とある科学の領域支配《テリトリー》   作:竜野 ニア

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2話 遭遇

「……うるさい」

 

 なんでいつも寝起き早々同じセリフを吐かにゃならんのだ。わたしの願いは見事に裏切られ、現在外ではバンバンドカンガシャンと騒音が鳴り響いているこんな堂々と暴れられるということは余程大きな組織の実験なのだろう。というか最後はコンテナが落ちる音だったんだが?

 

「……いってみよ」

 

 騒音と再来した頭痛で目が覚めた。いい加減毎晩騒ぐのはやめてほしい。見るだけならわたしの能力ならここからでもできるが、散歩がてら行ってみよう。

 

 着替えてヘッドホンとポーチを着けて音のした方に向かうと、実験が終わったのが騒音はなくなったが、騒音の元凶に出会った。

 

「オイオイ子供がこんな時間になにしてんだァ?」

 

「睡眠妨害の犯人探しと散歩」

 

 おもしろ……面倒なやつに出会った。この白黒のTシャツに白髪に赤い目の男はこの学園都市の第一位、アクセラレータ。能力もそのまま『一方通行(アクセラレータ)』もう少し名前捻った方がいいと思う。おそらくネーミングセンスが壊滅的に無かったのだろう。

 

「‪あァ? ンなこと俺が知るかよ。さっさと家に帰れやテリトリーさんよォ」

 

「むぅ、テリトリーさんとかじゃなく昔みたいにマイシスターと──」

 

「呼んだことねェよ!!」

 

「ずいぶんとイライラしてるね。さすがに人間一万人も殺したら気も狂うか」

 

「うっせェなァ、ただのクローンだろォが。人間じゃねぇよ」

 

「わたしの定義ではパッと見人間なら人間なんで」

 

 こちらは一応友好的に接しているのだがどうにもあたりが強い。この人おもしろいから結構好きなのに。髪色が近いので親近感がある。むしろお兄ちゃんとでも呼んでみたい。昔寝ぼけて言ったら殺されかけた。ひどい。

 

 昔はあんなに優しかったのに……まあ嘘だが。というか優しくされた記憶もない。今も昔もわたしが一方的に懐いているだけである。

 

「うっせェ! さっさと失せろぶっ殺されてえのか!!」

 

 やはりかなりイライラしているようである。いやいつもこんな感じか? でもまあ、

 

「おもしろいこと言うね。互いに消耗していくだけの拷問がしたいの?」

 

 戦ったところでこちらの攻撃は相手に届かないし、相手の攻撃もこちらに届かないという戦闘ですらないキャッチボールをするのはわたしは嫌である。

 

 実際一度戦った事があるが、あれはきつかった。次の日からしばらくベットから起き上がる事もできなかった。一応奥の手はあるが、わたしはあいつ殺す気無いし。

 

「チッ、まァいい。てめぇはさっさと帰れ。俺ァ忙しいんだよ」

 

「……わかった。またね、お兄ちゃん」

 

「誰がだ! ……じゃあな」

 

 もう少し話したかったがまあいいだろう。お互いに簡単に死ぬような器じゃないので挨拶はまたねである。

 

 

 

 あれからアクセラレータに言われた通りまっすぐ家に帰って来たわたしは少し考え事をしていた。

 

「『レベル6シフト計画』だっけ? 確か第三位のクローン二万人を二万パターンの戦場で殺すことで第一位をレベル6にするっていう話だっけ?」

 

 そんなことできるのだろうか。そもそもレベル6って何? レベル5で十分化け物だってのにそれ以上はいらんでしょ。

 

 おそらく御坂の悩み事もこれだろう。自分のクローンが殺されているとなれば放っておけないのがあいつのいいところであり、この街では悪いところだ。

 

「レベル6かぁ……ちょっと見てみたいかも」

 

 ぶっちゃけわたしはどこで誰が死のうとどうでもいい。クローンだからとかではなく小さなお子様からお年寄りまで一切興味が無い。助けるとしても気分だ。まあ今までそんな事無かったが。

