後やっとラッピー来ました。ピックアップありがとう……ありがとう……
がみさまあ"! ありがとうございますう"う"う"う"!!!
ケオべさん可愛すぎる。むり、一人称おいらは無理、可愛すぎる……
祭りの範囲は広大だ。どこ行っても何かやってる。
その一角。やたら音楽が爆音で流れてくる場所があった。フロストリーフが興味を惹かれたようなので行ってみた。
──エンペラー! エンペラー! エンペラー!
『ハハハ、こいつはゴキゲンだぜ! もっと騒ぎなクソったれのオーディエンス共! 俺が神だ!』
──うおおおおおおおおおお!
歓声が爆発した。うるせえ。音楽よりこの盛り上がりの方がよっぽどうるさいが……この狂騒は嫌いじゃない。
いや、それより……。
「ペンギン……?」
「ペンギンか……?」
「ペンギンだな……俺の見間違いか?」
「いいや、私にも見えてる……。あれは、一体なんだ……?」
ペンギンはDJ機材を回した。曲調が変わる。
『親愛なる諸君にお届けしてやるぜ──聖母マリアの福音をな!』
賛美歌を超ロックにしたような音楽が流れ出し、ペンギンがマイクを掴んでラップし始めた。
俺はその光景を放心しながら見ていた。
なんだこれ……。
横を見たらフロストリーフが周囲の観客に混じって手を振り上げて楽しんでいた。
ま、お祭りなら騒がなきゃ損か。エンペラー!
──エンペラー! エンペラー! エンペラー!
うおおおおおおおおお!
しばらく夢中になった後、ステージが終わったので戻ろうとした。その時知った顔が見えたのでフロストリーフを連れて追っかける。
ステージの裏、関係者用の入り口まで来た。
「ノエル」
「……ああ、アルク。それにフロストリーフ。いかがでしたか、エンペラーのステージは」
「悪くない。あのペンギンはエンペラーと言うんだな。覚えた」
「ええ、著名なアーティストです」
「──おお? 出待ちか? 熱心なファンだな嬢ちゃんにハチマキ野郎」
関係者用の扉からペンギンが出てきた。
近くで見てもペンギンだ……。
「エンペラー、お疲れ様でした。なかなか私も楽しめましたよ」
「ハッ、当然だろ。俺を誰だと思ってやがる。神だぞ?」
「ペンギンでは? それにラテラーノでその言葉はいかがなものかと思いますが」
「ちっ。それでそっちの二人はサインでもねだりに来たのか? とっととペン寄越しやがれ、顔でもシャツでも好きなとこに書いてやる。今は気分がいいからな」
「いや別にいい。ノエル見つけたから来ただけだしな」
「なんだよクソったれが! いや……おいハチマキ野郎、お前どこの種族だ?」
俺は周囲に人がいないことを確認してハチマキをとった。
「──へえ! こんな場所にサルカズとはな、面白え。俺ほどじゃねえがな!」
「うるせえなこのペンギン」
「誰がペンギンだツノ野郎が! 俺は皇帝だ」
「どっからどう見てもペンギンだろ……」
ノエルが口を挟んだ。
「ああそうだ。エンペラー、以前新しい会社を起こすとおっしゃっていましたね。彼、なかなか優秀ですよ」
「あん? ……ふーむ、そうだな。お前働けんの?」
「いや俺はフリーでやっていこうと思うんだが……」
「じゃあテストだ」
「聞けよ」
エンペラーはどうやって持ってるのか分からないが、とにかくハンドガンを俺に向けた。……どういうつもりだ? いやその前にそれどうやって構えてんだ? お前指ないよな。あんの?
