうやって会話してますの?」
「生まれつき耳が良くて」
「そんなレベルじゃ……まあいいですの照合も完了しましたし、今日はもう帰ってよろしいですわよ」
「あ、そなの? じゃあばいばい」
やっと帰れる。あ、ドラッグストアも行かなきゃな。
「……やっと終わった」
結局あの後ドラッグストアの鎮痛剤の在庫が切れており、さらに遠い所まで来ていた。能力の使用に躊躇いは無かった。とりあえず買ったばかりの鎮痛剤と飴で抑えているものの、きれた瞬間に激痛がくるだろう。はよ帰ってねよ。
「あら、灰夜じゃない」
今日はなにかと邪魔がはいるな。
聞き覚えのある声に振り返ってみるとそこには一人の少女がいた。
「あ、御坂」
彼女の名前は
というかこいつの周りはいつもうるさいな。電撃使いは常にからだから微弱な電磁波を発しているらしく、その中でも最強のこいつの周りは常にキーンという音がしている。この電磁波のせいで動物に嫌われるらしく、よく猫に逃げられるらしい。そこだけは本気で同情する。
「どうしたのよこんな所で」
「ヤクが切れた」
「言い方を考えなさい。というかやっぱりあんた見たら落ち着くわー」
「どこを見て言った?」
この小さいからだのせいかなぜかこいつにはお仲間扱いされる。ちなみにわたしは狂気的とも言えるこいつと違ってそこまで気にしていない。だってあんな肉の塊いるか? 絶対邪魔だって。
「んな気にすることもないと思うけど? 需要あるかもしんないじゃん」
「これで需要があるやつは絶対ロクなやつじゃないわよ!」
「わたし見てもう一回言ってみて?」
「………」
御坂が微妙な顔で黙った。ろりっこぼでぃーなめんじゃねぇ。
「大丈夫、あんたもいつか大きくなるわよ。でも私を置いて行かないでね?」
べつに気にしてないって言ってんのになぜこいつは人の話を聞かないのだろうか。優しい声で言うな。その同志を見るような目をやめろ。しかもしっかり保険をかけてきやがった。
そういえばさっきのキンキン白黒も御坂と同じような制服を着ていたような? まあ、いっか。
というか、
「御坂なんかつかれてる?」
「え、いや、そんなことないと思うけど」
「音がおかしかった。お祓い行った方がいいよ」
「つかれてるってそっち!? この科学の街で!?」
なにやら怪しいが、そういうことにしておこう。この街で薮をつついて出てくるのは蛇なんて可愛らしいものではなく、人間の闇そのものである。
てか音ってなによ。とかつぶやいていたが、そんなの体内の音に決まってるでしょ?
疲れが溜まれば胃腸や肝臓等に多少は不調がでるのはあたりまえ。
「じゃ、わたし帰って寝るから」
「え、ああ、うん。またね」
「……なんかあるなら相談くらいのるよ?」
「え?」
それだけ言ってそそくさとその場を去る。どうせ今は話す気はなさそうなのでここにいる意味も無い。
そんなことより鎮痛剤の副作用で眠気がやばい。
──今夜は静かだといいなぁ。
最近更新が遅かったのはこれを衝動的に書いていたからです
すみません
設定はちゃんと考えてあるのでご安心を
ところであらすじ書いてて思ったんですけどうちの主人公自分勝手なやつ多くないですか?
8/16 表現を少し訂正しました