 

 そんなことを考えながら眠りにつく。明日こそは世界が静かであることを願いながら。

 

 

 

 次の日の昼間、もちろん世界が静かなわけもなく、いつも通りセミも人もそれ以外もうるさい。

 

 現在わたしは公園に来ていた。たまに自販機にハイキックする中学生が名物(わたし主観)の公園である。

 

 なぜわざわざ高層マンション最上階かつ防音対策ばっちりなおかげで外に比べれば比較的静かな自宅から出てきたかというと、食料が尽きていたのである。さらにその途中で体力が尽きた。

 

 やはり少し引きこもり過ぎたのだろうか。思い返してみれば昨日はしんどかったので何も食べていない。べつに料理ができないわけではない。普通にそれなりのものを作れる。しかし同居人がいないと作るどころか食べるのすらめんどくさくなるのだ。なので最近は省エネのために一日のほとんどの時間を寝て過ごしている。

 

 ちなみになぜ学生のくせに高層マンションなどに住んでいるかというと、昔学生寮で死にかけていたところを助けてくれた人がいたのである。

 

 正しくはそういう取り引きがあっただけなのだが。なにをしたかって? どっかの組織の壊滅だよ。もうなんて組織だったかも覚えていない。そこそこ大きな組織だったが、百数十人やそこら殺しただけで今のまだ静かな生活が手に入ったのだから安いものだ。あれがなければ今頃発狂死していた。数が数だけにちょっと面倒だったが。

 

 そんなことを考えながらベンチに腰掛けぼーっと空を眺める。しんどいので休みたいが、いつまでもここにいると体力がごりごり削られていく。でも動きたくない。

 

 そんなことを延々と考えていると、よく知る人影が視界を横切った。

 

「ん? ……御坂?」

 

 思わずつぶやくと、その声はその人影にも届いたようで、

 

「はい、ミサカはミサカである。と、ミサカはあなたのつぶやきに同意します」

 

「………いや違うよね?」

 

 たしかに見た目は御坂そっくりだが、音が微妙に違う。いつものキーンがいつも以上に小さくなっている。ちょうど普通のレベル3くらいの電撃使い程度だろうか。

 

「いえ、ミサカはミサカです。と、ミサカはあなたの間違いを訂正します」

 

「……あぁ、なるほど」

 

 おそらく最近噂の第三位のクローンだろう。シスターズだっけ? たしかオリジナルの1パーセント程の電力しか出せないはずなのでレベル3ならだいたいそんなものだろう。そう考えるとレベル5って本当に化け物だな。

 

「いったいなにがなるほどなのか。と、ミサカはなにやら納得した顔のあなたが気になり首を傾げます」

 

 傾げてないよ? さっきから口以外一切動いてないよね?

 

 シスターズならシリアルナンバーがあるはずだが、こいつのこともアクセラレータが何人殺したかも特に興味はない。なら言う必要もないだろう。

 

 そんなことを思っていると、ポケットの中にいれてあったケータイが震え始める。

 

「ちょっとまってね」

 

 ミサカから少し離れて折りたたみ式のケータイを取り出し、画面も見ずに通話ボタンを押す。

 

『もしもし?』

 

「あぁ、おかあさんか。久しぶり」

 

『そうね。久しぶり』

 

「んで、わざわざ電話かけてきたってことはなんか用?」

 

『ええ、定期検診兼ちょっとした改造よ。あと藤原が報告書がまだだとか騒いでたわ』

 

「……りょーかい。すぐいく」

 

『ええ、まってるわ』

 

 それだけ言うとブツリと通話が切られた。

 

「はぁ、ごめん、ちょっと用事ができた」

 

 ため息を吐いてからミサカの方に向き直り、そう言う。

 

「いえ、大丈夫ですよ。と、ミサカは少し残念そうにあなたに言います」

 

