なんで話短いです。
リリスモン、足治ってよかったね。
「うむ、≪ポーション≫がぶ飲みして腹はぱんぱんになってしもうたがの」
この洞窟、いつまで続くの?
「もうちょい、ほれ、日の光が見えてきたではないか。……こうしてみると、光も悪くないのう」
もし、良かったらなんだけど、さ。アタシと一緒にいない?
「何を言う。わらわは大魔王、一緒にいてもほかのプレイヤーから嫌われるだけじゃ」
あのね、アタシは見て通り中堅プレイヤー。だからここ、最前線に入れるだけのレベルはない。でもね、アタシはアイツやアスナの手伝いをしたい。鍛冶だけじゃなくて、戦闘でも。
今日、アンタと一緒に戦って分かったんだ。アンタと一緒なら、アタシはここでも戦えるって。
「何を言う。わらわは強い。うぬがおらんでもやっていけるが?」
それは……そうだけど、さ。
「しかし……一人でいてもつまらんし。まあ、お主みたいなのが騒いでいるのが丁度いいかの」
篠崎里香。お主じゃない、それがアタシの本名。
「かわいらしい名じゃのう」
ったく、恥ずかしいなぁもう。
「カッカッカッカ。じゃが、何故今それを?」
大魔王リリスモン。本名教えてもらっても不公平じゃん。それに、このゲームをクリアして、それっきりの関係にしたくないなって。
「リズ、いや。里香、よう聞け。わらわは大魔王、ここを出れば配下はおるし、他の大魔王もいる」
世間体があるってこと?
「うむ。特定の人間に執着し、贔屓することを是とせんじゃろう」
そっか。
「……じゃが。今日、冒険を繰り広げたこと、ヴァイクモンとその群れを倒したこと、その隣にリズベットという人間がおったこと。そして、篠崎里香という友人ができたこと。これらは絶対に忘れん」
……リリスモン。
「……こうして考えると、この世界は身分や周りの目を気にせずとでも良い世界なのかもしれんな」
確かに。アタシの隣を歩いているのが大魔王でも気にしてないしね。
「それはそれで少しショックじゃのう」
気にすることないって、意外とお茶目で可愛いかったし。
「うむ。素材溶かしたのも、お茶目じゃ」
それは許さない。……いいや、多めにみよっかな。
「よい心がけじゃ。今は76層、先は長いぞ里香」
え、また素材溶かすつもりでいるの!?
「そのつもりは無い、安心せい。……へまをせねば」
今なんか言った?
「いいや、何にも。ところでリズベット、アイツに剣をたたき折られたという話は本当か?」
その話する? いいよ、初対面で目玉商品折りやがったアイツの話。叩き折っておいて、まさか折れるだなんて思わなかった。って。半人前扱いして!
「カッカッカッカ、わらわもアヤツにボコボコにされたわい。半人前と敗者。二人そろってちょうど一人前ということになるの」
それって。
「しばらく厄介になるぞえ。さしずめ、最初の目標は……。そうじゃの、アイツに一泡吹かせるというのはいかがかえ?」
それ、乗った。
●
それから、アタシの日常生活はさらに忙しくなった。とあるおバカにオーダーメイドで短剣を作ってプレゼントした。その短剣は76層のモンスターの素材とズドモンたちの素材を使ったもの。なんか雷属性とかいう新しい何かが加わって、アタシが作った武器のベスト3に入るくらいの一品だ。
そんなものを渡したのだから、おバカは喜んで、街中を飛び回り大々的に宣伝をしてくれた。おかげでお店の評判はうなぎ登り。お客さんの足は絶えず、武器はもちろん、武器の手入れセットも完売するほどの大人気。SNSがあったらトレンド入りするくらいには有名になったと思う。
アスナに借金を返せたし、それを元手にアスナはデジモンたちの保護をさらに拡大したみたい。
「えーっと、今日の仕事はオーダーメイド八件か……あと新人の研修もあって。いやー、充実してるわ~」
そろそろ素材を取りに行きたいし、でもオーダーは溜まるわけで……。うーん時間が足りないな。
それ以外に変わったことといえば、アイツにいたずらを仕掛けるっていう楽しみが増えたことかな。相棒の考えるのは過激だったり、微妙だったりして中々いいアイデアが浮かばない。でもね、それでも楽しみが増えるのはいいことだと思う。第一弾として、激辛ピザパイでもプレゼントしてあげようかな。
そんな相棒、もといいおバカは接客をしている。弟子にはなったけど、攻略組を相手に鍛冶スキルを振るうことはまだできない。リズ師匠は厳しいからちゃんと修行に励むように。
「リィ~ズゥ~、助けておくれ! 客が、客の足が絶えん」
鍛冶に素材集め、レベル上げに、いたずら考案。弟子の育成、接客と相変わらず忙しい毎日だけど。
「もうちょっとがんばって! 応援してる」
「そんな薄情なぁ」
人手不足は改善されたかな。よろしくね、リリスモン。
ごめんなさい。ぼく、このリリスモン好きです。
次回は未定。
でもやりたいことはある。また、そのうちゾンビのようにフラッと上げます。