「今からお前に向かって引き金を引く。その後のお前の行動で、俺の会社にお前がふさわしいかどうか判断するぜ。準備はいいな?」
「話を聞かねえペンギンだな……。フロストリーフ」
「ああ」
フロストリーフが携帯式のナイフをペンギンの喉元に突きつけた。
「こういうのでどうだ?」
「──ハッ! ただのファンかと思ったら、とんでもねえのが来やがった。確かになかなか悪くねえ。そうだな……おいノエル、紙とペン寄越せ」
ペンギンがハンドガンを下げたので、フロストリーフもナイフをしまった。
「うちに来る気があんのならこいつに連絡よこせ。お前、なかなかイカれてるからな。まあ俺ほどじゃねえがな!」
「本当に話を聞かないペンギンだな……。まあいいか。フロストリーフ、行くぞ」
「待ってくれ、サインが欲しい」
「俺様のサインが欲しいって? 仕方ねえな……」
このペンギンさっぱり訳がわからん。俺はペンギンからもらったメルアドを眺めながらしみじみ思った。
「──いや、そもそも何の会社なんだ?」
「そんなもん、答えは一つしかねえ──俺の大いなる野望のための手足だ」
「運送会社です。アルク、実際悪くない話ですよ」
「運送会社。まあ、確かに悪くねえな……このペンギンがボスってことを除けば、の話だが」
「ああ?」
サインをもらえて満足げなフロストリーフを横目に、俺はちょっと考えた。
「はっ、まあいい。面白そうなヤツを見つけたら俺に教えろ」
「どうする気だ?」
「雇うんだよ、当たり前だろ?」
……。
ペンギンってわかんねえな……。
俺たちはその場を後にした。メルアドは一応端末に登録はしておいた。一応。何かの役に立つかもしれないし。
ハチマキをしなおして食べ歩きをしていると、フロストリーフを見つけて駆け寄ってくる何人かの女の子がいた。
友達らしい。話には聞いていたが、実際にちゃんといるってことがわかるとほっとした。これじゃまんま保護者だなとか思いながら。
友達数人で回っているらしく、俺はせっかくなのでフロストリーフを友達たちに預けることにした。
「ま、ガキはガキ同士で遊ぶのが一番だ。悪い、こいつのこと頼むわ」
「はーい! まかせてくださーい!」
「アルク、どういうつもりだ」
「ま、せっかくだしな。いい経験だと思ってみろよ」
小遣いを掴ませて俺は逃亡。フロストリーフの恨めしげな目が印象的だった。
それに俺も、ガキ引っ下げたままじゃ楽しめねえ。
「なあ、そうだろ?」
「子供扱いかあ。する方は楽だけど、される方は案外覚えているものだよ?」
「何でそんなこと知ってんだ?」
「エクシアからそうやって文句をもらうんだ。いつまでも子供みたいに扱わないでってね」
「くく、お前も案外そういうところあるよな」
人混みの中にモスティマがいた。目立つからすぐにわかった。こいつの蒼い髪は印象に残る。
「エクシアはどうした?」
「大学の友達たちと一緒さ。本人は私と周りたがっていたけどね。悪いとは思ったんだけど」
「なんでまた」
「私に言わせるのかい? 意地が悪いね」
「……あん? どういう意味だ?」
「私も、人並みな感情があるってことさ。一緒に回らないかい? アルク」
「二人でか?」
「ふふ。そう、二人で」
嬉しそうなモスティマに、俺はそこまで察しがつかない訳じゃなかった。
「ま、そうだな。……行くか」
「そうだね。行こうか」
出店の種類は多岐に渡る。
普通に飲食店もあるし、服やらアクセサリーやら、果ては楽器なんかもある。それ売れるの?
ペンダントやピアスを眺めながら。
「お前こういうの興味あんのか?」
「さあね……。必要ならばやるけれど、私自身は別にいいかな。好きとか嫌いとか、そういう感情は嫌いじゃないけど……どうもね」
「ふーん」
俺もわかんねえ。着飾るだとか、お洒落だとか、俺こそもっとも向いてなさそうだ。興味もない。
けどどうにも、モスティマがそういったことに興味を持たないのを、あろうことか──そう。あろうことか”勿体ない”と。そう思ってしまった。
そう思ってしまった自分を、半ば諦めた。いつの間にか、俺はこいつのことが嫌いじゃなくなっていたから。
「──君は、そういうものが好みなのかい?」
「ああ、いや……分からねえからな、俺はこういうの。さっぱりわからねえけど、ただなんて言うかね……。お前にどれが似合うかなって考えてた」
「え? ……私に? やだなあアルク、私にはこういうの必要ないよ?」
「だとしてもな。……あー、ダメだわからん。頭が痛くなってくるな」
「珍しいじゃないか。君がそこまで……あれ、もしかして気を遣ってるのかい?」
「なんだ、悪いか? 俺にだって感情くらいある。これまでのこと、俺は結構感謝してんだぞ? これでもな」
「ああ、そうなのかい? そうか、それは分からなかったな……。ふふ、そうかい。だったら──これがいいな」
「いや、こんなのでいいのか? もうちょい高いのでも」