 わたし自身もう少しこのミサカと話してみたい気持ちもあったのだが仕方ない。少し考えてから近くの自販機の方に向き直り、手をかざすと手の中に缶ジュースが現れる。それをミサカの方に放り、

 

「それじゃ、ばいばい」

 

 それだけ言うと近くのビルの屋上の方に向き直り、次の瞬間わたしはそのビルの屋上にいた。後ろには先程までミサカと話していた公園がある。

 

 

 

 あれから何度か同じ事を繰り返し、現在わたしはとあるビルの地下にいた。ここは一応シェルターのような構造になっている。

 

 そこには高校生の平均くらいの体格の黒髪の男がいた。

 

「ん? おお、テリトリーか。さっさと報告書出せ」

 

「昼夜逆転生活をおくっていたわたしを昼間に呼び出して最初の一言がそれか」

 

「あ? 知るかよ。それはお前の勝手だろ」

 

 ちなみに正しくは昼夜逆転生活ではない。最近寝付きが悪く、昼も夜も浅い睡眠を繰り返していただけである。

 

『おお〜灰夜ちゃんお久しぶりですぅ〜』

 

 そんな声を発したのは周囲大量にある画面の一つの中にいる少し緑の入った青髪ツインテールの少女である。

 

「きりちゃん久しぶり」

 

 この少女の本名は雷久保 霧江(らいくぼ きりえ)見たまんま電脳少女である。

 

 元は電撃使いでその中でも能力を使ったコンピューター操作が得意だったのだが、その後の能力開発の過程でどこかの研究者が「こいつの脳、完全に機械に繋げればよくね?」とか言い出したのがきっかけでこうなったらしい。この娘の本体はこのシェルターの中にあるカプセルの中で機械に繋がれている。現在レベルは4。

 

 滅多にからだに戻ることは無く、灰夜が本体と話したのは以前前のアジトから今のシェルターに移動してくる際に灰夜が運んできた時だけである。

 

 ちなみに電脳化の際はなぜかテンションが上がるらしく、こんなにうざ……元気な性格だが、顔は同じでも本体はもっと暗い感じである。もちろん青髪ではなく黒髪である。

 

 ちなみにさっき灰夜と話していたのは藤原。下の名前は灰夜自身知らない、もとい興味が無い。この組織の、言ってしまえば雑用である。結構なんでも出来る。レベルは知らない。能力者かどうかも分からない。

 

「えーとなんだっけ? ああ、ふじわら〜。はい、これ報告書」

 

「お前はお願いしますも言えんのか。あと歳上にはさんくらいつけろ」

 

「サン・ふじわら。あとおねがいねー」

 

「そこじゃない。いったい俺は何人(なにじん)なんだ」

 

「名前的に芸人かな?」

 

『ブフッ』

 

「そこ笑ってんじゃねぇ!」

 

 思わず吹き出したきりちゃんにサン・ふじわらが怒鳴っている。相変わらずこいつで遊ぶのは飽きない。

 

 そんなことを考えていると、

 

「ずいぶんと楽しそうね」

 

「「『!!』」」

 

 そこにいたのは黒髪を肩口で切りそろえ、白衣を着込んだどこか優しい雰囲気のある女である。

 

 その女はこの組織のリーダーであり、灰夜の能力開発の担当者でもある。組織内では人それぞれだが主に博士と呼ばれている。

 

「あ、おかあさん」

 

「さっそくだけど灰夜、奥に来てもらうわよ」

 

「わかった。それじゃ、二人ともまたね」

 

 二人にそれだけ言っておかあさんの後ろに続く。

 

 さてと、次に目を覚ますのは何日後になることやら……




一応ストーリーは考えてあるものの他の作品に比べてモチベが低めですね……
まあ、最近はそもそも他の作品もあんまり書けて無いんですけどぼちぼちペースを戻していく予定ですので気長にお待ちください
それでは他作品も含めて
灰「次回もお楽しみに!!」
……セリフ取られた
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