「いいよ。これでいい」
さっき俺が手に取っていた、シンプルな飾り気のないネックレス。細いチェーンとシンプルな飾りだけの安物。
「これがいい」
「……分かったよ。ちょっと待ってろ、買ってくる」
買ってきて手渡そうとすると、モスティマが止めた。
「せっかくだ。君に付けてもらおうじゃないか」
「……お前なあ。俺が不器用なの知ってるのか?」
「知ってるよ。だからせっかくなんじゃないか」
「マジかよ。分かったよ……」
頭から、慎重にかける。モスティマが顔を上げると、必然的に目が合う。
「うん……。どうだい?」
「まあ……悪くねえんじゃねえか」
「似合っているかい?」
「……似合ってるよ」
「そっか。ならよかった。あ、ところでさ、せっかくだからエクシアにも何か買っていってあげよう」
「そりゃ悪くねえな。フロストリーフの分もなんか買ってくか。くく、まるで世話焼きの親にでもなった気分だ」
「ふふ、そうだね」
歩き出して、俺はやっと本題を切り出した。
「お前、枢機卿? ってのになるのか?」
「ああ、その話かい? まあ祭り上げられただけさ」
「一つ聞いておきたいんだが、お前さ。何をしたいとか、何になりたいとか、そういうのあるのか?」
「うーん、そうだね……。特にない……かな。私は今の生活がそれなりに気に入ってるんだ」
「そうか。だが今はずっと続かねえぞ」
「おやおや。君の口からそんな言葉が出るなんてね。それが本題かい?」
「ああ。俺がラテラーノにいる期間は、後半年ない。俺はいつまでもラテラーノでトランスポーター見習いする気はねえ。国際資格と、銃の免許を取っちまえば、この場所に用はなくなる。そういう約束だ。ノエルとのな」
「そっか。ねえ、今だから聞けるんだけど、ノエルとどういう契約をしたんだい?」
「お前を幸せにしろってよ」
「それはまた……。ノエルも世話好きだ」
「ノエルにとって、お前とエクシアは全てだって言ってたな」
フロストリーフの姿を思い出しながら、適当なアクセサリーを吟味する。
「ノエルは私の最高の戦友さ。昔、大学時代にカズデルの戦いに関わったことがあってね」
「……そりゃ初耳だな」
「うん。このことに関しては、君にだって秘密だよ」
「いいさ。好き好んで聞くような話じゃなさそうだ。ああそうだ。俺から一つ、お前に伝えておくべきことがあると判断したから、お前に伝えておく。ノエルが何か企んでる。気を付けろ」
「覚えておくよ」
モスティマも色々と眺めている。物騒な話をしながらも、その口元は穏やかだ。
「ノエルとエクシアは、実の姉妹じゃないんだ」
「今日は色々と新しいことを聞くな。そういう日なのか?」
「ノエルは幼い頃親を亡くしてね。ある家庭の養子になった。その家には赤ん坊がいて、程なくノエルはすぐに赤ん坊の姉になった。エクシアはそのことを知らないけど──親を亡くしたノエルにとって、その赤子は大きな心の支えになったんだ。そして赤子も、ノエルにひっついて育った」
「それがあの姉妹ってわけか」
「まあ、私は大学からノエルに出会ったからね。当時のことなんて実際に見たわけじゃない。でもまあ、ノエルは常に、妹に誇れる自分であろうとして、また妹も姉のことを尊敬していた。ノエルは法王親衛隊の若手部隊の隊長を務めるようになって、私はアーツ部隊の隊長になった。きっと、エクシアも姉の後を追うだろうね」
「……そういえば、話は変わるんだが──お前、サンクタとサルカズのハーフなんだろ?」
モスティマは微笑むばかりだ。
「ふふ。アルク──それじゃあんまり話、変わっていないよ」
「質問に答えろよ」
「そうだね。おそらくそうだと、私も思ってるよ」
「曖昧だな」
「──どちらにせよ、私にはツノと、この天使の輪っかだけが残った。それが全てさ。多くを語る気はないよ」
「そうだな。過去に意味はない──あるのは事実だけ、か」
「そういうこと」
「俺の予感が正しければ、お前ら三人はこのままじゃいられない。確実にな」
「そっか」
「だから、お前の望みを俺は確かめたかった。改めて問うことにする。お前の望みはなんだ?」
モスティマは答えない。ただ微笑むばかり。
そういうヤツだと分かっていた。
俺はモスティマの、そういうところが嫌いだった。
・エンペラー
ペンギンにして世界的なミュージシャン。ノエルに呼ばれて収穫祭に参加していた。
こいつコウテイペンギンじゃなくてキングペンギンなんだぜ。wikiに書いてあった
この頃、ペンギン急便を起こす計画を立てている。
・モスティマさん
かわいい。
公式ではモスティマさんの種族は明言されていない。これは二次創作です。天使と悪魔のハーフってエモいよね
・カズデルの戦い
マジでなんも考えてない。公式からの手がかりがなさすぎる。
ノエルとモスティマが仲良くなったきっかけ程度の認識です
なんか……いろいろあったんやな……
・アルク
モスティマのそういうところが嫌い。